SIMロック解除アダプタを試す


携帯電話事業者は携帯電話によるサービスと端末販売を紐付けた収益構造になっているため、自社の携帯電話が他の事業者のネットワークで使えるのは困るわけだ。
厳密には分離プランといわれるドコモのバリュープランであれば端末費用と通信費用が別になっているのだから特定の事業者でしか使えないなどと言うことになっていなくても良いはずである。
しかし端末代そのものではなくその開発費の一部をドコモが負担するような部分もあり、現状ではSIMロックと呼ばれる対策がなされている。
これによって、例えばドコモの905iにSoftBankのSIMを入れたとしても「このSIMは使えません」のメッセージが表示されるだけだ。
旧vodafone時代には端末のファームを書き換えることによるSIMロック外しがあった。
世界のスタンダードから行くと、例えインセンティブモデルで端末を購入したとしても一定の時間が経った後はSIMロックを解除するのが正しいとされているからである。
その解除コードや解除用ファームが出回ったり、或いは改造ファームによってSIMロックを契約期間によらず直ちに解除する方法があったのだ。
しかしこの方法でSIMロクを解除されると事業者としては大損になる。
インセンティブを出して売った端末がどんどん海外に流れて行ってしまう。
そこでvodafoneを買収したSBMはSIMロック解除業者に難癖を付けて告発するという荒技に出た。
更に割賦販売を採り入れるなどのシバリ強化をするものの、悪徳業者や中国人はそんなものには怯まない。
販売代理店も本人確認云々よりもノルマ達成が先とばかりに多少怪しくても契約してしまう。
そんな風に入手された端末がヤフオクで出品されているに違いないと思った孫さんは、SBMケータイ新製品のヤフオク出品停止とする事になったのは記憶に新しい。
代理店の契約体制など自分の内部強化は行わずに周りを締め上げてみるというのがいかにも孫さんの手法ではあるが、これが根本的解決にならないのは明らかだ。


端末に細工を加えてSIMロックを外すのがいけないのならば、SIMと端末間の通信を加工してしまえと言うことで中国人が考えたのがSIMロック解除アダプタである。
SIMと端末間は同期シリアルの2線式双方向通信になっている。
その途中にデバイスを介在させて、例えばSIMから"DOCOMO"
の文字列が来たとしても端末側には"SOFTBANK"と返せば端末は誤魔化されてしまう。
実際にはそう簡単なものではないのだが、頭を使えば出来ないことはない。


回路はこんな風になっている。
回路図右側の2つのSIM端子が、このフレキシブル基板の両面に出ている端子そのものだ。
この中のI/O端子のみ謎の別デバイスに接続されており、このデバイスがSIMのIDをチェックしてニセ信号と入れ替える役目をしている。
このデバイスはSBM用やドコモ用があるので、内部は書き換え可能になっているのだろう。
私が入手したものは回路図とは違う8ピンのプラスチックパッケージのデバイスが乗ったものだったが、より小さく薄くということでCOB構造のものも存在する。


能書きによると発信は出来るが着信は出来ないという。
おそらくIDの受け渡しの部分が完璧に出来ていないのではないかと思うのだが、早速実験してみることにする。
SIMゲタとかSIMアダプタとか呼ばれているこれらのパーツは台湾や中国製が多く、その数も20種類以上あるらしい。
SBM専用とかドコモ&SBM用とか色々だが、出始めの頃はこんなに大きなデバイスが付いていた。


私が購入したものはフレキシブル基板に8ピンのデバイスが乗ったもので、最新のものだと更に小型パッケージのデバイスやパッケージレス(COB)のものなどもある。




デバイスが大きいのでSIMを切り取らないといけない。
もっともSIMの端の方には何も入っていないので切り取っても大丈夫ではあるが脱着しにくくなる。


これをN904iに入れてみると、

ICの厚みがSIMより多少厚い程度なので難なく装着OKだ。
SIMが引き出し状のケースに入るタイプのコネクタでも装着に問題はない。
SIMは柔らかなものなのでハサミでもニッパでも簡単に切ることが出来る。
SIMを装着したら電池をセットして電源ON!

あちゃ〜認識していない。
ちなみにSIMゲタを外してSBMのSIMを挿入すると別のメッセージが出るが、SIMを挿入しないとこのメッセージと同じになる。
このSIMアダプタの能書きとしてはドコモ904i,905iで使用可能となっていたのだが…さすが中国製というべきか。
私はまあ実験用の投資(2千円ほど)ということで諦めたが、使えないのだから悪い評価(ヤフオクで購入)を付ける人もいるのではないだろうか。
ちなみにSIMアダプタは薄いフレキシブル基板だとは言っても厚みはあるので、携帯電話機側のSIMソケットに入れるときにはズレないように細心の注意を払う必要がある。
このアダプタを付けっぱなしでもSBMケータイには使える(これも少しおかしな話だと思う)ので、接着してしまっても良いのではないかとは思う。
と、思ったら能書きどおり着信は出来なかった。
発信は問題ないのだが着信しない。
SBMだからネットワーク混雑による圏外かと思って何度も試したが着信しなかった。
この実験をしていて思ったのだが、FOMAの立ち上がり時間は遅い。
そして、それに輪をかけてSBMの810Tは遅い。