FOMA P901iの中身


以前からFOMAをバラしてみてくれとリクエストは頂いていた。
だが使えるものをバラすのも勿体ないし、最近の移動機は集積化と小型化が進んだから見ても余り面白くないのである。
だが今回は水没移動機が入手できたので、中身拝見となった。
水没は使用者の不注意で起こしたものだが、数分後に電池を外した時点で既に内部は電気分解による腐食が見られ、オマケにRAMのバックアップ用電池も積んでいるわけだから無事でいるはずがない。
もしかしたら洗浄後に再組み立てすれば生き返ったかも知れないが、バラす為には筐体にも相当なストレスを与えることになるので、外観は×になるだろう。
このP901iはFOMA最小(当時)が謳われていた機種であり、小型化を行うための様々な工夫がされている。


バラすとこんな感じになっている。
写真右下の部分が電池スペースだ。
この移動機の中で最もスペースを食っているのが電池である。
電池容量は同時期に発売されたN901i/iSと同じく830mAhだが、NEC製移動機よりも一回り小型の電池が使われている。
全長寸法の違いは電池寸法の違いだと言っても良い。
まずは液晶部から見てみよう。


筐体側にはスピーカが並んでいる。
ステレオ仕様なので2つだ。
これもデカい部品に違いないが、スピーカだから仕方ないだろう。
そこにはまっている液晶部はこんな感じ。




カメラ関係やスピーカドライバなど、ギッシリ詰まっている。
最近の移動機は液晶側が重い感じのものが多いが、スピーカや液晶など重い部品が詰まっているのだから仕方ないか。
液晶部自体はもう少し薄型化が可能に見えるが、全高はカメラモジュールで決まっている感じ。


コイツがアプリケーションプロセッサ部である。
右に見えるのはminiSD外部メモリのソケットだ。
CPUはOMAPである。


CPUの横に電池が見える。
他に大きめのコイルが見られるので、これはスイッチング電源かなにかではないのか。


これが基板の反対側。
6端子のものはSIMソケットである。
その左側はイヤフォンジャックだ。
シールドケースの中には、

メモリらしきものが入っている。
こうしてロジック部までシールドするのは、ロジックノイズによる感度抑圧防止やスプリアス抑制のためだ。


裏側がキーパッドになっている基板上に無線部は実装されている。
大型のICはベースバンドロジックだと思われる。


無線部もシールドされているが、シールド内は主にIF部ではないかと思われる。
右側の金属端子はアンテナ基板に接触させるためのピンだ。
四角い金属部品はアイソレータ、PAモジュール、誘電体フィルタだろう。
パターンの太さと基板厚からすると、かなり誘電率の小さな基板ではないかと思う。
ε4程度の基板だと50Ωラインを引くときにパターン幅が細くなりすぎてロス増大につながってしまう。


これがヒンジ部に付けられているアンテナ基板。
誘電体アンテナかと思ったのだが違った。
アンテナはVSWRが低いことは勿論、ボディーエフェクトの影響や指向性なども考慮して設計されなければならない。


これは無線部基板の裏側、キーパッド面に着けられている部品だ。
もしかしてマルチバンドアンテナスイッチかな?と思ったのだがP901iは2GHz帯専用だ。
もしかしたら発売直前まで2GHz/800MHz用になっていたのかも知れないが、結局ソフトバンクの妨害工作によって800MHz帯の利用は901iSからになってしまった。
写真左上のピンはヒンジ部のバネにつながっている。
見たところこれもアンテナのようで、ヒンジ部の機構部品がアンテナとしても機能しているように見える。
なおこの部品はヒンジ左右に独立して実装されている。
W-CDMAの場合、ロジック部の処理能力は要求されるが無線部の構成はさほど複雑ではない。
従って、1CPU構成にすれば更なる小型化が可能だと思われるのだが、その為にはiアプリや動画再生などCP
パワーを食う機能を省く必要がある。
PROSOLID-IIは薄型化を実現しているが、これは主に液晶側を薄くした(カメラ非搭載、ただしTV電話用カメラは備える)結果だ。
内部を見て解るように、キー側の厚みは電池のそれが支配的であり、外形寸法は液晶側が決めている。
私としては、カメラは普通に撮れれば100万画素もあれば充分だと思う。
200万画素、300万画素あったってレンズが追いついてこない。
AFは必要かなと思う。
パンフォーカスでは100万画素を生かし切れない場合が多いからだ。