Celeronを使う


巷ではPentium-IIの450MHz版が売られている。
価格は12万円程度,Pentium-90もPentium-100を買ったときも10万円を超えていた。
やはり旬のCPUを手に入れようと思えば、それなりの出費を覚悟しなければならない。
で、その出費が覚悟できない場合はCeleronとなる。
何しろ2万円前後で300MHz版が手にはいるのだ。
しか〜し,Celeron-300ならK6/3D-300の方がパフォーマンスが高いらしい。
何しろ定格動作ならK6はマザーボードクロックが100MHz,Celeronは66MHzの4.5倍動作なのだ。
Socket7ならメガバイトオーダのL2-Cacheが選択できるのも魅力。
L2無しのCeleronとは2割前後のパフォーマンス差が出るだろう。
でもCeleronを買ってきたわけで、だったらクロックアップして使おうと言うのが男の生き方だ(か?)



Celeron-266でもコア電圧2.2〜2.3Vで500MHz近くで動作している例がある。
とりあえずマザーボードにセットして、マザーボードクロックを100MHzに設定,倍率は控えめに3.5倍をセレクトした。
PCに電源を入れると..何事もなく,いや、何かが起こっている。
Windowsが「新しいデバイスが検出された云々..」と言った、ディスクをガリガリやっている。
そのうちWindowsのディスクを入れろと言ってくるが、そのCD-Driveすら認識していない。
たかがマザーを入れ替えただけで面倒なOSである。
こんな場合にはFDから起動して、上書き再インストールが定石。
と、ばかりに上書きインストールを行う。
何度かリブートを..そう、リブートするときにBIOSはCPUクロックを表示するのだが、これが「450MHz」となっている。
あれれ..と思ったが、とりあえずはWindows復旧に力を注ぐ。
Windowsがインストールされ、ビデオカードドライバを入れれば元の環境が蘇った。
落ち着いてCPUクロックを確認すると、やっぱり450MHzで動いているではないか。
CPU倍率設定を色々変えてもこれは変わらない。
Celeron-266MHzが4倍モードオンリーになっているのは聞いたことがあったのだが、Celeron-300は4.5倍モードしか持たないようなのだ。
とにかくWindowsの再インストールも難なくこなした450MHz動作,え?それじゃあ266MHz版と差が無いじゃないかって?まあそうなのだが..

マザーボードはASUSのP2Bを使用した。
このマザーはマザーボードクロックを66.8/75/83.3/100.2 /103/112MHzにセットできる。
ATXケースは奥行きが長いのだが、マザーボードが占有するのはその半分程度。
前半分はガラガラなのだ。
CeleronはIntelのリテールパッケージ品,これにはヒートシンクと山洋のファンが付いている。
ヒートシンクもファンも小型なのだが、ノーマルでの使用には問題ないのだろう(当たり前)

さらなるクロックアップを目指して、マザーボードクロックを112MHzにセットする。
これで動けば112MHz×4.5=504MHzか,まあ無理だろうな..と思いながらもPCの電源を入れる,と、やっぱり無理だった。
起動時の「ぷっ」さえ言わない。
じゃあ,って訳で、マザーボードクロックを103MHzに落として再挑戦,これはうまく起動した。
が、温度が上がってくると不具合が起きる。
このCeleronは意外と根性無いのかもしれない。
だったら俺様が根性叩き直してやる,とばかりに電圧をアップする。
ノーマルのコア電圧は2.0Vだが、これを10%アップの2.2Vにするわけだ。


2.0V状態で使っていて、電圧を2.2VにしたからBIOSが怒っている。
もちろん一旦2.2Vを覚えさせればOKだ。
電圧アップには半田ごてもジャンパセレクトも必要ない。
Slot1はCPU側の電圧設定端子に応じてマザーボードが電圧を決める仕組みなのだ。
Slot1の電圧設定方法は以下の通りだ。
A121 VID4 B119 VID3 A119 VID2 A120 VID1 B120 VID0 コア電圧
1 1 1 1 1 0.00
0 0 1 0 1 1.80
0 0 1 0 0 1.85
0 0 0 1 1 1.90
0 0 0 1 0 1.95
0 0 0 0 1 2.00
0 0 0 0 0 2.05
1 1 1 1 0 2.1
1 1 1 0 1 2.2
1 1 1 0 0 2.3
1 1 0 1 1 2.4
1 1 0 1 0 2.5
1 1 0 0 1 2.6
1 1 0 0 0 2.7
1 0 1 1 1 2.8
1 0 1 1 0 2.9
1 0 1 0 1 3.0
1 0 1 0 0 3.1
1 0 0 1 1 3.2
1 0 0 1 0 3.3
1 0 0 0 1 3.4
1 0 0 0 0 3.5
0はCPU側でGNDに落とすことを指し、1はプルアップかオープンだ。
これを見て分かるように、2.0Vを2.2Vに変えるときには、VID4/VID3/VID2を"1"にすれば良いことになる。
"1"にするには"オープン"で良い訳なので、CPU側のエッジコネクタにセロテープを貼り付けて絶縁するのだ。
普通のセロテープと良く切れるカッターナイフがあれば,あとは少々手先が器用なら誰にでも電圧アップが出来るって訳だ。
電圧を上げたCeleronだが、103MHzの4.5倍で元気に動いている。




L2-cacheの効果だが、(たぶん)Pentium-II内蔵のPB-SRAMは2-1-1-1或いは3-1-1-1程度ではないかと思う(予想)一般的なSD-RAMはこれが6-1-1-1から12-1-1-1程度(ページヒット/ミスでも違う)とPB-SRAMに比較するとだいぶ遅い。
もちろんL2-Cacheのヒット率は100%ではないわけで、キャッシュミスが起こればSD-RAMを読みに行くことにはなる。
以前雑記に書いたが、キャッシュの効果をテストすると以下のようになった。
Super_PIの測定結果。
CPU Type L2 Enable L2 Disable Ratio CacheSize
K6-200 76 Sec 94 Sec 80% 512KB
Pentium-II 333 30 Sec 43 Sec 70% 512KB
Pentium Pro 233 47 Sec 72 Sec 65% 256KB
Super_PIは比較的キャッシュの効果が出やすいのだが、その効果はキャッシュの速度に依存していることがわかる。
K6はマザーボードクロックでキャッシュが動作し、Pentium-IIはCPUクロックの半分で,Pentium Pr
はCPUクロックでキャッシュが動作する。
どうやら次期CeleronはCPUと同一クロック周波数で駆動されるL2 CacheをCPUパッケージ内(基板上ではない)に搭載するらしい。
容量は少ないだろうから、実際のアプリ上でのパフォーマンスは余り期待できないかも知れないが、少なくともキャッシュに入りきってしまうタイプのベンチマークテスト値は大幅に向上するに違いない。