シャープ製アナログコードレス電話の中身


5〜6年前から使用していたコードレス電話が壊れた。
当時はPHSなどは無くアナログコードレス全盛時代だ。
アナログコードレス電話は250/380MHz帯のFM変調電波を利用して通話を行う方式,子機間通話を行うためには子機の台数分の無線部が親機に必要になることから、4台の子機で子機間通話を行おうとした場合には、親機に4つの独立した無線部が必要になる。
その為、子機の台数は増やせるが子機間通話は出来ませんよ,という仕様でコストを下げているものが多く、このシャープのモデルも子機間通話は出来ない。
PHSの場合はTDMA方式だから最大4つまでの子機なら1台の無線部でカバーできる,って話はこちらを参照していただきたい。


このシャープの電話機,どんな風に壊れたかというと、RCRフロー(RCRで定められた無線接続に関するプロトコル制御)が実行されないようで、子機との無線リンクが張れない。
更に親機のキーや表示の一部が正常に動作しないことから、それらの処理を行っているCPU部分が壊れたのではないか?と想像できる。
しかし全機能が停止したわけではなく、留守番電話の録音用テープの巻き戻しだけは出来るとか..中途半端な壊れ方である。
子機の方もニカド電池はとっくに寿命を迎えていて、充電器から外して1時間もすると電池が無くなってしまうような状態。
従って修理することはせず分解した。

子機は2台使用していた。
もう一台は折り畳み式(これが結構使いにくかった)のもの。
当時ヒットしていたモトローラ製の折り畳み式携帯電話の真似だ。
内部を開けると部品の多さが目立つ。

今や懐かしいメカニカル式テープの録音・再生ユニット,RCRフローに必要なモデムユニットは別基板構成になっている。
子機の方もロジック/無線部の2枚基板構成で時代を感じる。
子機側無線部の拡大写真はこんな感じ。

写真上側に見える棒が受信用のアンテナ,写真左側がアンテナフィルタ(デュープレクサ)だ。
受信部にはSAWフィルタが使われている。
調整箇所が多いのも初期型モデルの特徴だろうか?意外に部品点数の多い無線部だが、基板は両面実装で部品面側はこんな感じ。

写真左中央に見えるICは送受信用のもの。
デュアルPLLと共にワンチップでアナログコードレスの主要無線部機能を実現している。
右の方に見えるのはモデムだろうか?中央右よりの白い部品はロジック部とのインタフェースコネクタだ。
ロジック部の方は片面にキーパッド,反対側はこんな感じ。

CPUやEEP-ROM等が見える。
なお、オーディオアンプ系は無線部基板に乗っている。
無線部の所で受信アンテナ(棒のようなもの)は目に付いたが、送信用のアンテナはどこか?これはフレキシブル基板で構成されていた。

FDMAを使用するため、送受アンテナを共用するのは不利となる。
デュープレクサの設計や回り込み対策などが必要になるからだ。
また送受では周波数帯域が違うので、それに合わせた別々のアンテナの方が良かったのかも知れない。
サスガに親機の方は2本のアンテナを用意するわけにも行かなかったようで、1本のロッドアンテナを共用していた。