VAIO新旧比較


これまで使用していたVAIO T90Sがちょっと不調を訴えている。
SONYタイマ発動までには未だ時間があるかと思っていたのだがそうでもないようだ。
どうやらCPUファンの動きが渋くなってるようで、高負荷運転をすると暴走してしまう。
修理に出せばHDDは初期化されるだろうし、自分で直せば保証は打ち切られる。
いずれにしても予備のPCが無いと何も出来なくなってしまう。
以前まで使用していたデスクトップPCは、既に満足な起動すら出来ない状態になっているし…そこで発売したてのVAIO TX90を買うことにした。
SONY製品にはさんざんな目に遭っているのに、それでもなおVAI
を買ってしまうのだから私もアホだな。
TXは画面が16 9になり、従ってTの1280ドットよりも広がった独自仕様の1366Dotとなっている。
縦は768Dotと従来と変わらない。
その他、CPUは1.1GHz→1.2GHzと余り変わらず、電池容量が7.2A
から7.8Ahに拡大されている。
全体の見栄えも変わっていて、キーはシルバーになり液晶部はLE
バックライトになって随分薄型になった。
LEDバックライトは同社のTVにも使われているものなので、その品質は満足できるものだろうと思っていた。
だがしかし、事はそう甘くはなかったのである。


これが最大輝度においての撮影画像だ。
右がTX90(LED)で左がT90(CFL)である。
デジカメ写真なので見にくいが、TXの方は明らかに緑っぽい。
ビデオアクセラレータの微調整で色補正を行えば多少はマシになるが、照明の均一性はいかんともしようが無い。
色合いは明らかに不自然だ。
緑が強すぎるのである。
バックを白にするとそれは緑っぽく映し出される。
T90は比較的色温度が高く、ThinkPadなどに比較すると白が青っぽい(T90に慣れるとThinkPadは黄色っぽい)感じはするが、TX90の緑はそれ以上なのだ。
色温度の高低ではなく緑なのだから目立つ。
そこでグラフィクスアクセラレータのトリミング機能を使って色合いを調整するがCFLと同様とは行かない。
緑をかなり下げてゲインも少し小さくし、青も少し下げた程度が見やすいと思うが完璧ではない。
しかもこの設定を行っても、再起動などを行うと元に戻ってしまう。
設定値自体は記憶されているのだが、その設定を呼び出して「適用」ボタンをクリックしないと色合いが変わらないのである。
デフォルト状態だと明らかに不自然な色合いなのでこれは困る。
この秘密?は、VAIOが静止画色補正プログラムを動作させているためだ。
SONYによると静止画をより自然な色に見せるための機能だというのだが、LED照明による不自然さを多少でも改善するための補正機能ではないのか。
この自動補正をディセーブルにすると設定は保持されるようになったが、やっぱり色がちょっと変なんだよなぁ。
ま、写真やデザイン系の仕事に使うわけではないから良いか。
と、諦めよう。


輝度を測ってみた。
LEDバックライトのTXの方が明るく見えたのだが、実際は違った。
一つの理由として照度測定を画面のほぼ中央で行ったことがあげられる。
TX90は中央部の照度が低いのである(後述)TX90は最大輝度設定で102Lux,最低輝度設定で3.6Luxだった。
T90は最大輝度設定で126Lux,最低輝度設定で23.3Luxと、可変範囲は狭い。


これはCFLバックライトのT90の右隅だ。
均一に照らされている。
一方下の写真はTX90で、写真だと解りにくいが輝度のムラが見てハッキリ解る程度にある。
(下の白が面の写真の方が分かりやすい)

写真だと解りにくいのだが、LEDが付いている側(下)のほうだけ明るくなっている。
これは結構目立つから気になる。
液晶自体の視野角云々ではなく、導光板の指向性がモロに出るのもTXの欠点である。
正面から見ている分には未だ良いが、上下や左右から見ると輝度は低下し色はおかしくなる。
これもデジカメでは解りにくいと思うが一応。








LEDバックライトの採用によって液晶部が薄く軽くなったのは褒められるし、色再現性も良くなるとはSONYの弁なのだが、輝度ムラがあったのでは本末転倒だ。
色合いにしてもCFLほどの自然さはないと感じる。
この辺りはLEDの発色調整で改良は可能なのだろうから、今後のモデルはマシになっていくだろう。
その他、ベンチマークを取ってみると各数値共に上昇している。
その代わりと言っては何だが、CPUファンの稼働率はかなり高い。
Tでは滅多に回らないファンなのだが、TXは常に熱風を排出していると言っても過言ではないくらいだ。
CPUクロックが1.1GHzから1.2GHzになったくらいでこれほど発熱量が違うのだろうか。
インタフェースはBluetoothたFelicaインタフェース内蔵に加えてSDメモリカードインタフェースも内蔵された。
メモステスロットもマジックゲートに対応した。
最廉価モデルは10万円台であり、お買い得感はあると思う。
従来型はキーの品質が悪く、すぐにてかりが出てきたが新型はどうなのだろう。
外観は良い(主観)と思うが、さすがにSONY製と言うことで細部は安っぽい。
液晶下部のベゼル?なんか接着されていない様子でプラスチック部がベコベコだ。
T90も接着されていないが、こちらは板厚があるのと構造上剛性が高いのでベコベコしないがTX90はペラペラのプラスチックなので気になる。
そのうちよれたTシャツの首周りのようになってしまうのでは無いかと思ったりして。
気を取り直して測定を続けよう。
見た目の輝度ムラと実測値に差があるのだろうか。
双方共に輝度レベルを[4]に設定して照度計で画面の6カ所を測定してみた。
なお色合いはT90とTX90が見た目同一になるようにカラー調整を行っている。
(照度計は視覚感度補正がされているため、一応)↓TX90

↓T90

照度(Lux) 赤:TX90
青:T90
中央
35.2 27.6
37.7 28.1
35.8 24.2
28.8 32.1
26.1 30.8
28.1 28.9
32.9 40.3
36.9 38.0
33.7 34.8
輝度のばらつきは意外にもCFLのT90の方が大きいが、LED照明のTX90は上の写真を見て解るとおり中央部が暗い傾向にある。
バックの色にもよるが、この輝度ムラは結構目立つ。
T90は上部に行くほど暗くなっていく感じだ。
ただ、見た目に輝度ムラが多いと感じるのはTX90の方で、特に視野角の狭さは気になる部分である。
QUALIAブランドの液晶TVもLED照明とのことで、それを観た人のインプレッションによると「違和感は感じなかった」そうだ。
しかしTX90のこの画面にはハッキリと違和感を感じる。
まだまだLED照明には課題が大きいと言うことなのか。
それとも手抜きのSONYが作ったからこの程度のものになったのか。
Windowsを起動しなくてもDVDが観られるようになったのは進化と言える。
一々Windowsを起動するのは面倒だから。
しかしこれ、Pentiumがフルパワーで動いているのかなぁ。
まさかハードデコーダなんか乗っていないのだろうな。
いずれにしても、従来の「DVDを観る時には色々な操作を伴うのでWindows起動は必須」と言っていたSONYが考えを変えたところが(SDメモリカードスロットと共に)素晴らしいではないか。
だがしかし、実際にこの機能を使ってみると画像と音声が少しずれている感じがする。
たいした時間ではないから気にしなければ解らない程度ではあるが、さすが音と映像のSONYだ。
基本的なところが全く出来ていない。
音質に関しても同様で、ノートPCだから仕方がないと諦められたのは少し前までだ。
今や携帯電話ですらそこそこの音が鳴るのだから、それより筐体の大きなノートPCならもう少しまともな音で鳴って欲しい。
聞いた感じは携帯電話並みというか、下手すればそれより悪いかも。
不況にあえぐソニー、トリニトロン時代にあぐらをかいていたら、世の中はさっさと薄型テレビ時代になった。
PDPを他社から買って売るも収益性が悪く、早々にPDPから撤退して韓国から液晶パネルを買って液晶TV分野に進出するも、価格競争にも品質競争にも出遅れてしまった。
カーナビ分野もOEMやODM調達だし、ハード屋としてのSONYは一体どこに行ってしまうのだろうか。