HSDPA対応N902iXの実力は?


当初の予定より1年遅れでスタートしたドコモのHSDPAサービス、2006年9月現在サービスエリアは東京23区内と案内されている。
HSDPAはcdma2000で言うところのEV-DOのような伝送方法で、いくつかのカテゴリに別れているが今回N902iXがサポートしたのは下り最大速度3.6Mbpsのものだ。
上り速度もこれまでの64Kbp
から384Kbpsに変更されたが、これは論理チャネルを変更したために速度が上がったものでありHSDPAには関係ない。
HSDPAでは通信状態(電界強度、RSCP)で伝送速度が変化する。
変調方式はQPSKか16QAMが使用され、その他ARQなども通信状態によって最適制御されるためだ。
サービスエリアに関してだが、23区内ならどこでもHSDPA対応かというと現時点ではそうではない。
横浜側や千葉側の一部では23区内にもかかわらずハイスピードエリアにはなっていない。
9月末には国道16号線の内側あたりにまでハイスピードエリアが広がるようなので、こうなれば更に使いやすくなるだろう。

さて問題の実効速度なのだが、携帯用のスピードテストサイトなどではうまく測れないようだ。
送出してくるデータ量が少ないために測定値のばらつきが大きくなる。
iアプリを使用したスピードテストはデータ量が多い(500Kバイト)のでそこそこ平均的な値が取れる。
このサイトはサイト側で統計を取っているのだが、本日現在はHSDPAを意識していない仕様のままであり384Kbpsを超える速度のデータはサイトに反映されていない。
このiアプリを使用して伝送速度を測定してみた。
基地局が見えるようなロケーションではないが、ピクト表示を見る限り3本で安定してる。

何度か測定すると800Kbps〜1.5Mbps程度の測定値となった。
ちなみに5Mバイトの音楽データをダウンロードし、それに要する時間から伝送速度を推定した場合でも1Mbps〜2Mbpsとなったのでiアプリでの測定値はまあこんなものだろう。
移動中はどうだろうか。
高速道路を100Km/h+〜100Km/h++くらいで走行しながら同アプリで何度か測定を繰り返してみたが、400Kbps〜1.3Mbpsくらいの速度が計測された。
意外と移動時でも速度が落ちないものだなというのが印象である。

速度低下の大きな要因は待ち時間の長さである。
すなわち同時利用者数が増えてきた場合にパケット伝送の順番を待つ時間が長くなる。
これはそのまま平均速度の低下になる。
HSDPAをよく知らない?メディアなどは、非HSDPAに比較して伝送効率が高いから無線区間が空くと書いているものがあるが、これは大きな誤りだ。
ビット単価が下がるのは正しいが、決して回線が空くわけではない。
通信速度の向上はどんなメリットをもたらすだろうか。
movaが9.6Kbpsから28.8Kbpsになったとき、使って解るその違いに感激したものだ。
そしてFOMAとなって200Kbps前後の速度が出てくると、ダウンロード時間の速さに感動した。
一方でコンテンツはリッチ化が進み、再び遅くなってくる。
通常のWEBブラウジングをHSDPA対応機で行った場合、やはり速いなとは思う。
ダウンロードも非HSDPAよりずっと速い。
mobile2pcも快適に利用できるが、もう少し速度が上がってくれた方が良いのかなと言う印象だ。
ちなみにmobile2pcはHSDPA対応版が出るとアナウンスされている(本日現在まだリリースされていない)移動機としての印象も書いておこう。
漢字変換が世界一苦手と言われるNEC内製かな漢字変換エンジンなのだが、902iに比較すると漢字候補の出てくる順番なども変更されて多少使いやすくなった印象だ。
T9もチューニングされ使いやすくなったし、英語版T9は(元々T9は英語圏で始まったもの)とても使いやすい。
カメラは液晶側に付いている。
N902iSでは重量バランスや厚みの関係でボディー底面にカメラを追いやったのだが、キー側と液晶側が180度以上に開くわけではないのでボディー側カメラは少し使いにくい。
この点を改善するためにシャープの一部機種はカメラを少しシフトさせて取り付けたが、その後姿を消した。
N902iXはいわゆる企画端末の類なので、デザインにしても操作性にしても尖ったものを持っている。
キーなど、デザイン優先なのでキートップの文字は見にくい。
外径寸法はN902iとほぼ同じ、質量は6g重くなった。
消費電力などをみると中身はN902iSに近いのではないかと思う。
当初はN902iベースと言うことで外部メモリの容量などもN902iに準じたものだったが、発売時期が遅くなったためかN902iSに近いものに変更されたようだ。
N902iより明確に悪くなったと思われるのがフォントである。
アンチエイリアシングが行われていないというか、ギザギザが目立つ。
これはVGA液晶を搭載すると言われているN903iとの差別化を明確にするためなのだろうか。
アンチエイリアシングが無いのでハッキリ見えると言えば確かにそうなのだがちょっと見た目が悪い。
今や携帯電話の標準装備になった感もある音楽再生機能も搭載されている。
トーンコントロール機能は??かなと思うが、イヤフォンで聞けばそこそこの音を奏でてくれる。
ただし専用チップが使われているわけではないと思うので連続音楽再生時間は短いと思われる。