点火プラグを考える


SLもプラグ交換の時期がやってきた。
一般的なプラグの寿命は1.5万Km〜2.5万Kmらしい。
プラグメーカによっては2万キロと言うところもあるし、1万キロと言っているところもある。
徐々に性能は低下するわけだから、果たして何万キロ使ったら交換するのか?難しい面もあるが、1万キロ毎に交換しなさい,と言っているメーカのプラグが2万キロ毎の交換を推奨しているメーカのプラグに劣ることはないと思う。
最近の国産車ではプラチナプラグが使われるようになって、その耐久性は10万キロにも達するという。
この為なのか?自動車用品店でもプラグを売っているところは少なくなった。
SLはプラチナプラグではなく、フツーのプラグが付いている。
ノーマルはBOSCHのF8DC4だが、これに相当するのはNGKだとBPR6**らしい。
実は私はBOCHEの8番=NGKの8番だと思っていたが、NGKのカタログなどを調べてみるとそれは間違いだった。
(以下は対応の参考表)
BOSCH NKG AUTOLITE CHAMPION NIPPON-
DENSO
SPLITFIRE A.C.

14mm
.708" reach
5/8" Hex
Tapered

Non-Resistor
H9DC
H8DC
H7DC
H9DCO
HR8DCX
HR10HCO
TR5, SR5
TR5VX
SR5-VX
BPR6EFS
TR4-2
103, 104
5164, 5243
2544, 764
RS9YC, RS12YC
RS15LYC
RS14LYC
BN9Y
DJ7Y
T20EP-U
T22EP-U
T20EPR-U
T16EX-U
T16NR-11
SF10D
SF10D6
SF514D
42LTS
43LTS
44LTS
44NTSE
SLはいわゆるダイレクトイグニッション方式で、点火プラグの上にイグニッションコイルが乗っている。
ハイテンションコードが無いから、それによるノイズの輻射はないわけだがその代わりと言うか?指定は抵抗入りのプラグだ。
(通常はハイテンションコードが抵抗になっている)抵抗は主にノイズ低減に役立つが、イグニッションコイルによってはインピーダンスマッチングの意味もある。
当然抵抗が入ればそこでエネルギの損失が起きる(だからノイズが低減される)のだが、逆に抵抗無しでインピーダンスが低すぎると放電時間が短くなる場合もあり、CDIを使用する場合にはイグニッションコイルの特性と共に注意すべき点ではある。
とは言っても、それほど神経質になることはなくてグリーンプラグ抵抗入り(実売価格4百円)でも抵抗無し(同250円)でもかまわないとは思うのだが..

では何故抵抗入りを買ってきたかというと、抵抗無しプラグは12本の在庫がなかったのだ。
グリーンプラグというのは中心電極の先端がV字型にカットされていて、エッジが立っている状態になっている。
中心電極のV字カットが見えるだろうか?ご存じのように放電は先の尖っている方が、その要求電圧は低い。
VXプラグ(NGKの商品名)のように細い(0.8mm)中心電極を使うのはその為で、細くした中心電極の磨耗を防止するためにプラチナチップが使われるのだ。
だったらプラチナプラグの方が良さそうなものだが、コイツの値段は1本1200円もする。
耐久性に関しても6万Kmも使うと、磨耗しにくいハズの中心電極も角が取れてくる。
だったら安いプラグを2〜3万Km毎に交換しても良いんじゃないかな?と思った次第だ。
トヨタがセンチュリーの12気筒エンジンで採用したイリジウムプラグ,プラチナより放電要求電圧が低いと言われているが、果たして実使用上の効果はあるのだろうか?話によるとトヨタ製V12の安定燃焼が難しく、エンジン振動低減のためにイリジウムプラグを採用したらしいが、高価格車の付加価値,とも考えられる。
トヨタの一部のエンジンでは、通常は中心電極にのみ使われているプラチナチップが接地電極側にも必要になっている。
これは2気筒同時点火がそれを必要とするからだ。
2気筒同時点火では、イグニッションコイルの巻きはじめと巻き終わりの両側にプラグが付けられている。
(通常片側は電源側に接続されている)コイルの巻き始め側と巻き終わり側では放電時の極性が逆になり、普通は中心電極が磨耗しやすい側になるものが気筒によっては逆に接地電極側が磨耗する。
この対策として接地電極側にもプラチナチップを付けているわけだ。
プラグ交換で何が変わるか?だが、通常のエンジンの失火率は数%程と言われている。
プラグが磨耗してくれば失火率は上がる。
失火は高負荷,中/高回転時に起きやすいのだが、アイドリング時などでもこれが多くなる。
アイドリング時には燃料の霧化など混合気の状態が不安定になりやすく、圧縮圧力が低い割には点火しにくい。
一方高負荷の中回転域では実質充填効率が上がり、それに伴う圧縮圧力の上昇が火花を飛びにくくする。
高回転時にはイグニッションコイルの(周波数)特性やチャージ時間によってイグナイタ出力そのものが弱くなる傾向になって、これも火花が飛びにくい原因となるのだ。
アイドリング中に失火が起きればエンジンは振動して体感?出来ることになるから、プラグを変えてこれが治まれば効果有り,って訳だ。
始動性やパワーにも影響はあるが、これは普通は体感できないだろう。
時期が来たから交換する,と言う意味ではオイル交換と似ている。
2万キロ使用後のプラグ,やけ方は丁度良い。


普通のプラグなど安いものだから、古びたそれを再生して使おう等とは考えないかも知れない。
しかし簡単な加工を行うことでノーマルプラグ以上の性能を発揮できるとしたら?興味があるのでは無いだろうか?加工と言うと大げさだがプラグの接地電極から中心電極に貫通するように、0.8mm程度の穴を開けるだけである。
これによって接地電極には丸い穴が開き、中心電極にも丸い穴が掘られることになる。
穴の周辺はエッジとなって放電要求電圧を下げる役割を果たし、接地電極の穴は消炎作用を低減すると思うわけだ。
逆にデメリットとしては(たぶん少しだけ)熱価が変わるだろうと言うこと,穴あけによる効果は1万Km程度で失われるだろうと言うことだ。
穴開けに使用するキリ(ドリルの刃)は細いので、ボール盤などがないと加工が難しいかも知れない。
ハンドドリルなどで安易に行うと、接地電極側の穴が広がったりキリが折れたりする。
4気筒エンジン用なら4本の加工で済むが、まさか12本も加工する気にならないので..私はこれを実行したことがないのだけれど。


実際のプラグ交換はイグニッションコイルを外しながら行う。
とりあえず右バンクの一番手前を外す,と、あれ?形が違う...確か500SLはこれで良かったはずだしNGKの互換リストもこの品番だったハズだが、プラグレンチを掛けるところのサイズが違うではないか!純正品の品番はBOSHのF8DC4となっていて、これは抵抗内蔵品ではない。
これはモデルイヤーで変わったのか?NGKのリストに誤りがあったのか?ネジ径が違うだけならプラグレンチを変えれば(外径が大きくなっても入れば)済む話だが、碍子の長さまで違うとなるとダメである。
せっかく見つけて買ってきた12本のプラグ..久々に悔しい思いを味わった一日だった。