中国製カーセキュリティを試す


今回はカーセキュリティのテストである。
これを販売しているところから電流その他を測って欲しいと言われたので測定する。
例によって測定すればこれはあげるよとの事なので喜んで。



パッケージはなにやらキラキラな感じだ。
箱の裏にMade in chinaのシールが貼ってある。
実売価格で$15くらい、仕入れは$10程度だろうか。



本体、スピーカ、リモコンが2個付属している。
アラームのセットや停止はリモコンで行う。
取説という取説はなく、ぺらっとしたものがあるのみ。
ただしいくつかのモデル共通のようで取説に書かれている機能全てが実装されているわけではない。

機能的には振動というか音に反応してアラームが鳴る、リモコンでアラームが鳴る、オレンジの線に電圧を加える事でアラームが鳴る事だ。



早速内部を開けてみる。
メイン基板にはPICチックなものが乗っているのとリレーか何かも見える。
これはアラームが鳴った時にウインカを点灯させるためのものかも知れない。
縦になっている基板はアナログ部、受信ユニットだ。

丸いものはセラミックスピーカというか圧電体、これをマイク代わりに使って音というか振動を検出する。

トランジスタらしきものが2個、LM324が1個乗っている。
受信部はトランジスタ2個で構成されているようで、一応同調用のコイルが見える。
受信部の出力はLM324で増幅される。
信号はキャリアの断続で、これをPICらしきものに渡している。



メイン基板の裏には何も実装されていない。



赤黒線を電源につなぐと動作を開始する。
スタンバイ電流は2mA程度でバッテリ負荷も心配しなくて良いだろう。
この状態でリモコンキーを押すと検知開始となるが電流は増えない。
振動を与えると結構大きな音でピヨピヨ音がしてびっくりした。
このときの電流は300mA程度流れる。

動作上の欠点というか使いにくいと思うのは、アラームのセットや解除の度にピヨピヨ鳴る事だ。
何せ音が大きいので静かな場所ではアラームセットも出来ない。
無線部の受信信号を取り出してアラームをディセーブルにする事は出来そうだ。
そこで下品な回路を組んでみた。
データの出力、LM324のNRZデータをダイオードでピーク整流してコンデンサにチャージする。
このチャージされた電圧でトランジスタを駆動して、トランジスタがONの時にはアラーム出力を落としてしまう。
ハザード出力はいじっていないので音は消えたが(配線すれば)ウインカは点滅する。
これで近所迷惑にならなくなる。

が、実はコイツはウインカ点滅用のリレーが動作しなかった。
調べてみるとリレーと駆動用トランジスタを接続するジャンパが実装されていない。
まあ、こんなものだろう。
このジャンパを実装して無事動作するようになった。

見た感じからすると高周波増幅器付きの超再生受信機のようだ。
超再生受信機は簡単な回路でそこそこの感度が取れるが、クエンチングノイズをまき散らすので高周波増幅回路がないと他人の迷惑になる。
フィルタの類も入っていないので受信帯域は広そうだ。
もっともそうしないと送信周波数もふらふらするはずなので受信出来なくなるか。
300MHz帯を自励発振させるなんて、さすが中国である。
ではリモコン側はどうなっているのか。



大きな電池とHS2260と刻印されたデバイスが乗っている。
他にトランジスタが1個とダイオードかな?が2個乗っている。
トランジスタ1個はRF発振回路で、プリントパターンのアンテナが唯一の同調回路である。
電池のブランドを見て頂きたい。
MAXCELLではなくMINCELLがいかにも中国で、この電池の電圧は12Vだ。



このデバイスがデータをゼネレートするもののようで、外付けトランジスタと同調回路でRFの出力も可能らしい。
データシートは探せば中国語のものが出てくる。
周波数帯は320MHzあたりだ。



変調はキャリアの断続なので帯域は広がり放題である。
さらに驚くのはそのスプリアスだ。



中心が2GHzでスパンを2GHzで観測している。
どれが基本波なのか分からないほどのスプリアスだ。
これでも良いのかな、何しろ工場出荷額の日本円換算は千円以下なのだから。