VC

過去の雑記置き場


ヤフオク(12/1)
周波数標準(3)(12/2)
GigaSt(12/3)
周波数(12/4)
GPS(12/5)
オーディオ(12/6)
値上げの方程式(12/7)
OrCAD(12/8)
回路図エディタ(2)(12/9)
回路図エディタ(4)(12/10)
硝子(12/11)
VNA(12/12)
エジソンプラザ(12/13)
ヤフオク(12/14)
FRMS(12/15)
アンケート(12/16)
安定化電源(12/17)
安定化電源(2)(12/18)
外食産業(12/19)
900MHz帯(12/20)
安定化電源(3)(12/21)
安定化電源(4)(12/22)
古い機械(12/23)
ミニカー(12/24)
周波数計(12/25)
周波数計(2)(12/26)
ノイズ(12/27)
エリアマップ(12/28)
SBM(12/29)
安定化電源(5)(12/30)
2014(12/31)


2014(12/31)
◆ あっという間の一年だと感じるのは歳を取った証拠だ。
今年はプリモトルテ開店が私としては大きな出来事だったと言える。最初はヤフーの無料出店制度を利用してショップ構築し、夏過ぎには楽天にも出店した。

◆ 楽天は企業姿勢があの通りなのでヤフーと比較すると、いや、比較できない位あくどい。楽天に比べれば全ての企業は優良に見えるだろう。
出店担当者はヤフーと同じように運営しても4倍、5倍の売り上げが得られるのが楽天ですと言う。
勿論嘘である。
コンサル担当者は売りたければ広告を出せ、売りたければメールアドレスを買え、何もしなければ売れませんよと言う。

◆ 何だよ言う事が違うではないかといった所で「担当が違うので分かりません」で終わりだ。こうした事は決してメールでは連絡してこない。後々に残って証拠を突きつけられると困るからで、特に今年発覚したインチキ二重価格にまつわる楽天関与バレバレ事件をきっかけにメールによる連絡制限は更に厳しくなったと担当は言っている。

◆ 電話だけなら言った言わないの話になるのだが、最近は会話を録音するショップもあるという。そこまでするかと思わないでもないが、そこまでしなければならないほど楽天は信用の出来ない企業なのだ。
こうした防御策に対して楽天は、電話では話せないから来社しろと言う。

◆ その楽天にも店を出したプリモトルテなのだが、ヤフーショップの4倍も5倍も売れるなんて事はない。
確かに客単価自体は楽天の方が高いし転換率も楽天の方が上ではあるが売り上げ自体はそうそう伸びるものでは無い。楽天のコンサル担当の言う事を聞いていれば売り上げが上がるという人も居る。確かに売り上げは上がると思うが、その代わり大きな赤字も計上することになる。

◆ 広告効果もあるのだが、その効果で元は取れないと言って良い。なので楽天出店ショップは様々なインチキを考えて(楽天からのアドバイスに基づいてかも知れない)儲けようとする。特にセール時などは二重価格オンパレードになるので、本当にその価格が安いのかどうかは購入者が判断する必要がある。
セール前に一時的に高い値を付けて売る。こうして高値販売実績を作った後で5割引とかの表示にする。
高値で買うのは買い取り屋に頼んでも良いし、従業員が適当なIDを作っても良い。何でも出来るのだ。

◆ こうした事は規約では禁じているが実際には守られていない。だって楽天だし楽天出店ショップなんだもん。
楽天モールという悪の中にいてマジメに商売をしようとしていれば浮き上がれないのは当然なのかも知れない。
しかし客を騙してものを売るという商売が当たり前の事だと思えるほど染まってはいない。

◆ 楽天にしてもソフトバンクにしてもDeNAにしても、客を騙して巨大化した。孫さんは急成長だ、1兆円だ1兆円だ1兆円だとツバを飛ばしたが、その裏側には多くの顧客の涙もある。トヨタをはじめとする自動車各社にしたって排ガス対策強化に猛反対した訳で、やれクリーンだ環境だと言っていながら環境第一ではなく利益第一、安全第一でもなく利益第一なのだ。

◆ じゃあプリモトルテもその方針でと行きたい所なのだが、私にしてもショップ担当者にしても明るい詐欺の孫さんやムッツリ商法の三木谷さんのような素晴らしい人物には到底及ばない。
という感じの1年だったが、おつきあい頂き有り難うございました。来年も変わらずF&Fをよろしくお願い致します。


安定化電源(5)(12/30)
◆ 今でこそ定電圧電源の中古が安いからそれを買った方がお得だが、以前は自作も多かった。簡単にはツェナーダイオードとトランジスタ2つで構成できるが、ゲインが足りないと安定度が悪くなる。トランジスタをダーリントンにするなどで電流容量は増やせるが、制御ゲインを上げようとすると少し回路が複雑化する。

◆ 現在では可変電圧の安定化電源用デバイスがあるので自作と言っても部品を並べる位でしかない。
ただし単電源動作のデバイスでは出力電圧を0Vから可変する事が出来ない。(それに近いものはある) 定電圧電源は基本的には内部の基準電圧と出力電圧を比較して、その差分をフィードバックする方法だ。

◆ 基準電圧が1.2V(この辺りの基準電圧ダイオードは温度傾斜が少ない)だとすると、電圧の最小値は1.2Vになる。制御回路が±電源で動作していればオフセットをかけるなりバイアスを加えるなりで0Vから可変出来るようになる。
定電圧電源用デバイスも出始めの頃は外付け部品が多くて使いにくかった。内部の回路はオペアンプとパワートランジスタのドライブ回路、基準電圧ダイオードが入っている感じだった。
μA723は相当古いICだと思うが、リファレンス電圧側をいじる事で0V近くまで電圧を下げる例があるが負荷安定度が悪化する。

◆ 実験用の安定化電源、たぶんメトロニクスのものではなかったかと思うのだが、古いその電源は殆どが単体トランジスタで構成されていた。基板の大きさは延べ面積A5サイズにもなろうかという感じで、そこに数十個のトランジスタやディスクリート部品が並べられていた。

◆ 何故オペアンプを使わなかったかだが、最大出力電圧がオペアンプの電源電圧を超えることからオペアンプに電圧ブースタを付けるのではなく、そっくりトランジスタで高耐圧の回路を組んでしまったという感じか。今なら高耐圧のオペアンプを使うとかFETなどの電圧制御デバイスを使うとかで回路は簡略化できそうだ。

◆ 電源とアンプは似たようなもので、ソースとシンク両方の機能を持った電源はオーディオパワーアンプみたいな回路になっている。任意波形発生機能などもあるので殆どアンプで、しかもDC結合のアンプだ。DCアンプで問題なのは出力に出てくるDCオフセット電圧なのだが、現在のデバイス技術を持ってすればオフセット電圧など無視できる位に小さくしかも経年変化や温度変化すら気にしないで済む。

◆ シリーズパス電源は電圧調整をトランジスタやFETで行う。つまりこのトランジスタは電圧差×電流分の電力を消費することになり発熱する。そこで出力電圧に応じてトランスの電圧タップを変えるとか、そのトランスの入力電圧自体を位相制御で変化させる電源もある。

◆ 例えば0V〜100Vまでの電源を5Vで使ったとする。トランスの出力電圧を切り替えないとするならば最低でも100V以上の出力電圧が必要だ。この状態で5Vを出す場合はトランジスタが95V以上をドロップさせる。1Aを出力すると負荷には5W、トランジスタは95W以上を消費して発熱するというわけだ。なので5V出力の時にはトランスの出力電圧を10Vにするとかの切り替えを行う事で発熱を減らすことが出来る。
この手の制御はKENWOODが得意な感じがして、電圧調整つまみをぐるっと回すと内部でメカニカルリレーの音がしたりするのだ。何で半導体スイッチではないのだろう??


SBM(12/29)
◆ 今年はSBMに関することを余り書かなかった気がする。良くも悪くも話題性に乏しくなってしまったからであり、安定してきたと言えばそうかも知れない。
移動体通信事業がどうなっているのか、どうなっているのかとか商売としてどうなのかはよく分からない。決済内容にしてもいじれる所は全部いじるソフトバンクなのだ。

◆ 収益の見込める投資先はモバイル事業に混ぜているし、もしかしたらピークの過ぎたガンホーが収益を出さなくなるとモバイル事業から外されるのかも。更に赤字にでもなったらヤフーに押しつけるかも。

◆ アリババの含み益は全部スプリントで吹っ飛ぶというその重荷は改善が見えてこないばかりか誤請求に関する罰金まで取られてしまった。孫さんはエリア改善は完了したとか加入者を増やすフェーズに入ったと言っていたが結局は口先だけだった。
なぜならその後人員整理に踏み切ったからである。
確かに投資家相手にはホラを吹くことは大切なのだと思うし、そう言っておけば投資家はおとなしくなる。

◆ だからADSL事業の時もV字回復だとかなんだとかと盛んに叫び続けた。ADSL末期には設備投資も不要になったので単年では収益改善になったとは思うのだが、事業全体としてみると赤字から抜け出せなかったはずだ。果たしてモバイル事業はどうなっているのか、ソフトバンクモバイルはソフトバンクの子会社の子会社だったかな。かなり縁も薄い位置にいるので謎が多い。

◆ 春先だったか、Androidスマートフォンをもっとも売っているのはSBMだと演説していた。話の中身としては販売台数変化率を言っているわけで、従来は月に10台しか売らなかったものが100台になった、10倍だぞ参ったかと言ったのだ。ドコモが月間50万台が40万台に減ったとすれば、今度は台数ベースで10万台も減ったぞあそこはとやる。

◆ シャープの廉価版とかXperiaを扱い始めたりと変化はあったがタダ以外のものは売れていない。従来はiPhoneがタダでそれがSBM扱いだったから加入者を稼げたのだが、今やドコモでもauでもiPhoneはタダなのでSBMに行く必要はない。むしろMNPで移動した方がお得なのだから移動する。

◆ 純増トップだ、ナンバーワンだと散々叫んでいた孫さんだが、トップを取れなくなると純増数なんか関係ないなんて言い出すのだから素晴らしい。普通の人だと簡単には自分の言ったことをひっくり返せないのだが、この辺りが孫さんの凄い所だ。まるで違った話をさも昔から言っているかのごとく吹きまくる。なので信頼感は失うのだが投資家は孫さんスタイルが好きらしい。

◆ こうした分かりやすい騙しは、余りにくだらないので笑えると言えば笑える。ソフトバンクは明るい詐欺で楽天は陰湿な霊感商法に例えるのはこんな所からだ。野球チームを持っている所はろくでもない企業と思わざるを得ないが、楽天とDeNAは陰湿な感じでありソフトバンクはそれらよりもオープンだ。

◆ 楽天とDeNAは迷惑電話でも迷惑メールでもかまわず送ってくる。しかしソフトバンクは余りその傾向はない。つまり明らかに違法で言い逃れの出来ないようなバカを、ソフトバンクはやらない。しかし楽天やDeNAは平気でやる。文句を言うと「担当者が勝手にやった」「捕まらなければ違法ではない」と言い訳する。まあSBMも代理店が勝手にやった事だと言い訳するから一緒か。


エリアマップ(12/28)
◆ 日本地図がべったり塗られた風に見えるSBMのエリアマップ、しかし塗られていない部分もある。どうせ塗るのならば全部塗ってしまえばいいのに何故なのかと以前に書いたことがある。
その真相はこちらに書かれているように、検証可能な所は圏外のまま残してある感じがする。
検証の出来ないあるいは困難な場所は躊躇無く塗ってしまう。

◆ 人の居そうな場所が圏外なのに人が通らないような山間部が圏内だというのも、いかにも不自然である。そこまでエリア化(それが本当だとすれば)するなら、人里もカバーしろよという感じ。というか人の居そうな場所だけ圏外にするのに苦労するんじゃないですかねSBMさん、という感じ。

◆ 解約率の下がらないSBMの解約理由の上位にエリア不満があるというのはSBM自身の調査によるものだと消息筋氏は語った。それでも都内などはかなり使えるようになったというのだから頑張りは感じられる。但し地方部に関しては孫さん自身も言っているように無駄だからやらない方針が貫かれている。

◆ 設備投資の縮小はこうしたルーラルエリアや山岳部のエリア化を遠退かせてしまう。山中に基地局を建てるのはそれはそれは大変なことで、物資運搬や電力線の引き込みなど費用がかかる割に接続者数は多くはない。つまりこの辺りが孫さんの言う所の無駄な基地局になる。
PHSの基地局にしても、基地局が多すぎるから収益率が悪いと言って間引きを開始した。一部はSBM用に転用した。

◆ 多くの地域で一斉に開始するプラチナLTEのお約束は最初は今年の春だった。だがそれは夏に延期されたものの整備されているんだかいないんだか分からないような場所で密かに電波が出ている程度だ。2018年になれば多くの無線局の免許は切れるのだが、ワイヤレスマイクや小電力通信機などは残る。そもそも設備投資の徹底縮小真っ最中なのでバンドが空いた所で整備されるわけでもないだろう。

◆ プラチナLTEのアナウンスはiPhone5sの客を他社に逃がさないためのセールストークだったと言える。もうすぐ始まりますよ、始まったら凄いですよ、他社に追いつきますよとして流出を防ごうとした。だが実際にはプラチナLTEが開始されるでもなく、結果として解約率の上昇を避けることが出来なかった。

◆ VoLTE時代に見放されたプランのアナウンスが残っているとは思わなかった。そのVoLTEは秋から開始されるとか冬にはスタートだと言われているが、ギリギリ年内開始出来た。今更VoLTEでは宣伝になりそうもないのだが、これで一応3事業者共にVoLTEとなり、相互接続の話が出てきても良いのではないだろうか。
オールIPで接続すればNTT代も払わなくて済むのだからメリットは大きい。

◆ 設備投資と在庫の大嫌いな孫さんなのだがスプリントの立て直しにはエリア改善が必要だ。日本と同じように口先改善してみたが米国人は反応しないばかりか、解約に拍車がかかったような感じになった。現状では回線卸売りなどで何とか維持している感じではあるがプリペイドポストペイド共に厳しい状態では先が見えない。

◆ 孫さんは先見の明がある方だとは思うのだが、それは失敗例を表に出さないだけでもある。実際失敗したことは成功例より多く、これは普通の投資会社と変わらない。ただしたまにではあるが大きな成功を手に入れ、それをあたかも当たり前のように宣伝するので目立つのだ。


ノイズ(12/27)
◆ 車に無線機を搭載するとイグニションノイズが入ってくる。今はダイレクトイグニション全盛でもあるし不要輻射の低減も行わなければいけない時代なのでノイズの発生量そのものも低くはなっているとは思うが、それでもノイズは入ってくる。
イグニションノイズは振幅成分に相当するので振幅方向に情報を持たないFM受信機であれば影響は受けない。

◆ 筈なのだが実際にはノイズが入ってくる。通信型受信機の場合は狭帯域のフィルタが実装されていることもあり、振幅成分が狭帯域フィルタを通すことによって位相方向の変化を起こすからだ。FMではそもそも弱肉強食なので信号が強ければノイズは抑制されるのだが、聞こえるかどうかのギリギリの所まで使うアマチュア無線の場合は少しのノイズも気になったりする。
狭帯域フィルタを使わなければ混信が排除できず、狭帯域フィルタを使うとノイズが目立ってくる。フィルタの位相特性も関係するのだが選択の余地はない。

◆ ノイズ抑制の方法としてノイズブランかがある。ノイズだけを拾って増幅して、その信号でノイズをブランキング(ノイズのある部分をカットしてしまう)する仕組みだ。
ノイズの方が信号より先に無ければいけないので、IF信号の方に狭帯域フィルタを入れたりして遅延時間を稼ぐ。
ノイズアンプの方は、そもそも広域にわたるノイズなので狭帯域フィルタは入れない。

◆ こうして増幅したノイズの信号でIF信号をスイッチする。スイッチするのでノイズブランキング中は信号強度がゼロになる。まあゼロではなく、それまでの平均信号値になるようにコントロールする手もあるのだが、いずれにしてもIF信号に変化が起きる。
変化が起きるとそれが音となり復調されるのだが、スイッチの後に再度狭帯域フィルタを通せば急峻な信号の変化成分が取り除かれるのでIF信号の変化による音の変化を感じにくくなる。

◆ 今ならディジタル処理だろうからもっと簡単で確実なノイズブランかが出来る。IF信号を遅延させるにしたって必要な時間遅らせることなど訳ないことだし、ノイズのブランキングにしてもノイズ成分そのもののレプリカを作って位相を反転させ、元の信号と加算すれば必要な信号成分に与える影響を最小にしながらノイズ成分をキャンセルすることが出来る。

◆ この手の処理はワンセグ用ドングルとSDRにおいても実装されているので今更珍しいものでは無い。ただしUSBドングルの場合は受信機そのもののダイナミックレンジが狭いので、それを超えるノイズが入ってくると処理できなくなる。

◆ 久しぶりにワンセグドングルを動かしてみた。気温が下がってきたので周波数のズレを再補正しないと電源投入直後はずいぶんすれている。しばらく使っていると内部が温まって周波数が戻ってくる。SDRのソフトにはNB RFとNB IFのボタンがある。ノイズブランカの効き具合も調整できる。制御の詳細は不明なのだがRFのNBってどうやって処理するのだろう。ノイズを見つけた時にはRF部の制御は既に手遅れだ。

◆ SDRを動かす環境ではインパルス性ノイズがないのでノイズブランカの効きがテストできない。低周波発振器とトランスと放電ギャップでも用意すれば定周期のノイズ位は作れる。この辺りは機会を見て試してみたいとは思っているが、制御の方法そのものが分からないと結果がこうだったよと言う話でしか無くなってしまう。


周波数計(2)(12/26)
◆ ヘテロダイン周波数計ではないが、私は自作した発振器の周波数を測るのに広帯域受信機を使っていた。広帯域受信機と言っても現在のそれとは訳が違い、長波帯から短波帯までを連続受信できる真空管式のラジオである。それにしても新品が買えるほどの小遣いはなく、何ヶ月も小遣いを貯めてやっと買ったのが9R59Dの中古だったのだ。
それでも当時中学生だった私にとっては十分すぎる位高額なものだった。

◆ 発振器を作ってその出力を9R59Dで観測する。絶対周波数よりもドリフトの方が気になったが、これは発振器のドリフトなのか9R59Dのドリフトなのかは分からなかった。JJYで9R59Dのドリフトは分かっても、JJYとは周波数の異なる発振器をテストしているのでその周波数における変移は不明というわけだ。

◆ 話は前後するがディジタルICが出始めた頃に、カウンタを作るとかそんな壮大なものではなく、単にディジタルICをいじってみたいという希望でデバイスを買いに行った事がある。と言っても秋葉原などで売られているようなものではなく、今でも覚えているが高千穂交易の特機部電子課という所に出向いた。
高千穂交易の人も、まさか小学生が部品を買いに来るなどとは思っていなかったのだろう。せっかく来たのだからと様々なデバイスのデータシートなどを貰えて凄く嬉しかったのを覚えている。
だがそのディジタルICを活かす知識もないまま時が流れることになり、9R59Dで周波数を測る日が続いたと言う事なのだ。

◆ より正確な周波数を求めるにはマーカ発振器などを使う事が出来た。9R59Dに搭載できたかどうかは覚えていないのだが、10KHzとか100KHzごとに電波の出るコムゼネレータみたいなものだ。但しこれを買うにも中学生には厳しい出費が必要なのは言うまでもなく、当然私には高嶺の花だった。
発振器の安定度のその前に、発振器を発振させるにも苦労した。アンプを作れば簡単に発振するのに、発振器はなかなか安定に発振してくれない。

◆ 今であれば回路が悪いのではなく作り方が悪いのだと分かるが、当時は様々な発振回路や発振方式を手当たり次第やっていた。意外に良く発振してくれたのがフランクリン発振回路で、と言ったって今時のようにオペアンプやロジックデバイスを使ったものでは無くトランジスタで組んだものだ。しかしコイツは電源電圧依存性や温度特性などが余り宜しくなく、使用を諦めた経験がある。
これにしたって回路や方式が悪いのではなく作り方が悪かったんだけど。

◆ 発振回路作りに苦労し、ミキサ回路に苦労し、増幅回路に苦労して何かを仕上げるには本当に大変だった。何しろ殆どテスター一丁でと言う世界だったので何かが悪くてもどこが悪いのかが分からなかった。
そんな中でICの登場は有り難いものだった。今でも覚えているのはLM1496H/LM1596Hである。このICはダブルバランスドミキサで100MHz位まで使えた。
平衡変調回路にもミキサにも使えたのだが電源電圧が12Vでは厳しかったかな。

◆ 平衡変調(復調)回路はカラーTV用のICでも使われていて、コイツは出力が大きく取れたので後の段のアンプが楽だった。だがこれも同じく高い電圧でないと動かなかったような気がする。
LM1496で検索したらこちらのページがヒットした。
2012年時点で80歳とあるOMさんだがDDSなども自作されるなど意欲的だ。


周波数計(12/25)
◆ 周波数カウンタがなかった頃は周波数をどうやって測っていたのだろう。と言うことで調べてみたら吸収型周波数計とヘテロダイン周波数計が見つかった。吸収型周波数計はL/C共振回路と検波回路にメータが付いただけという簡単なものだ。L/Cの同調周波数は予め校正されていて、未知の周波数の発振器にそれを接続してバリコンをぐるっと回すとどこかで共振が起きる。
その時のバリコンの容量値から共振周波数を求める。
吸収型周波数計の校正はどうするのかな。コイルとコンデンサの容量から計算値で周波数を求めるのだろうか。

◆ ヘテロダイン周波数計は被測定周波数とヘテロダイン周波数計内部の発振器出力をミキシングしてその周波数を比較する事で周波数測定を行う。言うなればSGと検波器が一緒になったものみたいな感じだ。SGは水晶発振器などで校正されている。発振部自体はL/C共振回路なのでその精度は吸収型周波数計と変わらない。

◆ ただし校正ポイントを増やす事が出来るので吸収型周波数計よりも精度を上げやすい。もう一つはゼロビートをとる方式の方が検波出力を観測するよりも周波数マッチングの精度が高いので高精度測定が理屈の上では可能だ。精度そのものは比較周波数の発振精度による。

◆ 今でこそPLL全盛なのでSGの周波数はmHzオーダ以下で正確だが、L/C共振回路の発振器なのだから経時変化にしても温度変化にしても限界がある。
今は普通にppmオーダの精度が得られるがL/C共振回路だとパーセントの世界なのかも知れない。

◆ ヘテロダイン周波数計は米軍放出品などが入手できたそうで、製造は1950年代だそうだ。校正用の水晶振動子が1ppm/℃位の変化があり、それで校正した発振器によって±数百ppmオーダで周波数測定が可能だったとある。

◆ 国産だと三田無線から発売されていたとのことだ。
2級や1級アマチュア無線技士による開局申請時には周波数を計測する必要があり、その為の測定器という位置づけだ。
発振器の発振周波数は1.7MHz〜1.9MHzで、基準となる水晶振動子の周波数が100KHzなので1.7/1.8/1.9MHzの3箇所で校正できる。
基準発振器の100KHzは分周回路によって10KHzにも設定できたらしい。分周回路というか、100KHzに同期して発振する10KHzの発振器かな。

◆ 校正された発振器の出力と被測定周波数のビートを取るわけだが、例えば28MHz帯を測ろうとすると1.87MHzの15倍高調波を使う事になる。10KHzごとに校正されていても15倍高調波なのだから150KHzごとにしか校正点は存在しなくなる。周波数精度は0.01%、つまり100ppmだ。

◆ 内部の水晶振動子はJJYなどを使って校正する。JJYは現在は40KHzと60KHzだが従来は短波帯のキリの良い周波数で電波が出ていた。この電波とゼロビートを取ることで数ppmオーダでの校正が可能になる。
JJY自体の周波数精度はきわめて良好なのだが、伝搬上の誤差などが含まれてくるので高精度に校正するためには工夫と時間を必要とした。

◆ 真空管で周波数カウンタを組むのは相当大変だと思うのだがトランジスタであれば現実的になる。桁数を増やすためには沢山の分周器が必要になるが、3桁位であれば数百本のトランジスタで構成できるだろう。
HPは1951年におそらくは真空管式と思われる巨大な周波数カウンタを製品化している。
タケダ理研(現アドバンテスト)は1961年にトランジスタ式の周波数カウンタ開発に着手し、翌年には最高計測可能周波数105MHzの製品を発表した。


ミニカー(12/24)
◆ オモチャのミニカーではなく50ccのミニカーの話である。ミニカーと言えば自動車型をしているそれを思い浮かべるのだが、知人が購入したものは3輪の原付を改造したものだ。宅配用などに使われている3輪原付は、そのままではトレッド幅が足りないのでミニカーとは見なされないそうで、逆にその辺りを改造するとミニカー扱いになる。

◆ 何故ミニカー扱いが良いかというと30km/hの速度制限や二段階右折から解放されるしヘルメットなしでも乗ることが出来る。
改造はトレッドを増やせばいいのでスペーサを挟むのが一般的だそうだ。タイヤはフェンダーからはみ出すがタイヤ丸出しでも違法ではないので気にしない。スペーサの厚みは4cm〜8cmとかなりの厚さになる。

◆ スペーサ自体は市販されているのだが、ホイールの中心が外側になるのでベアリングには負荷がかかりそうだ。トレッド拡大に合わせて自動車用の太いタイヤを付けるのも一般的だそうで、スペーサやホイールやオーバフェンダーまでパーツがある。
タイヤは205とか215サイズで扁平率が20%とか30%の10インチクラスだ。へー、こんなタイヤがあるんだ。

◆ 知人が買ったという改造中古車も太めのタイヤが付いていると話していた。タイヤが太いと接地抵抗も大きいので普通の原付に比較するとかなりダルいのだそうだが、エンジンは50ccではない気がすると言っていた。ジャイロ系は2007年頃まで2ストロークエンジン搭載車があり、改造パーツなどもあるそうだ。2ストロークエンジンは構造が簡単なので改造も簡単だ。

◆ 排ガス問題はあるし燃費に関しても褒められたものではないが、小排気量エンジン車には相応しいと思う。
4ストロークエンジン並みの排ガスというわけにはいかないが、規制を別に設けるなども出来た筈だ。
排気量が大きくなれば当然排ガス量も多くなるのと、排気量が大きければ2ストロークエンジンでなくてもさほど不便はないので50ccに限っての特例という形でも良かった。

◆ 高公害ディーゼルエンジンの規制は出来なくても2ストロークエンジンバイクの規制はさっさとやると言うのがいかにも日本的ではないか。
トヨタは過去にバルブ付きの2ストロークエンジンを試作した事があるのだが、バルブを付けてまで2ストロークで動かす意味は薄い。しかもバルブを速く動かさなければならないので高回転が辛くなる。

◆ 彼が入手したジャイロのエンジンが何ccなのかは不明なのだが、少なくともメータを振り切る事はたやすいと豪語する。最高速は出るが出だしなどがだるいと言う事で、この辺りは何とかしたいと言っている。
トレッドが広いので普通の二輪のつもりで乗るとリアタイヤが引っかかる。常に後部の幅を意識して走らないといけない。

◆ 軽快さを取るなら2輪の原付と言う事になるのだが3輪は荷物も詰めるし慣れれば意外と面白いよとも言っていた。確かに元々は配達用の車両なのだろうからものは沢山詰めるだろうし、そこそこ丈夫にも出来ていると思う。雪国などではスパイクタイヤを装着して配達などに使われているそうだ。軽トラックより小型の乗り物と言う事で活躍の場面もあるのだろう。

◆ この寒い時期に何故ジャイロ?もしや雪道でも走りたいのかと聞いてみたのだが、単に安い出物が見つかったから買っただけだとの事だ。春先になったらどこかに出かけたいと、それまでにいじれる部分はいじって整備しておくとのことだ。


古い機械(12/23)
◆ ブラウン管式のオシロと言うだけでだいぶ古いなと思うこの頃なのだが、更にその管面が丸かったり縦型だったりすると懐かしいなという感じになる。この手のモデルだとブラウン管のドライバなどが真空管のものもある。小信号部分はトランジスタで組まれているが高圧系は真空管だ。

◆ ディジタルオシロは使いにくいとか、未だコイツで十分だとそうした測定器を使ってテレビやラジオの修理をしている電気屋さんもある。最近ではパーツや基板を交換することが修理になっているのだが、回路を追って不良なパーツを交換して直す電気屋さんも健在なのだ。こうした電気屋さんが直すのはメーカが修理期間終了として見放した家電製品や、同じくサポートが終了されてしまった電子玩具などがある。

◆ 修理にしてもオリジナルの部品が入手できないことも多く、代替部品を使ったりして直していく。基板交換が修理だと教えられたエンジニアならぬチェンジニアには訳の分からない修理になる訳で、そうした修理に慣れているというか経験のある年配の方が力を発揮する場面だ。

◆ そんな方の大切なオシロが壊れた。普通であればそれを機会に新しいものを買うとなるのだが、その方はオシロの修理を始めた。と言ってもオシロはその一台のみなのでテスター一丁で直すことになる。古い機械で壊れると言えば電解コンデンサなのだが、どうやらコンデンサではなくトランジスタが壊れてしまったらしい。

◆ トランジスタも当然古いものなので同一型番が入手できるわけもなく、似たような特性のものに交換してもバイアスが狂ってしまって上手く動作しなかったとか。そこで回路周辺の抵抗値などまで変更して直したというのだから凄い。
こうした直せる機械も減っているし直せる人も減っている。

◆ 電気ものは小型高密度化が進むのだが機械ものは機械として必要な大きさがあるので、パーツがなければそれを作って直すという人が居る。
旋盤やミーリングで削り出すのか、今なら3Dプリンタで作る方法もある。強度の必要な部分は厳しいのかも知れないが、紫外線でもろくなって壊れてしまった樹脂パーツなどは3Dプリンタが活躍するだろう。

◆ オイルラインや冷却水の配管にしても、成型のホースが入手できなくても3Dプリンタでエルボを作れば何とかなる。ホースの径が合わなければジョイントを異形にすればいい。削りで作る部品は削りカスが沢山出るがプリンタで作るとゴミは殆どでない。削りでは不可能な形状や内部構造も実現可能なので強度や使用条件が許せば鋳物でしか作れないような部品を作り出すことも出来る。

◆ オシロの話に戻すがブラウン管が壊れたらどうしようもない気がする。規格ものとは言っても現時点で入手できる可能性は低い。他の動作品から共食いするのならばその動いている方を使えばいい。
液晶パネルタイプでもそれが入手できるのならば修理は可能だが、この手の部品は解像度もインタフェースもどんどん新しくなる。

◆ 測定器類は意外と部品寿命が長い(長期保有される傾向にある)が、それが無くなってしまうと絶望的だ。計測器メーカにしても修理に出すと(下取りするから)現行品にリプレイスしろと言われる。実際修理代を考えると現行品を買った方がお得なのだ。


安定化電源(4)(12/22)
◆ トラッキング電源がある。これはマルチ電圧電源のその電圧設定がツマミ一つで連動して可変出来るような仕組みを持ったものだ。現在では多電源を使う機器自体が少なくなってはいるが、オペアンプの±15Vとアナログ系の12V,ロジックの5Vなどを全体的に5%電圧を下げるとか、そんな感じの使い方だ。単純なものだと+側と-側を同時に調整するもので、±12Vにしたり±13Vにしたりが一つのツマミ操作で出来る。

◆ 数チャネル以上のマルチ出力電源は多くの場合は製造や検査ライン向けみたいな位置づけだ。実験用としては2出力とか3出力電源がある。
マルチ出力電源でもそれぞれの出力電圧と電流が表示されるものは良いのだが、表示が切り替え式になっているものは使い勝手が良くない。

◆ 例えば5V系の電源に関してのテストをしているのに、電流計表示が15V系のものになっていたとする。これに気づかずに回路をいじる→おかしいな、電流が流れないな→更に電流を増やす方向にいじる→電流計の指示はいっこうに増えない→やがてエポキシの焼けるような臭いが…→あっ!電流計のボタンが15V の所になっている!みたいな。
そんな馬鹿が居るのか?注意力散漫なだけだろうと言われるかも知れないが、私がそのバカなのだ。

◆ 電源の話などを書いていると(他の機器などの話の時も同じなのだが)どんな電源を選べばいいのかと聞かれる事がある。最高電圧は15V以上が良くて電流は2Aもあれば足りるんですけど、と言う感じで。予算が許すならば好きなものを買えばいいわけだが3千円前後で手に入れたいとすると微妙になる。

◆ 実験用電源としては中華製の新品かKENWOOD,キクスイや高砂の中古か、性能は中華実験用電源以下になるがアルインコの無線機用電源かだ。実験などに使うのであれば0Vから可変出来るものが望ましいのでアルインコは除外しておこう。性能的にも実験用途に耐えうるものでは無い。KENWOODは新品時価格が安いのでリーズナブルな価格で中古が見つかるが、仕様は同じでも実測値はキクスイの方が上だ。そのキクスイはKENWOODよりも高いのだがこれも中古が多い。高砂は少し電流容量の大きなものだとか電圧が高いものに強い。
メトロニクスの古いものはバッテリを充電していて安定化電源の電源スイッチを切ると、バッテリ側から電流が流れ込んで壊れてしまうものもある。

◆ アジレントも電源は作っているが60W級でも以外と大きいので邪魔な感じがする。ウチにあるのはE3615Aなのだがキクスイの同容量の電源の2倍は体積がある。これは低雑音電源の位置づけだが実測値は国産電源の方が良好だ。もしかしたら電解コンデンサが傷んでいるのかも。
また国産電源は右のターミナルがプラスなのに対してアジレントの電源は左がプラスなので間違いやすい。
アジレントの得意なのは生産ラインなどで使うプログラマブルのモジュール電源で、これはスイッチング方式である。 

◆ アナログ系をいじる方だと±出力が欲しいかも知れないのでそんなモデルを選んでおくと良い。
私が自分で使っている場面ではマルチ出力電源の出番は滅多にない。複数電圧を複数電源で供給することはあるのだが、最近の機器の多くは単電源動作する事もあって複数電圧や高電圧が必要になる場面が少ないのだ。

◆ と言うことでKENWOODかキクスイの18V/2Aタイプを選べば「最高電圧は15V以上が良くて電流は2Aもあれば足りるんです」を満たす。キクスイのPMCはサフィックスにAが付かないタイプはディジタル表示が電圧か電流の切り替えなので使いにくい。これは現行モデルだが中古価格もこなれている。


安定化電源(3)(12/21)
◆ 安定化電源の話の続きである。通常のトランス型の実験用安定化電源ではリップル1mV以下、負荷安定度5mV以下というのがスタンダードな感じがする。大容量の電源などだと負荷変動にしても○%+○mVの%の方が効いてくるので変動値としての数字は大きくなってしまう。
先日も少し書いたがスイッチング電源も増えてきている。アジレントなどのプログラム可能型モジュール電源もスイッチングであり、任意波形発生機能などもある。
この電源はリップルが5mVなのでシリーズパスの電源に比較すると1桁悪い。

◆ GPIB制御可能な電源の多くはGPIBのコマンドによって様々な波形発生などが出来るものが多い。
単に電源のON-OFF程度であればGPIBに頼る必要もないというわけで、様々な機能やファンクションを組み込むわけだ。これらは生産ラインなどでの自動測定や自動検査用として必須機能であり、逆に開発で使うものなどはGPIB制御する事は少なく波形発生などが必要な用途ではスタンドアロンでそれら機能を持った電源を使う。

◆ KENWOODにしてもキクスイにしても大電流型はスイッチングタイプになっている。但し低雑音用途ではスイッチングタイプの後にシリーズパスレギュレータを入れたものだとか、位相制御電源の後にシリーズパスレギュレータを入れたものなどがある。スイッチングタイプはどうしてもスイッチングノイズが出てくる。最近ではスイッチング周波数が高くなったのでさほど気にはならないが、制御周期の関係で追従率が悪いと言われることもある。

◆ 負荷変動に対する安定性はスイッチング電源だから云々でもないのだが、中華電源などだと100%負荷で50mV位の変動はある。価格は、市販価格が安いと言われるKENWOODの電源の更に半額位だ。質量も軽いので移動も楽だが特性は良くない。
実験用の電源と言うよりも無線機の電源風な仕様ではあるのだが0Vからの出力電圧に対応していたり定電流機能があったりするのは便利だ。

◆ アルインコは実験用の電源は扱っていないが無線機用の電源は売っている。規格には電圧と電流が書かれている程度でリップルなどは規定されていない。
電源はスイッチングタイプとトランス型があり、30A級だとどちらの価格もたいして変わらない。
ちなみに実売価格は定価の半値位になっていて1.6万円位で買えると思う。

◆ 30Aの電源が1.6万円なのだから破格とも言える。
実験用の電源で500W級となればかなりのお値段と相当の重さを覚悟しなければならない。
その質量はスイッチング式が3kg弱でトランス式が10kg弱だ。30Aで10kg弱というのはかなり軽くて、実験用の電源だとKENWOODの18V/5Aの電源が9kg弱、キクスイの30A級だと30kg位ある。

◆ アルインコの電源も使ったことはあるのだが実験用の電源とは全く違う。安定度にしても何にしても、勿論価格だって全く違うのだから同じ電源とは言っても比較できるようなものでは無い。
中華かのか実験用電源も結構安いもの(ACH305)がある。
0〜30V/5Aで電圧と電流のディジタルメータが付いて1万円なり。KENWOODの電源の1/10の価格だ。リップルは1mV以下、負荷変動安定性は4.8mV以下で重さ4kgはトランス式かな。
AD-8723Dも1万円級の電源だ。0〜30V/1.5Aと電流は欲張れないが手頃なサイズだ。リップルは5mV以下、負荷安定度は18mVと余りよ良くはない。


900MHz帯(12/20)
◆ 900MHz帯のLTE化はさっぱり進んでいないようだ。一つは周波数移行が思うように進んでいない点、もう一つは設備投資の縮小で整備が進まないことだ。しかしこの双方は関連があり、周波数移行のために金を使わない→周波数移行が進まないことになっている。

◆ 結局の所900MHz帯の整備は思った以上に金がかかることが分かってきて、当初は高地上高の鉄塔によりエリア整備をすると豪語していたものの、余りにコストがかかると言うことでパンザーマストなど簡易局主体になったのは知られる所だ。
SBMな人は3G/LTE共用局だからファームの入れ替えだけでプラチナLTEは一気に広がると言っていた。

◆ しかし考えが甘い。3GかLTEへの切り替えは出来るが同時送信が出来ないことに彼は気づいていなかったのである。事実900MHz帯のエリアに関してはLTE対応のためにハードウエアの追加をしている。
思い込みで、いや、希望を書きたい気持ちは分かるが少しは頭を使ったらいいのになと思う。

◆ 何かを検索している時に2012年頃のSBMな人の書き込みが出てきた。当時ドコモとauはLTE化を推進していてSBMはLTEは金がかかるからと3Gに投資していた。これに対して彼は、ドコモやauが金をかけてLTEに投資しているが数年以上は役に立たない。それよりも3Gでの高速化を選んだSBMがあらゆる点で勝っている(当時のLTEが37.5MbpsでDCが42Mbps位出ていた事をいっているのだと思う)と自慢している。

◆ それから2年しか経っていないのにLTE全盛となった。
3Gに投資していたSBMはおおいに苦しんでいる。特に900MHz帯に関しては(今思えば言えることだけれど)LTEオンリーでスタートした方が良かったと言える。
プラチナLTEだ何だと叫ぶだけ叫んではみたが、実際には余りやる気もないし金もかけたくなくなってしまった。まあそうした面からすれば3G主体で整備してお茶を濁しておくのが良かったのかなと思えないでもない。

◆ SBM利用者に900MHz帯利用機器を使わないようにと言ってきている。パンフレットには「ソフトバンクモバイルでは、より快適な電波をお客様に提供するため総務省に設定された開発計画に基づき周波数の終了促進措置の完了を目指しております」とある。これ、読んで意味が分かるだろうか。総務省に設定された開発計画とは総務省が設定したのではなく、SBMが提出したもののことだろう。

◆ いかにも総務省がやれと言っている風な書き方にして勘違いを誘おうとしている。しかし文章が複雑怪奇になりすぎて意味が通じない。もしかしたら意味が通じないことを狙うという、一時期のワンクリック詐欺に学んだものなのかも。ソフトバンクは昔から物まねが大好きだから。

◆ SBMな人の言うように2014年の春には一斉にプラチナLTEが始まり、ドコモやauを抜き去れれば良かったのに今のペースでは2018年だって怪しい。と言うのも特小などの無線機は免許の更新という概念がないので使い続ける人が多いと思われるからだ。F&Fで使っている気象計の無線伝送版も900MHz帯を使っているが、その周波数帯が使われていることを意識している人は殆ど居ないだろう。

◆ ワイヤレスマイクなどにしても同様だし、特に輸入物などは900MHz帯に改造して認定を受ける事が楽なので多くの危機が氾濫している。と言っても特小なのでSBMに与える妨害は限定的なのだが、SBMケータイを持ってくると機器が動かなくなるという問題は起きるだろう。


外食産業(12/19)
◆ 居酒屋のワタミが店舗数を減らしている。当初はアルバイト人員の確保が難しいみたいな事が言われていたのだが、客足が遠退いたための非採算店の閉店が真実っぽい。アルバイトや従業員に関してはブラック企業の名高いワタミ故に敬遠される所で、これはすき家のワンオペと同じ事で過酷な条件での労働が嫌気されている。ちなみにすき家のアルバイト時給は決して安くはないのだが、それでも人が集まらない過酷さなのである。

◆ ワタミの社訓は死ぬまで働けだったっけ、死んでも働けだったかな、なんかよく分からないけれど相当過酷な労働を強いられる。まあその位の悪徳でないと急成長できないのはソフトバンク然りであり楽天然りなのだ。悪徳仲間と言う事でワタミも野球チームを持てば良かったのに、今やそんな金は無い。

◆ ワタミが不況にあえぐのみではなく、息を吹き返しかけたファミレス業界も苦境に立たされている。
景気が多少でも回復すると安価系のファミレスには主婦などが利用するというのだが、消費税増税後は客の入りが悪いと言う。

◆ 実は消費税増税前にはファミレスは売り上げを上げていた。何となく明るいムードになった事に気をよくして高価格メニューの充実や既存メニューの値上げなどを行った。しかしそれでも余り客足が遠退くことはなく順調に売り上げが上がっていった。

◆ だが夏過ぎにはぱたりと客が来なくなる事態が起きる。消費税増税での生活費圧迫感が現実のものとなってくると外食費を節約する人が増えた。人が余り来ないと余計に人が来なくなる循環に陥り、年始の頃のあの景気はどこに行ったのかと嘆く。
では高価格メニューが全く売れないかというとそうでもなく、それを頼む人は頼むらしい。

◆ こうした中からファミレスでは低価格メニューを再度登場させるなど対応策に苦慮している。
ファミレスも流行っていた頃には幹線道路沿いに何件もが並ぶような光景だったが、その後低迷期になる。生き残りをかけての低価格化などを行った所は残れたが、それでもピーク時に比較すれば店舗数は減った。

◆ 景気の悪い所に増税するのだから、これで経済が回復したらアベノミクスは神扱いされたに違いない。しかし大方の予想通り消費は落ち込んでしまった。消費が落ち込めば消費税率を上げた所で税収は増えないのだが、財務省からの増税圧力に耐えられなかったアベさんは本格的景気回復を待たずに増税に踏み切った。

◆ もしもの話は予想でしかないのだが、消費税増税もその他各種税の増税も行わずに2年間景気回復を待ったとしたら経済はどう動いたのだろうか。
勿論それは財務省が嫌がりまくりで、だって無駄金が使えなくなってしまうのだ。オマケに日本経済の未来が危ういと海外からも言われるのだが、実は増税を繰り返してもそれ以上の無駄遣いをするので永久に財政状況は良くならないことになっている。

◆ 政治家ってヤツは当選するための勉強はいくらでもするのだろうが、政治の勉強なんてしないんだろうな。東大を出て官僚になると決めた、いやアンタはそうしなさいと決めた親が受験勉強ばかりをさせて社会情勢に疎い人間を作り上げるようなもので、明らかに目的が間違っている。


安定化電源(2)(12/18)
◆ ウチにある電源を見てみた。キクスイのものが2台とKENWOODのものが1台にHPのものがある。かなり前に中古で買ったキクスイのアナログメータ付きModel.7324は古い機種なのだがキクスイには仕様書が残っている。仕様書の日付は1970年となっているから45年も前なのか… 勿論電源自体がその時期に製造されたものかどうかは不明なのだが長持ちするなぁ。

◆ 無線系にしてもオーディオ系にしても電解コンデンサがさっさと壊れるSONYとは大違いだ。
古い機械のSONY製とトヨタ関連車両の電子系は電解コンデンサに注意なのだ。

◆ もう一台は中古で千円で買ったものでPMC18-3である。キクスイの仕様書は2014年にアップデートされているが元々の発売開始年は不明だ。
PMCは電圧と電流の表示を切り替えて見るタイプなのでちょっと使いにくい。

◆ このキクスイの電源は設定値を覚えているというかポテンショなのかな。KENWOODのディジタル表示タイプはロータリエンコーダなのか、電源を入れる度に電圧や電流設定を忘れてくれるヤツが居る。もしかしたらバックアップ系の故障だったのかも知れないがかなり使いにくかった。
ファンの付いている電源も多いのだが、このファンノイズも意外に気になったりする。

◆ 2台の電源、7324は500mAが最大だが30Vまで電圧が上げられる。大抵は500mAで間に合うのでこの電源を使っている。仕様上のリップルは2mVで負荷変動による電圧変化は10mVと規定されている。
PMC18-3は18V/3Aでディジタル表示が付いている。リップルは0.5mVと7324よりも良好で負荷変動に対しても4mVが規定だ。

◆ 3台目はKENWOODのアナログメータ付き電源であるPR18-5Aだ。KENWOODの電源は新品時価格が安いのでライン用などとして使われるケースが多い。PR18-5Aは18Vで5Aまでの電源だ。リップルは0.5mV、負荷変動安定性は最大で4.8mVなので安価だから性能が劣ると言うほどのものでもない。

◆ 電流の小さいレンジで見る時は分解能があるのでディジタル表示が見やすい。特に最大出力が3Aとか5Aになるとアナログメータでは"電流計の針1本分下がった"みたいな感じになってしまう。
しかし逆に下品な機械を動かしている時にはアナログメータが見やすく感じる。

◆ HPのものは低雑音と言う事が売りになっていてリップルは200μV以下が規格だ。負荷変動安定度は4mVなので他の電源と特に違うようなものでは無い。この電源は結構大きいので邪魔になるのだが電圧計と電流計が別に付いているのとファンレスなので静なのが良い。リモートセンシングとか他の電源とのトラックングなど機能は多いが、やはり大きいのは邪魔である。

◆ 実験用電源は定電流制御が出来るのでパラに使う事が出来る。と言っても、HIDのテストにしても14Vで5Aならば70W迄は入れられるわけで、大抵は1台で間に合ってしまう。というか、そもそもこの電源を買ったのはキクスイの電圧/電流切り替え表示が使いにくかったからだし、アナログメータ品を選択したのはキクスイのアナログメータ付き電源が見やすいというか慣れているためだ。
電圧は負荷端をDVMで測ることが多いのだが、しかしこれはディジタル電圧計の方が良いな。


安定化電源(12/17)
◆ 実験用の定電圧電源はシリーズパスが殆どだったのだが、最近ではスイッチング電源のものもある。おそらくはノイズにしろ何にしろシリーズパスレギュレータに遜色ない性能なのだろうし、小型軽量で使いやすいのかも知れない。
電源はいくつか使ったことがあるがKENWOODのものは電圧のディジタル表示が設定値を示しているのではなく実際の電圧をDVMで読んでいる感じだった。

◆ 実際の電圧が読めるのは良いのだがDVMの表示更新速度が遅いので電圧の設定が少々やりにくかった。電源によっては1つの表示器を電圧と電流に切り替えて表示させる機種もある。これは意外に使いにくくて、電圧を変えながら電流値を見たい時などは困ってしまう。コスト制約などもあるのだろうが電流計と電圧計は別にあるべきだ。

◆ トラッキング電源や多出力電源だと表示切り替え式のものも多くなるが、ちょっと値のはる物だとLCDにずらりと表示できたりする。
さらには電流値や電圧値をグラフ表示、つまりオシロスコープのような機能が付いているものやソースとシンク両方に対応できる電源というか、電源と負荷装置が一緒位なったようなものもある。

◆ 携帯機器などはスタンバイ電流が凄く少なく作られているのでワイドレンジの電流計測機能が必要になる。ピーク電流は1Aにも達するのに、スタンバイ時の電流は30μAしか流れないみたいな。
電源によっては内部抵抗を設定できるものもあり、これなどはバッテリ駆動をシミュレートできる。

◆ 一口に電源と言っても用途に合わせて様々なものがあるわけだ。電圧や電流表示も最近は殆どがディジタルになっているが、用途によってはアナログメータの方が見やすかったりする。電流変動の大きな機械などだとアナログメータで針の振れは見られてもディジタル表示では見にくい場合も多い。この辺りがオシロ機能付き電源の元になっているのだろう。

◆ VCOなどのテストをするにはローノイズの電源が必要になる。普段何気なく使っている電源でも、メーカやモデルによってノイズの量は異なる。ノイズが多ければコンデンサでも入れれば良いではないかと思うかも知れないが、そもそも電源はインピーダンスが低いので並のコンデンサでは歯が立たない。低雑音の電源を使って測定しても結果が思わしくない時に乾電池駆動にするとグッと良くなることがある。

◆ 実験用電源のスイッチング電源版は中国製が安くて、300W級でも1万円位で買えたりする。実際に使ってみたことはないので評価は出来ないのだが、スイッチング電源でしかも中国製となると特性はどうなのかなと心配になる。リップルのカタログスペック自体はKENWOODのスイッチング電源より1桁良い事になっている。シリーズパス電源より少し悪い程度だから、それが信じられるものならば立派だ。温度特性は少し見劣りするが機器の質量は1/5しかないのだから移動も楽である。

◆ 実験用のシリーズパス電源は大型のトランスが入っているのでとにかく重い。持って歩き回るものでは無いのだが必要に応じて場所を変えたり追加したりするには何とも重くて、結構小さな筐体のくせに10kgくらいあるのだ。まあHIDのテストでもしない限りは最大電流3A程度の電源で間に合うというか、ピークで考えても1A流れる機器は(私が扱う中では)そう多くはない。


アンケート(12/16)
◆ 様々なインターネット系リサーチの企業があるが有名どころとしてはマクロミルだろうか。他のリサーチ会社もマクロミルの下請的に動いている所がある。ヤフー系のリサーチ会社も今はマクロミルの下請けではなかったかな。
マクロミルに企業が支払う調査費用は、おおむね30問で20万円(100サンプル)ほどだそうだ。

◆ 回答者に支払われるのは1問辺り0.3円〜1円位だ。
1円だったとすると30問で300円、それが100人だから3万円の支出となる。企業からの請負金が20万円なのでその差の17万円がマクロミルの懐に入る計算だ。
色々な話を聞いていると安いアンケートには適当な答えをする傾向が強くなるそうだし、選択肢が多いと質問を読まなくなる。

◆ 例えば10問で3円が貰えるアンケートがあったとする。各質問がYesかNoかの2択であれば10回の選択で終了する。しかし各質問で20個の選択肢があると200クリックしていかなければ終了しないので時間がかかる。時間がかかると集中力が低下するので質問を読まなくなる。しかしマクロミル側としては同じ質問数でより多くの分析をしたいと考える。

◆ 質問を作る側のテクニックも重要で、同じような質問を並べると質問の意味がぼやけてしまう。例えば「あなたは1ヶ月以内に牛乳を飲みましたか」と質問する。その答えがYesだったとしてもNoだったとしても次に「あなたは3日以内に牛乳を飲みましたか」と聞かれると、1ヶ月以内に飲んでいないと回答した人はどう思うだろうか。
だったらあなたがもっとも最近牛乳を飲んだのはいつですかと聞いて、1ヶ月、3日、1日と選択させればいい。

◆ だからと言って選択肢を20個も作ったら回答者は嫌になる。この辺りのバランスが悪いアンケートでは結果の正確性が怪しくなってくる。そこで考えたのは「この項目は必ず1を選んで下さい」とか「この質問は必ず3を選んで下さい」という質問を混ぜる事なのだが、エラー排除は正常回答者に不快感を与える。そもそも読むのが嫌になるほど長く複雑で項目数の多い設問自体が誤っているのだが、そんなことを知らないアンケート作成者はトラップに頼ろうとする。

◆ 回答者が嫌がる質問に、同じ事を反対に聞くというものがある。これもエラー排除のつもりなのかも知れないが「あなたは買い物が好きですか」と聞いた後で「あなたは買い物が嫌いですか」と聞き直す。言い回しがもっと分かりにくいものは「あなたは買い物が嫌いですか」「あなたは買い物が嫌いではないですか」みたいな感じで、その質問を理解するのに疲れてくる。

◆ アンケートの正確性を改善するには質問を十分に考えなければならない。この点からすると日経系などがやっていた調査の方が精度が高そうな気がする。もちろん報酬額も多いので回答者も真面目に取り組むだろう。
マクロミル系の事を書いたページを見ると、CM動画などを何度も見せられるのは飽きるとあった。CM動画を見て回答するのだろうが、1問ごとに同じCMを見せられるのでは飽きてしまう。

◆ NTT系だと勤務先企業の業務内容その他に関する調査が多いそうで、これって企業内情報の漏洩を促すみたいなものなのではないだろうか。他にも有料サービスに加入させて回答を促すものなどもあり、確かに回答すれば有料サービスへの加入代金は還元されるのだが単に加入者稼ぎの意味しかないような気がする。


FRMS(12/15)
◆ FRMSとはFrequencyResponse Measuring Systemで、DDSによる発振器と高周波ログアンプを組み合わせたものだ。DDSの出力をDUTに接続し、その出力をログアンプに入れて検波されたものを表示するという簡単なものなのだが、制御にPICを使ったりしていてトラックングゼネレータ付きスペアナ風な使用感を醸し出す。

◆ スペアナと違って帯域フィルタがないので何も接続しない時のノイズレベルは高い。しかし狭帯域フィルタを測定する場合はそのフィルタ自身でノイズが抑制されるので実質ダイナミックレンジは広がる。FRMSはキットとして配布されていて、多くのパーツは秋月で購入可能となっている。部品の世代交代に対応して設計も見直されるなどメンテもされている。

◆ 性能も機能も欲張らずに安価で手軽な測定器という訳だ。DDSを信号源として利用する測定器としては以前にネットワークアナライザ的ものを紹介した事がある。信号をミキシングダウンしてADCに入力し、PCのソフトで解析するものだが回路が複雑な分価格も高くなる。いずれにしてもPCを処理や表示に使う事で安価で手軽な機器を実現する。
入力端子などに制限はあるのだがスマートフォンなどが使えると更に手軽に、しかも古くなったスマートフォンの活用になるかも知れない。

◆ ADCを内蔵せずにPCのオーディオ入力を使う手もある。左右チャネルが同時サンプルであれば位相を測る事が出来るからだ。ミキシングダウンは難しい事はなく、2つのDDSの周波数差を例えば10kHzに設定してミキサを動かせばそのIF端子には測定周波数にかかわらず10KHzのIFが現れる。この10KHzをPCのオーディオ入力で拾って解析すればいい。

◆ DDSを2個使わなくても10KHz差が出来るようにローカル周波数を作っても良いのだが、同じDDSの基準クロックを揃えた方が位相を合わせるのが簡単だ。秋月で売られているDDSは最高周波数が約17MHzなのでそこが測定のリミットになる。秋月DDSの約半額位で買えるAD9851の乗った基板も売られている。これだと70MHz位までの周波数を出力できる。

◆ 更に上をと言う事になると下限周波数が出来てしまうのだがVCOとPLLがワンチップになったデバイスもある。これで周波数幅500MHz位が可能なのでミキシングダウンすれば0-500MHz幅の測定が可能になるがミキサだ何だかんだが必要になってしまう。DDSでも200MHz以上まで出力できるものもあるのだが、それなりのクロックを入れないといけないので難易度は上がる。

◆ VNAで必要なブリッジを校正するにしても平衡入力のアンプで4.5GHzのバンド幅を有するデバイスがサンプル価格US$6位なのだから200MHzあたり迄のVNAであれば部品を揃えること自体はそう難しくはない。もっともRFフロントエンドだけでは駄目なのでソフトウエアはそれなりに組まなければならない。

◆ こうして欲張ろうと思うといくらでも性能や機能を上げることは出来るのだが、手軽に誰でも作れるという点でFRMSは良く出来ていると言える。フィルタを自作する人だとかHF帯の低い周波数帯のアンテナを調整するとかならば十分に実用的だ。ログアンプ事態の周波数特性は余裕があるので拡張性もある。
FRMSの周波数帯を拡大するためのFREX(だったかな)もあるようだ。


ヤフオク(12/14)
◆ ヤフオクには様々なものが出品されている。これは一体何に使うのだろうと思うような用途不明のものもあるし、恐ろしく旧そうな機械も。
カテゴリ違いのものも出されているが、これって意識して様々なカテゴリに出したものだろう。
いつだったか葬儀屋の広告がほぼ全てのカテゴリに出された事があった。数時間後には削除されてしまったのだが、出す側は一括出品ソフトなどを使えば手間をかけずに出品できる。

◆ 葬儀屋の広告は極端ではあるが部品屋なども色々なカテゴリに同じ品物を出している。まあ目にとまるという点ではメリットはあるのかも知れないが、およそ的外れなカテゴリに出してどれほど商売になっているのか知りたい気もする。

◆ 古いものだと真空管式の云々なんてヤツもたまに見かける。測定器などは真空管式のものもそこそこ出品されていて、オシロだとかSGなども多い。10MHz帯域の管球式オシロとか、30MHzまでのSGというよりもテストオシレータに近いような、でも重量は40kgありますよみたいな品物はコレクターズアイテムか。

◆ 不動の真空管式テクトロのオシロに1万円ほどの値が付いていたものがあった。相当巨大なもので重さだって30kgか40kgか、その位はありそうだ。最高周波数は30MHz、いや当時の記述からすれば30MCである。背面にはクーリングファンと言うよりも換気扇といった方が相応しいような物体が付いている。

◆ テクトロにしてもこの時代のものは回路図が公開されているのと汎用部品の組み合わせで作られているので修理は不可能ではない。勿論修理したからといって実用的かと言われると否なのだが、年末年始の楽しみに直してみるかという、測定器本来の機能や性能を使うのではない楽しみ方がそこにあるのかも知れない。

◆ 真空管式の古い機器の場合は電解コンデンサの寿命で動作しないものが多い。真空管式とあって内部温度の上昇もあるだろうし、当時の電解コンデンサの品質の問題もある。その頃の電解コンデンサってPCBが入っているのではないのかなぁ。コンデンサが破裂すると健康に良くない事になる。

◆ 以前にも書いたが専用測定器系は安く買える。安く買えても専用なので流用が効かない。送信機テスタなどは現用機種かそれに近いものでも1万円とか2万円だ。これって新品時価格は数百万円はするはずなのだがPHSやPDCやW-CDMA(内蔵ソフトによる)でしか使えない。W-CDMAにしても既に終わったシステムであり、開発やラインで使われていた測定器類が中古市場に流れてくるだろう。

◆ SGやスペアナベースの機器ならば使い道もあるのだが、最近のものは本当に専用になっているのでACPの測定にしても何にしても狭帯域のFFTで行うので使い回しが効かない。
最新の専用測定器よりも壊れた真空管式測定器の方が人気があるのも面白い。直して何になる訳でもないが直す事の楽しみのため、その気持ちは分かる。

◆ 出来合のものを買ってきて遊ぶのが普通な現代の人間と、自ら何か手を加えて楽しむというオッサン世代の違いと言ってしまえばそうかも知れない。
買ってくれば済むものを、わざわざ手間と時間をかけて作り出す事を若者は無駄だと言い、オッサンは楽しみだという。


エジソンプラザ(12/13)
◆ JR石川町駅の近くにエジソンプラザという、ラジオデパートの小型版みたいな所があった。
ビルのオーナが横浜に秋葉原を作ろうと呼びかけて電気店や部品屋を集めたのが1979年だったそうだ。エジソンプラザにはジャンク屋や部品屋、トヨムラもあったかな。だが時代の流れと共に各店舗が撤退し、階段を上がった所のジャンク屋である相模電子も経営者の林さんの死去により閉店してしまった。

◆ 奥にはシンコー電気がある。店主の渡辺さんはかなりのお歳とお見受けするが元気に店を開けている。ここには真空管類やスピーカ、アナログメータやラジケータなどがある。ラジケータなどは種類が少ない上に高額になっているのだが、シンコー電気に行けば欲しいものが見つかるかも知れない。

◆ 私はここでRFコネクタに1mの同軸ケーブル(1.5D-2V)の付いたものを300円で買ってきた。本当は同軸ケーブルだけが欲しかったのだが丁度良いものが無かった。通販で買うと1.5D-2Vは150円/m位なのだが送料がかかる。1mも要らないので送料が無料になるほど欲しいわけでもない。と言うわけでコネクタつきのケーブルを買ってきたというわけだ。

◆ このジャンク屋には結構色々なものもあり、買って来てヤフオクで売ったら儲かるかもみたいなシロモノもある。10.7MHzのメカフィルとか455KHzのフィルタとか、今では余り見かけなくなったパーツも売られている。ICやトランジスタの足は酸化して半田付け性が悪そうだが、そんな時には砂消しゴムでささっと掃除してやればいい。

◆ 旧い部品を求めにやってくる人たちは、旧い無線機やオーディオ類の修理にその部品が必要なのだとか。代替部品で済む場合もあるが駄目な事もある。ICなどは代替品というわけにも行かず、シンコー電気まで探しに来る人も居るらしい。さすがにこの部品数となるとネットショップ出店には手間がかかりすぎるだろうし、欲しいものは自分で探して見つけ出さなければならないのが大変でもあるが楽しいのかも。

◆ アマチュア無線やオーディオ自作派が減ったのはマイコン(後のパソコン)ブームが到来してきてからだという。無線機を自作していた人がマイコンボードをいじるようになり、オーディオマニアがQWERTYキーボードを叩くようになる。こうした頃からジャンク屋の客足は少なくなり、トヨムラも撤退していった。トヨムラは全国にこうした販売店を持っていたのだが、つまりはその頃が最盛期と言えるのかも知れない。

◆ 1980年代には共立電子や千石電商も入っていたと言い、そういえば共立のキットものとか売っていたなと少し思い出した。このビルのオーナも何度も変わっているそうで、投機の対象になったのかはたまた借金のカタになったのか。こうした時代を経ながらも今も商売を続けているシンコー電気は、アキバで言う所の小沢電気みたいな感じだろうか。小沢電気も閉店だそうで、RF関係の部品を買いに良く行った事を思い出す。

◆ 小沢電気は他の部品屋には余り置かれていないようなトランジスタがあったりで、電話で在庫を問い合わせると嫌そうな雰囲気を醸し出しながらも教えてくれたものだった。買うと言っても少ない小遣いの中での話なのでせいぜい2個位しか買えない。でもその、せっかく買ったトランジスタをあっという間に壊してしまったりするので又買いに行く。そんな事の繰り返しだった時代もあった。


VNA(12/12)
◆ 今はネットワークアナライザと言えばベクトルネットワークアナライザ、VNAを指すと思う。
アマチュアなどでもVNAを持っている人が居るが、トラッキングゼネレータ付きスペアナの変わりみたいな使い方をしている人が多い。

◆ トラッキングゼネレータ付きのスペアナは中古でも人気が高く高額なので、それよりVNAが安ければそれでいいやみたいな感じかも知れない。
ただし基本的に用途が異なっていて、スペアナが未知の信号を観測する機器なのに対してネットワークアナライザは既知の信号を見るためのものである。

◆ ネットワークアナライザもトラッキングゼネレータ付きのスペアナも測るものによっては同様に観測は出来て、ネットワークアナライザであれば位相も見ることが出来る。と言ってもアマチュアで位相を見る機会はそう多くはない。ディジタル通信などだと帯域制限フィルタなどの群遅延が問題になってくるが、そこまできっちりと作るのはメーカの仕事、みたいな。

◆ VNAはSパラが見られてこそ真価を発揮すると思うのだが、古いタイプのVNAではSパラテストセットが別筐体になっていたりして面倒である。Sパラテストセットがないと当然Sパラ観測が出来ないのでVNAの価値は半減する。最近のモデルだとSパラは普通に測ることが出来るので意識することも少ないのだが、古いモデルは別なのだ。

◆ Sパラに関しては過去にAndroidアプリを使ってマッチングを考えるお話をblogに書いた。
実際の計測ではアプリで計算するよりも少々面倒なことがあり、それは部品にも配線にも長さがあると言う事だ。blogの方にも書いたとおりλ/4の電気長を持つ配線を通すとスミスチャート上の点は180度回ってしまう。従って部品までの距離や部品の大きさを補正しなければ何を測っているのか、どこを測っているのか分からなくなる。

◆ 多くのVNAは線長補正が可能なのだが、これは50Ωに限ったものでありそれ以外の補正は相当面倒だ。
周波数が低ければ波長が長いので多少の線長は無視出来る場合もあるが、GHz帯となればそうは行かない。VNAの測定端をどこにするのか、どこで校正するのかが非常に重要になる。
なので半導体デバイスを測る場合に、パッケージやボンディングワイヤを除いた生の半導体のパッドのインピーダンスを測るのも大変なことである。

◆ こうした用途にはそれ用の測定器もあって、プローバなどをトータルとして補正値が入力出来るものなど様々だ。アジレントの営業さんと話をしてもプロービングの難しさはいつも出てくる。まあ特注のプローブを作れば話は別なのだが、その機器のその部位ごとにプローブを作っていたらキリがない。

◆ 後は様々なテクニックを使って人間が頑張ることになる。例えば既知のデバイスを接続して、そのインピーダンスがどう見えるかによって線長を予測するみたいな、と書くと面倒そうなのだが慣れてくれば計測値を見てだいたいの予想が出来るようになる。

◆ 教科書通りの知識しか無ければ校正点が分からないから測れません出来ませんとなるが、出来ませんで事が済んでしまえば何の苦労もない。エンジニアの多くは出来るか出来ないか分からないようなことに取り組んでいる。アマチュアもまさに同じで、細かな部分においてはプロ以上の拘りを持つ。


硝子(12/11)
◆ Appleのカバーガラスなのか何なのか、結果として製造メーカが破産に追い込まれたのは一体何故なのか。
Appleはこれまでにも様々言われているように、相当強引で一方的な契約を迫る。勿論契約なのだからそれを受け入れなければいい。しかし世界的不況の中で大きな仕事が舞い込んでくるとすれば契約を取りたいと思うのが普通だろう。
当然ながらAppleは美味しい話をして契約書に判を押させようとする。厳しい契約条件にしても「万一の時の事ですから、そのような事は普通は起こりえないですから」と言うだろう。

◆ しかし美味しい話などそうあるわけではなく、契約規模が大きくなればそれに比例して契約の内容は強引なものになる。ドコモとAppleの契約が云々という話が漏れ伝わった件を見ても、いかにAppleが強引な条件を押しつけてくるのかは分かる。
勿論Apple側としてもそれなりの売り上げを与えるのだから、それなりの拘束と口出しはしますよと言う。仕事が全てが順調に行っていれば何事も起こらないのだろうが、そうでなくなると一気に契約内容が効いてくる。

◆ 実際国内企業との契約にしてもNDAやセキュリティ関係は横暴とも言えるものもある。秘匿性の高い物品の製造や設計契約では従業員の住所や家族までも丸裸にされる場合もある。もちろんそうした実害を受けるのは従業員であって企業ではないので話は余計にややこしくなる。
そんな事もあり日本国内では中小企業を保護する法もあるのだが、これとて十分に機能しているとは言えない。

◆ サファイヤガラス製造企業ではなくその製造装置を作っている企業とAppleの契約はどうだったのか。製造用の炉を売りたければその炉を使ってガラスを作れとAppleは言ったのだろう。ガラスまで作れないのならばオマエの炉は要らないよと。
ガラスメーカはAppleからの借り入れによってガラスの製造工場を作ったが結局工場は上手く立ち上がらなかった。

◆ そもそもガラスメーカではなくその製造装置を作っていた企業が突然ガラスを量産しろと言われたって無理がある。しかし製造工程を全く知らないわけではないから出来ると踏んだ。しかし結果は駄目だった。当然Appleは怒る訳で、怒られたって出来ないものは出来ないとガラス炉屋さんは破産の道を選んでしまった。

◆ 確かにAppleの契約は強引すぎるものではあったと思うのだが、出来ると思ったのに出来なかったよと言うガラス屋さんも悪い。Appleが経営その他に口出しをしたのも工場が上手く立ち上がらなかったからだろうが、その工場にゴーサインを出したのはAppleである。

◆ こうしてねじれた契約の中でガラスが作られようとしたのだが、残念ながらねじれたガラスしか出来なかった。これによってガラス屋さんは倒産と言う事になりAppleはカバーガラスが手に入らなくなってしまった。
そもそもはこうした事態を想定した契約内容になっていなかった事、Appleの仕事が貰えるぞと喜びすぎた事も誤りだった。

◆ そしてAppleにしても、その企業にガラスが作れるのかどうかを判断する目が必要だった。さらには製造ではなく研究開発的な事まで負担させたのも製造を遅らせる原因になった。これが国内スマートフォンメーカだったらねじれたガラスをそのまま使って製品を作ったのかも知れrない。


回路図エディタ(4)(12/10)
◆ OrCAD Capture(Lite)は従来使っていたものと少し変わってきている。変わると言っても細部はほぼそのままでUIが少し違ってきた感じだ。
従来版に比較するとライブラリやパーツの呼び出しが少し変わっていて、まあ慣れればどちらも同じという感じ。

◆ ライブラリの作り方も初めての人だと分かりにくいのかも知れないが、これも慣れの問題だ。
ライブラリ作成は特に面倒な所もなく、最初にパーツ名を決めてダイアログを閉じる。パーツの大きさは、最初は小さな四角が出ているのでそれをドラッグして好きな大きさにする。そこにPlace→Pinで端子番号と端子名を貼り付けていく。ピン番号が自動でインクリメントされるので、私は最初に全部の端子を付けてしまう。

◆ そこからPinをセレクトして右クリックし、プロパティで端子名を変えていくというやり方だ。この辺りは好きなやり方で良いと思うし、端子番号も順番に振らなければならないというわけではない。基板屋さんなどは順番に端子番号が振ってあった方が見やすいと思うが、シミュレーションなどを行うには機能ごとに端子がまとまっていた方が見やすいに違いない。

◆ こうして作ったライブラリで書いた回路図がこれ(pdf)である。L50のモジュールはライブラリを作成した。その他はトランジスタとかコンデンサと抵抗なので既存のライブラリで間に合う。
ライブラリは主要な能動部品のものが含まれてはいるのだが、最近では専用デバイスを使う事が多いのでライブラリを作る作業も必要だ。

◆ 四角や丸以外の形状の部品も作れるが解像度の関係もあるので美しく作ろうとすると大きくなってしまう。この回路図でネットリストを作る事は出来るがVCCもGNDも1PPSも端子に出ていないので(基板を作ったとしても)外に端子が出ない。
コネクタを付けるならばコネクタのライブラリを使い、そこまで線を引っ張る。

◆ 簡単なチェックはルールチェックで実行出来て、ライブラリを作る際に入力や出力の端子属性を設定していれば出力同士の接続部などはエラーが出る。なのでワイヤードオアなどを取る時にはそれが可能な属性にしておく必要がある。

◆ ネットリストから回路図に変換するのはOrCADは出来なかったかも。回路図エディタによってはこれが可能なのだが、部品配置が適当になってしまうのでドラッグしまくりで直さないと人間が見て分かるような回路図にはならない。

◆ 回路図を書いて基板を作るという流れになるのだろうが、ネットリストを読み込んで基板設計可能なフリーのソフトもある。それを反転印字して直接基板に転写してしまう事が出来るそうだ。レーザ加工機で基板を作る、と言っても直接銅箔を切り取るのではなくマスキング塗料を加工する。中国製のレーザ加工機は安いそうだ。

◆ レーザ加工機ではマスキング剤を剥離していく方法だが3Dプリンタ(2Dでしか使わないけど)でマスキング剤そのものとして樹脂を基板にプリントしていく方法はどうなのだろう。その位の細さのパターンが作れるかとか、どの位の精度が出るのかは分からないが面白そうだ。


回路図エディタ(2)(12/9)
◆ 回路図エディタとして老舗というか代表的なものでもある水魚堂のBSch3VとOrCADCaptureを比較してみる。BSch3Vは多くの方が使っているようで公開ライブラリなどもある。OrCADの方もかなり古くからあるソフトなのでライブラリもあるのだが基本的には有償版なのでこれを使うアマチュアは多くないと感じた。

◆ 現在はデモ版というかLite版が無償でダウンロード出来るので、これを使って最新版の様子を見てみる。
ダウンロードには登録が必要なのだが手間ではない。
ダウンロードするとC++のランタイムなどもインストールされるのだが、残り時間2秒と出たまま30秒もインストールにかかったりした。
Capture自体もインストールは遅く、これはライブラリなど単品の細かなファイルが沢山存在するためだ。

◆ 動作させてみると以前から使っていたCaptureと基本的には同じ感じだ。パーツ検索が出来るようになっているなど細部の使い勝手は向上している。基本的なTTLだとかOpAMPのライブラリが付いてくるのは使いやすい所であり、パーツの追加もさほど難しくはない。
まあ私の場合は以前から使っていたから操作が簡単だと思うだけかも知れない。

◆ BSch3Vとまず異なるのがジャンクションである。配線を接続する場合にCaptureはT型に分岐するとそこは接続点と見なされる。線をクロスしただけでは接続点とは見なされない。BSch3VはT型分岐でもクロスでも接続点とは見なされず、ジャンクションにはジャンクションマークを付ける必要がある。この点でCaptureは少しだけ手間が省けるわけだ。

◆ 次に異なるのがドラッグだ。Captureでは選択範囲にもよるのだが周りの配線も一緒にドラッグされる。BSch3Vは基本的にはパーツのドラッグなので線が斜めになったりする。このドラッグは昨日書いたネット主体かそうでないかが大きな意味を持つ。
つまりネット主体であればドラッグした結果で線が重なってしまっても、それは見た目が重なっているだけで配線が接続されてしまったわけではない。
しかし図主体だとくっついた線は接続された線になってしまうので分離出来なくなる。これはCaptureもBSch3Vも同様に分離出来なくなる。

◆ 操作のステップは多いのだが分かりやすさという点ではBSch3Vの方が優れている感じもする。Captureは機能が多いので慣れるまでが大変かも知れないが、慣れてしまうとショートカットキーを使いながらかなりの速さで図面を書いていく事が出来る。
なお無料版のLiteは60パーツと75ネットまでに制限されるとの事だ。60パーツは良いとしても75本までしかネットが引けないのはロジック回路図などでは不満になる。

◆ 回路図CADの使い勝手は回路設計屋さんか基板設計屋さんかシミュレーション主体かによっても意見が分かれる。
PADSなどは基板設計屋さんが好む傾向にあり、それは回路図を書く時から配置や配線を考えられるからだと思う。
FPGAの回路設計では他のCADも使った事があり、それはネット主体のエディタだった。直感的という面では図面主体の方が良いのだが回路図を書いてそのままシミュレートしたりチェックが出来るという点ではネット主体の方が合理的になる。

◆ いずれのCADでもパーツライブラリ作りは面倒なものなのだがこちらの方法などを使うと効率的に新しいパーツのライブラリを作る事が出来る。


OrCAD(12/8)
◆ OrCADを使い始めたのはMS-DOSが主流だった頃である。何故OrCADかといえば、それ以外に実用に耐える回路図エディタがなかったからとも言える。
いわゆるワークステーションベースで動くものはあったのだが、それにしてもGUIベースでは速度が遅かった。勿論ハイパワーなマシンがあれば良かったのだろうけど。

◆ OrCADを使い始めた頃はPC-9800全盛期だったと思う。その後IBM互換機になり、回路図エディタの他に基板エディタも使ったがこれは余り出来が良くなかった。
世の中がWindows化してもOrCADは相変わらずDOS窓の中で動いていたのだが、Windows版であるCaptureが発売された。当然これを導入する事になるが、その出来の悪さと言ったらとても実用に耐えるものでは無かった。
それでも何度かバージョンアップされて一応使えるようになり、その後はバージョンアップせずにずっと使い続けていた。

◆ 回路図エディタには大きく2種類がある。一つはOrCADのように図面を作ってそれに配線していくものだ。あくまでも図面主体なので入出力をショートさせようがGNDを何カ所にも付けようが、出力同士を接続させようが勝手である。勿論そこから生成されるネットリストも回路図通りになる。

◆ もう一つはネットリスト主導型であり、出力同士を結線しようとしてもエラーになってしまう。未接続の端子も処理する必要があるし、GNDや電源を何本も引く事は二重配線チェックに引っかかる。
ネットリスト主導型は配線エラーなどが起きにくい反面、線が束になって描画されてしまった場合などは回路図自体が見にくくなってしまう。例え図面上では1本の線でも、その入り口と出口が別のデバイスにある2本の線が重なっているだけだった場合は間違いに気づきにくい。

◆ 勿論こうした双方の良い所を取った回路図エディタなどもあり、現在その種類は多い。
回路図エディタでは他のソフトなどとの連携性も問題になる。ネットリストフォーマットは大抵はカバーしているが、例えばパーツメーカの提供するライブラリだとか回路図エディタで書いた図面をそのままシミュレータに読み込ませるなど、そうした面での使い勝手もある。

◆ OrCADは長らく使っていたが私が使っている初期の頃のバージョンのものは既にかなり古くなっていた。
Windows7では動かなかったかも… という感じのものでもありそのOrCAD自体も既に販売されなくなっている。
回路図エディタなどは作った回路図を資産として評価出来るものなので無くなってしまうのは困る。

◆ OrCAD時代からあったフリーの回路図エディタで有名どころはCEで1994年に公開された。その流れの現行バージョンは2004年からリリースされているBSch3Vの140821(2014年8月版)が最新ではないかと思う。
CEの存在はDOS時代から知っていたのだが、OrCADを使っていた関係で試用程度しかした事がなかった。

◆ OrCADは国内代理店が撤退のようで買うならダイレクトにと言う事になる。インターネット全盛時代でどこからでも買える事になり、特にソフトウエアなどはダウンロード販売されているので価格差を付けにくい。
日本語化などがされているのなら話は別だがOrCADの場合はそうではなかった。こうなると国内代理店が利益を得るのは難しい。
現状では機能制限版(回路図規模に制限があるらしい)がデモ用としてダウンロード出来る。


値上げの方程式(12/7)
◆ 様々なものの価格が上がっている。円安インパクトもあるだろうし便乗値上げもあるだろう。円安は輸出企業の業績を大幅に改善したのだが、経済対策の遅れから多くの企業は海外に生産拠点を移してしまった。こうなると円安はエネルギコストの上昇のデメリットしかないという人も居る。
しかし輸入製品の価格が上がると言う事は相対的に国内製造品の価格が下がるわけだから、中小の国内製造メーカにとっては良い事なのではないだろうか。

◆ 国内産業を活性化させるには中国からの輸入を禁止すればいい。勿論実際には出来ない事ではあるが、食品でも衣料品でも今や中国から入ってくる物が支配してしまっている。
円安誘導そのままであれば景気は回復したかも知れないが、消費税を上げた事でそれが一気にひっくり返った。経済対策を行う時に減税手法はあっても増税は御法度なのではないのか。そりゃあ二兎を捕まえられればお得なのだがそうは行かない。

◆ もっとも日銀(政府の言う事は聞かないが財務省には服従)を動かして金融緩和を行わせるには財務省の口利きが必要で、それには増税をセットにしなければならない。何しろ税収が不足すると財務相の大好きな公務員宿舎という名の高級マンション建設に陰りが出てしまう。

◆ 無駄遣いをやめれば何とでもなるのだが、予算縮小を言うと真っ先に福祉予算だなどを削ろうとする。税収が下がると福祉が駄目になるのだよと植え付けるのだ。
必要な所を真っ先に削り、不要な予算はずっと残す事で増税を正当化していく。これが逆に福祉予算を最優先で考えて無駄遣い分を削ってしまったのでは日本の国が良くなるだけで自分たちの懐や権力が維持出来なくなる。

◆ セブンイレブンで売られている調理パンが続々値上げされたのだそうだ。リーズナブルな価格で学生などにも人気のパンなのだが、その値上げ手法も一応考えられたものになっている。
定番の商品を値上げすれば客は他のコンビニに行ってしまう。そこで値上げ前の商品と、美味しさを増したと書かれている新商品を並べる。当然新商品の方が価格が高く設定されている。

◆ この美味しさを増した新商品が旧商品と異なっているかどうかは謎だ。全く同じものではインチキになってしまうのでどこかを多少変えたのかも知れないが見た目は何も変わらない。コロッケパンもカレーパンも素材が変わった所で見た目が変わるわけではないからやりやすい。あんパンにしてもどこそこの小豆を使ったとかどこそこの砂糖を使ったと書けばいいし、もしかしたらそれは旧製品も同じなのかも知れない。

◆ 客は定番商品でありながらも新製品となるとそちらに興味を示す。適度に売り上げが確保出来た時点で新商品に切り替えると共に旧商品を無くす。新商品に付けられていた「美味しさを増した」文言はいつの間にか消えている。これで旧商品がそのまま値上げされた事になるのだが、その手法によって客は余り逃げない。

◆ これが定番の調理パン全体で、それぞれ順番に行われたそうだ。平均値上げ率は10%を超えたというのだから値上げ率としては大きい。消費税が3%上がっただけで消費が落ち込むのに10%の値上げなのだから客が逃げそうなものなのだがそうでもないという。これが業界最大手セブンイレブンの値上げの方程式というわけだ。おそらく売り上げは多少は落ちたのだと思うが、それが値上げ分でカバー出来ている。消費税を上げても消費が減って税収が落ちちゃったというのとは違う。


オーディオ(12/6)
◆ 10MHzの発振器をきっかけにいくつものオーディオマニアや著名な方の記事を見た。発振器を変えて音が変わる論はblogの方でも触れたが、追求はそれだけではない。10MHzの発振器出力とCDプレーヤを接続する同軸ケーブルによっても音が変化するのだという。それこそ純銀の線だとかで1mあたり十数万円もするケーブルはさすがに音が良いと書かれていた。

◆ これは電源ケーブル論にも通ずる所なのだが、だったら屋内配線のケーブルや屋外配線、柱上トランスの品質はどうしてくれるんだという感じ。オーディオ機器とコンセントを接続する1mか2mの電源コードで音が変わるとすると、それより遙かに長い屋内配線はフツーの銅線で良いのだろうか。
もしやブレーカや積算電力計のメーカでも音が変わるのだろうか。

◆ 同じようにクロック発振器からCDプレーヤまでの接続に50万円(!)の同軸ケーブルを使ったとして、ではクロック源から機器のBNCコネクタまでの細い同軸ケーブルは関係ないのだろうか。CDプレーヤのBNCコネクタと基板の接続は何でも良いのだろうか。見える部分は高級品でなければ音が劣化し、しかし見えない部分は気にしない感じがする。それこそ発振器内部の同軸も銀線や金線を使い、基板も端子も全て金や銀を使うとでも言うのならば統一感があるのだがそうではない。

◆ 高価格同軸ケーブルには純銀が云々だ何だと書かれているのだが、BNCコネクタはどう見ても市販品である。そこまで拘るならばせめてNコネクタにしたらいいと思う。コネクタにしたってNコネクタならば削り出しで作れる。
そしてケーブルの材質や長さは詳細な説明があるにも関わらずインピーダンス表示がない。

◆ クロック周波数の0.001ppmに音は反応しても、ケーブルインピーダンスの違いでは変わらないのだろうか。
そこそこ有名と思われる評論家氏の記事には「ケーブルが短ければインピーダンスは余り関係ないらしい」と書かれていた。あくまでも「らしい」のである。
これが無線屋さんになるとケーブルの価格がどうのこうのではなくリターンロスがどの位かとかケーブル損失がどうのこうのとなる。

◆ クロック源の品質となると出力振幅だとか波形(高調波スプリアス)だって関係しそうな気がするが、評論家諸氏は未だその知識を得ていない。もしも知識を得たとするならば何かを語り始めると思うからだ。
いや、そういえば基準発振器の出力にバッファを通すと音が変わると書いている人も居た。音の広がり感が変わってくるのだそうで、バッファアンプのトランジスタなりICなどを変えると音も変わるとか。まあこれは同軸による特性変化よりも十分大きな違いにはなるのだが、それで影響を受けるとするとCDプレーヤの方がボロだとなってしまう。

◆ 燃費グッズと同じで自分が満足すればそれで良いと言ってしまえばそれまでで、音に絶対なんてものは無い。自分が良いと思った音が最高の音であり、それが圧縮音源だろうと何だろうとルビジウムと50万円の同軸ケーブルシステムで再生されれば素晴らしいものになる、のかも知れない。

◆ こちらの方は凄い。タイトルはオーディオなのだが音のインプレッションよりも計測に基づいたデータの方が多かったりする。しかも測定器類もおよそアマチュアには手の届かないようなものを多数所有しておられる。セシウム原器まで用意しているので記事に目を通す価値がある。


GPS(12/5)
◆ GPS衛星からの電波を受信して1PPSを出すユニットいじりはblogの方でも書いている。桁数の多いカウンタまで入手するという感じで、もはや測る事だけが目的みたいな感じだ。
測ると言ってもSG内蔵のOCXOの短期安定度限界を超えているので何を測っているのやらという感じではある。

◆ 安定な発振ユニットを入手した所で、その電源だって安定していなければならない。SGのOCXOも安定な電源で動作しているはずなのだが、それでもAC電圧変動の影響を受ける。OCXO単体で使うとすれば負荷によっても周波数は変動する。
セシウムやルビジウムはそれ自体の周波数が出てくるわけではなく内部のPLLの出力が出てくるだけだ。

◆ セシウムの場合はそれ自体が固有周波数を持つので一次標準になり得る。周波数は9162631770Hzだ。セシウムは体温で温める位の温度で液化する。
冷やすと固体になる。セシウムビームはセシウムを少しずつ消費するので、セシウム切れになると発振器は動作しなくなる。なのでセシウム原器は常用するのではなくそれによって校正された二次標準を使うのが一般的だ。

◆ ルビジウムに関しては過去にも書いているが、その周波数を直接生成するわけではないので一次標準にはならない。ルビジウムの融点は38.89℃であり発振器として使用する場合は60℃程度に加熱する。ルビジウム発振器が熱くなるのはルビジウムチューブを加熱する必要があるからだ。
ルビジウムの吸収周波数は6834682612.8±0.5Hzであり、ここの±0.5Hzが調整シロの一部となっている。

◆ GPS衛星にはルビジウム発振器が搭載されていたが、後に安定度の問題もありセシウムオシレータが搭載された。
だが現在では再びルビジウム発振器になっているようだ。衛星の時計は衛星が米国上空に来ると地上から校正しているらしい。
原子発振器の誤差要因としてはドップラ(原子移動に対するもの)シフトや磁界による影響、圧力による影響がある。
セシウム原器は特に磁界による影響が大きく、地磁気によっても周波数が変動する。

◆ GPS衛星として考えると衛星が対地速度を持っているのでドップラシフトがあるし、衛星が絶対速度を持っているのでGPS衛星内の時間は地球時間よりも遅くなる。GPS信号の場合はいずれも分かっている事なので補正が可能だが、地球上で線でつながれた標準機よりは様々な面で精度は劣る。

◆ 衛星自体は11時間58分ほどで地球を周回するが、地球の自転を含めると約1日後に地球から見た同じ位置に戻ってくる。
衛星による測位が一般に使える事の意味は大きいが、今やそれが普通になっている。衛星には寿命があり最近のものでは10年ほどの設計寿命がある。しかし稼働している衛星の数が多いのでどんどん打ち上げてリプレイスしないと衛星は減ってしまう。

◆ GPS測位が出来なくなると様々な分野で色々な影響が出る。ロシアやインドは自前で測位衛星を運用しているはずで、日本では準天頂衛星を持っている。
これらを使用した測位精度は10m以下とされているが衛星からの搬送波を直接観測する手法ではミリメートル台の精度を得る事も出来る。これは地殻変動の調査などで使われるものだと思う。


周波数(12/4)
◆ スーパへテロダイン式レーダ探知機を作っていた(仕事ではなく遊びで)頃に局発の周波数を測りたかった。今でこそマイクロ波カウンタで直読出来るが当時は簡単な測定方法がなかった。
空洞共振器型の周波数測定器は存在していたがアマチュアに手の出る価格ではなかった。でも空洞共振器だったら自作出来るかななんて考えた事もあった。周波数が長さで読めるのだからアマチュアでも作れそうな気がしたものだ。
しかし結局製作にチャレンジする事はなかった。機構や工作精度が私の手には負えそうになかったからだ。

◆ 今ではワンチップのGaAsプリスケーラデバイスがあるので測定は難しくはない。小信号の場合はアンプも組まなければならないのだが、ガン発振器や誘電体発振器の出力が0dBmも出ていればプリスケーラ直結でもカウントしてくれそうな気がする。GaAsプリスケーラの多くは分周比がキリの良い値ではないのだが、受ける側の周波数カウンタがユニバーサルカウンタであれば演算機能を利用して周波数直読も可能になる。

◆ ユニバーサルカウンタのメーカオプションプリスケーラも1/10とか1/100では無いものが多い。このプリスケーラ、カウンタ本体に内蔵するタイプのものの価格は10万円を超える。有名どころの周波数カウンタ用だとサードパーティから2万円位で発売されていたりする。アジレントのユニバーサルカウンタはプリスケーラ用のコネクタがあり、そのコネクタの端子を設定すればプリスケーラモードがアク ティブになる。

◆ 電源もコネクタから12Vが来ている。分周した出力もそのコネクタ経由でカウンタ本体に接続し、コネクタが差し込まれると(ピンの状態がプリスケーラありになると)自動的にパネルからの設定でプリスケーラチャネルが有効になるという親切さだ。プリスケーラは3GHz版、5GHz版と12.4GHz版がある。
分周比は1/128固定のような気がする。カウンタ自体の上限周波数が225MHzなので12GHz版でも1/64の分周比で済むが何故か1/128だ。周波数だけから見れば3GHz版なら1/32分周で済む。分周比が小さい方が一定のゲート時間での分解能が高くできる。

◆ TTL全盛だった時代の高速デバイスと言えばECLがあった。ECLはトランジスタを非飽和領域で動作させる事により高速性を実現したものだ。通常のロジックデバイスは1か0の飽和領域でトランジスタを動作させる。
しかし飽和領域まで持って行ってしまうと動作速度が遅くなるため、ECLではリニアな領域を使ってロジックを組んだ。その為多電源が必要だったり発熱が激しかったりと使いやすいデバイスではなかった。
ECLは1950年代にIBMによって開発されたそうで、同社のメインフレームなどに使われたという。

◆ 1960年代になると汎用ロジックとしてのデバイスが発売されたそうで、当時としては超高速なns台の動作速度だったとか。ECLには10Kシリーズ、100Kシリーズなどがあり100Kシリーズのゲート遅延時間は1ns以下になっている。日立は1978年にこの100Kシリーズの開発を開始したとある。モトローラは1980年に10Kシリーズを高速化した10KHシリーズを発売した。

◆ 高周波領域におけるトランジスタと言えばGaAsFETになるのだがGaAs半導体は品質管理が難しい→歩留まりが悪いので価格が高い。近年ではGaAsの領域までCMOS半導体が進出している訳で、CMOSで作られたCPUが2GHz以上のクロック速度で動作する。
PLLデバイスなどはBi-CMOSで数GHz帯の動作を実現しているものもあるが最近のデバイスはオールCMOSで4GHz位まで行っているはずだ。


GigaSt(12/3)
◆ GigaStとはGigaSiteで配布されている簡易スペアナアダプタと称される機器である。最初のバージョンはTVのチューナ用デバイスか何かを使った広帯域受信機のようなものだったのだが、改版を重ねるごとに解像や改善がなされ現在では12GHz迄観測出来るものとなっている。基本は4GHz迄なのだが高調波を使って4GHz以上の観測が可能なようになっている。高調波を使ったミキシングダウンになるので感度差は当然出てくるのだが、それでもアマチュア的には観測出来た方が良いのだろう。絶対レベル云々ではなく、そこに信号があるのかどうかが見られるだけでも。

◆ 最新版はV5なのだが既に配布は終了しているので、次期バージョンはさらなる発展をするのかも知れない。V5のブロック図を見ると入力周波数は4GHzまででミキサによって1st IFの1472MHzに落とされる。
以前からここを読んでおられる方なら受信周波数より下にIFを設定するとイメージをはじめとするスプリアス受信などが起きる可能性に気づくとは思うが、これには様々な理由があるに違いない。

◆ 2nd IFは478MHzで3rdIFは10.7MHzとなっている。
その後LOGアンプに入った後にCPUで処理される。
CPUでフィルタ処理などを行うのならばアナログLOGアンプは不要というか邪魔になるのでIFをそのままADCに入れる事になる。GigaStの仕様、特にアナログ仕様は余り公開されていないので性能的な部分はよく分からない。いずれにしても3万円前後で配布されるのだから、勿論部品代は取れているとは思うが基板などの設計制作費は赤字かも知れない。

◆ それに対してたぶん元は取れているのではないかなと思うのがSDR-KitsのVNWA3E、こちらはネットワークアナライザだ。エイリアスを使ったりと色々な工夫があり測定周波数をすぐコンバージョンダウンしてADCに入れるんだったかな。ナットワークアナライザの場合は想定すべき周波数が分かっているので狭帯域なADCを使う事が出来るが、スペアナの場合は高域のスキャンをする必要があるので少々難しい。

◆ 日本にも海外にも基板やキットや半完成品などを配布している人が居る。配布の場合は殆ど商売になっていないと思うので、それら測定器の類を入手したい人にとって頼もしい存在になる。VNWA3Eと考え方は近いと思うものがこちらだろうか。GigaStがアナログ系の無線機と言った感じなのに対してAPB-1はディジタル処理で行う的考え方だ。

◆ スペアナの場合にディジタルIFとするにしてもIF周波数を余り下げるわけには行かない。広帯域の受信を行うにはIF周波数を余り低くは出来ないのだ。IF周波数を高くするとディジタルフィルタの演算が大変になる。FFTで行う手も勿論あるのだがスペアナ屋さんはFFTアナライザとスペクトラムアナライザを明確に分けている。なのでディジタルIFを使うにしても帯域フィルタをディジタルで構成してそこに信号を通す。

◆ ディジタルフィルタがCPU演算で出来ればいいが、IF周波数によっては積和演算の時間が足りなくなる。
DSPを搭載するとなれば回路機微も部品コストも大きくなり低コストでの配布から乖離してしまう。
性能を上げる事は可能なのだろうが、又割り切る事も大切なのだ。この辺りは設計者として葛藤があるに違いない。


周波数標準(3)(12/2)
◆ TCXOもOCXOもそこそこの精度のものはそこそこの価格だ。だったらルビジウム発振器を買った方が良いんじゃないのと言う話が前回までだ。ルビジウムは安定度が良いので一度校正すればあとはそのまま発振させておけばいい。
ルビジウム発振器をGPSでロックさせる機器もあるのだが、一般的にはそこまでは要らないと思う。

◆ これでは話が終わってしまうのだが、終わってしまっても良いのではないかという感じ。
だがヤフオクを見ていたら中古のOCXOなどが出ている。OCXOとされているものはそこそこの値が付いているのだが、測定器の解体品は安い。
基板で売られていたりユニットで売られていたりするが、千円とか2千円位で買える。

◆ 基板によってはPLLデバイスの乗っているものもあり、これならば位相比較器などがそのまま使えたりして。OCXOのメーカはNDKなどなのだが品番が分からなかったりメーカ納入品番だったりするので仕様が分からない。外した測定器が分かれば測定器の仕様から推測する事が出来る。

◆ 問題は周波数のコントロール端子が付いているか否かで、トリマによる周波数調整型のOCXOもある。それが使われていた測定器をよく知っていればリファレンス周波数の調整の仕方で分かるのだが、その測定器が手元にでもない限り覚えていないかも知れない。

◆ ただ千円とか2千円でOCXOが入手出来るとなれば、それをGPSクロックにロックさせるのもちょっと面白い感じがする。一時期かなりの量が市場に出てそれが中古となって出回ったアンリツのMG3670系の解体部品も見かける。故障品などは値が付かないのでバラバラにして売るわけだ。

◆ MG3670は通常品のTCXOかOCXOでも温度安定度で0.05ppmだ。オプションは3種類設定されていてOCXOオプション01の温度安定度はオプション無しと変わらず、オプション02は0.015ppm、オプション03は0.005ppmとなる。周波数の電圧制御が可能かどうかは分からない。

◆ こうした解体品が常に入手可能だとも言えないのと中古でもTCXO単体として売られているものは結構高い値段が付いている。OCXO単体だと仕様などもハッキリしているので値が付きやすいのだと思う。周波数も10MHzだとか2のn乗になっていると高いのだが、半端な周波数だとかなり安く買える。

◆ GPSの1PPSにロックさせるだけなら分周出力が1Hzになればいい。ただ測定器類の基準クロックとして使う事を考えると10MHz(一部測定器では13MHz辺りも入力出来る)が望ましい。
測定機解体品のTXCOなりOCXOがあれば買ってみようかなとは思っている。

◆ 基準発振器があればあとは分周器と位相比較器があればPLL回路を組めるが、基準発振器の周波数制御端子にかける電圧によってはオペアンプなどでドライブしなければならない。解体品を入手した場合に周波数可変端子の印加電圧がどの位なのかも気になる所だ。一般市販OCXOなどの周波数可変範囲は±5ppm位なので、周波数制御端子に電圧を加えて周波数を測ってみればだいたいは分かる。ただオーブンや発振器への印加電圧が何ボルトなのかは分かりにくい。12V辺りが多いのだが5Vのものが無いとも言えないし15Vのものもある。


ヤフオク(12/1)
◆ ヤフオクに出品しようとすると「かんたん取引」で出品しろみたいな画面に覆われる。最初だけ出るのかなと思ったら、出品しようとする度にその画面が現れるようだ。あれってその時だけだったのか?今でも続いているのか。
かんたん取引は送料通知の必要のない取引なので全国一律料金などで出品しているショップなどだと採用しやすい。

◆ ただその場合でも沖縄を除くとか北海道を除くと記している人もあるので、完全一律でないと駄目っぽい。出品者の住所も落札者の住所も分かるのだから、予め出品者が都道府県別の送料テーブルを入れておくようには出来なかったのだろうか。それともヤフー関連運送システムを使えと言う事なのかな。

◆ 運送と言えば楽天に出品すると楽天と契約している運送会社と契約が出来る。しかしタダで契約出来ると思ってはいけない。運送会社が出してくる価格に楽天代が乗せられている。例えば運送会社の出す見積もりが500円だったとする。
これに楽天代が100円乗せられてショップ側は1配送600円になる。しかし購入者から集金した額がそのままショップに入ってくるわけではないので、ショップに入るお金を1配送600円にする為には利用者からは700円位取らなければならない。
楽天はこうして二重にカネを取る、実にあくどいやり方なのだ。

◆ 楽天で店を出して楽天のあくどさやずるさを実感するとヤフーがきわめてマトモに見えてくるから不思議だ。ソフトバンクの中でもヤフー関連は意外に真面目っぽい所もあるが全てではない。
孫さんの息がかかっているのだから何かと詐欺っぽい所がある。

◆ しかしそんな詐欺まがいの孫商法さえ霞んで見えるのがムッツリ三木谷商法である。とにかくずるい、あくどい、暗いと来ている。以前にも書いた事があるが孫商法を詐欺まがいだとすれば三木谷商法は霊感商法みたいなものだ。孫さんのやり方は狡賢いみたいな所もある。しかし楽天は孫商法ほど頭は使っておらず、騙すのではなく洗脳だ。
騙すにはそれなりのテクニックが必要なのだが、そんなアタマは楽天にはない。

◆ 結局年寄りを騙すかのごとく、何も知らない出店者からカネをむしり取っている。楽天、ソフトバンク、DeNA、野球チームを持っている企業はロクなものではない。
と言う話ではなかった、ヤフオクだった。あのかんたん取引画面が毎回出るのは何なんだろう。同じ出品者に何度も見せたって広告効果はないだろうし、もしかしてかんたん取引を申し込んだ人にも毎回あれを見せているのかも。

◆ こうした作りの部分の弱さはヤフーの弱さでもある。
それはショップ関係のシステムを見ても分かるのだが、もう少し頭を使えよと言いたくなるような不便さがあちこちにある。楽天でさえ出来ている事がヤフーには出来ないのが現状なのだ。
ソフトバンクグループはカネがないから仕方がないと言ってしまえばそうなのだが、来期からはもっと設備投資を減らすと言っているし大丈夫なのかなぁ。
サポートやメンテ要員も減らしたりしているらしいのでサポートの質も悪くなるし障害復旧も遅くなる。
モバイル事業はどこかに売ってしまって健全スタイルに戻した方が良いのではないだろうか。
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