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過去の雑記置き場


基板(2/1)
基板(2)(2/2)
基板(3)(2/3)
昔の少年(2/4)
基板(4)(2/5)
ジャンクが高い(2)(2/6)
ジャンクが高い(3)(2/7)
容量計(2/8)
金田式(2/9)
窪田式(2/10)
Lを測る(2/11)
DE-5000(2/12)
楽天店(2/13)
ジャンク屋(2/14)
モータアシスト(2/15)
MG3670(2/16)
53131A(2/17)
53131A(2)(2/18)
異物混入(2/19)
伝搬(2/20)
好き嫌い(2/21)
年払い(2/22)
燃費グッズ(2/23)
複合機(2/24)
川崎(2/25)
オシロ(2/26)
電卓(2/27)
品種改良(2/28)


品種改良(2/28)
◆ 葛西臨海水族園でマグロが死んでしまったと報じられたのは先月だったか。マグロの養殖技術も徐々に確立されてきて、商用レベルに達してきている。大型の魚でありしかも常に泳がせていなければいけない、周囲の明るさや餌の状態などの急変でパニックを起こすなど養殖や飼育は難しいようだ。

◆ いわゆる家畜の類は交配などにより品種改良が進んだ。牛にしても豚にしても飼育しやすく商品価値の高まる方向で改良が加えられる。
この点からすると魚も品種改良が起きても良い。魚によっても寿命は異なるのだが世代交代の早い魚は品種改良の速度も速くなる。

◆ マグロに新たな品種が生まれるのかどうかは分からないが、神戸牛に代表される牛のようなブランドマグロが出来たりして。
マグロが高値になった事で回転寿司屋などではサーモンが人気になったが、今度は世界的はSUSHIブームでサーモンの消費量が増えて相場が上がったという事態になっている。

◆ 以前にも書いたが100円系の回転寿司店はネタもしゃりも小さいのでサラの数が多くなり結局安くない。100円形回転寿司屋で20皿を食べるのは不可能ではないのだが、中級店で同じように食べろと言われるとかなり厳しい。

◆ たまたまその時の腹の減り方だとか体調だとか食べる品物による差も多少はあると思うのだが、私自身何度も繰り返し様々な店で食べているので蛍光としてはそうだと思う。スシローだったか、原価率50%だと宣伝しているのだが実際には安くはない。

◆ 他の回転寿司屋の原価率がこれよりも高いとは思いにくいが、スシローに比較すると美登利寿司や銚子丸の方がパフォーマンスが良いのだ。
確かに女性や子供にしてみるとネタが小さく色々なものが沢山食べられるのが良いとなる訳だが、腹を減らしたおじさんが昼食に寿司でも食うかと考えた場合は割高になってしまう。

◆ 寿司ネタは様々なのだがこの先徐々に養殖物が増えてくるだろう。養殖の方法は色々だとは思うのだが純天然の資源は限られている。特に中国は国民の数が多い事もあって世界中の資源を食い尽くす勢いだ。海洋資源やエネルギ資源の事などもあろうが南シナ海の不法占拠や周辺諸国との衝突、東シナ海でも同様に侵略を開始してきている。

◆ 珊瑚密漁に見るように中国人に常識や法律は通用しない。カネになると思えば何でも行う文化がそこにあるわけだから、例えば中国で鯨が高く売れるとなったら世界中で鯨を捕りまくるだろう。

◆ 特に日本近海は狙われやすく、それは日本の警戒態勢が甘いからだそうだ。ロシアや北朝鮮近海に近づけば射殺される可能性も高いが、日本は自由にやらせてくれると。

◆ こうした中国から資源を守るためにも養殖は必要になる。勿論養殖技術だってすぐに真似されてしまうとは思うのだが、中国が養殖に注力すれば世界の資源は守られる。


電卓(2/27)
◆ 電気式の計算機が出来る以前は機械式の計算機を電動駆動していたのだそうだ。
手回し式の計算機は5を加算するというのは5回転させるみたいなものかな。数値を設定するための仕組みや桁の設定もあるのかな。手動計算機にも様々な方式があったようだが余りよく知らない。

◆ 電気式の計算機の時代になると、最初はリレーで論理回路が組まれ、やがてパラメトリック論理回路が日本では使われた。
パラメトリック論理回路はフェライトコアで出来ていたものだそうで、リレーよりも高速で動作するって、固体だから当たり前な気がするがそのようなものだった。
コアというとコアメモリーが思い浮かぶ。
コアの中に線を通すというか編まなければならないので製造工程が大変だった訳で、NTTかどこかがその編み方か構造の特許を持っていたとか何とか。

◆ 何故日本でしか使われなかったかというと、日本で発明されて世界に周知されなかったからではないか。固体論理回路としては動作速度も速くはなく、高速動作させようとすると電力を消費して発熱したそうで数十KHzが限界だったらしい。

◆ 早川電気(現シャープ)は1964年に世界初のトランジスタ式電卓を発表した。500個以上のトランジスタを使ったとされるが、500個で作れたのも凄いなと思う。
その後キヤノンがキャノーラという名称の、今ならサラダオイルの名前だよみたいなトランジスタ式の計算機を作っている。

◆ 価格は大卒新卒者の給料の2年分位だと言うから相当に高額なものだった。だがそれから10年もしない1972年にカシオはカシオミニを発売する。定価12,800円は庶民にも手が届くとあって大ヒットしたようだ。この電卓だったかどうか記憶が定かではないのだが、3桁だか4桁を切り替えて表示するシロモノを見たことがある。

◆ 当時の電卓は蛍光表示管が主流でLED式は未だ少なかったと思う。LEDはTIの電卓などで使われていたが凄く小さな発光部の前面にレンズが付いたような構造だった。セグメントの大きさが3mmくらいな感じで、その1つのセグメントに3つ位のLEDチップが使われていた。

◆ シャープは液晶の採用を開始する。今でこそ寿命が長くなったが当時の液晶は紫外線などによって特性劣化した。そのため紫外線をカットする為に黄色いフィルタが使われていた。
液晶は安定製造も難しくコストもかかったのではないかと思うのだが、その頃からの液晶に対する技術開発がその後に続いたのだと思う。

◆ 電卓が一般化してからは各社が電卓事業に参入した。関数電卓やプリンタ付きの電卓、プログラム電卓など様々な機能を持ったモデルが登場した。その頃には電卓機能付きの電子手帳みたいなものとか電子辞書など電卓本来の機能以外にも便利機能を搭載するようになる。

◆ なのだが、競争激化で最終的にはシャープとカシオになってしまう。電気屋さんは余り複雑な計算はしないのだが、それでも公式の入力された計算ソフトなどを使った方が気軽で便利だ。
今やスマートフォンも電卓になる訳で、デスクの上に置くものは四則演算だけで良いやみたいな感じではないだろうか。


オシロ(2/26)
◆ 以前に安価なオシロの話を書いたのだが、その購入理由が改造にあるというのが面白いというか何というか。
安価系だとUSBオシロがあるよというメールも頂いた。ディスプレイをPCに任せることで大画面で豊富な演算機能や高速書き換えなどを行う事が出来る。

◆ メモリにしたって事実上無限にある訳なので、勿論アクセス時間の関係があるのでリアルタイムでの取り込みには限界があるがメモリレコーダ的な使い方も出来る。
種類も結構色々あって200Msps以上のサンプリング速度や16ビット以上の分解能を持ったものなど用途に応じてという感じ。

◆ PCの画面を使うのでPCがそばに無ければいけないとかの制約は受けるのだが仕方がない。
ハードウエア開発用に安価なノートPCでも用意しておけば便利に使えるし、これも以前に書いたオーディオゼネレータやFFT(FFTはUSBオシロでも出来る)もインストールしておけば結構便利だったりして。

◆ オシロはスタンドアロンでは動かないが、ノートPCごとを一台の測定器としてみれば意外に欲張り測定器になってくれる。オーディオインタフェースもUSB接続のものにすればノイズその他も抑えられる。
USBオシロはPCとGND電位が同じになってしまうので使いにくいという人も居るのだが、スタンドアロンのオシロでもGNDをフローティングで使う事は多くはない。

◆ 平衡で見たければ2CHのプローブを使ってその差分を見るべきである。GND端子をどこかに接続したとたんに火花が飛ぶというのは嬉しくないが、この辺りは仕方ないかも。あるいはUSBオシロでもGND側がフローティングになっているものだってあるかも知れない。

◆ PCの画面で波形と言うより情報が取れるメリットは大きい。下手なオシロよりもPCのCPUパワーの方が大きいのだから演算にしても何にしても高速に実行出来る。ハードコピーにしても何にしても簡単にできる。高精細な(USBオシロのハードウエアにもよるが)グラフィック描画が出来るなど、少なくとも画面品質はスタンドアロンの高級機にも勝るのだ。

◆ 私はどちらかというとスタンドアロンの方が好きなのだが、この辺りは好き嫌いの問題かも。スタンドアロンのオシロをGPIBやLANでコントロールするのか、オシロのアナログフロントエンドをUSB接続するか、みたいな。

◆ そういえばHPにも処理部分とアナログ部分が分かれた測定器があった。処理部なブラウン管が付いていたのでそこそこ大きく、アナログフロントエンドも大きかったから2つ合わせるとかなり大型の機械になった。たぶんアナログフロントエンドを交換すると別の測定器に変身したんだと思うのだが私は使ったことがなかった。

◆ ディジタル解析の可能なアジレントのスペアナ、LANか何かでPCと接続出来るのだが、変調解析にしても何にしてもPCで行った方が高速なのだ。
スペアナ自体もWindowsベースだったか、いやあれはunixの頃だったかな。とにかく汎用OSみたいなものが動いていたので立ち上がりが遅かった。

◆ 朝出社したら全ての測定器の電源を入れて回る習慣?のある所は良いが、省エネ云々もあって測定器はそれを使う時電源を入れましょうなんて感じの所だと立ち上がりが遅いのは何とも気になる。


川崎(2/25)
◆ 川崎市というとどうしても京浜工業地帯をイメージしてしまう私なのだが、これは以前にも書いた山側の方のお話である。
今は死語と化してしまったトレンディドラマが全盛の頃、川崎と言ってもよみうりランドつまりは東京都に近い側のエリアがその舞台となった。

◆ 駅からは少々離れているがなだらかな丘を切り崩しながら宅地化したエリアはさほど利便性が良くない事もあり、広い土地がそこそこの価格で手に入った。
しかしドラマの舞台となってイメージが向上し、郊外の広い家や広い庭、洒落た作りの家が並ぶそのエリアに住みたいと思う人が一気に押し寄せた。
最近では家政婦のミタの撮影が行われた事で再び脚光を浴びたのだが、あんな良い街が何故不人気なのかと疑問に思う人も居たとか。

◆ そんなブームもブームでしかなく、それが去れば郊外の普通の不便なエリアに戻ってしまう。これはチバリーヒルズでも同じで、特にチバリーヒルズは物件や土地価格が高い事もあって悲惨な事になってしまった。

◆ 川崎の百合ヶ丘の方はチバリーヒルズ的町並みではないから普通の人が普通に住宅として利用出来るが、エリア全体の高齢化や空き家化と空き地化、土地を分割して売る事の出来ない規制などもあって人口減少となる。人口減少は商店街を不活性化させて利便性が失われ、それはさらなる人口減少を誘発する。

◆ 戸建てエリアよりも深刻なのはマンション群で、これは以前に書いた状態よりも更に悪化しているという。マンションは駅から近いなどの利便性を買うみたいな所があるわけで、駅からの距離にすると戸建て群のもっと奥にあるそこは人気がない。発売当初は人気のエリアでしかも高層、周りに高い建物がない(畑などは沢山ある)ので西には富士や丹沢の山が見え、東には都心の明かりさえも見えるみたいな感じだった。
階数や広さによっても異なるのだろうが平均売り出し価格8千万円とか9千万円の物件である。

◆ そのマンションの部屋が全部売れないうちに川崎のそのエリアのブームは去り、そしてバブル崩壊と共に価値は一気に下がる事になる。高価格で買った人々は値引き販売を阻止したが、それは居住者数の減少を許す事になった。居住者数の減少は管理費の減少であり、十分な管理が行えなくなる。
多少でも余裕のある人や投資目的で買った人々はさっさと損切りして手を引く。残るは膨大なローンを抱えしかもそれを払い続けられる人だけとなる。

◆ マンション群での居住者数の減少は近所の商店街にも影響を及ぼし、並んでいたオシャレなお店は姿を消す事になる。買い物に行くにはバスで駅前か、その途中のコンビニを目指さなければならない。
マンションを今売ろうとすると1千万円台、購入から20年以上が経過した事もあって手放す人が増えている。

◆ 住宅戸数が一定だとすれば人口減少は住宅価格を下げる方向に働く。住宅平均価格が下がれば人々は利便性を求めて都市部に集中する事になり、かつてのベッドタウンは過疎に悩まされる。


複合機(2/24)
◆ 歪率を測る実験でオーディオソースにESG-Dを使った。ESG-Dは250KHz〜3GHzまでのディジタル変調対応SGなのだが、LF OUTとして0.1Hzから50KHzまでの出力が可能だ。
波形はサイン波や矩形波、三角波やランプ波、パルスやノイズなどが出せる。手元のESG-DはUNDオプションが搭載されているので、内部のRAMにパターンを作れば任意の波形を生成出来る。

◆ SGのSG以外の機能としてはBERテスタもあるが、これはハードウエアオプションなので手元のESG-Dには内蔵されていない。
アナログ受信機の感度を測定するのにS/N比を測るように、ディジタル受信機ではエラーレートを測る。BERはビットエラーレート、FERはフレームエラーレートだがSG単体としてはBERしか測れない。

◆ BERにしても厳密に言えばフレームの中のデータ部分(トラフィックチャネル)だけを測る場合も多いのだが、SGはプロトコルまでは理解しないので連続送信によるBERしか(単体では)測れない。
ESG-Dの場合は各種通信規格のソフトウエアオプションがあり、これを使用するとトラフィックチャネルにM系列符号を乗せる事が出来るのでバーストによるBERも測れる。

◆ BERはトラフィックチャネルにランダムな符号を乗せる。通常はPN9あたりが使われる訳で、それをBERテスタ側はデコードして誤りを見つける。
PN符号は繰り返しなので、まずは同期を取ってから符号誤りを見つけていく。ランダムと言っても長周期で見れば繰り返し符号なのだ。

◆ BERテスタは単体でも存在するが、最近では他の機器に内蔵されるケースが増えてきている。ちなみに光通信などでは相当な伝送速度になるのでBERテスタもそれなりの速度で動かなければならない。
テストする符号系も専用機だと様々な設定が出来るしテスト時間など(マイナス3乗まで見るとか、9乗まで見るとか)の設定自由度も高い。

◆ アマチュア無線でもディジタル通信が行われるわけで、もしかしたら受信機性能やモデム性能を測りながら感度改善に取り組んでいる人が居るかも。
アマチュア無線家の狭いシャック(貧相な小屋の意味)の中に置くには複合機は有り難い。BERテストをするためにはその符号を送出するためにSGが必要なので、そのSGでBERが測れるのは理にかなっている。

◆ ユニバーサルカウンタで電圧が測定出来、ディジタルマルチメータで周波数が計測出来、確かに桁数は物足りないのだがディジタル化の恩恵である。
オシロスコープにしても波形観測の数値が出るのが当たり前で、チャネル間の演算なども普通に出来てしまう。安定化電源も電流変化をグラフで表示する。パワー計もパワー変化をグラフで見ることが出来てTDMAなどの出力変化も計測出来る。

◆ 安定化電源の電流グラフ表示は有り難い。電流測定だとリモートセンスしたりしないと電圧降下があるのと、例えばスタンバイ電流がμA単位で動作時電流が数アンペアに達するような機器の場合はそれを測りにくい。これも、それら機能を持った電源ならば苦労なく計測することが出来る。


燃費グッズ(2/23)
◆ 燃費グッズと言えば磁石という時代があった。それ以前にはアルコールか何かを吸気管負圧で吸わせるようなものもあった。点火系の強化グッズもあったが、これは排ガス規制が今のように強化される以前には効果がなかったとも言い切れなかった。

◆ 燃費グッズに熱心な、いや熱心だったN氏はどうしているだろう。氏のお得意はトルマリンだった。トルマリンに傾倒するきっかけはSEVだったのかも知れないが今となってはよく分からない。SEVは放射性物質だという話だが、実際に計ってみると何と言う事はなかった。

◆ トルマリン自体は放射性物質ではないと思うのだがよく分からない。N氏はSEVを真似たのか金属板でトルマリンを挟むなどの工作を行っていた。金属板も反射板と称されるものと反射ではない?金属板に分けられているようで、何を反射するのかという問いに対して「放射線」だと答えた事があったが、物性的にそれが否定されると「エネルギ」と曖昧な回答になった。

◆ このトルマリンと金属板を積層したものを吸気管やラジエータホースに巻くと燃費が良くなると言っている。燃費は良くなると言っているがその理由や理屈に対しては一切語っていない。まあ何だか分からないけど燃費が良くなったみたいな事が昔はあったのかも知れない。かまいたちみたいなもので。

◆ 磁石にしてもトルマリンにしても何かを変化させなければ燃費は変化しない。燃費グッズ屋が言う事にクラスタ論がある。これはガソリンだけではなく水に対しても言われる事で健康に良い水なんてものが出来上がる。
この辺りは水商売で検索すると色々出てくる。
クラスタ論はデカい塊を燃やすよりも小さな粒の方がよく燃えるというものなのだ。

◆ ではガソリンがデカい塊になっているのか?その塊を殆どエネルギを使わずにぶっ壊す事が出来るのかを考えると、その理屈に整合性がない事が分かる。
エンジン内でガソリンが燃焼しにくい状況が起きれば排ガスの有害成分が増える。燃費のためと言うよりも排ガス浄化のために不完全燃焼は許されないのだ。

◆ 以前にも書いたが空気を電離したら良く燃える論もあるのだが、ガソリンエンジンの吸気量に見合う電離を行うためには、車に積めないほど大がかりな装置が必要になり、大電力を消費する。そしてそれが実現出来たとすると排ガス中の窒素酸化物量が増大すると思う。
何かを行うためにはエネルギが必要なのだ。

◆ 磁石にしてもトルマリンやSEVにしても、まるで触媒作用のようにガソリンや空気の物性を変化させようとする錬金術だ。
とは言っても未知の理論があるかも知れないという期待を込めて色々な実験を行った事もある。吸気抵抗低減グッズはスタティックなテストをしたがなんの変化もなかった。グッズ屋さんに言わせればエンジンにしか効かないとなるのかも。

◆ 最近だとコンデンサが流行った事がある。電気を知っている人からすれば全く意味不明なのだが、これでも商売になるとすれば売る人が増える。アーシングなんて言葉が作られたものに関しても、まあ電圧降下を多少減らす効果くらいはあったのかも知れないがそれが何なのという感じ。


年払い(2/22)
◆ 様々なサービスに関して年払いを行う事の出来るもの、年払いしか受け付けていない所などがある。
以前にBlogでも触れたがさくらインターネットは年払い契約だけだったかな。これは良いとして、契約更新時に消費税増税分を遡って徴収された。年払いとは一体何なのか。

◆ もう一つ一貫性を感じないのは、契約を継続する場合は消費税差額分を徴収するが契約を継続しない場合は追加請求しないという。
解約するものに対して再請求すれば文句を言われるが、契約継続するものに対してなら請求が容易だからという理由だろうか。

◆ この後から請求してくる件は財務省が悪いと言ってしまえばそうなる。財務省は売り上げ時期にかかわらず(おおざっぱに言うと)年間売り上げを12等分して、その9/3を消費税額8%で払えと迫る。企業や店舗によっては消費税増税前の駆け込み需要で売り上げが上がったケースもある訳だが、そこからも消費税増税分を取ろうとする。

◆ これが物品販売など仕入れと販売時期が明確であれば反論も出来ようが、継続したサービスなどでは税務署に押し切られる。店や企業は「今月中に加入すれば消費税増税分お得です」として加入者を集めたとしても、集めた以上の税金を徴収される事になる。で、結局それを再請求するから、駆け込み加入した利用者から文句が来る。

◆ スマートフォンなどの割賦販売はどうなるのだろうか。税務署の事だから月割りにして課税しようとするだろう。
金券やポイントなどの扱いの問題もある。ビール券だったか他の金券だったか忘れたが、消費税導入での混乱を避けるためにビール本数ではなく金額表示にしたとか聞いた事がある。

◆ ビール券ってビールを買う権利を買ってその証書を貰っているようなものだ。基本的にはビール以外には使えないのだから。だとするとそれが消費税の影響を受けるのはおかしい。
財務省は自分たちが法律だと主張するので何でもやり放題である。が、余りに酷い事をやって訴えられると裁判で負ける。

◆ ポイント課税問題にも過去に触れた事がある。
ヨドバシカメラなどのポイントは値引きか売り上げかというもの。たとえば10%のポイント還元の場合で、1万円の品物を買うとヨドバシに入るのは9千円でポイントが千円分貯まる。
利用者からすると購入したものからポイント分だけを貯金しているような感じになるのだが財務省は1万円の売り上げに違いないのだから、その全てを売り上げに計上して税金を払えと迫る。

◆ これはポイント失効率の分だけ課税を増やしたいからだ。同じように放置された少額預貯金を国庫に入れる事も銀行に迫った。顧客から返還請求があればお金は返すそうだが、とりあえず国に寄こせと持って行ってしまう。

◆ アベノミクスが失敗して国債が暴落とか、過度のインフレになれば預金封鎖くらい平気で行うだろう。預金封鎖は過去に行われた事がある。
何が何でも予算規模を大きくし続けようとする財務省は、出口に見合った入り口がないのだから借金を増やす以外にはない。そうしないと公務員宿舎が建設出来なくなる。
今年はさらなる福祉切り捨ても行われる訳で、消費税増税によって国民は生活が苦しくなるだけの感じがする。


好き嫌い(2/21)
◆ 好き嫌いと言うよりも慣れ不慣れといった方が良いのかも知れないが、計測器類はメーカによって操作方法というか操作感が異なる。
比較的一貫性のあるメーカが多く存在するのに対して、一時期のアンリツ製は発売時期が同じであるにもかかわらず操作方法が異なっていて使いにくかった。

◆ スペアナは項目選択にカーソルキーを使うのにSGはダイヤルでセレクトするみたいな、スペアナにもダイヤルは付いているのだがそれは周波数設定用にしか使えないといった感じ。何かの設定を変更するのにSGは項目を選んでダイヤルを回す、スペアナはカーソルキーを押す。SGだったと思うのだがパネルを消灯する設定があった。ディスプレイを守るためではなくELパネルからのノイズを消すためだとか。だったら液晶(スペアナは液晶だった)を使えばいいのに。

◆ メーカにはメーカの設計基準やUI基準があって、それに従って作られていくのだと思う。
操作部分の設定多様化とディジタル処理化によって、一時期ボタンの少ない測定器が増えた。しかしこれは使いにくく、一つの操作を行うために何度もボタンを押さなければならない。アジレントのオシロはボタンが少なく、テクトロは個別にボタンが付いているという感じ。

◆ テクトロでもボタンを減らして選択方式になったものもあるのだけれど、これってコストダウンのためだけの意味しかない。
CH1の操作をする時にはCH1を選択してオフセットやゲインを調整する。CH2を操作する時にはCH2を選択する。
普通のオシロはチャネルごとにゲインやオフセットその他の調整つまみが付いているのに、なのでこのタイプは使いにくい。

◆ オシロに関してはアジレントは操作性自体が他社と異なっているので戸惑う事も多かった。国産のオシロはテクトロの真似みたいなもので統一感があった。
アジレントのオシロ操作性に関する苦情?は多かったようで、徐々にテクトロ風というかスタンダードな感じに変更された。

◆ スペアナは昔のアンリツはHPの真似だったが最近はオリジナルになっている。アドバンテストは独自性が高くフィルタのシェイプファクタも普通とは異なるので私は余り好きではないのだが、アドバンテスト以外は使いにくいと言う人も居る。

◆ カウンタやディジタルマルチメータ、特にカウンタはアジレントは階層が深いので操作しやすいとは言えない。アドバンテストや岩通はワンボタンで操作が直感的だ。ボタンが多いと分かりにくいという人も居るとは思うが階層が深いとその機能に到達するまでの操作が多くなるし、機能の全てをボタンには表示出来ないので分かりにくい。画面のあるものでソフトウエアキーになっているものだったとしても、何がどこにあるのかみたいな。

◆ 何がどこにあるのか分かりにくいのはAndroidOSだな。これに比較すれば測定器のUIは凄く良く出来ていると思う。iOSも増築が重ねられてはいるがAndroidよりは分かりやすい。もっとも機能がAndroidより少ないので、これでAndroidより分かりにくくなったらどうするんだ、みたいな。iPhoneは分かりやすく簡素で機能を欲張らない初心者向けという位置づけで良いと思う。
多機能はAndroidが好きにやってくれるのだから。


伝搬(2/20)
◆ はやぶさプロジェクトでは当初通信用にSバンドの利用が計画された。しかし総務省はこのバンドの免許を与えなかったためXバンドでの運用になった。何故Sバンドの利用を申請したのかだが、探査機側でみると送受信機の電力利用効率が、周波数が低い方が有利になる事がある。
また自由空間の減衰量が周波数に比例するので出来るだけ低い周波数を使いたかった事も理由だろう。

◆ ではXバンドでどの位の距離の通信が可能なのだろうか。はやぶさ側の設備や周波数や通信方式が不明なので想像の域を超える事は出来ないが、まずは送信出力、これは公開されていて20Wとなっている。アンテナは直径1.5mのパラボラだ。Xバンドと言っても広いのだが7GHz帯だとするとG=(πD/λ)^2で40dBi位のアンテナゲインは取れそうだ。

◆ 20Wの出力で40dBiだと200kW相当、83dBmになる。地上局のアンテナは45m〜63m級のパラボラだとしてゲインは70dBi以上取れる。大型のアンテナになると効率が多少落ちてくるので計算値より数dBは低くなる場合が多い。
受信感度は帯域比例なので計算が難しい。
理論感度はn0=10log10(kTB/1E-3)なのでBをどの位にするかだが仮に1kHzとするとn0は-144dBmになる。通信速度が2〜4kbpsとの事なので多値変調であれば1kHz帯域でも可能だが多値変調は復調器の理論感度が下がる。なので実際の受信帯域はもっと広いかも知れない。
さらにはNFと温度、それに復調器の理論感度が加わるので実際の受信機感度は-140dBm位になるだろうか。これにアンテナゲインを加えた-210dBmが地球局の感度だ。

◆ とすると空間損失が293dBを超えなければ通信が成立する。自由空間伝送損失って(4πd/λ)^2で良かったっけ。はやぶさは地球から3億kmも離れた位置から通信してきている。この時の空間減衰量は239dBとなり、S/N約54dBという十分な品質で通信が出来た事になる。
ただし宇宙空間に行くまでの大気中の減衰が加算されるのと太陽雑音/宇宙雑音や空間雑音の影響を受ける点で実際にはもう少し厳しくなる。感度改善の方向としては、例えば帯域拡散通信を行っているとすると拡散利得が取れるし地球局が複数アンテナを使えばダイバシティ利得が取れる。ダイバシティと言うよりも最大値合成みたいな事を行うと思うけど。

◆ はやぶさ2は地球から3千万km位の所を秒速約29kmで移動している。はやぶさ2にはKaバンド通信機が搭載されていて、これによる通信試験も完了したそうだ。Kaバンドは26GHz〜40GHz帯であり空間減衰量が大きくなるがアンテナゲインも大きくできる。ただしアンテナゲインを大きくする(大きくなる)と半値角が狭くなるので探査機の向きが(トラブルなどで)変わってしまった場合のリスクが高まる。

◆ このために中利得アンテナ、準無指向性の小利得アンテナが搭載されている。アンテナゲインが小さいとその分をどこかで稼ぎ出さなければならないので通信のデータレートを下げて受信帯域を狭くする事で感度を上げる。はやぶさの場合は256bpsと1bpsのモードがあったはずだ。帯域幅を1Hzとすれば1KHz帯域時よりも30dB感度が上がる。
なお地球局からの送信はパワーを上げられるのではやぶさ側の受信は(地球局より)楽になる。はやぶさ側の送信出力に対して地球局ならば20dBくらい高い出力も可能になる。


異物混入(2/19)
◆ 全国各地で見つかったマクドナルドの食品への異物混入、最初に発覚したのは人間の歯だったかな。
これに対してマクドナルドは「歯が抜けた作業者が居ない」と反論したが、発見者は「従業員やアルバイトの歯ではないかのような(会見での)コメントだが、私は虫歯は一本もない」と不快感を表した。

◆ これがマクドナルド一店舗のみであればうやむやになったのかも知れないが、続々と発見される異物でマクドナルドの信頼性は大きく低下した。
昨年にはナゲット事件も起きたばかりであり、管理システム的に問題があるのではないかと思ってしまう。

◆ では食品に対する異物混入率はどのくらいあるのかとなるのだが、これを0.1ppm以下にするにはかなりの管理体制が必要との事だ。
マックナゲットは2011年度統計で7億個の販売量なので0.01ppmの不良率は7個になる。
異物物混入率の低減の一つは自動化を推進して人間や昆虫などが製造工場に入らない仕組みにする事なのだが、完全無人化は難しい。半導体工場のクリンルームのような管理は、食品の原材料や製造された食品の搬出が頻繁にあるので難しいという。

◆ では混入した異物を発見する事は可能かというと、製造機器から作業員の衣服や手袋にも金属成分が含有されていて金属探知機で発見出来るようになっている。しかし作業者の毛髪や昆虫の混入は発見出来ない。
混入率の高いのは昆虫だそうだ、勝手に飛んで来て勝手に混ざってしまう。

◆ 昆虫を排除するための仕組みや入ってきた虫を除去する設備もあるが、それも完全ではない。
こうした徹底した管理を行っても異物混入が避けられない現状を考えたとしても、マクドナルドの酷さは何ともという感じ。製造過程での管理がされていたとしても店舗での管理がされていなければ駄目だ。不良アルバイト問題なども度々話題になるが、管理の徹底は労働環境の改善と合わせて行わなければ効果が出てこない。

◆ 個人商店などでは起きにくい事が大規模チェーン店で起きてしまうのは、作業者の管理と意識の問題だ。チェーン店の作業者はごく一部の作業に専念する場合が多いので顧客の顔が見えてこないし責任感も希薄になりがちだ。
それをカバーするのが作業手順書などの管理体制なのだが、管理する側の意識が低ければ管理にならない。

◆ 昨年スノボ遭難でニュースになった世田谷区の練子 夫妻とその知人の3人も「滑りたかったから嘘をついてコース外に出た」と語った。
これが暴走しがちな若者であれば分からないでもないが、45歳のオッサンと44歳のオバサンである。

◆ 河川敷の禁止エリアでゴルフクラブを振り回すのもオッサンだし、立ち入り禁止エリアで釣りをするのも同じくなのだが、そんな人間が食品管理の立場にあったとしたら業務は遂行出来るのだろうか。
彼らは自分の行動が法や条例に反する事を十分承知していて、それを行う事によって危険性が生ずる事も知っている。それでも何だかんだと理由を付けて好き勝手を行う。

◆ 食品のみではなく電化製品でも自動車でも建造物にしても、そんなオッサンが管理者だと思ったら怖い。異物混入でも検査不良でも、まあ良いやと見過ごすかも知れない。


53131A(2)(2/18)
◆ レシプロカル方式に関してである。レシプロカル方式は測定周波数の周期を測って逆数を取る。1Hzを測定する場合、周波数測定モードだと一定時間ゲートを開けて入力信号すなわち1Hzのパルスが何個入ってくるかを数える。なので10秒ゲートとしても10カウントにしかならない。

◆ レシプロカル方式では入力パルスの中にカウンタの基準発振器のパルスが何個入るかを数える。基準発振器が10MHzだとすれば1Hzのパルスの中には10000000個の基準発振器パルスが入ってくるので短時間で精度良く測定する事が出来る。この場合は測定周波数の周期を測っている事になるので、内部で1/xして周波数表示としている。

◆ 1Hzを測る場合に基準発振器が1MHzであれば1ppmまで、10MHzであれば0.1ppmまで測定出来る。つまり基準発振器の周波数を上げれば上げるほど測定精度が上がる事になる。
53131Aは500ps分解能があるので基準発振器の周波数は200MHzという事になる。基準発振器そのものは10MHzなので内部で周波数を上げている訳だ。

◆ 回路図を見てみると位相検波器とVCOの入ったデバイス(74HCT7046)がある。VCOの出力をそのまま位相検波器に入れるモードではVCO出力が10MHzとなり、VCO出力を1/2にするモードでは2倍、同じく1/10にするモードでは10倍の周波数になる。
基準発振器が10MHzだとすれば、設定出来るのは10MHz,20MHz,100MHzの3種類だ。

◆ だが、位相比較器への入力信号は外部基準クロック入力端子から接続されている。と言う事は、このVCOはレシプロカルカウントのためではなく外部基準クロックの周波数変換用なのか。
そう思って仕様を見直してみると外部からの基準クロック入力は10MHzの他に1MHzと5MHzも可能となっている。
通常のVCOにしては発振周波数範囲が広いなぁと思ったのだが、なるほど。

◆ 53131Aの1台目は外部クロックを入れると基準クロック出力にジッタがあった事は以前に書いた。
もしかするとこのVCO回りに異常があったのかも知れない。VCOのループフィルタ回りには定数変更の形跡が回路図に記されているので、調整された可能性がある。

◆ ではどこで基準クロック周波数を上げているのだろうか。基準発振器の出力はLGC CELL ARRAYに入っている。このLSIの中のVCOを使っているのか。クロックコントロール用のVCOはデバイスに内蔵されるのが普通で、CPUなどでも同様だ。
ちなみに53131Aに使われているCPUはMC68331である。

◆ と言う訳で基準クロック逓倍の仕組みは分からなかった。53131Aは汎用デバイスも多く使われているが主要部分はセルベースと思われるLSIになっている。
回路図があるのでディスクリート部分の故障ならばチェックは出来るが、LSI系の不良だとどうにもならない。

◆ 以前に電源不良の個体があった。ファンが回っていなかったので過熱で壊れたのかも知れない。電源ユニットは既製品のようで回路図が見つからなかった。症状としては+5V系の電圧が落ちていて、それは調整の範囲を超えていた。別の電源を接続すると動作したので故障部位は電源だけだと思う。


53131A(2/17)
◆ 53131AはGPS基準クロック実験でも使ったユニバーサルカウンタである。ユニバーサルカウンタなので様々な設定が出来るが、その一つにゲート時間の設定がある。ゲートとは入力信号を断続するためのもので、例えば1MHzの入力信号を1秒ゲートで測定すると入力パルスは1M(メガ)個入ってくる。

◆ 通常の周波数カウンタの場合はこのゲート時間を0.1秒とか1秒とかのキリの良い数字にする。周波数を直読するためには10のn乗にする必要があるからだ。だが53131Aではこれを任意に設定出来る。例えば1.1秒に設定すると1MHzはその1.1倍の1100000個のパルスとしてカウントされる。しかしこれを表示したのでは周波数を表示した事にはならないので内部演算で1.1で割る事になる。1.1で割るので表示は1000000になる、はずだ。

◆ レシプロカルカウントとするとちょっと動作が違ってくる。レシプロカルカウントとは入力周波数の1サイクルの中に基準クロックが何個入るかを数える方式だ。入力周波数が1MHzだと周期は1μsになるので、この1μsの中にカウンタ内部のクロック何個が入るかを数え、その逆数を表示する。レシプロカルカウントの場合はゲート時間という概念はなくなるのだがカウンタ的には入力信号とゲートのANDを取っている。

◆ 何故こんな事を考えたかというと、ゲート時間を1.1秒とか1.11秒とかに設定すると表示値の最終桁が安定しない事に気づいたからだ。
周波数カウンタの基準クロック信号を入力に突っ込むと相対値を測る事になるので、基準クロックの絶対精度に関わらず基準クロック周波数が測れる。1MHzを測るとすれば1000000(+または-1LSD)以外の表示にはなり得ない。
しかし実際に測ってみると1000000±3LSDあたりを表示する。

◆ 周波数カウンタは新品ではないから故障の可能性もあるのでもう少し検証してみる。ゲート時間を1.1秒にセットしたまま入力周波を1.1MHzにしてみると最下位桁のばらつきはほぼ無くなる。割り切れればいいと言う事なのか。確かマニュアルにゲート時間による測定の不確実性が載っていたような気がするのだが、それが測定周波数によるものだとは書かれていない。

◆ 普段は設定しないような中途半端なゲート時間に設定して気づいたのだが、演算誤差と言うよりも何かとビートが起きているようなばらつき方だ。たまたまビートを起こしやすい周波数を入力すると(例えばハードウエアの故障が)見えてくるとかそんな事だろうか。

◆ 1MHzを0.1秒ゲートで見ると最終桁は10Hzになるが、中途半端なゲート時間だとその10Hz台がばらつく。ゲート時間を1秒にすると最終桁が1Hzになり最終桁がばらつくが10Hz台は安定してゼロになっている。ばらつくのはゲート時間にかかわらず最終桁だ。
これまで何台かの53131Aを触っているのだが、少なくともその中の1台には同様の現象が見られた。他の個体に関してはそこまで操作していないので分からない。

◆ 53131Aは年式でファームバージョンが異なっていて何種類かある。これも、そこまで気にした事がないのでファームのバージョンによる違いがあるのかどうかは不明だ。ハード的に見て分かる違いはVFD用のDC-DCコンバータがメイン基板上にパーツが実装されているか、サブ基板がメイン基板に乗せられているかの違いがある。


MG3670(2/16)
◆ MG3670シリーズはアンリツのディジタル変調対応SGである。発売は20世紀なので古いと言えばそうなのだが、測定器の寿命を考えれば遺物と言うほどでもない。ただこのモデルは経年劣化による故障も多く、またアナログ変調がかけられない(外部IQ入力を使えば可能)事もあって中古は安価だ。

◆ アマチュアが使うには大きく重すぎるのも難点で人気はあまり無い。
このMG3670をバラす機会があった。何せ大きく重いのでどこから手を付けるか、みたいな感じだった。
上部や底部の脚を取り外して取っ手を取っても回りのパネルは外れず、いくつかのネジを外す必要があるが、単にネジがあるだけなのでそれを外すとパネルが取れる。

◆ 筐体はサイド部分がダイキャストの構造材で出来ていてフロントパネルとリアパネルはアルミ板だ。分解性はHPやローデシュワルツのSGよりかなり悪く、ユニットを抜くためには長いマイナスドライバが必要になる。
ユニットによってはネジにアクセス出来ず、底部の基板をそっくり外す必要があるのだが、この基板を外すにはシャーシに放熱されているトランジスタを外さなければならないなどで頭が痛くなる。

◆ ロジック系のボードは数枚入っているが、これはオプション構成などによっても異なる。時代を感じさせるのはEP-ROMが沢山乗っている事だ。基板のサイズはA4位あって結構大きい。
カスタム部品は余り多くはないがアンリツの名称の入ったデバイスも使われている。

◆ 無線部は大きく4つに分かれている。ロジック基板と抱き合わせみたいになったコントロール部分、フィルタと書かれたもの、ミキサやPLLと思われる部分と出力&アッテネータユニットだ。アッテネータユニットにはリバースパワープロテクションの検出回路やリレーなどが入っていた。

◆ 1stローカルはYIGが使われていて、これは単独でリアパネルに付けられていた。磁性体のドライバを近づけると漏洩磁界を感じた。
オプションでOCXOが搭載されていて、オプションの中では最も安定度の高いものだった。短期安定度はマイナス10乗まで行くし温度安定度も9乗に達する。

◆ シングルオーブンのOCXOは周囲温度の変化に反応するのだが、コイツは少々温度を変えても安定している。もしかするとダブルオーブンなのかも。ならばGPS基準の10MHz発振器に応用出来ないかと思ったのだが、残念ながら周波数調整端子がない。内部を開けてしまえば線を引っ張り出す事は出来るのだがそれはもったいない。
このまま電源に接続して250mAの電流を流しておけば安定な基準源として働いてくれる。

◆ RF部の各ユニットというか構造体はGHz帯の無線機を自作する人にとっては流用が可能だと思われる。少し大きすぎる感じはするがブロックごとの構成を採ればシールドは良く効いてくれるに違いない。

◆ バラバラにすれば質量は分散されるというか、一つ一つはそう重いものでは無いのに全体として組み立てるとずいぶん重くなるものだ。なお電源ユニットは大きいけれど軽いのでスイッチング電源だと思われる。
内部配線の多くはセミリジッドケーブルになっている。ローデシュワルツやHPのSGでも主要部分以外はフレキシブル同軸ケーブルが使われる事が多いのだが、MG3670には10本以上のセミリジッドケーブルが使われていた。


モータアシスト(2/15)
◆ 電気モータの力である程度の走行が可能なハイブリッド車はシステムが大がかりになるが、オルタネータをモータとして使うのならば簡単だ。既存の車両の変更点も少なくて済むしコストアップも限定的だ。ただし効果の程も限定的である。

◆ TV CMでもおなじみのSエネチャージは軽自動車にこの仕組みを組み込んだものだ。オルタネータをモータとして利用した時の出力は1.5kWとたいしたことはないが、従来より燃費を8%ほど向上させる事が出来た。
電力源にはLi-ionバッテリが搭載されていて電圧は12Vで3Ahと極小である。これでアシスト可能な時間は6秒なのだそうだ。

◆ 鉛バッテリから電力を貰えば30秒位はアシスト出来そうなのだが、鉛バッテリは充放電効率が良くないので効率が上がらないのだろう。
オルタネータをモータとして使うシステムは日産セレナにも使われている。こちらもオルタネータ出力は1.8kWと大きくはなく、燃費改善効果も4%に留まる。この辺りはハイブリッドだぞと謳いたかっただけみたいな気がする。

◆ オルタネータ/モータの出力を増加させる事は可能だがコストが上がる。一つは大きさが変わる事によってエンジン周辺のデザインと強度が影響を受ける事。もう一つは12V駆動の限界だ。
1.8kWだと12Vで150A程度となり、これを5倍にしたとすると750Aになるので配線や制御部なども考えなければならなくなる。ちなみに150A程度であればセルモータ技術の延長上で済む。

◆ ならば電圧を上げれば良いではないかとなるのだが、こちらはコストに効いてくる。バッテリは専用のものを搭載するので24Vでも48Vでも良いのだが12V系との連携を考えなければならない。
このオルタネータ/モータが始動まで担うとするとバッテリが上がってしまった時には12V系から昇圧する仕組みも必要になる。

◆ 勿論そうする事で燃費改善効果が著しいのならば話は別だが、これが意外に難しい。トヨタはクラウンで同様の仕組みを搭載したが、この時のバッテリ電圧は36Vだった。アイドリングストップ無しの車との比較では10%以上の燃費改善効果を謳ったが、もしも比較対象車がアイドリングストップ機能を持っていたとすると燃費改善効果は6%程度まで落ちたとも言われる。当時の記事でも燃費改善効果の中でマイルドハイブリッドシステムが稼ぎ出しているのは15%と言われ、残りの75%はアイドリングストップの功績だった。

◆ この辺りは燃費計測法の問題もあるのでハイブリッド効果をそれだけで判断する事は出来ない。
クラウンマイルドハイブリッドのオルタネータ/モータ出力は3kWだ。
Sエネチャージ車の一番分かる他車との違いは始動時の音ではないのか。アイドリングストップ付きの車は発進時にキュルキュルとセルの音を響かせるのだがオルタネータ/モータでの始動は非常に静かだ。

◆ 従来型のセルモータが不要となればその分のコストが削減出来るので、車両全体としてもコストアップが抑えられる。静かなエンジン始動、コストアップが抑えられてハイブリッドを謳えるあたりがメーカにとってのメリットでもあり、オマケに燃費も数パーセント良くなるとなれば小型軽量車を中心に採用車が増えても不思議ではない。


ジャンク屋(2/14)
◆ 今でこそヤフオクなどで様々な機器が入手出来るのだが、ヤフオク全盛以前には街のジャンク屋が入手元だった。私自身は余りジャンク屋巡りをする方ではなかったので詳しくないのだが、東京西部に杉原照会という店があった。

◆ 杉原照会は米軍の払い下げ機器などを扱うところで、価格は高めだったと思う。米軍放出の無線機などは意外に人気があって、これを改造してアマチュア無線用に使うなどしていた人も居た。
その杉原照会は後に杉原電子と名を変えるのだが、スパイ事件云々という話もあった。米軍放出品を集める中で得た情報を他国に流していたというもの。

◆ 当時のジャンク屋の名のまま今も残っている企業もあるが、いわゆる廃棄品をかき集めるビジネスからリースバックを扱うなどの多少綺麗な仕入れルートになっているようだ。
学生連中などはこれらジャンク屋でバイトをしたりジャンク屋巡りをしていた人間も少なくはなく、出物があると「こんなのが出ているけど買わないか」と連絡があったりした。

◆ なので面白そうなものがあれば買ってきて貰ったりもして、一時期はそんなジャンクの測定器が狭いアパートの一室を埋めた。
いわゆる完動品は余り多くはなかったが、激しく壊れていてどうしようもないなんてものも少なかった。周波数シンセサイザにしてもスペアナにしても直したりしながら使ったものだ。

◆ 大物だけではなく部品やユニットなども入手して、これは珍しいとか、これって新品だったら凄い値段なんだろうなみたいなものも部屋に転がっていた。
だがそれを何に使うのかというとそれは思い当たらず、いつか何かを作ってみようと思いながらも結局は引っ越しの時に捨てちゃったみたいな。

◆ 秋月電子にしてもジャンク屋みたいなもので、ジャンク屋と言っても小物パーツやユニットなどを安価に販売していた。
今は見かけなくなったがICが山ほど付いた基板、たぶんICを外して使えと言う事なのだろうが、そういった品物や製品の一部の部品などが数多く売られていた。

◆ ジャンク屋が廃棄されたものを売るのに対して秋月は不要在庫みたいなものを買ってきて売る、そんな感じがした。抵抗なども袋入りでまとめて売っていて、一般のパーツ屋が1本10円で売る所を100本300円とかの価格を付けていたのだが、数百本単位で仕入れると抵抗の1本あたりの価格は1円以下が普通だったので儲かったのだと思う。

◆ 秋月はアキバのジャンク界に変化をもたらし、数々の嫌がらせもされた。店の前に長い行列が出来て何事かと思ったら、店のシャッタに○月○日○時から□□を限定特価販売みたいな張り紙がされていたのだとか。もちろん秋月が張り紙をした訳ではなく秋月の存在を疎ましく思う同業者がやった事だ。何となくなれ合い的なアキバのジャンク屋業界とは少し毛色の違った店だったのである。

◆ 秋月はキットものにも力を入れ始め、今はいい年のオッサンになってしまった当時大学生だった彼はアルバイトでキットものの回路図を書いていた。


楽天店(2/13)
◆ 楽天出店に当たっての出店営業は月額料金が高額なプランを強力に勧めてきた。月額料金の高いプランは商品売価に対するロイヤリティが少なくなっている。楽天の出店営業は「必ず売れますから、月額料金が多少高くてもロイヤリティの安い方が絶対に得です」という。
なら、何故月額料金の高いプランが存在しているのかと聞くと「食品類など利益率が大きいお店はその方がお得です」というが、売れ方が一緒であれば利益率にかかわらず得か損かが決まるのだから楽天営業の言っている事は嘘だ。

◆ 楽天としては月額料金の高いプランに加入させた方が(売れなかったとしても)儲かる事になる。
そもそも出店してすぐ売れるなんてあり得ないと思っていたので最も安価なプランを選んだが、そのプランでは損だとか何だとかと散々言われた。楽天がそこまで言うのだから月額料金の安いプランは(楽天にとって)余程損なのだろう。
プリモトルテでは最も安価なプランを選んだのだが結果は正解だった。

◆ では無料のヤフーショップとどちらが儲かるのかと言えば、私はヤフーショップだと思う。確かにヤフーの客層は中高年が多いし客単価も安い。システムはボロだしエラーも頻発するのだが、何しろタダなのである。楽天のように何かをすれば必ず請求が来るみたいな汚らしい所がない。CSVによる一括データ処理も無料で使えるし、これを使えば商品登録の手間もかからない。

◆ 楽天で売り上げを上げるには広告宣伝費を相当かける必要がある。広告を出せば客は増えるが、転換率は2%位なので元は取れない。つまり売り上げは上がるが利益は出ないのだ。楽天としては売り上げから金を取っていくので利益など関係ない。赤字だろうが何だろうが売り上げが全てなのだ。

◆ もう一つはあくどくやる事。これは楽天色に染まれと言う事なのだが、レビュー数にしても売価や特価にしても自分たちで買ったりしながら何とでもしなさいと言う事なのだ。楽天ショップからものを買う側としてみているよりも出店側にいる方が楽天のあくどさはよく分かる。プリモトルテにしてもそうした楽天悪に沿って運営すれば儲かるのかも知れないのだが、なかなか出来るものでは無い。

◆ 普通のショップがなかなか出来なく、大手など儲かっているショップが平気で出来る事だからこそ大手が利益を上げる。大手ショップは楽天にとってもオイシイショップなので少々不正があったとしても見逃してくれる。悪いレビューが上がれば消してくれる。一般出店者には許されていない外部リンクが張れる場合もあるなどスペシャル待遇になっている。

◆ そんなスペシャルな出店者と競争するのは相当大変であり、1年限りで店を閉めるショップが年間出店者の3割を超えるというが、これは十分納得出来る数字だ。中途半端に儲かる、儲かるとは言えないものの利益が出ているとも言えないレベルならヤフーで頑張った方が良い。

◆ ヤフーにはヤフーの売り方があるので楽天と同じようにやっていても売れないのだが、プリモトルテはヤフーからスタートした事もあってヤフーと楽天の売れ行き差はさほど無い。
この時点で楽天の出店営業が言った「ヤフーと同じように運営して4倍、5倍の売り上げがあるのが楽天です」が真っ赤な嘘である事が分かる。


DE-5000(2/12)
◆ DE-5000は秋月扱いのハンドヘルドLCRメータである。これのODM版がAgilentのU1732Cと言う話もあるが定かではない。確かに外観や確度の値は似ているのだが、DSPベースのLCRメジャーメントデバイスが一緒なだけかも知れない。

◆ デバイスは可変周波数の発振器、DDSか単なる分周器かの交流電圧発生部と同時サンプリング(位相を見るため、S/Hかも)ADCが内蔵されたものだと思う。ADCの変換速度と精度の進化はあらゆる測定器のコストを下げた。100kHz程度までであれば特別なアナログフロントエンドなしにLCRメータが作れてしまう。1度ごとに位相を連続的に測るにしても36MspsのADCがあれば良い。連続測定する必要はないので実際にはもっと低速なADCで位相を測る事が出来る。

◆ DE-5000に関しては過去にBlogでもちょっとだけ触れたのだが、その価格の安さに驚かされる。
4.5桁の表示があって5,700円(消費税アップと円安で千円値上げされたのか?)なのだ。計測方法は位相差測定方式でコンデンサやコイルの容量と共に直並列抵抗成分も測る事が出来る。

◆ コンデンサではESRも直読出来るが最近のスイッチング電源用などの低ESR品を測るには表示桁数が足りない感じがする。tanδの方は桁数があるようなのでtanδを2πfcで割って求めるのが良いかもしれないが、そもそも計算結果の桁数が少ないと言う事はその元となる情報の分解能が低いのか。
測定周波数は100Hzから100kHzでコイルは1nH分解能で、コンデンサは0.01pF分解能で測る事が出来る。使用記などを見てみると1pFのコンデンサ容量もそこそこ正確に測れている。

◆ DE-5000には赤外線インタフェースがあり、数値をPCに取り込む事が出来る。PC側のソフトはこのページの中段あたりにDE-5000 PC Software Zipがある。赤外線-Serialアダプタはオプション設定されているようだがフォトトランジスタで受けてRS-232CのRxD端子に接続するだけなので自作も可能だ。

◆ DE-5000の赤外線送出部にパチンと嵌るようなものに受光部をセットしておけばワンタッチで使える。アタッチメントを少し大きめに作ってUSB-Serial変換とDC-DCコンバータまで入れる事が出来ればDE-5000への電源供給も(別途線は出てしまうが)可能になり、外部電源を使用するとオートパワーオフはDisableになるそうだ。

◆ DE-5000はDER-EE社と秋月電子が共同開発したと謳われている。思うにDE-6000の中身だけ、つまりプローブやACアダプタやハードケースを除いて本体だけを売っているのではないだろうか。
いずれにしてもディジタルテスタ内蔵の容量計よりはずっと"使える"計測器である事は間違いない。

◆ これを使用してバッテリの内部抵抗を測る話は過去にBlogで触れたのだが、バッテリテスタとしてだけしか使わないとしても十分に安い。バッテリテスタとして使えるのは抵抗を交流測定してくれるからで、しかも周波数も可変出来るのでバッテリを測るにも便利に使える。ただしバッテリは自ら電圧を発生するのでDCカットを行わなければならない。
DCカットしてもDE-5000側の入力抵抗が高いのでシャント抵抗を入れておかないとコンデンサのチャージが終わらない。


Lを測る(2/11)
◆ Cメータはコンデンサのインピーダンスを測る方方法が一般的だがLをこの方法で測ろうとすると、特にインダクタンスの小さなコイルは測定周波数を上げないと測れない。これはコンデンサの容量を量る時に1F単位のコンデンサが測りにくいのと同じだ。

◆ 高周波でドライブする事は可能だがそれを取り込むADCにも高速なものが要求される。
高速なADCは存在するが分解能は高くはない。分解能を求めようとすると変換速度が遅くなる。そこでミキシングダウンやダウンサンプリング、予め位相をシフトした信号とミキシングするなど様々な方法が使われる。

◆ 市販のLCRメータの多くは位相差検出方式になっていて、回路的にはブリッジのように組むものもあれば単純に電流と電圧をを測っているものもある。コイルの場合は周波数特性を見たい、周波数ごとのQが知りたい要求が多いと思うので、それらが測れないと魅力半減といった感じ。比較的大きなインダクタンスが必要になる1MHz以下の周波数では、コアや線材によるQの変化も大きくなる。

◆ 市販のL/CメータなどだとL/CやL/R発振器を構成して発振させ、その周波数からコイルのインダクタンスを求めるものがある。共振回路のCと共振周波数のfが分かればLは計算出来るからだ。発振周波数はインダクタンスとキャパシタンスの積の平方根なので周波数からインダクタンスを求める為には少々の演算を必要とする。

◆ 発振方式ではインダクタンスが分かるのみなのだが回路は簡単だ。ただコイルってヤツはコンデンサに比較すると(容量によるのも事実だが)直列抵抗分が大きいので、それを計測したくなる場面もあるだろう。

◆ チップコイルを交換しながら回路をチューニングしていて、その容量が分からなくなってしまう事がある。そんな時には既知のコンデンサをパラにくっつけてネットワークアナライザで共振点を見てしまう。共振回路の発振型Lメータはこれと同じだ。

◆ LにしてもCにしても小さな容量のものを測定するのは大変だ。寄生容量などでの誤差やオフセットが出てしまうからだ。例えば1pFとか5pFを測ろうとした時に、配線の浮遊容量が100pFもあったら精度良くは測れない。では測定器の端子に直接測定物を接続出来るかというとそうでない場合もある。この辺りはネットワークアナライザはどこを測っているのか?と同じような事だ。

◆ コンデンサは決められた容量のものを買ってくればいいのだが、トランスなどは自分で巻いたりしなければならない。コア材などによってはどの位の太さの線を何回巻くと何マイクロヘンリーみたいなグラフが付いているのものあるが、そうれなければ自分で測ってみる必要がある。
その意味でアマチュア自作家にとってはCメータよりもLメータの方が出番が多いのではないだろうか。

◆ もっとも私などはトランスとしてインピーダンス変換する回路を書く事は多くはなく、大抵はL/Cの直並列回路でインピーダンスマッチングをとっていく。勿論共振のための共振回路となると別ではあるが、チップコイル以外のLは入手性が良くないので自然とこうなってしまう。


窪田式(2/10)
◆ 窪田 登司氏の作るアンプは窪田式と呼ばれるそうだ。窪田氏がそこそこ有名?な方だとは知っていたのだが、窪田式は知らなかった。実は私は窪田氏とは面識があり、トランジスタを買いに行くのに紹介状(と言っても窪田氏の名刺の裏に書いて貰っただけ)を貰った事がある。
私が10代の頃で、部品屋のおじさんも(子供だからと)なかなか相手にしてくれなかったのを助けて頂いた訳だ。ずっとずっと昔の話なので窪田氏も当然若かった。

◆ ただ当時オーディオ関係の話や理論を聞いた覚えが無い。相対性理論の話も聞いた事がなかった。それは私が無知すぎて話にならなかったからかも知れないし、私自身がオーディオに興味を示していなかったからかも。
いすれにしても、そんな事があって窪田氏を知っていたのだが、窪田式というのは知らなかった。たまたま昨日の記事の金田式を調べていて窪田式が出てきて、あれ?どこかで聞いたようなお名前だなと思った次第だ。

◆ 窪田式は金田式と違ってパーツの価格に音が影響されるようなものでは無いようだ。だが抵抗による音質の違い重視する方もいる。
抵抗のベースとなる絶縁体の誘電率が影響しているのではないかと書かれているのだが、セラミックの代わりにフェライトを使ったとしてもオーディオ帯域で特性の差を作る事は難しいだろう。

◆ チップ抵抗は平面的な音になりがちで金皮はきらきらしたような音に、って、それ見た目じゃないんですかみたいな。じゃあチップ抵抗の金皮だと「平面的になりがちなチップ抵抗の音が金属皮膜抵抗によってきらびやかに変化し、音の広がりと奥行き感に顕著な違いが見られる」とでもなるのだろうか。チップ抵抗でも1005サイズと3216サイズでは音は違うのだろう。

◆ 抵抗で音が変わり、コンデンサで音が変わるとすると組み合わせはどうなのだろう。シルバードマイカにはカーボン抵抗が良く、それはシルバードマイカに金皮ではキラキラ感が強すぎてボーカルは前に出てくるものの少し耳障りな部分が増える、かな。

◆ 抵抗が切り替えられるようにアンプにロータリスイッチを付けている人も居る。その時々の気分と音楽ソースによって抵抗を切り替えて使うのだそうだ。ところで、スイッチなんか付けてしまったら抵抗の良さがスポイルされるのではないのかな。

◆ 同じメーカの抵抗でも1kΩを1本使うよりも2kΩを2パラの方が良いとか、いやいや500Ωを2本直列にしてシールドケースに入れた方が良いなどの意見もある。このシールドは様々なものに対して行われるようでコンデンサやトランジスタやICにまで薄い銅板を貼り付ける。これもアルミ板と銅板、銀や金泊では音が違うのだろう。

◆ 今は余り使われないがトランスによる音の差はあると思う。それはトランスの伝送特性やインピーダンス特性を測ってみれば違いが分かるように明確な差があるからだ。
マイクやスピーカもメーカやモデルによって大きな差がある。スピーカはスピーカユニットの違いもあればエンクロージャの差もあるし、それを設置する部屋によっても違ってくる。


金田式(2/9)
◆ 以前にblog で金田式アンプというか使用部品に触れた。私は知らなかったのだが金田式DCアンプとは使用部品や組み立てる際の部品の向きまでもが指定されるモノのようだ。
部品も何故その部品が選択されるのかは不明ながら高額であり、更に金田氏に指定される事によってパーツ価格が上昇するという現象が起きた。

◆ 金田氏が部品屋をやっていた、なんて話は無いようだが電源ケーブルで音が変わるとするならば使用部品で音が変わるのは当然と言える。
使用部品は厳選されても基板はどうでも良いのかなとか、テフロン基板に無酸素銅箔のスペシャル品が良いんじゃないのとか、基板の誘電率や誘電損失は気にしないのかなどの、制作者の知識外の部分は音に関与しないというのがこれまで見てきた多くの例に当てはまる。

◆ メーカ製オーディオではケースやシャーシが銅メッキだからとかと宣伝していた事もあった。
鉄シャーシよりは銅メッキの方が電気抵抗が小さいから良いのかなとか、でもシャーシに電流を流すような設計はするかなぁとか思ったものだ。

◆ ケースにも拘るのなら、アルミケースは音がぼやけやすいが銅を含有したジュラルミンを使用するとアルミとは全く違った音の広がりが感じられる、なんて言われたりして。
金田氏によれば「電池電源のアンプで音楽を聴かないことは、人生を無駄にしている」のだそうで、更にその電池はナショナルハイトップ以外は認めない。二次電池は音が鈍るとの事なので電池の内部インピーダンスが下がるのは好まないようだ。

◆ 確かに電源ノイズという点では電池が最も優秀なのだがこれでPAを駆動すると電圧変動が起きる。
もしかすると電圧変動が起きる事を狙ったものかも知れないが、ならば電池の内部抵抗をシミュレートした定電圧電源でも良い。乾電池となれば温度変化の影響も受けるし使うに従って特性はどんどん変化する。「使い始めて3分10秒後の音が最高に良い」なんて事にならないのかな。

◆ 金田氏はCD(コンパクトディスク)否定派だったそうで「デジタルオーディオは「聴覚を破壊する」」とまで言っていた。しかし時代に反した生き方が出来ない事を悟ったのか、その後金田式DACの製作にとりかかる。
金田式真空管DACというものがあって、真空管でDACなんて一体どれだけの規模なんだと思ったら真空管が12本だという。一体どんな仕組みなのかと見てみたらDACはLSIを使っている… 真空管は単なるアンプのようだ。

◆ 真空管となるとメーカや生産国や製造時期や箱の有無も気にするのかも知れない。真空管となると電池駆動は相当大変だと思うのだが、この場合はACで良いのだろうか。
金田氏による様々な開発品などは多くの支持を集め、新たな考え方などが現在でも披露され続けている。
近年ではアナログレコードを金田式ADCでディジタル化した後再度金田式DACでアナログに戻してアンプに導くという構成やアナログアンプ間は電流伝送が主流のようだ。

◆ 電流伝送と言えば4-20mAカレントループなんてあったなぁ。今は多くの場合でディジタル伝送が使われるが配線抵抗などの影響を受けにくいアナログ伝送方式としてカレントループは存在していた。いや、今でも使われるのかも知れないけど。


容量計(2/8)
◆ 静電容量計がテスタの機能として搭載されている。私は殆ど使った事がなかったというかそんな機能があるとも気づいていなかったくらいだが、以前のアルミ電解コンデンサ話の時にいくつか測ってみた。

◆ 静電容量ってどうやって測っているのだろう。
と、疑問に思った。測り方はいくつかあって交流電流を流してコンデンサ両端の電圧と位相を見るのが一般的だと思う。これだとC成分だけではなくR成分も読み取る事が出来る。
測定周波数もMHz台まで対応しているものもある。周波数可変の必要性は、そのコンデンサの周波数特性を気にする時だ。

◆ ディジタルテスタで静電容量を測る最も簡単な方法は何だろう。ADCが二重積分型だろうからその積分用のコンデンサとして被測定物を使えば良いか。積分型ADCとは入力された電圧をコンデンサに溜めていく、その溜まる時間を計るものだ。なので電荷を溜めるコンデンサを未知の値のものとして、溜める電圧(と言うか電流か)を既知ものもにすればコンデンサの容量が分かる。

◆ 積分型は二重積分、三重積分とあるが、これはコンデンサの特性による誤差を排除するための仕組みだ。ADCの分解能を上げていくとコンデンサの特性自体が誤差要因になってしまう。勿論特性の良いコンデンサを使う訳だが、それでも理想のコンデンサの充放電特性とは異なる。

◆ DMM用のADCは桁数の少ないもので二重積分、6桁級になると三重積分かΔΣ方式になる。積分方式では積分器や電流源、アナログコンパレータなどが必要なのに対してΔΣ方式はクリチカルなアナログ部分を最小に出来るのでADCを低コスト/高分解能化出来るが高速ロジックも必要になる。
24ビット分解能以上だと殆どはΔΣ方式だと思われる。

◆ インピーダンス測定法はコンデンサに交流電流を流してインピーダンスを直接測る。ディジタルテスターの交流レンジがどの位の周波数まで応答するのかは様々だろうが、例えば1KHzの発振器を使ったとすると1μFは約160Ωになる。10000μFを測るためには0.016Ωを検出する必要があるので1kHzでは駄目で10Hz→1.6Ωとか。
容量が少ない方では100pFを測ろうとすると1KHzでは1.6MΩにもなってしまうのでこれも測る事は難しい。

◆ コンデンサに流す交流電流を直接測るのは難しいが交流電流を生成する回路の電流なら測れる。つまり被測定物が接続されていない時には無負荷なので消費電流は少なく、コンデンサを接続すると発振器の出力をコンデンサで短絡する事になるのでその容量に応じた電流が流れる。これだと間接的にしか測れていないので位相を見るという訳にはいかないし誤差要因は増える。

◆ コンデンサの時定数で発振回路を組み、その周波数を測定する方法もある。ディジタルテスタは周波数も測れるのでCR発振回路で周波数が測定レンジに入るようにVCOの制御電圧を制御してその電圧から容量を得る事も出来る。

◆ アジレントの容量計は1KHzと120Hzの切り替え式になっているものがある。測定原理は自動平衡ブリッジと呼ばれる電流電圧変換器でコンデンサ両端の電圧を測る方式だ。測定容量によって測定周波数が切り替わる。大容量まで測定レンジがない代わりに測定周波数を1MHzまで設定可能とした静電容量計もある。


ジャンクが高い(3)(2/7)
◆ 私も何台かのジャン測を買った事がある。
本物のジャンクだった事もあるし修理出来たもの、あるいは何らトラブルの無かったのもの勿論ある。
オークションの説明は電源ONの確認のみと言うヤツで動作確認済みではなかった。

◆ 画面写真の掲載されているものはその画面で判断する。
エラー表示がないか、表示があったとするとそのエラー内容は何であるかが重要だ。OCXO付き機器の場合はコールドスタート時はエラーやワーニングが出るが、これはオーブンが冷えているからでありやがて消える。ただしエラー内容が不明だとオーブンコールド以外の障害の可能性も残る。

◆ 以前に落札しようとしたものは電源が入らない(入る事もあるが希)と書かれていた。比較的新しいモデルだったのと写真は正常動作っぽい表示だったので高めで入札を入れた。が、なんか見た事がある写真だったなと思って出品者の過去の出品物を見ると同型機種が出品されていたが写真が表示されない。

◆ そうか、写真を使い回した(再出品で出した)のか。
その写真の表示されない終了したオークションの機器は正常動作品とされていて、当然その写真も正常動作中の写真だ。新規出品された機器は希にしか電源が入らないという説明でジャンク出品だが写真は正常動作品のものだ。
出品者としては電源さえ入れば表示は出るよとしている様子だが、その電源が入らないとも書いている。電源が入らなければ正常かどうかは分からないので良いだろうと言う事か。ジャンクジャンクと繰り返し書いているし。

◆ と気づいた時にはオークションの終了時間が迫っている。希にしか電源が入らなかったとしても希に入るのなら修理出来るなと思ったし、電源さえ入れば正常っぽいので高めに入れたのだ。
しかしこれって… 本当のジャンクかも知れない。
下手すれば動作品も買える価格まで入れているし困った。写真が使い回しだろうといった所でジャンクと表示してありますよと言われればアウトだ。
そう、ジャンクは全ての言い訳を含んだ魔法のワードなのである。

◆ 私も以前に電源の入らなくなった機械を売った事がある。電源が入れば正常に動作するので、他の同型モデルの電源を接続してテストを行いその写真を載せたが説明文にはその旨を明記した。現状では電源が入らない事と電源部が壊れている事も強調文字で書いておいた。
なので他の出品者もそんな感じかなと思ったのだが違った。

◆ 本物のジャンクを落札するのは嫌だなと思う反面、もしかしたら直せるかもとの期待もほんの少しある。
意外と人気のある機械だったので普通は入札数も増えるのだが私は2人目の入札者でそれ以降は止まっている。しかし終了1分前あたりで入る事もあるしなぁとほんの少しの期待に望みをかけたというと大げさだが、何しろ写真の使い回し出品だからなぁ。
と、終了の約2分前に他の人が入札してくれた。競る事はもはや無くその人が落札した。

◆ 本当のジャンクだったら又オークションに登場してくるだろう。動作写真が撮れなければ不動のリアルジャンクとしてしか売る事が出来ない。直るかあるいは海外転売屋さんだったらヤフオクに再び姿を見せる事はない。
さて、その機械はどんな風だったのかな。


ジャンクが高い(2)(2/6)
◆ オークションで売られているジャンク品に意外と高値が付くというお話の続きである。
ここではラジオや測定器類、いわゆるジャン測ってヤツが対象になるが修理して動作させる事に楽しみを感じるというもの。
ラジオに関してはメタルパッケージのトランジスタ、2SAや2SBの2桁番号のついたものが使われている時代のものを直すという楽しみ方。

◆ 直ったラジオはコレクションになるのかも知れないが、コレクションが目的ではなく直す事が目的になっている。電池が液漏れして腐食した端子を直したりクラックの入った半田を付け直したり、時に湿気か何かで壊れたと思うポリバリコンを交換する。
トランジスタは半永久的だと思うなかれでシールから湿気が入って駄目になったり、エポキシパッケージのものなども足の金属部分にクラックが入って壊れる事がある。

◆ ジャン測修理となると高度な技術や直すための測定器も必要になるが、難しいチャレンジもなかなか面白いのだろう。
それこそジグソーパズルのようなもので回路や信号を追いながら直す。直した測定器には愛着がわくとは思うのだが、何しろトランジスタラジオとは比較にならないほどの体積と質量があるから、部屋に積み上げていくにも限度がある。

◆ 直し趣味の人はジャンクと見るとどうしてもそれをいじってみたくなるようで、動作品に比較すれば価格も安いと言う事でついつい買ってしまうのだとか。
ジャン測で検索するとそんな修理マニアな人たちのページがいくつもヒットする。

◆ 私も直せと言われれば直さないではないがロジック回りだとか電源はいじっていて面白くない割に(電源などは)大型部品が多いのでパーツを外すにも苦労する。PCの電源でもそうなのだがマルチ出力の電源はどこかの電圧が出なくなるとそれに付き合って他の電圧も異常値を示したりするのが嫌だ。

◆ 電源だけを取り外して修理すればいいのだが、それが手間な場合は接続状態でチェックしたくなる。が、修理を誤ると規定外の電圧が出たりして機器全体にダメージが及んでしまう。

◆ 電解コンデンサの不良は何度か書いているのだが、電解液は強アルカリ性となる。電解液は第四級アンモニウム塩などだと思うが、負極付近ではpH13を超えるアルカリ度なのだとか。これが基板に付着すると銅箔も壊れるしトランジスタの足から内部に入り込んで壊す。
電池の液漏れも相当な破壊力を持っているが電解コンデンサも結構恐ろしい。

◆ うちにある古いHUBのコンデンサはどうなっているのかと見てみたが何ともなっていなかった。容量を量ってみても減少している様子はなかった。と言ってもディジタルテスタの容量計なので確度と測定項目は限定的だ。

◆ 完全に壊れた電解コンデンサは見た事があり、付近の基板はスルーホールから流れ出た電解液で半田面まで腐食が進んでいた。こうなるとコンデンサとしての役目は果たさない訳だが、壊れ途中みたいな容量抜けコンデンサにはなかなか出会えない。というか異常があって直そうとするのだからコンデンサは壊れた後なのだ。


基板(4)(2/5)
◆ アマチュアが作る基板は多層といえども4層位だと思う。しかしスマートフォンなどでは6層基板も使われる。基板の厚さは筐体の厚みになるので薄い基板が使われる。
1mmや0.8mm厚の基板で6層ともなれば層間厚が薄くなり、誘電率が一定なのでラインのインピーダンスが下がってしまう。

◆ その対策として低誘電率基板や誘電損失の低い基板もあるがコストが上がる。仕方がないので無線部などは表層の下の導体層を抜いてインピーダンスを確保する。
逆にアマチュアが使いやすい1.6mmの両面基板などでは50Ωのラインを引こうとすると2.8mm位のライン幅になり、太すぎる。
チップデバイスを付けるにしてもさすがに太いので基板厚を0.8mmとしてやっと1.4mm位だ。これでも1005のチップ部品に対しては十分太すぎる。多層版で層間厚が0.3mmならば50Ωのライン幅は0.5mmと丁度良い。
なおストリップラインは鋭角に曲げる事が出来ないので、90度に曲げる場合でも角を落とす。

◆ 多層版では1-2(3-4)層間と2-3層間では層間厚が異なる場合もある。これは両面版を2枚貼り合わせて作る場合に接着面の厚みのみ異なる場合があるからだ。この層間厚や誘電率は製造方法などによっても異なるので基板屋さんに確認する必要がある。

◆ ロジック回路でも高速信号伝達ラインではインピーダンスを考える必要がある。アマチュアがどの位の高速ロジックを使うのかは分からないのだが、例えば高速ADCと高速メモリを接続する場合などは無線周波数的な考え方を必要とする。シリアルラインは比較的楽だがパラレルインタフェースとなると基板上での遅延時間も揃えないとマージンが小さくなってしまう。

◆ こうした設計もそれなりのCADを使えば計算してくれるのだが、アマチュアには容易に買えない価格だ。基板を作って動作確認する場面でも高速のオシロなどを使わなければ信号を見る事が出来ない。プローブのインピーダンスやプロービングのポイントにも気を遣う。
インピーダンスが異なると反射が起きるので波形が乱れてしまう。

◆ 100MHz以下のクロック周波数の場合はさほど神経質にならなくても良く、数MHz程度であれば接続されていれば動く感じになる。なのでワンチップCPUのI/Oラインなどは間違いなく配線されていれば問題はない。電源ラインなどもデバイスの近くにパスコンを入れておけば良い。だがこれもADC/DACなどアナログ混在となるとノイズなどを考えながらラインを引く必要が出てくる。
クロックラインなどを引き回す時には平衡で引く場合もある。

◆ 基板の配線も抵抗体なので電流の流れるラインは太くしないと発熱する。低電圧動作の高速CPUは電流が多いので細い電源ラインでは電圧がドロップする。元々の電圧が1.6Vだとすると0.2Vの変動も12.5%になるので許容は出来ない。低消費電力化のためにデバイスの動作電圧は下がる傾向にあり、電源のインピーダンスは重要さを増す。

◆ 細かい事を言えばスルーホールのインダクタンスとか抵抗も回路によっては意識する必要があり、1.6mm厚の基板のスルーホールと小さな容量のコンデンサでフィルタが組める位なのだ。


昔の少年(2/4)
◆ 昔の少年も今はおじさんである。そんな昔の少年、ラジオ少年という言葉が使われているページがあった。今ほど様々な遊びやオモチャがなかった頃、遊びは自分で見つけ、自分で作り自分で壊したと綴られていた。ラジオと言っても完成品を買ってくる小遣いなどあろう訳が無く、捨てられていたラジオを拾ってきてはいじってみたりしながら色々な事を覚えていったとあった。

◆ BCLなんて言葉が流行ったのもその頃なのか、あるいはもっと後なのだろうか。インターネット全盛の今よりもずっと世界が狭かった当時は短波で海外の放送を聴く事で少しだけ世界が広がった感じがした。そして聴くだけではなく交信したいと思い、無線の世界に入ったのではないだろうか。

◆ まあ私もそれに近い線ではあったがHF帯にもDXにも余り興味はなかった。そもそもHF帯用のトランシーバは高額で、小遣いを貯めるとかそんな程度ではとてもではないが買えなかった事も理由である。

◆ ラジオ少年がラジオ少年のままラジオ中年になるケースは余り多くはないのかも知れない。何でも豊富に入手の出来る現在にあっては必要に迫られた自作などあり得ないと言って良いほど希な事だ。欲しいものがあれば財布を開くだけで良い。

◆ 何でも手軽に入手出来る現在は便利な世の中であり、趣味にしても何にしても非常に高度な事が出来てしまう。なのでラジオ中年がラジオ少年だった頃に比較すると、まさに桁違いのモノが作れる。ラジオばかりではなく機械モノにしても同様で、3Dプリンタなどはおよそアマチュアには作れなかった造形物を現実のものとして創造出来てしまう。

◆ 模型工作が趣味の知人は自宅に小型旋盤などの工作機械を所有している。これにしても趣味用の安価で小型のものでは剛性が足りないとかで本格的なものを設備している。
必要なパーツがあれば削り出しで作ってしまうのだから凄いなと思うし、これに3Dプリンタが加われば更に自作の範囲は広がる。

◆ 電気ものは存在するパーツを並べて機能を実現する訳だが機械ものはそれ自体を作る所から始まる。ラジオ少年といえどもトランジスタ自体を作る事は出来ない。
私は機械ものは余り得意ではなくて、まあ板金図くらいならば書けない事はないが複雑なものは駄目だ。

◆ FPGAが(ある意味)ソフトウエアでロジック回路を実現するように3DプリンタはCADデータを作れば造形出来る。ディスクリート部品を組み合わせて何かを作るラジオ中年もいればFPGAで高度なロジック回路を作りだしてしまう人も居る。それこそダブルスーパへテロダインを10個のトランジスタで組む人、ADCとディジタルフィルタでダイレクトコンバージョンラジオを作る人、みたいな。

◆ 高度な完成品全盛の今ではあるがラジオ中年と化した昔のラジオ少年は、細々と生き続けている感じがする。私は自分では余り自作などはしなくなっているが、そんな創造力豊かなラジオ中年達のページを見るのは楽しい。
ラジオ中年はやがてラジオ老人となるのだろうが、いつまでも頑張って頂きたいと思う。


基板(3)(2/3)
◆ 手書きのパターンから基板を起こして貰ってプリント基板を作った事があった。たぶん中学生か高校生の頃ではなかったかと思う。仕事ではフィルムにアートワーク材料を貼り付けて基板設計をした事もあったが、自分で行うのは簡単なものに限られた。多層基板を手で設計するのは困難だったからだ。

◆ 基板設計屋さんもCADを持っていない所は手貼りで原版を作った。素人?とは技術と経験が違うので綺麗なパターンが出来たが、やがてCADを導入する基板屋さんが増えた。
当時付き合っていた基板屋さんはPC9800ベースのCADソフトを使っていた。勿論MS-DOS時代であり、そのソフトやプリンタが何百万円もした風な話を聞いた。

◆ しかしその償却が終わらぬうちに安価で高性能なCADソフトが出てきて、結局その基板屋さんは時代に取り残されてしまった。何百万円もかけて導入したソフトは、元を取らないうちに古くさくなってしまったからだ。
CADソフトが安価になると設計費も安くなる。
CADソフトによってはインピーダンスシミュレーションや遅延計算なども出来た。そんな中で古くなったCADソフトを使っている所は設計に付加価値を付けられない。かといって新たなソフトを導入する資金もない。
こうしてその設計屋さんは廃業の道をたどる事になった。

◆ 基板設計から試作までの費用はA5サイズくらいのもので50万円とか70万円くらいだった。
設計費が高いのは勿論なのだがフォトアウトや製版費用もバカには出来なかった。当時はドリル加工が主だったので穴数の多い基板は価格が上がった。価格を下げるためには型抜きが使われたが、その為には型を作る必要があったので数百枚規模の基板枚数では逆にコストが上がってしまった。

◆ 今ではレーザ加工などが主になっているので微小な穴径でも難なく加工が出来るし、ファインピッチの基板の不良率も相当低い。従来工法だとパターン切れがあったりスルーホール不良があったりした。特に多層基板での内層不良は厄介で、しかしチェック用のジグを作るとなるとそのコストもかかる。これも現在では不良率が下がった事でチェックの必要性が薄れたり自動チェッカが安価に出来るようになってコストが下がりと信頼性が向上した。

◆ こうした細かな加工や信頼性の向上は日本の加工業が得意とする所だったはずなのだが、低コスト化は大量生産だとばかりに工場の規模拡大が行われ、その結果として試作レベルの製造を行ってくれる企業が皆無になってしまった。
では量産コストが安いのかと言えば必ずしもそうではなく、海外メーカに負けている。
国内機器メーカなどでも最初は国内の基板屋さんに設計、試作から量産発注を行うものの製品が安定してくると量産を海外メーカに移してしまう。

◆ これを阻止?するためにその基板製造工場のルールに従った、つまり同一設計のまま他の基板製造工場に持って行けないようにもするのだが限界もある。P社などは層間接続の方法で特許を持っていて超高密度実装基板の分野でシェアを得たものの、技術の発達は従来技術の延長で超高密度実装を可能にしてしまった。


基板(2)(2/2)
◆ 昨日書いたようにunicraftさんの無料特典を使って基板を発注した。発注したのは金曜だったのだが土曜に受注確認メールが来た。無料という事で製造プライオリティは下げられており、20ワーキングデートが目安とされる。基板の品質は問題視はしないのだがPCBEからのデータで上手く基板が作れるのかが一番の問題だ。

◆ 通常の設計業務も行う基板屋さんの場合はガーバデータのチェックなどもしてくれるのだが、基板製造屋さんでそこまでは期待出来ない。ガーバデータが間違っていれば間違っているとおりに基板が出来上がるだけである。この確認のために無料トライアルを使ってみたわけで、一回練習すれば(今回間違えたとしても)次は上手く行くだろうと考えた。

◆ 首を長くして基板を待つと言うよりも、そのうち送られてくるだろうくらいの気持ちでいたのだが出来上がりは早かった。発注後何ワーキングデートで送られて来たか日にちを数えてみると13カレンダデートで出来上がっている。これはたまたま早かった訳で規定ではあくまでも20ワーキングデートである。なお通常発注では無料の時よりも短納期が約束されるし特急発注だと更に急ぐ事も出来る。

◆ 急ぐと早く基板を作るわけではなく、早く作業に入る事になる。これは半導体工場でも同じで、列の後ろに着くと60日かかる工程が列に割り込むオプションを使うと30日で出来るがエクストラチャージを取られる。
ではそんな割り込みがあると通常工程が遅れるかというと、実際には遅れるのだろうが遅れる事を想定してそもそもの日程になっているのでたいした違いはない。

◆ 出来上がってきた基板は幸いにして想定通りになっており、実際基板を見るとここのパターンはもう少しこっちにと思う所がないでもないが、おおむねOKだった。一箇所レジストズレがあったのだが、他の部分のレジストがずれていないのでガーバデータのミス臭い。パターンは、これも一箇所設計ミスがあったがパーツの付け方でカバー出来たのでヨシとしよう。基板設計時には見直したつもりだったのに、ミスが発見出来なかった。

◆ 設計ミスは回路図データからネットリストを渡す方式で設計すれば防ぐ事が出来る。
レジストサイズなどはDRCが上手く動けばチェック出来ないでもないがPCBEでは厳しいかも。
基板自体はレベラー仕上げ(ハンダメッキ)で、勿論金フラなども指定出来る。半田付け性というか濡れ性が少し悪いかなと感じた。

◆ RF基板なのでGND側の熱逃げ防止は行わなかった。この場合は少しレジストの切れを大きくした方が半田付けしやすいのだが、今回のものはそのままスタンダードなレジストサイズを使った。チップ部品のパッドもPCBEに入っていた物をそのまま使ったが、手付けの場合はパッドを少し大きめにした方が作りやすくなる。

◆ 今回は簡単な回路だったのでユニバーサル基板で実験した特性を大きく上回るというものでは無かったが、基板化する事でGND面積も取れるし製作も楽になる。
PCBEのガーバデータ出力で無事基板が出来た事もあり、今後は実験回路の基板化の敷居が低くなる。通常の試作基板に比較すると破格と言えるほどの低コストなのでアマチュアでも手軽に基板が作れるはずだ。


基板(2/1)
◆ 以前にもプリント基板を作る話を書いた。
基板屋の比較ページなどもあって見ていたのだが、殆どは海外生産のようだ。日本の中小企業が得意としていた小回りの利く仕事のやり方が失われたのではなく、そんな企業自体が消滅してしまったのだ。

◆ 安倍総理は企業減税を行おうとしているが、その一方で外形課税強化も行う。つまり利益の出ている企業の税率を下げる代わりに赤字企業からガッポリ取りますよとなる。そもそも赤字企業は赤字なのだから税金を払う余裕もないわけだが、それでも払えと言う。

◆ 大手メーカも赤字に泣く時代なのだが中小企業は更に大変だ。試作分野を支えてくれていた町の工場はどんどん姿を消す。そしてそこに入り込んでくるのが海外の基板屋さんであり設計屋さんなのだ。
基板屋さんと言ってもそんな感じでメーカではなく商社という感じなのだが、その中でここは初回無料サービスを行っている。

◆ 無料になるためには条件があるのだが、無料なら気軽に試す事が出来る。試すと言っても基板の出来具合を試すのではなく自分の設計が正しいかどうかを試すのだ。
基板CADはunicraftお勧めのPCBEを使う。基板CADとしては荒削りではあるが使えない事はない。

◆ PCBEは基本的には基板図を書くCADであり、回路図CADからネットリストを持ってきてオートルートさせてしまうと言うものでは無い。
現在のバージョンではネットリストを読み込めるようになっているが私は未だ試していない。
DRCなどもかけられるのでルールファイルを作っておけば最低限のチェックはしてくれる。

◆ 設計したのはGHz帯までのRF/ロジック混在基板だが回路は複雑ではない。2層の基板で裏面の多くはGNDとする事が出来た。パーツも多くはSMDとしたので裏面のGNDに穴を開けまくるという風でもない。
簡単な回路なのでPCBEに慣れるまでに何度も描き直した。PCBEの使いにくい点は線で囲ったその線が他の線と同じ位置にあると判別出来なくなるなどがある。

◆ ベタGNDで塗りつぶす場合も同様で、どの線で囲まれている範囲をベタにするかのその線が上手くセレクトできないことがある。ではもう一度やり直そうかと消しゴムツールを使うと全部消える。なので分割しながら作ろうとするとGNDを接続するために重なる線がセレクト出来なくなる。

◆ メッシュがインチで済めば良かったのだが、ICの足が0.5mmとか0.65mmとインチから外れるサイズだと線を接続するのが面倒だ。ICをレイアウトする事自体は、都度グリッド設定をやり直せば何と言う事はないのだが、ミリピッチで並んでいる線とインチピッチの線を接続するにはどこかでその差を吸収しなければならない。

◆ この辺りはどのCADでも同じなのかも知れないが、ラバーバンドなどが使えると手作業でも修正出来る。フリーソフトなので贅沢を言ってはいけない事は分かっているし、こうした点に慣れればPCBEに合わせた書き方をする事が出来る。
今回設計した数個のICが乗る基板は、最初は1時間ほどいじくり回したが最終的には外形やレイアウトを決め直して10分ほどで描画完了となった。
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