SEV-FLで燃費は良くなるのか?


一時期各雑誌で取り上げられていたSEVというシロモノ。
タイヤに貼ればグリップと乗り心地が良くなり、ショックアブソーバに貼れば操縦性と乗り心地が良くなり、オイルパンに貼ればオイルが長持ちし、ガソリンラインに貼れば燃費が良くなりパワーアップする。
そんな魔法の物体がSEVである。
このSEV、私が高い金を、そう、とっても高価なこのシロモノを自腹で買ったわけではない。
何せ5個セットで4万円である。
よん・まん・えん!例えば平均的な車で燃費が10Km/h、年間走行距離が1万キロだったとしよう。
年間のガソリン使用量は1KLであり、価格は9万円くらいだろうか。
SEVを使用して例え10%燃費が良くなったとしても、年間で節約出来る金額は1万円に満たない。
それより何よりSEV-FLを買う金で半年分近いガソリンが手に入るのだ。
確かに製品寿命は長いのかも知れないが、到底投資コストを回収出来るとは思えない。
ただ、この手のグッズは質感が重要なのである。
安っぽかったり、実際安かったりすると感じる効果まで安っぽくなる。
このSEV-FLはこちらのページの掲示板の中で、最初の所有者から次の人へ、そして又私へと回ってきたのである。
当然ながら私も又次の人に回し、その人もテストを行う事だろう。
なお私の前にテストされた方は 「効果は感じられなかった」と結論づけている。
テストはインジェクタ開弁率と速度から燃費を計測する方法で、走行条件なども揃え、車両はHONDA S-MX 2001年式 2000cc AT、燃費計測を行った走行距離は60Km〜70Kmにも及ぶというもの。
テスト結果を全文引用すると以下のようになっている。
−−引用部削除−−掲示板を運用されているWebmasterから、無断引用に対してクレームが付いた(記事掲載者には許可を頂いていた) ここの掲示板で"SEV-FL使用リポート(その2)"を検索してご覧頂きたい。
記事は2002年10月07日 00時08分書き込みの447番である。
−−−−−−−−−検索エンジンで捜してみるとレポートは山ほど見つかる。
中には"明確に低速トルクが厚くなり、発進に気を遣うほど"なんてレポートがあったり、"1,500ccの車が、まるで1,800ccのエンジンを積んだように走る"と書かれていたり、燃費が1割以上も良くなったというレポートあり…逆に全く効果が無いと書かれているページありで、何とも良く解らない。
取り付けは燃料パイプに15mm程の間隔で固定するだけ。
これで燃料がイオン化されるというのだが、ガソリンって電離しないんじゃなかったかな。
高電圧でも加えれば別だけど。
この手のグッズは質感が重要である。
高級さというのだろうか、これだけ高級そうなものを付けたんだから効果がないはずはないと思わせる事も機能なのだ。
そして価格も然りである。
安っぽいもの、安いものだと"この値段ならこんなものだろう"と考えてしまう。
所がこのSEV-FLクラスの価格になると"やっぱり高価なだけはある"と、例え安物と同じ効果であったとしても満足度に差が出るのだ。
その点でこのSEV-FLは及第点を与えられると言っていい。
質量に関しては幅約15mm、長さ75mm、厚さ5mmのものが44gもある。

つまり、コイツ2つ分で携帯電話くらいの重さがあるという事だ。
比重を測ったわけではないが、軽い物質でない事は確かである。
内部は黒っぽいもの(ゴム磁石風)が2枚で構成されていて、それに銅板がかぶせてある。
もしもα線放出系のグッズだとしたら、銅板でこれはシールドされてしまうだろう。
外側はSEVと印刷されたアルミ(だと思われる)でカバーされている。

ラジウム系の鉱物が含まれているとすればγ線源だろうか。
γ線であれば薄い金属は通過出来るが…余談ではあるが、トルマリンなどを使用したSEV的ものを自作される方も銅板を使う。
トルマリンは放射線系と言うよりはイオン系のものなので、それを銅板でシールドしたら効果はなくなるのではないだろうか。
もっともイオン系のものを吸気管の外側に巻いてエンジン効率が上がる事も合理的に説明は出来ない。
この事から、トルマリン系自作グッズに銅板が使用されるのは"質感"や"見栄え"や"存在感"のアピールではないかと思っている。
また一つはこのSEVのマネと言うことがあるのかも知れない。


取り付けは推奨される約15mm間隔で燃料ホースに並べてみた。
燃料ホースには密着させる必要があるとの事で、指で押さえても動かない程度に固くセットした。
写真はエアクリーナを外した所。
エアクリーナはエンジン全体を覆うような形で実装される。

アップはこんな感じである。
燃料系は最近の車の例にもれずリターンのない方式だ。
これは蒸発ガス抑止のために、出来るだけガソリンタンク内の温度を上げない工夫なのだろう。
もっともベンツの場合はクーラ余熱を利用したガソリンクーラが付いていたのだが。

この状態でアイドル時のインジェクタ開弁時間を測定する事にした。
これがノーマル状態である。
写真が暗いのはアナログオシロでエンジン回転数が低く、しかも8気筒でシーケンシャルインジェクションのために掃引頻度が低いためだ。
インジェクタ開弁時間は約3.8mSである。
ちなみにSL600(6,000cc/12気筒)はアイドル時で2.6mSだった。
という事はもしかしてインジェクタ容量は同じ??確かにこのエンジンは8気筒で約300馬力、旧SL600は12気筒で約400馬力だからインジェクタ容量が同じでもカバー出来ない範囲では無さそうである。

この状態でSEVを装着し、20分ほどアイドリングを続けた後に測定したパルス幅が下の写真である。
(掃引時に合わせてシャッタを押す努力をしてみました)
全く違いは見られない。
もしも10%の燃費低減がされているとすれば、3.6mS-(無効噴射時間として1mS)=2.6m
2.6mS×(10%燃費改善があるとして0.9)=2.34m
2.34mS+(無効噴射時間として1mS)=3.34m
(最近のインジェクタなので無効噴射時間はもっと短い可能性がある)つまり、3.3mS前後までインジェクタ開弁時間が短くなっているとすればSEV-FLによる燃費改善が行われたという事になる。
SEVが特異的に"アイドル時の燃費改善は行わない"ように機能しているのかも知れないので、実走行テストを行ってみる事にする。
ちなみにSEVを装着してもエンジン振動、音量、音質に変化は感じられなかったし、走ってみても特別な変化は無かった。
SEV系のページを見ると「SEV装着後は同じアクセルの踏み込み量でもスピードが出すぎて困ってしまった」などとの記述を見かけるが、そんな事は全く感じられない。
そもそも"同じアクセル踏み込み量"とは、何を基準に言っているのだろうか?人間が車を運転する場合、アクセル開度→加速度或いは絶対速度を速度計で見て→アクセルの踏み込み量を制御、するようなフィードバックがかかっているはずだ。
意識すればアクセルの踏み込み量を一定にして走行できないことはないと思うが、普通は速度でフィードバックがかかる。
だとすれば、「スピードが出すぎて困る」のは運転者がアクセルを踏みすぎているからであり、それは速度を出したいから踏んでいるに違いない。
このようなレポートを見ると、SEVはエンジンに作用しているのではなく人間の方により多くの作用をしているように思われてならない。
もっと激しい?レポートだと「今まで100Km/hで走行する時、5速ギアで2,300回転でした。
それがSEVを装着すると同じ速度で回転数が2,000回転となり、その分燃費が良くなりました」なんてのもある。
SEVはギア比まで変えてくれるのか?!

実走行テストは以下のように行った。
テストに利用したルートは保土ヶ谷(ほどがや)バイパスの狩り場(かりば)インター付近から東名横浜町田インター付近までの約8Kmである。
横浜方向から東名横浜町田インター方向に向かい、交差点でUターンして横浜方向へ戻ってくるルートだが、交差点でのUターンは混雑と信号に左右されるので往路と復路それぞれの燃費を別々に計測し、計算によって平均化したデータを使用する事にする。
すなわち有効としたデータは交差点付近を除く、バイパス上での走行データのみというわけだ。
最初は(1)SEVを取り付けて往復を行い、(2)次にこれを外して往復し、(3)次にエコ・バンド
のみを付けて往復し、(4)更にこれを外して(2)の状態と同じく往復してデータを取った。
ノーマル状態で2度往復しているので、計測誤差も読み取れると思う。
なおこの道路の制限速度は80Km/hであり、アップダウンもあることから省燃費運転用のコースと言うわけではなく、あくまで一般車と同じように走った結果である。
運転方法を一定にする事に心がけ、道路の空いた深夜1時からテストを開始したがトラックなどが意外に多く走っており、一定速度を維持するのは少々苦労した。
燃費計測はかなり正確なオンボード燃費計で、平均速度と走行時間、燃費が表示されている。
走行中は燃費表示から速度表示に切り替え、無意識のうちに燃費一定運転にならないように心がけた。
テストに要した時間はおよそ1.5時間であり、気温は12.5℃天候は薄曇りだった。
片道走行に要する時間は約5分ほどだが、同一条件での走行という事でかなり疲れた。
車線変更なども出来るだけ行わないようにしたので、後ろからトラックにビュンビュン抜かれた。
本来なら片道20Km程度の走行が望ましいとは思うが、残念ながら(東名や中央高速も含めて)私の住んでいる近くで定速走行が出来る道路は皆無である。
写真は速度表示。
走行中でしかも真っ暗な中での撮影なのでブレている。

燃費計測値も写真に撮ったが、多くはブレていて見にくい。
下はSEV装着時7Km地点、平均速度98Km/h、走行時間4分、平均燃費12.2Km/

下はノーマル7Km地点、平均速度97Km/h、走行時間4分、平均燃費12.3Km/

結果をまとめると以下のようになる。
平均速度 平均燃費 往復平均
SEV装着往路 96Km/h 12.2Km/l ↓SEV
SEV装着復路 97Km/h 12.6Km/l 12.40Km/l
ノーマル往路 98Km/h 12.3Km/l ↓Normal
ノーマル復路 97Km/h 12.6Km/l 12.45Km/l
エコバンド往路 96Km/h 12.2Km/l ↓EcoBand
エコバンド復路 97Km/h 12.6Km/l 12.40Km/l
ノーマル往路 96Km/h 12.1Km/l ↓Normal
ノーマル復路 98Km/h 12.6Km/l 12.35Km/l
走行距離が短い割には安定した燃費になっている。
またSEVもエコ・バンドも目立った燃費改善効果が見られない。
テスト車両はBENZ SL500(R230)で、燃費に関係しそうな緒元は以下の通り。
排気量:4,965cc(SOHC 3VALVE) 出力 :306馬力/5,600rpm(EEC) トルク:46.9Kg・m 2,700〜4,250rpm(EEC) 重量 :1,840Kg(乾燥)タイヤ:前255/40R18 後285/35R18 燃費 :6.9Km/l(10・15モード) なお長距離走行による燃費計測は後日行う予定である。
また放射線量の測定も計測器を用意した上で後日報告しよう。