セルフレジは効率が悪い(5/2)
◆ 人手不足が伝えられ、観光地伊豆においても問題は深刻だ。昨年までと違い外国人旅行者などが増えたため、各地で受け入れ体制が整わない。人がいればもっと客を入れられるのに、その人材が不足しているので手が回らない。

◆ 実際には人材が不足していると言うよりも、時給の高いところに人が流れてしまう訳で、実際人手不足の店などは時給1.2千円〜1.8千円位を掲示している。観光客が押しかけるエリアでは売り上げも伸び、時給を上げる事が可能になっているのだ。

◆ そうしたエリアに人材が採られてしまい、スーパーなどのレジ係が不足する。スーパーは観光客による増収が余り見込めないので、時給を上げる余地が少ない。結果として人員不足が深刻化する訳だが、ではセルフレジの導入でそれが解決出来るのか?
◆ いくつかのスーパーではセルフレジを閉鎖している。単位時間あたりの作業量としては有人レジの方が多く、効率的だという訳だ。セルフレジは完全無人という訳には行かず、慣れない客のサポートを必要とする。また有人レジと違って作業の間違いや迷いなどで時間あたりの処理量が有人レジの1/4位なのだそうだ。これに万引きなどの不正損失分を合わせると、人員不足の時には無人レジを閉鎖した方が良いという結論だとか。

◆ 作業の自動化をいかに行うか、これには色々な考え方がある。しかし総じて言える事は、効率的な作業ほど自動化にむいていると言う事だ。例えば品物を箱詰めするような作業はどんな人が行ってもある程度の速度が出せる。これを機械化すると平均速度が向上してミスが減少する。すなわち機械化に向いた作業と言う事になる。

◆ レジ打ちなどは非効率な作業だ。形状の異なるもののどこに張られているか分からないバーコードを探し、しわになっているものはそれを伸ばして読み取る。バーコードのない品物は一覧からコードを探して打ち込む。こうした、人間が行っても非効率なものは機械にやらせたところで効率が上がりにくい。

◆ ではどうするかというと、作業そのものを改善する事を考える。ユニクロや回転寿司店が行っているRF ID方式は、コストはかかるが効率が上がる。各方向からカメラやレーザでスキャンし、大きさや重さや形状を判別すれば間違いが減るが、機械が大がかりになる。

◆ それでも大量の物品をさばこうとする、発送センタや空港では導入が進むだろう。しかしスーパーには相応しくない。機械化の時代とは言え人間が操作した方が効率的な事があるのだ。そこでバーコードスキャンなどは店員が行い、支払いだけを機械にやらせる方式もある。

◆ ただし支払わずに品物を持ち帰る事が出来てしまうので、セキュリティ対策が必要だ。そこで電子マネーが有効になるのだが、日本では普及率が高くない。電子マネーでもFelicaなどなら決裁に時間がかからないが、バーコード系はスマートフォンの操作に手間取る人がいると時間がかかる。

◆ RF ID系はスマートフォンの背面をリーダに近づけるが、コード決済だと決済端末に画面を"見せる"ため、スマートフォンをひっくり返さなければいけない。ひっくり返してしまうので、どこにバーコードが写っているのかいないのか、どのあたりをリーダに見せれば読んでくれるのかが分かりにくい。スマートフォンの上部方向からカメラで撮る方式のものもあるのだが、屋内照明の位置によっては画面の反射で読み取り精度が低いらしい。