過去の雑記置き場
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ジムニーノマド(8/22)
◆ ジムニーノマドはシエラの5ドア版である。待望の5ドア版という事で発売から時期は経つものの、相変わらず納期がかかっているようだ。購入者のレポートも多くなってきているが、不満の上位は3点ある。
◆ 小型の車にもかかわらず小回りが利かないのはカタログを見れば分かることではあるが、実際に乗れば不満になる。最小回転半径が5.7mなので全長が4mに満たない車としては取り回しが悪い。ジムニーの最小回転半径は4.9mなのだが、車のサイズの割に小回りは利かない印象だった。
◆ サスペンション形式がリジッドなので、タイヤの切れ角を大きく出来ない事がある。タイヤのサイズも大きいので、それも影響しているかも知れない。リジッドでもタイヤの切れ角を大きくする手法はあるのだが、構造が大きく変わってしまうので安易には変更できない。駐車場で切り返しを行えば良いのだが、ステアリングギアレシオの関係で結構忙しくステアリングホイールを回すことになる。
◆ 燃費に関しての不満も多い。燃費が悪いのは分かっているとして、燃料タンク容量がジムニーと変わらないために航続距離が短い。燃費としては10km/l前後は走るとのことなので、ジムニーと比較して悪いわけではない。車体が長くなったことで燃料タンクも大きく出来たとは思うのだが、部品や構造の共通化を考えると変更は出来なかったのかも。
◆ 乗り心地に対する不満も多いのだが、これは車の性格上仕方がない。ファミリーカーなら他を選んでねとしか言いようがない。前後リジッドであり大径タイヤなのでドタバタ感は仕方がないところだ。ただホイールベースが長くなったことで、幾分マイルドになったとのレビューもあった。5ドアになってもジムニーはジムニーである点を認識しなければいけない。
◆ 5ドア版はラゲッジスペースの拡大なども宣伝されていて、家族でキャンプに行くときも安心、みたいなイメージになっている。こうしたところで安易にジムニーを選んでしまう人が増える。残クレアルファードではないが、残価率が高い(5年後で9割前後)ので、残クレで買う人が多い傾向にあるという。
◆ 3人以上で乗ることを考えるとノマドが良いのは当然となる。3ドア版では後席への乗り降りも窮屈だし狭い。ラゲッジスペースも後席を折りたたんでおかないと役に立たない。3ドア版では後席を倒すと、後席の背もたれ部分がフラットになるが、5ドア版ではフラットにならない。
◆ ジムニーに乗っているときは常に後席は倒していた。実質的に2人乗りと考えないと何も積めないからだ。その点からしても3人以上で乗るのであれば5ドア版が相応しくなる。ただ荷物を積むという事だけを考えれば軽のワンボックスカーを買えばいい話になり、その方が燃費も良いし小回りも利いて荷物も沢山積める。
◆ なのでジムニーを買う人はジムニーを求める必要がある。最小回転半径に関しては、狭い林道を走るときのことなども考えれば、取り回しが悪いのはデメリットではある。しかし何とも出来なかったから最小回転半径が5.7mな訳で、ナックル部分を変えるか4WSにでもしない限り改善は難しい。ナックル部分を変更して短いドライブシャフトを使うようなスタイルにすると、シミーの発生も抑止が出来る。元々は海外で先行発売された車なので、海外の道路事情を考えれば最小回転半径はデメリットになり得ないのかな。
AIは収益をもたらすのか?(8/21)
◆ 今年の初め頃からだと思うが、AIが作ったYoutube動画が増え始めた。完全にAI任せには出来ないのでシナリオを考える必要があるが、人間が作業する時間の20倍程度の動画が作れるそうだ。つまり10分でシナリオを考えれば、200分位の動画が作れることになる。最初の頃こそAIに対して様々な指示を行う必要もあるだろうが、それが済めば増産開始だ。
◆ そうは言っても人間が考えることには偏りが出来るので、画像にしてもナレーションにしても画一的になりやすい。それでも特定のジャンルのものを集めた風にすれば、何となくまとまりも付く。こうして50位のYoutubeチャネルを作れば収益も増えてくる。
◆ AIが作ったというか、AIに作らせた動画である事は分かってしまうのだが、それでも数を作れば再生時間が増え、月額200万円位に到達するのにさほど時間がかからないのだとか。というYoutuberがいるので、もはやブームは終わっているのかも。何事も同じなのだが、自分一人が稼げるときには決してその方法を他人には教えない。
◆ 他人に教えればライバルが出来てしまうので収益が少なくなる。しかしAIで稼げなくなってきたとすれば、その手法の解説動画を作れば閲覧数が稼げるというわけだ。AIによる収益化はYoutubeだけではなくXでも同じだし他のサイトでも同様だ。効率面からするとXが稼ぎやすいと言われているが、自分の記事を片っ端から自分の記事につなげてインプレッションを稼ぐ方式は、今は通報されるとアカウントロックなどが起きるそうだ。
◆ Youtubeでも同様に嘘の情報である事が報告されると広告が出にくくなると思うのだが、AIの動画なんて機械的にどんどん作られているのだから気にしないのかも。お勧めにAI動画が出てきて邪魔なときは、その動画を報告するとお勧めには出てこなくなる感じがする。とは言ってもAIによる動画の増殖率が凄く高いので、キリがないと言うかイタチごっこというか、そんな感じもする。
◆ それこそ中国でスマートフォンを数百台も並べてインプレッションを稼ぐ自動制御みたいに、自動動画再生や高評価の自動化を大規模に行えば、次々に新しいチャネルが生まれてくる。そこに人間の作業は限られた部分だけなので、1人が頑張れば月間数百という数の動画があふれかえるわけだ。シナリオを作るにしても同じシナリオの一部分をはめ込みし気にしておけば、例えば家電の評価記事になったり、自転車の評価記事が出来たりする。
◆ Youtubeの登録者数売りや高評価売りで稼いでいる人や団体もあるから、こうしたところと上手く組んでいけば収益を上げること自体はそう難しくないかも知れない。こうした動画が増えて全体的な品質が低下するからこそ広告料が安くなるのだが、AI動画で稼ぐ連中は広告単価の低下分をチャネル数の拡大で補う。結局それはGoogleの運用コストの増大という事につながり、実質的収益率が低下する。
◆ Blogの記事にしても同様で、評価記事などはAIに書かせれば手間が無くて良い。出来上がった文章なり動画なりが正しいかどうかなんて、極端に言えばどうでも良いことになる。面白そうなタイトルを付けて、動画ではさも結論を言うかのごとく時間を引っ張っておけば再生時間数は稼げる。AIに最後まで動画を見て貰えるような構成にしろと指示しておけば、そして多少の学習と修正を繰り返せば、効率的動画が出来てくる。
丹那トンネルと大量の地下水(8/20)
◆ 熱海側と三島側を結ぶJRの丹那トンネルがある。約7.8kmのトンネルは1934年に開通したのだが、工事は困難を極めた。その理由に大量の湧き水がある。湧き水を抜くための水路は15kmにも及び、芦ノ湖の水量の3倍の地下水を抜いたと言われる。
◆ 地下水の流出によって水田は干上がり、農業が出来なくなった。これによって酪農が盛んとなり、それは現在も主要な産業として定着している。トンネルからの湧き水は工事が完了してからも出続けるので、トンネル上部の土地の水涸れは元に戻ることはない。
◆ 丹那トンネルでは温泉予土と呼ばれる地層と地下水の難しさがあった。温泉予土は熱水で地質が変化した粘土状のものなのだが、これが空気や冷水に触れると粘土が溶け出すように崩れてしまう。またその粘土質は排水ポンプや排水路を詰まらせるなど、処理に手間のかかるものだった。
◆ 湧水を制御するために中圧の空気を注入するなども行われた。これで地下水が湧き出るのを抑えるのだが、地下水水位とその圧力によってトンネル自体が壊れてしまう場合がある。地下水の水位とトンネルに関しては東京の地下鉄でも問題が起きている。地下水のくみ上げが規制されて地下水位が上昇、その結果として地下鉄のトンネルに過大な応力が加わり漏水が激しくなった。
◆ 水をくみ上げなければトンネルが浮いてしまう(トンネル内は空気があり比重が軽いので、地下水の中で浮くようになる)と言われる。一部ではトンネルの内側に更にコンクリート壁を作って構造を強化したり、排水能力を上げて地下水位が上がりにくいようにするなども行われているそうだ。
◆ 先日書いたリニア工事でも同様に湧水の問題が起きている。湧水を阻止しようとすると地下水圧によってトンネルが壊れてしまう。地下水を抜いてしまうと地表付近の地下水位が下がって水涸れが起きる。岐阜の問題に関してJRは対策は不可能との見解を示している。
◆ 正確にはトンネルを掘る以上地下水の減少は仕方がないと言うことであり、トンネル工事を中止すれば地下水位の減少はなくなる。道路用のトンネル工事でも同じで、地下水が大量に出てくるので地盤沈下が起きたり陥没が起きたりする。河川の水が地下に流れ込んで河川の水量が減ることもあるし、それによる地下水流路が土砂を運んで陥没の原因にもなる。
◆ 地下水圧に耐えられるトンネルを作れば理屈の上では地下水は流れ出ないのだが、地下水脈を壊してしまう問題はある。丹那トンネルでも従来は地下水が流れなかった温泉予土を壊してしまうことで、そこに溜まっていた地下水が他に流れ出て水位が下がる。これは地質調査で分からなくはないが、実際には掘ってみないと何とも言えないものらしい。
◆ 静岡県のリニアトンネルに関しても、坑道からの水平ボーリング調査なくして地下水の状況は分からないとされた。しかしそのボーリング調査で地下水脈に穴を開けてしまうと、一気に地下水が流れ出て制御困難になることもあるそうだ。そうした事があるので川勝氏はボーリング調査も認めない姿勢だったが、これを言い始めると何も出来なくなってしまう。
◆ 大井川の水問題は昔から色々あって、発電用のダムを造って水を溜めてしまったら下流に水が来なくなった時代があった。東京電力はダムの水は解放しないよと言っていたわけだが、河川と共に干上がった大井川周辺地域の経済問題などもあり、東京電力は渋々水を流し始めたのだとか。
だいぶ取り込まれてしまった感じ(8/19)
◆ 以前の神尾氏ほどではないと思うが、石川氏もAppleにだいぶ取り込まれてしまった。フリーの物書きは色々大変なんだろうなとも思うが、ステマギリギリの所を攻めなければいけないのが現状なのかな。
◆ ITmediaの記事ではAppleのRCS対応に関して「コミュニケーション系機能が強化されるiOS 26――RCS導入も「Androidは仲間はずれ」は続くのか」と書いている。日本ではiPhoneシェアが高いとは言え、実際にはApple側がRCSを導入したのだから言い方としては逆である。導入したくなければ拒否し続ければ良かった訳だから。
◆ 石川氏はiPhoneの値引き制限にも強く反対しているし、その原因でもあるMNOの料金値下げにも反対している。通信料を下げて値引き原資がなくなるようなことはするなと。一方でMVNOへの回線卸価格の低廉化には賛成しているので、MVNO関係でも色々あるのかも。
◆ 「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」にも反対している。ケータイWatchの記事で同氏は「スマホ新法では、アップルに対して、アップル以外のアプリストアができることを妨げてはならない、さらにはiOSへの機能開放を求めている。--(略)--ひょっとして、日本のキャリアが公正取引委員会を焚きつけて、アップル以外のアプリストアを作り、一儲けしようとしているのではないか。」と書いている。
◆ まあ日本が世界に先駆けて、アプリストアの開放を義務づけるというのなら公取委との裏取引がなかったと言えなくなるかも知れないが、実際は欧州の規制に準じたものだ。欧州では「EUのDMAでは、App Store以外にアプリを流通させる方法がないこと、その上での決済が実質的にアップルを介したものだけに限定されることが問題視された。そこで、「アップル以外の決済への誘導を可能とすること」と、「アップルが他社によるアプリストアを認証し、その外部ストアを介してアプリを配布することを容認する」という2段階の施策で、自由度を高める施策が採られた。」(ImpressWatch:西田 宗千佳氏の記事)となり、「Appleは、EUのデジタル市場法(DMA)に準拠するため、EUを対象にiOS、Safari、App Storeに大幅な変更を加えると発表した。」という流れだ。要するにこれがEUの他、日本でも同様になったと言うだけなのだ。
◆ 石川氏だってこのあたりの事情は知っている筈なのだが、"欧州の規制に日本も準ずる"の一言で済ませてしまってはいけない、何かがあったのだろう。石川氏は「スマホ新法の黒幕は国内キャリア」としてMNO関係者に話を聞いたそうだが「いまさらアプリストアを作るメリットが何一つない」と言われ、だったら「スマホ新法が施行された場合、アプリストアで成功できる日本企業はいるのだろうか。」と書いている。ようするにMNOが参入しないのなら法制定の意味がないと言うことで、「なぜ、公正取引委員会は、日本国民の個人情報を犠牲にしてまでも、アメリカ企業のためにスマホ新法を施行しようとしているのだろうか。」「セキュリティやプライバシーを大切にしたいのであればiPhone、そうでなければグーグルのAnroidを使うという選択肢がある。スマホ新法によって両社が似たような製品になると、結果としてユーザーの選択肢を奪うことになる」としている。個人的には石川氏が書いている事の意味がよく分からないし、石川さん大丈夫かな?と心配にもなったのだった。
音はどこから出ているのか?(8/18)
◆ 以前にオイル上がりの話を書いたタントなのだが、特段故障することもなく動いていたそうだ。しかしここ最近何か異音を感じるという。音を言葉で表すのは難しいが、ゴロゴロという低い音ではなくミーとかミューと比較的高い感じの音のようだ。速度やエンジン回転数で音の具合が変わるのかどうかを聞いてみたが、よく分からないという。
◆ タントってCVTなのかな?CVTで音が出始めたら寿命は近いみたいな気もするし、ベルトからの音だとするとエンジン回転数にも車速にも明確には比例しないかも知れない。ベルト以外のベアリング類だとしても、確かタントは部品が出なかったのではないかな。
◆ ベアリングが規格品なら交換できるかも知れないが、少し調べてみるとトランスミッションのアセンブリ交換だと書かれていた。こうなると大事というか、ベアリングを交換するだけでもミッションを下ろすのかなぁ。
◆ CVTFを交換したら直るかなと言うから、直る可能性は少ないと思うけれど延命にはなるかも知れないと伝えておいた。最近のCVTはほぼトルクコンバータが使われているので、全量交換するのは結構大変だしCVTFも沢山必要になる。CVTFは汚れるのでメーカでは5万kmごとの交換が指定されている。
◆ で、交換したことがあるのか聞いてみたのだがよく分からないという。よく分からない位だから交換されていないのかも。エンジンオイルだってちゃんと管理されていなかった車なので何とも言えない。ディーラでの交換ではCVTFを抜いて入れるだけらしく、交換量は3リットルくらいなのだそうだ。5万kmごとに交換するなら3リットルで良いのかな。そうそう、BENZ(一部の車種だけかも)はトルクコンバータにATFを抜くためのドレンボルトが付いている。
◆ CVTFを交換するならストレーナも交換したいところだが、それはちょっと手間だ。CVTFはアイシンのVFB+なら20リットル缶がある。価格は2万円位なので4リットル缶を買うよりは少しお得だ。これで希釈交換する訳だが、たぶん6回入れることが出来る。
◆ 1ヶ月位してからだったか連絡があり、交換してみたそうだ。異音は直ってスムーズに走るようになった(ギクシャク感がなくなった)と言っていた。最初に抜いたオイルはエンジンオイルと同じ位の色、黒のメタリックみたいな色だったそうだ。最終的には少しくすんだ緑色になったとのことなので、そこそこ綺麗になったかな。ストレーナの詰まりだとか磁石に付いた鉄粉も掃除をした方が良いのだが、部品を買ったり工具を揃えたりと時間もお金もかかってしまう。
◆ ホンダのCVTは良く壊れるそうだが、ダイハツはどうなのだろう。内部的にはベルト以外には摩耗箇所がないのだが、そのベルトは摩耗する。摩耗したとしても15万kmとか20万kmでは影響が出ないように、自動調整される。ステップATの場合はギアは殆ど減らないが、フリクションプレートは多少減る。理屈からすると殆ど減らないのだが、ATFの状態などによって摩耗が進む場合がある。いわゆる半クラッチ状態ではATFの剪断力で動力が伝達されるからだ。DCTはクラッチが使われていて、これも湿式多板方式であれば(ステップAT同様に)減りにくいのだが、でも減る。乾式の場合はクラッチ板の摩擦力で動力を伝達するので減るのだが、摩擦材が厚いこともあって10万km位はクラッチ板の交換が不要なはずだ。
残クレはお得か?(8/17)
◆ アルファードとレクサスは残クレ、みたいな感じである。リセールバリューとの兼ね合いもあるし、購買層の特徴もある。残クレ推奨派というか主に販売店なのだが、残クレを使えば700万円のアルファードを月々4万円ちょっと(金利3.9%だと約4.4万円)の支払いで乗れますよ、5年経っても400万円で引き取りますよと誘う。
◆ で、4万だったらオレにも払えるな、アルファードでイキリ倒すぜ!とハンコを押してしまう。400万円の残価があるかどうかは車の状態によって異なる。指定の整備を行い指定の走行距離に達せず、キズもない理想の状態であればその価格が付くかも知れないが、実際には色々ケチが付いて残価が低下する。
◆ ローンの方はと言えば支払総額が約920万円なので、残価が400万円付いたとしても5年で520万円ほどのお金を支払うことになる。また700万円の車を700万円として計算するのもトリックみたいなもので、支払総額としては800万円(オプションを含まず)、リセールバリューを上げるためのオプション代を含むと850万円を超える。つまり実質的には5年間で670万円ほどを使うことになる。
◆ 現金支払いをすると850万円を支払って400万円で売るのだから、その差額は450万円となるのでだいぶ違う。ここでは車両価格を700万円で計算したが、アルファード購買者の中央価格帯は550万円前後だそうだ。従って同率の残価が設定できれば、月額支払額は約3.4万円となる。
◆ そんな訳で残クレは、ローン会社や手数料収入の入る販売店にとってはとてもお得な販売方法となる。スマートフォンも残クレ方式が一般化しているのだが、今のところ多くの金利を取ることが出来ていない。その代わり○○保証だとか□□保険みたいなオプション代を取ることが出来ている。もっともこれは自動車の場合も同じで、オプションサービスに入らないと残価が落ちますよなんて言われる。
◆ 車によっては残クレを組まないと納車が遅くなる場合がある。ポルシェですらそうだというのからイメージが崩れるなぁ。ディーラが購入者を選ぶのは普通だとして、金利商売までするのかと思うとなんか価値が下がっちゃう。儲けたいなら定価を上げればいいわけで、それで客が減るとも思えない。
◆ トランプ関税でハイパフォーマンスカーが影響を受けないと言われているのと同じで、欲しい人は価格を気にせず買うからだ。ポルシェはGT3に関しても、初見の客はまずタイカンを何台か買えみたいな事を言われたとか。販売店としてはタイカンのノルマが達成できなかったからなのかも知れないが、ちょっとねぇ。これが911ターボを1年乗ってからもう一度来てくださいなら、何となく説得力はある。
◆ こうなると買える人というか買う権利を持っている人が買って転売することになる。そこで一部メーカは転売の禁止と、転売した場合に罰金を科すような事も行っている。でも名義を変えなければ転売ではないでしょという事で、抜け道というかやり方はいくらでも存在する。だいたいこういう人はカネはいくらでも持っているのだから、どうにでもなってしまう。
◆ ランボルギーニが何とか一家を毛嫌いしたところで、新車が出れば彼らはいち早くそれを手に入れる。それで影響を受けるのは普通のオーナなのだから、何だかなぁと思わないでもない。
値段と品質の妥当性(8/16)
◆ スカイウエイブは中古を買ったのだが、余り乗らないかな、じきに飽きるかなと思ったからである。しかし実際には多くの距離を乗り、未だに維持している。スカイウエイブは中古業者から買ったのだが、多少割高だったかな。どうせ自分で整備するのだから、もっとボロでも良かったかも。
◆ ジムニーはかなり安く買った。中古車価格が上がる前だった事もあり、CLS用の冬タイヤを買うよりジムニーの中古の方が安いと思ったものだった。ボロさは値段なりだったのだが、こんなに安い車でもちゃんと走るんだと思った。まあオイル下がりとか色々あったのだが、値段からしたら十分だと私は思った。
◆ 整備などでの出費はあったが、これにしたって元が安いから多少は整備にお金がかかるのも仕方がないと思った。社外品や中古パーツの活用、直せる部品は直して使ったり、安い中古パーツを見つけたら(使う予定はなかったけれど)ストックしておいたりした。
◆ 整備代よりランニングコストが高い印象で、何しろ燃費が悪かった。夏場で8km/l前後、冬場で9km/l前後、高速道路を80km/hで走ると10km/lになる事があった。修理や交換はラジエータやオルタネータ、キングピンベアリングやシールは複数回交換、プロペラシャフトやタイロッドエンド、電動ファン、ヘッドガスケットにステムシール、細かなところや消耗品を入れたら結構な箇所になる。ガソリンや税金を除く維持費用として、年間5〜7万円だったかな。
◆ 軽自動車の塗装は弱いと言われるが、ジムニーはルーフのクリア層のハガレは認められた(目立つほどではなかった)が、20年前の車にしては錆も少なかった。各所ボロなのはそもそも安い車だったわけだし、セメント袋や砂利を運んだりとハードな仕事もこなしてくれたので、ラゲッジスペースの傷や汚れもそれなりだった。
◆ 庭というか山の整備に石を運んだり、材木を積んだり、海水を運んだりと、山での生活を支えるために頑張ってくれた車だった。200リットル以上の海水を運んでも、変にヨレたりしないフレーム構造は頼もしかったが、サスペンションはボトミングしまくりになった。
◆ ミニも割安で買った(ルーフに小傷ありで)がジムニーに比べたら綺麗な車だ。ジムニーの1.5倍〜2倍は燃費が良いのでガソリンスタンドに行く回数が減った。エンジンマウント、ロアアーム、フロントギアケースカバーを交換した。この先も10年/10万kmとなれば交換するパーツも増えると思う。
◆ スカイウエイブもジムニーもミニも、私としては悪い買い物ではなかったと思っている。では昨日の記事のあの車を買ったらどう思ったかなのだが、買値が高かったら期待値がそれなりなので不満は出るだろう。安く買ったのなら納得はするのだが、でも納車3日目に自走出来なくなり、しかもそれが直らないとなると文句の一つも言いたくなるよなぁ普通は。
◆ それに整備済みと言いながら何もされていないとか、車本体云々よりも中古車屋の売り方が問題だ。アイドリング不調やエンストなど納車前に分かる筈なのに。ジムニーは購入後少ししてラジエータが壊れた(カシメ部分が開いて水漏れした)のだが、販売店は(安い車で保証はナシだったが)ラジエータを無償で送ってくれたのは有り難かった。安い車で儲けなど微々たるものだったろうに。
故障に負けた人(8/15)
◆ 故障続きだったミニをセリ方式で売却した方の話は少し前に書いた。購入時の走行距離は約7万kmで、売却時は約9万kmとなっていた。2014年式なので3代目になってすぐのモデルという事になる。購入額は明らかにはされていなかったが、当該中古車店では100万円以下の車は売られていないのと、2012年式の2世代目のミニが120万円位の価格なので、全体的に高めの値付けの店で購入されている。
◆ 納車されてすぐにトラブルが起きてレッカーで運ばれ、数十万円の修理費と4ヶ月の時間をかけても直らず、最終的にはディーラで修理を行った。後に修理代は中古車屋が負担するという話になったそうだが、かなりモメたようだ。オーナも最初にケチが付くとロクな事はないと言っている。その後もサスペンション関係の修理でお金がかかり、ブレーキ関係と水漏れ修理+車検費用で60万円のお金がかかるという事で車を売ることにしたわけだ。
◆ 車に乗っていたのは1年位、いや修理期間を除いたらそれより短そうではある。関西から東北までドライブをするなど、距離はそこそこ走ったようだし車自体(個体という意味ではなく)は気に入っているとも言っていた。
◆ 中古車の場合はある程度の整備費用は仕方がないとは思うが、購入直後に走れなくなったトラブルとその解決に4ヶ月もかかったのは酷い。その中古車屋はYoutubeで動画を上げていて、信頼できると思ったとのこと。その中古車屋に足を運ぶと、強引な営業マンにその日のうちに契約をさせられてしまう。納車後すぐに故障した件に関しての補償など、契約時に営業マンが言った事は無かったことにされてしまう。この中古車屋のYoutubeチャネルは、一時期はコメント禁止設定されていた(荒れたのかな?)が、今はコメントできる。
◆ 故障対応などが心配ならディーラの認定中古車を買えば良いが価格は高い。売りっぱなしの中古車屋で買えば価格は安いが、どんな車なのか分からない。しかし中には価格が高いのに状態の悪い車を売る店もある。買うときにエンジンルーム内を見る事やオイルフィラーキャップを開けて中を覗いてみること、下回りをチェックすることが重要だと言われるが、それらを拒否する販売店もある。
◆ 中古車でリスクを最小にするなら国産車で販売台数の多いもの、デザインだとか性能よりも信頼性を重視した車選びになる。でも実際にはそうではなく1990年代のアメ車が欲しいとか、そこまで極端ではないにしても実用一辺倒では行かないのが車選びだ。
◆ ミニを買った不遇の人が売却した車は、たぶんどこかの中古車店で売られる。そしてそれを買った人はしばらくはトラブル無しで乗れるだろう。最初のトラブル時には訳も分からずに、イグニションプラグやイグニションコイル、センサ類や配管部品など、片っ端から(その中古車屋は)交換したというから、多くの部品が新品になっている。タイヤも新品が付いているのだから、つまり次に買った人はそれらの部品が壊れる心配をせずに乗り続けられることになる。
◆ 販売価格としては70万円とか80万円になるのかな、ウォータポンプの交換にも実費ベースで2万円位はかかる。輸入車の場合は一般的に利益分を多く乗せる傾向にあり、それは販売後の多少のトラブル分を見込むからだとか。
グリスの粘度も重要なのか(8/14)
◆ 燃費効率改善のためにエンジンオイルもトランスミッションオイルも柔らかいものが使われるようになってきたわけだが、グリスのちょう度も変化があるのだそうだ。グリスが沢山使われているのはドライブシャフトだが、トヨタ系の車種ではグリスの種類も従来とは違うのだとか。
◆ どんなグリスが使われているのかトヨタは非公開としているらしいので、分解整備対象ではない(アセンブリ交換指定)のパーツというか車種なのかも。分解整備時にモリブデングリスを入れて壊れるわけではないようだが、グリスによる抵抗で燃費が悪くなるなどするのかも。
◆ ドライブシャフトのグリスというとベタベタする感じだが、最近ではとろとろのグリスだそうなので、ちょう度が1段下がった位なのかな。柔らかいグリスは潤滑性を上げにくいので、グリス自体の特性改善もされているはずだ。それがトヨタの成分非公開の理由なのだろう。
◆ ドライブシャフトのグリスなんて、ドライブシャフトブーツが破れたときに交換する位なのかなと思っていた。しかし低粘度(低ちょう度)グリスの使用が増えていて、5万km〜8万kmでドライブシャフトブーツに異常がなくてもメンテナンスをした方が良いと言う整備工場もある。
◆ メンテナンスをすれば摩耗などが抑えられて長持ちするのだが、壊れた時点でアセンブリ交換してもトータル費用は余り変わらないんじゃないかとも言われる。清掃やグリス交換は工賃がそこそこかかるし、ミッションオイルも抜けてくるので補充が必要だし、ミッション側のシールも換えておきましょうとなればその工数も必要になる。
◆ ドライブシャフトアセンブリの価格は車種によって異なるが、両側交換で10万円〜30万円位と結構なお値段になる。リビルドや中古パーツで直すケースも多いらしいが、それらが入手できないとかOEMメーカ品のない車種だと痛い出費になる。
◆ グリスに混ぜるタイプのケミカル(N-560BJ)もあって、多少音が出ている程度であれば改善される。予防のためにドライブシャフトブーツ交換時にこれを入れておくと安心という人もいる。本質的には交換すれば直るのだが、多少摩耗して音が出ている程度であればケミカルでの改善が見込める。
◆ グリスの話ではないがFF車のデフギアはATFやCVTFあるいはDCTFで潤滑されている。歯車の構造が違うので何とも言えないが、デフオイルって結構固いイメージだ。逆にトランスミッションオイルは柔らかいのでオイルをかき混ぜる抵抗は少ないんだろうなと思う。同じマニュアルトランスミッションでもDCTFは柔らかいが、従来型のマニュアルトランスミッションオイルは固めだ。
◆ ATFも最近のトヨタ車はかなり低粘度のATFを使うようになっている。オイル粘度によるロスは必ず発生するので、今後はもっと低粘度オイルになっていくのかも知れない。CVTやDCTはオイルが汚れやすく、粘度センサなどで交換時期を知らせる仕組みの付いた車もある。オイルが汚れて粘度変化が起きると、正常な動作が出来なくなるためだ。
◆ CVTもDCTもオイル非交換とされている車もあるが、実際にはそうしたセンシングによってオイル交換アラートが出たりする。ステップATに比較するとオイルの交換時期は早めになり、結果としてランニングコストの増大にもなってくる。効率改善で節約できた燃料代が、トランスミッション作動油交換代に消えて行くみたいなものだ。
再使用型ロケット(8/13)
◆ SpaceXのロケットが発射台に戻るのは凄い制御技術だ。着陸するだけでも凄いのに、ちゃんと発射台のサポートに引っかかる位置に戻ってくる。SpaceXは多くの失敗から技術を進化させた。それはどの企業でも同じなのかも知れないが、失敗しても数ヶ月後には新たなロケットを打ち上げる製造能力も持っている。
◆ StarShipは飛ぶようになってからが長い。長いというのは多くの失敗が繰り返されているという意味だ。予定では実用化されている時期なのに、様々なトラブルや飛行(打ち上げ)許可問題などもあって実験の息を抜け出せていない。
◆ 再使用型と言えば6月に、ホンダが小型のロケットで着陸に成功した。制御技術やプロセッサの速度が向上したこと、センサやカメラ技術の進化も勿論あるが、ホンダの技術も凄いものだ。4年後には順軌道への到達能力を目指すとされる。
◆ 金さえあれば何でも出来ると言ったホリエモンのロケットは飛ばない。ホリエモンさん自身もロケットには飽きてしまったというか、単なる補助金目当てになっているのかな。2024年の日経は次のように書いている。「文部科学省は19日、ロケット開発の支援制度で、実業家の堀江貴文氏が創業に関わったインターステラテクノロジズ(IST、北海道大樹町)など3社に追加の補助金を出すと発表した。3社合計で最大100億円超にのぼる見込み。」
◆ 未知なる技術に挑戦するなら金を出すのは良いことだと思うが、既存の技術すらモノに出来ないところにカネを突っ込んでも意味はない。結果が出なかったら金は返してね、位の補助金政策でないと結果も出さずにカネだけ使うみたいな事になってしまう。
◆ ホリエモンロケット以外の開発者がどんな状況なのかは分からないが、ホンダに100億円を渡した方が、早く実になるのではないだろうか。ホリエモンロケットは2026年度までに50億円の補助金が渡る。2027年までに結果を出すようにと追加で金も出すようだが、今のところ結果は出せていない。
◆ この手の補助金だとか助成金はものすごい金額になるのだが、それが何の役に立っているのかは見えてこない。ホリエモンロケット会社は2003年に設立されたのだから、もう20年以上も研究をしている。ちなみにSpaceXは2002年の設立で、当初はマスク氏の自己資金100億円が財産だった。初の打ち上げ成功は2008年のファルコン1だとされるので、会社立ち上げから6年後には軌道投入を果たしている。
◆ SpaceXのファルコン9の打ち上げ費用が60億円位、北朝鮮に60億円を渡したらICBMを何発も作るだろう。勿論金を渡したなりの技術の蓄積があれば文句はないが、打ち上げに成功しない以上技術がない事になる。ホリエモンさんはJAXAの1/40の予算でやっているのだからJAXAの40倍の時間をクレみたいな事でも言っているのかな。
◆ 宇宙ビジネスは打ち上げコストと成功率がカギになる。再使用型ロケットは開発コストがペイできない(使い捨てロケットの方がトータルコストが安い、再使用機はメンテナンスコストが高い)と言われていた時期もあって、スペースシャトルのコストが問題視されていた時期だ。しかしXpeceXでは再打ち上げ(再使用)回数が増えたことで、経済性にも着目されてきているし、ロケット本体やエンジンのコストダウンも進んでいる。
タッチパネルと右ハンドル(8/12)
◆ 日産の一部車両や軽自動車など、物理スイッチをタッチスイッチに置き換えたものがある。ディスプレイ画面をタッチするのではなく、フラットなアクリル板をタッチするみたいな構造だ。これによって物理スイッチは静電センサに置き換えられ、コストダウンが可能になる。
◆ 海外でも大型ディスプレイをタッチする方式が一時期流行ったが、安全性の面などで物理スイッチに回帰している。多くの設定を分かりやすく行うという点でディスプレイ画面タッチ方式は有効ではあるが、運転中に行う操作を画面タップで行わせるのは無理がある。
◆ 物理スイッチは常にその場所に存在するが、タップ位置は目視確認が必要だし指へのフィードバックがない。車両の細かな設定、例えばアンビエントライトの色だとかオーディオの音質・ラジオのメモリ設定位は停車中に行えば良いとして、ワイパーコントロールもタッチパネルで行うテスラ方式は少々行きすぎである。なお設定はタッチパネルで行うが、設定に基づいた動作の制御はステアリングのスイッチで行う。
◆ それでも左ハンドル車の場合は、右手でタッチパネルを操作するので何とかなる。右ハンドル車の場合は左手での操作なのでうまく行かない。左利きの方が羨ましいと思う瞬間でもある。なので左ハンドル車の世界でタッチパネルが流行ったのは分からなくもないが、何で右ハンドル車まで??
◆ 日産デイズのタッチパネルは故障も多かったそうで、パネルアセンブリ交換だと5万円〜6万円の費用だそうだ。物理スイッチなら壊れる事など殆どないのに。
◆ 3代目ミニの前期型は、タッチパネルはほぼ使われていない。運転中に操作するのはラジオの選局位で、これはステアリングスイッチか悪名高きiDriveか、物理スイッチで行う事が出来る。エアコンの温度調整はダイヤル式の物理ツマミだが、夏でも冬でも温度を変えたことがない。温度や日照のセンシングが比較的うまく行っているので、温度調整しなくても快適度が低下しないからだ。
◆ そうは言ってもオーディオコントロールやエアコンのコントロールは物理スイッチの方が良いと思う。エアコンのコントロールは助手席に乗った人が助手席側の温度を調整することもある訳だから、やはり分かりやすいに越したことはない。
◆ 音声認識もちゃんと認識してくれるのであれば使い道はある。ミニは通信機能モジュールの付いている車で、かつそれが契約されているとセンター側の音声認識機能を使うことが出来る。それ以外の車両で音声認識ボタンを押すとGoogleアシスタントが応答してくるのだが、スマートフォンがロックされている状態だと応答しない。従ってこれを使うためには車に乗ったらスマートフォンのロックを解除しておくことが必要になる。車両のBluetooth接続を"信頼出来る場所"に登録しておけば、いったん解除したロックが再び自動ロックすることは防げる。
◆ もっともGoogleアシスタントでは車両のコントロールは出来ない。音楽再生のコントロール(音楽ソースをスマートフォンに設定している場合)とか、電話をかける(これはステアリングの物理ボタンでも可能)事など、スマートフォン自体のコントロールは出来る。でもGoogleアシスタント自体出来が良くないので、アレクサに切り替えて置いた方が良いかも。
スーパーLLC(8/11)
◆ 不凍液に対してロングライフクーラント(LLC)は、シーズンごとの交換を不要とした、不凍液の長寿命版だ。これが長らく使われていたが、今はスーパーLLCと呼ばれる更に長寿命なLLCが使われている。欧州では環境問題云々でスーパーLLCが使われはじめ、更には毒性のない(下水に流すことは推奨されないが、流しても無害とされる)ものも使われている。
◆ エンジンオイルとシールの関係は以前にも書いたが、長寿命型LLCは浸透性が高いので冷却水漏れの原因になる。スーパーLLC用のシールが使われた車両なら問題はないが、古い車にスーパーLLCを入れると冷却水漏れが起きる場合がある。
◆ 冷却水漏れが起きたらスーパーLLCを抜いて、従来車用のLLCを入れれば直る、継続的な漏れにはなりにくいと米国トヨタは言っている。問題は従来使用されていたLLC(メーカ純正品)の入手性が良くないことだとか。古い車にスーパーLLCが使えるかどうかは、スーパーLLCのメーカーによっても異なるらしい。指定のものを使うのが一番良いが、従来型LLCはメーカによる成分の違いは少ない。
◆ 旧車にお乗りの方は従来型LLCをストックしておいた方が良いのかな。或いは旧車にも使えるスーパーLLCがあるのかも知れないけど。スーパーLLCの交換サイクルもメーカによって微妙に違ったりする。一般的にLLCが古くなると防錆作用や消泡作用が弱まる。また冷却水路の汚れや錆などでLLCが汚れる。従来型LLCは2年ごとの交換が推奨されるが、そこまでは寿命は短くないとは思う。ただ冷却水漏れとか錆とかが起きると面倒なので、車検ごとに交換しましょうみたいな感じなのではないだろうか。
◆ 古河薬品工業のクーラントリカバリーは消泡剤と防錆剤を配合したもので、これを冷却水に入れれば性能が回復するよと謳われている。ワコーズのクーラントブースターは成分非公開らしいが、たぶん似たようなものだろう。
◆ 冷却水量は5リットル〜10リットル位で、希釈済みの従来型LLC(汎用品)は5リットルで2千円位、ワコーズの添加剤は1本2千円以上する。冷却水の交換が面倒なら添加剤(古河薬品のものなら実売5百円位)を入れておくのが良いかもしれないが、汚れた冷却水路を洗うという意味では冷却水を交換して水洗いした方がスッキリする。
◆ 洗浄剤もあってさび取り効果を謳うものは冷却水路やエンジンブロックの錆を取ることが出来る。これもシール類への影響があるので、何でもかんでも洗浄剤を入れれば良いと言うものではないが、鉄ブロックのエンジンでLLCを長期交換していない車は内部が結構錆びていたりする。
◆ ラジエータ洗浄剤は中性のものもあれば酸性のものもある。酸性のものの方が効果が大きいが、LLCに添加すると効果が弱まってしまう。いったん水を抜いて内部を洗浄し、真水を入れてから酸性洗浄剤を入れる。鋳鉄ブロックかアルミブロックかによっても使える洗浄剤が異なる場合があるので、注意書きをよく読んで使用する必要がある。
◆ ラジエータキャップを外してキャップやパッキンに錆が付いているようなら洗浄した方が良いが、定期的にLLCなりスーパーLLCを交換/管理している車であれば、普通は錆びていないはずだ。ジムニーのエンジンは鋳鉄ブロックだったが、冷却水路に錆が混じることはなかった。錆や汚れがない車に洗浄剤を使う意味は余り無い。
リニア新幹線工事と水問題(8/10)
◆ リニア新幹線のトンネル工事と水問題に関しては静岡県のイメージなのだが、山梨県や岐阜県でも問題が起きている。静岡県の場合は河川の水量減少が問題となっていて、河川下流で水を使う産業や農業への影響を回避すべくJR側と交渉が行われてきた。
◆ JR側は当初は水量減少をポンプアップでまかなうと言っていた。トンネルに流れ出た地下水をくみ上げて河川に戻すという事だ。しかし後にトンネルが傾斜しているため、山梨県側に流れた水は戻せないと言い始めた。更にはポンプアップによる水温の上昇も想定できると言った。
◆ 結局水量がどうなるのか?JRは河川の水量が減ることは回避できないと言い始め、それでは工事を許可できないと当時の川勝知事は強硬姿勢を強めた。その後水量の減少した分を、ダムへの供給水量を減らすことでつじつまを合わせる作戦が提案されて現在に至っている。
◆ 山梨県内では工事が進んでいるのだが、各所で地下水量の減少による井戸枯れが問題になっている。しかし山梨県内の工事は時期が早かったことから、住民は一時金を貰って納得してしまっている。従って水量減少に対する補償はされず、現在も問題を抱えたままの状態だ。
◆ 岐阜県でも地下水量の低下による河川の水量減少、井戸枯れで農業や住民生活に影響が出始めた。JRは地下水位の低下を防ぐための工事を行うとしたのだが、やっぱりそれは無理で地下水位を戻すことは出来ないと通告したのが今年の話だ。
◆ リニア工事を優先するならば地下水位の低下と地盤沈下は防ぎようがない、また現状で低下した地下水水位は将来的には更に低下する事を住民に説明した。地下水位は2025年6月の時点で最大60m下がっているという。地盤の沈下は同時点で11cm程度とのことだが、これも地下水水位の減少に伴って十数年間で30cm程度の沈下を見込んでいるそうだ。JRは一時的に工事を中断したが、「住民の理解を得て工事を再開する」とした。勿論住民は全く理解できないと憤る。
◆ 実はこの問題が起きたのは1年以上前で、水位低下の現状が分かった中でも工事が進められていた。住民対応としては新たに水道を引く(井戸水が出なくなったため)事や地盤沈下による家の傾きを修正する工事を行ったものの、継続的に地盤が変動するので修理が追いつかない事、岐阜県への報告が行われていなかったことが問題となる。
◆ JRはトンネル内に地下水が漏れないようにウレタン注入→コンクリート注入を行う予定だったが、地下水圧でトンネル強度がもたない事から地下水のトンネル内への漏水阻止が出来ないとの結論になった。これにより減少した地下水を元に戻すことは出来ない(やらない)との報告になったわけだ。
◆ 工事を行う事によって自然が破壊されるのは致し方ないと思うのだが、問題はそれを食い止めるなどの対策が行われるかどうかだ。これはソフトウエアのバグとその修正みたいなもので、バグは防げないけれど修正は行いますよと言うのと、バグが起きたら諦めてねと言う位の違いだ。JRの姿勢としてトンネル工事で影響が出るけれど、それは仕方のないことだから諦めてねと言っている。他にも地盤改良に使う六価クロムが流れ出しての地下水汚染など、様々な問題を起こしている。
FIAT600Hybrid La Prima(8/9)
◆ 2世代目のminiを買った人の話を書いたのは1年位前だったっけ。周りからは壊れる壊れると脅かされていたようだが、特に何事もなく乗っていたそうだ。で、今も乗っているかというとFIAT600に乗り換えたという。買った価格以上で売れたからと言うのが一つの理由らしく、数が減ってきた2代目miniは多少値上がり傾向だとか。
◆ FIAT600ってどんな車?500の後継モデル?みたいな感じで余りよく知らなかった。ちなみに500は"ごひゃく"ではなく"チンクエチェント"であり、600は"セイチェント"と呼ばれる。500は日本向けの生産が終了しているので、在庫がなくなり次第(既にないかも)新車は手に入れることが出来なくなる。
◆ 500も600も元々はかなり昔に存在していて、しかしそのデザインを継承したという程似てはいない。でも見る人がみれば面影が隠されていると言われるのだが、現行の600を見ても私には分からなかった。しかしこうした部分がFIATファンの心を掴むのかも知れない。
◆ 600はハイブリッドモデルがありモード燃費は23.2km/lとなっている。エンジンは1.2リッターのターボ付で出力は136馬力だ。、モータは48V駆動で出力は16kWのマイルドハイブリッドとなっている。48V駆動だとすると電流は400A位流れる訳か。バッテリー容量は約880Whしかないのだが、一応EV走行が可能となっている。停車時にはエンジンが停止し、停止からの発進がモータのみで行われる(モードがある?)そうだ。
◆ ミニも世代を経るごとに普通の車になっていく訳だが、FIATもその例に漏れずみたいなインプレッションがあった。乗り味も信頼性も普通の車になっていくという事で、FIAT好きな人が乗る車から普通の人が乗れる車になっていく。
◆ 600は2代目のミニより少し大きいが、それでも全長は4.2mとコンパクトだ。国産車でディメンションが近いのはスズキのエスクードで、全高だけはエスクードが大きいが幅と長さは若干600が広く長い。アクアやヤリスは全長が短く、プリウスやカローラは少し長い。ヤリスクロスが4.2mくらいなので600と同じ位の感じかな。ヤリスクロスのレクサス版がLBXで、ハイブリッド版で550万円となっている。600はHybrid La Primaが419万円なのでLBXより安く、ヤリスクロスのコンベンショナルモデル約205万円よりも高い。
◆ ヤリスクロスのハイブリッド版が300万円位なので、レクサス代はずいぶん乗せちゃってるなぁ。日産デイズの4WD版が約204万円と聞くとヤリスクロスは安いんだなぁと思ったりする。軽自動車は最近高いのでデイズが飛び抜けて高いというわけではない。
◆ カローラクロスという車もあるがC-HRとの違いはよく分からない。もしかしたらベースは同じかも。ヘッドライトは共通かと思ったら、少し違うようだ。Cピラーあたりのデザインやサイドから見た感じは異なっている。カローラクロスの方がデザインが新しいのかな?C-HRはガンダムチックなところがある。
◆ 今はコンパクトSUVが売れているので、車種の拡大傾向にある訳だ。ブームが去れば売れないモデルから消えて行くが、トヨタ的にはデザインをSUV以外に変更して名前はそのままみたいな感じになるのかな。SUV人気は世界的なものなので、しばらくは小型SUVが売れ続けるだろう。
軽自動車の扱いは雑?(8/8)
◆ 軽自動車は雑に扱われる傾向にあると、整備工場の人が言っていた。"軽自動車だから"みたいな根拠なき理由でちゃんと整備されないという。タイヤはひび割れたまま、オイル交換は車検の時だけみたいな車が多い傾向だそうだ。そんな状態で乗り続けられている車が多く、結局は故障などの原因になってくる。
◆ ヘッドライトがロービーム検査になり、ヘッドライト磨きが必要な車が増えたという。これにも当然費用がかかるわけで、更にリフレクタの劣化があるとライトユニットの交換が必要になる場合もある。古い車に乗り続ける人も増加傾向だそうで、ヘッドライトは黄ばみを通り越して透明度がなくなってしまっていたりする。
◆ 黄ばみ取り程度であれば数千円で済むが、曇っているとか細かなヒビが入っていたりするので、表面を削る作業になるので工賃もそれなりになる。整備工場でなら磨けば車検に通るかどうかが判断できると思うが、いわゆる磨き屋さんの場合はヘッドライトテスタを持っていないので、照度保証はしてくれない。
◆ ヘッドライト磨きに工賃がかかるので、だったらオイル交換はしなくて良いと言う人もいるそうだ。元々車検の時にしかオイル交換をしないのに、これからまた2年(約2万km)も無交換は厳しいんじゃないかなと整備士は言う。
◆ 新車で買うと車検は3年後なので、オイル交換も何もしない人もいる。田舎の方は結構走行距離が伸びるので、車によっては5万km位は(結果として)オイル無交換になる。それですぐに車が壊れることはないが、抜くオイルは結構ドロドロだそうだ。
◆ 軽自動車やハイブリッド車の中古を買うときには、オイルフィラーキャップから中をのぞき込んでみた方が良い。オイル管理が悪い車は他の部分の整備もされていない事が多く、外観が綺麗だからと言って"良い車"とは限らないよと言う事だ。ハイブリッド車は油温が上がりきらないチョイ乗りではオイルが乳化し、鍾乳石みたいなものがくっついている事があるそうだ。
◆ 整備しなくても乗れるから整備しない、お金がかかるから整備しないという人は少なくないと思う。このあたりも日本の経済の弱さなのかなとも思うし、車の信頼性に支えられている部分でもある。軽自動車は特に整備されないという話ではあるが、そもそも軽自動車比率が田舎は高いので偏りはある筈だ。
◆ この近くのガソリンスタンドではオイル交換は余り勧めていない。タイヤの方が利益率が高いのか?タイヤ交換や洗車・ワックスのいくつかのコースを宣伝している。少し前なら10W-30だけ置いておけば良いみたいな感じだったが、今は低粘度オイルも用意が必要だしディーゼルは規格に適合するオイルでないとダメだ。オイル交換サイクルも長めになっているので、ガソリンスタンド的には面白くない商売になってしまったのかも。
◆ 素人整備的に無茶な直し方は昔から変わらないのか、ゴムブーツの破れをシリコンコーキング剤やビニールテープで直すとか、オイル漏れの部分にコーキング剤を塗りまくるとか。たぶんオイルを拭き取ってから適切に塗ればある程度の密閉性は得られると思うのだが、そもそもオイルが漏れているところに塗ってもコーキング剤が張り付かないので効果がない。ゴムブーツも力の加わる部分だと、コーキング剤はすぐに剥がれてしまう。コーキング剤で補修が出来るのはひび割れが起きている場合で、亀裂が入ってしまったら無理だ。
雑草には勝てない(8/7)
◆ 芝を植えたエリアの芝は半分位は残っている。残りの半分は枯れてしまっているのだが、枯れたのは草に覆われて陽が当たらなかったためだと思う。一昨年は草取りもしないまま放っておいて事で、芝の上が草に覆われてしまっていた。昨年は除草剤を撒くなどしたが、芝は復活し なかった。
◆ そこでタピアンを植え、今のところは雑草よりもタピアンの方が多少優勢であった。ただタピアンは背が低いので、ツユクサに覆われると枯れる。ツユクサを刈り取るときはタピアンも一緒にカットしてしまうので、結局ツユクサに負けてしまう。
◆ ツユクサを枯らすには除草剤を撒けば良いのだが、そうすると他の植物も枯れる。結局の所自然の力というか、山の中の草木の生え方を変えようとするのはかなり大変だ。平地であれば芝を生やして芝用の除草剤を散布し、定期的な芝刈りで維持できる。しかし斜面となると芝を刈るのも結構大変で、どうしても手抜きになる。
◆ 有用な植物の生えていない場所であればグリホサートを撒くのが手軽で確実だ。1〜2週間後に草が枯れ始め、3ヶ月位は効果が持続する。ただしここは山の中なので、草の種子などが飛んでくるのでやがてまた草が生える。
◆ 陽が当たらないと草が生えないので、木々の生い茂ったところにはシダ位しか生息していない。ただ日陰なので他の植物を植えても育たないことになる。以前は春から秋までに2回位草刈りをしていた。草を刈っても根は残るので、やがてまた草は育つ。
◆ 草が生い茂ると根が張るので斜面が崩れにくくなるし土埃が抑制できる。だからそのままで良いのだと思ったところで、やはり見栄えがねぇ。山の中なので誰が見る訳でもないのだが、草を刈って綺麗になると気分は良いものなのだ。これは除草剤では得られない感じで、朝方までは草に覆われていたものが、午後にはサッパリみたいな変化の大きさが快感である。
◆ 除草剤の場合は徐々に枯れるわけだし、枯れた草はその場に残る。やがては土に帰るのだが、草刈りを行ったときのようなフラット感はない。枯れた草がそのままの形で生えているというか立っているので、汚らしい。草刈りで嫌なのは虫の存在もある。草の中には虫がいるわけだし、以前には蜂の巣の存在に気づかずに蜂に刺されたこともあった。草刈り中には遭遇していないが、蛇もいる。草刈りの時にはゴム長靴を履いたりするが、それでも虫は嫌なものだ。
◆ 木を切り倒して陽が当たるようになり、草が生えまくり、そこに近づくことも躊躇われるようになった場所がある。以前は歩くと斜面が崩れるような、カラカラに乾いていた。植物を植えたこともあったが全く育たなかった。そこが今は草だらけになり、地面も見えないほどなのだから日射の重要性が分かる。草が生えるとそれで日陰が出来て地面が乾きにくくなり、更に草が生える。
◆ 今は斜面が崩れるなんて事はなく、草の根で覆われているはずだ。草を刈ればそこに近づくことが出来るが、ススキみたいな草の高さは1m前後にもなっているので電動草刈り機では歯が立たないかも。このススキみたいなヤツは冬になって枯れてもそこに存在しているので、冬場であっても容易には侵入を許してくれない。以前に写真を載せた、勝手に生えた松の苗があったが、そこも草に覆われて松さえ見えなくなっている(冬になると松が見えるので枯れてはいない)。
計測の精度(8/6)
◆ 車やバイクによっては各部の寸法値が1/1000mmまで規定されている。基準値が10.143mm〜10.160mmみたいな感じだ。エンジンのモデルによって異なるかも知れないが、ヤマハのバイクやフェラーリのエンジンが1/1000mmまで規定されている。
◆ 1μmあるいは0.1μmの分解能のある計測器はあるが、測定は簡単ではない。まず室温を一定にしなければならず、フェラーリは20℃〜25℃が規定されていたかな。マイクロメータは基準の長さの棒みたいなもので校正するが、これも20℃が指定されているものが多いかも。
◆ メーカが1μmまで規定するのだから、エンジンの使用環境においてそれを規定しなければならない意味があるわけだ。現代においてはディジタル計測器も普及していてノギスでも10μmの分解能がある。精度はミツトヨのもので±40μm(スタンダードタイプ)なので、表示値が絶対値とは限らない。
◆ ノギスもマイクロメータもディジタル表示のものが多くなってきて、バーニアの目盛りを読める人も減って来そうだ。ディジタルディスプレイなら誰が読んでも同じ値になるし、今時はディジタルものの方が安いのかも。ただ桁数(分解能)と精度は別物なので、計測器に関してはある程度信頼できるメーカのものを選んだ方が良い。
◆ 精度の良くないノギスは絶対長が狂っているだけではなく、リニアリティも狂っている。つまり1mmの長さを測ったときには0.9mmと表示するけれど、10mmの長さを測ったときには11mmと表示するみたいな感じだ。安物だとプラスチック製のものもあるが、誤差や使用温度範囲も書かれていないものが殆どだ。
◆ 私は未だにミツトヨのアナログノギスを使っているが、ディジタルノギスも欲しいなとは思っている。欲しいなと思っているけれど、アナログノギスで必要十分なので未だに買っていない。今やアナログノギスも5千円位するし、ミツトヨのディジタルノギスは1.5万円位と高額だ。とは言っても耐用年数を考えれば凄く高いわけでもないし、信頼のおけるものが1本はあった方が良い。
◆ 絶対値の測定の難しさは機械物ばかりではなく、電気ものでも同じだ。テスターで測った1.00Vが本当は何ボルトなのか?中華テスターは何台か持っているが、結構誤差がある。誤差が仕様に書かれているものもあるのだが、その仕様から外れているものもある。千円位のディジタルテスターに多くを求めてはいけない訳だが、桁数があると何となくそれを信じてしまう。
◆ 車の電気ではさほど精度は要らないので、安物中華テスターを使うことが多い。車の整備で使うと手が汚れていたり、雑に扱いがちなので安物テスターが丁度良い。車の電気以外でも安物テスターで用が足りるときには、それを使っている。精度が必要なところはちゃんとしたものを使い、最近だとLi-ionバッテリーの電圧測定がそれだったかな。
◆ 重さに関しても中華秤は桁数の割に安い。ストレンゲージやディジタル表示器が安価になったことで、これもいくらでもと言ったらおかしいが、桁を増やせる。ただこれは長さ測定以上にリニアリティの確保が難しい。10mgの精度を出すにしても、最大ひょう量が200gのものと2kgのものでは難しさが違う。それと重力を利用して重さを量るものは、使用する場所によって(重力が異なるので)表示が異なる。
水冷オイルクーラ(8/5)
◆ ジムニーのエンジンには水冷のオイルクーラが付けられていた。ここからオイル漏れがあったことは過去に書いているが修理はしなかった。オイルクーラを外してOリングを付け替えれば修理完了なのだが、オイルクーラを外すのが大変なのだ。で、この交換に関する質問があったので再度書いてみることにする。
◆ オイルクーラを外すためにはエンジンマウントを外す必要があり、しかしエンジンマウントはエンジンをつり上げないと外すことが出来ない。エンジンマウントそのものはネジを外せばフリーになるが、フリーになるだけで外すことは出来ない。
◆ エンジンマウントを外さなくても、エンジンを少しずらせばオイルクーラが外せるという記事もある。オイルクーラは小型のもので、カートリッジ式オイルフィルタみたいな形をしている。それがネジ1本で止められているだけなので、何となく外せそうなのだがクリアランスが少なすぎる。
◆ オイルフィルタを外すのは未だ良いとして、付けるときも難しい。Oリングがずれないように取り付けるのだが、目視できないのでOリングの状態が分からない。プロの整備士は"手先の感覚で分かる"らしいが、素人整備ではどうなのだろう。
◆ オイルクーラそのものが外しにくいので、オイルクーラを外さずにOリングを交換する方法もある。Oリングが上手く嵌まってくれればこの方法で交換が出来る。Oリングは2個で千円以下、整備工場に頼むと工賃が2万円位かかるので、そこそこ面倒な作業というわけだ。素人整備ではリフトが使えないので、狭いところでのオイルクーラ外しは余計に面倒かも。
◆ そんな訳で修理はしなかったのだが、漏れがそう酷くなかったこともある。地面にシミが出来るほどになったらさすがに直すのだが、周りがオイルだらけになって砂埃が付着している状況だったので我慢した。
◆ オイル漏れ防止ケミカルも売られているが、これが有効だったという話は余り聞かない。ゴムものはどうしても硬化するので、それを換えない限り漏れを止めるのは難しい。ジムニーの場合はオイルクーラに接続されている冷却水ホースもそれなりに劣化しているはずなので、オイルクーラ部分の修理をするのならばホースも交換した方が良いだろう。
◆ 軽自動車は油量が少ないこと、高回転高負荷で使うので油温が上がりやすい。ジムニーは水冷オイルクーラが付いているが、それでも120℃はすぐに突破する。このあたりはジムニーだからと言う事ではなく、軽自動車全般に言える事かも。オイルクーラの付けられている軽自動車も少なくはないが、容量が余り大きくないので冷却能力は低い。
◆ 後付けのオイルクーラもあるが、小型のオイルクーラだと余り冷えない。オイルクーラ自体の効率とか大きさもあるのだが、それでも結構値段が高い。だったらATF用の空冷オイルクーラ流用の方が良いんじゃないの?と言うことでATF用のオイルクーラを付けている人もいた。
◆ ジムニーはATF温度もかなり上がるそうだが、私は測ったことがなかった。JB23はロックアップ機構がなかったので、高負荷運転時にはトルクコンバータによるロスが大きく発熱もかなりあったのだと思う。その事もあってATF交換時期が5万kmごとと設定されているのかも。
日産KRエンジン(8/4)
◆ 日産のKRエンジンは可変圧縮比機構を搭載したもので、3気筒の1.5リッターと4気筒の2リッター版がある。1.5リッター版ターボ付きエンジンは200馬力以上を絞り出す。
◆ 海外モデルへの搭載例もあるのだが、耐久性に難があると言われた。複雑なクランクシャフト周りが壊れるわけではなく、メタルの損傷だとかガスケット抜けなどのトラブルが多かったそうだ。海外の整備工場は「高々10万kmで壊れた、短命だ」と書いている。
◆ 米国は走行距離が日本とはまさに桁違いなのと、高い信頼性と耐久性を誇る日本車への期待値もあるので余計に壊れやすいと感じられるのかも知れない。10万kmの保証を過ぎると壊れるとも書かれていた。このあたりは日本車だからとか、日本車なのに的なニュアンスもあって、米国車のエンジンが10万kmで壊れても驚かれないみたいな、韓国車が10万km走ったら凄いねと言われるような感覚もある。
◆ 日産の可変圧縮比エンジンは、圧縮比が8:1〜14:1まで可変出来るようになっているので、可変範囲はかなり広いと言える。燃料供給は2リッター版が直噴とポート噴射の併用であるのに対して、1.5リッター版は直噴のみとなっている。直噴エンジンであれば最低圧縮比をもっと上げることが出来ると思うし、そうすれば効率が改善できる。
◆ 直噴エンジンだと過給器付きでも圧縮比10以上が可能で、トヨタのY24A-FTSは11の圧縮比だ。KRエンジンはアイドリング時には14の圧縮比で運転されるが、少しアクセルを踏み込むと圧縮比が下げられてしまう。最高圧縮比で運転出来る範囲が意外に広くないとのレポートがあった。なお圧縮比は8か14かではなく、その中間にも設定(運転)できる。
◆ 構造が複雑でコストもかかる可変圧縮比エンジンではあるが、効率の追求という点では理にかなっていると言える。ノッキングを防ぐには点火時期を遅くするなどの対策があるが、これは熱効率の低下と排気温度の上昇が起きる。排気温度の上昇は過給時には問題になるし、点火時期の遅角で防げるノッキングにも限界がある。
◆ 圧縮比を下げればノッキングは防げるが、これも熱効率の低下がある。熱効率は低下するが高過給圧に耐えられるようになるので、エンジン出力を上げることが出来る。ただ日産の可変圧縮比エンジンの圧縮比下限である8.0はいささか低すぎるように感じる。
◆ 2リッターエンジン最強と呼ばれ、470馬力以上を出力するBENZのM139エンジンの圧縮比は9.0で、2.1barの過給圧に耐えられる。M139エンジンの圧縮比が可変出来て、無過給領域で12:1位の圧縮比になれば燃費は改善できるはずだ。ただ燃費という点では大量EGRやミラーサイクル化の方が効果が高い。定負荷領域では高圧縮比による効率改善効果が低いと言われる。
◆ BENZは気筒休止による燃費改善策を採っている。当初はホンダの技術を買ったのだがモノに出来ず、その後独自開発したのだそうだ。気筒休止はシリンダ温度が下がってしまい、再稼働させたときの排ガスレベルが悪化する。厳しさを増す欧州の排ガス規制において、気筒休止だとかエンジン停止型ハイブリッド車は厳しい対応を迫られる。現時点でもPMフィルタを備えたガソリンエンジン車がある訳で、この点ではススの多い直噴エンジンにも厳しくなっている。
EVの整備に資格は必要なのか?(8/3)
◆ 整備業界ではEVに関する講習を受けろみたいな流れになっている。国家資格としては自動車電気装置整備士があって、これを取得すればなおよろしいみたいな感じだろうか。一部で電気工事士の免許が必要みたいに言われていたりするが、工事と修理は話が違うので電気工事士の資格は関係がないし殆ど役に立たない。
◆ EV整備に関してはオンライン講習もあるし、整備士の電気の知識をベースに少し高圧の部分やバッテリーに関して知識を深める感じで難しいものではないそうだ。これは以下の規定によるものだと思う。「事業者は、対地電圧が50Vを超える蓄電池を内蔵する電気自動車、ハイブリッド自動車などの整備業務に就かせる労働者に対し、電気自動車等の整備の業務に係る特別教育の実施が義務付けられています(労働安全衛生法第59条第3項/労働安全衛生規則第36条第4号の2/安全衛生特別教育規程第6条の2)」
◆ 主に感電などの事故防止の必要性だとか、整備時には絶縁工具の使用などの知識が必要だ。絶縁工具は一般工具をプラスチックなどで覆ったもので、1kVまでの耐圧が保証されている。今のところは結構高額で、スパナとソケットレンチとドライバーのセットで3万円とか4万円になっている。内容物からすれば数千円の工具セット同様だが、何かの認定料とか、そういうコストが高いのかな。
◆ 整備する箇所によっては絶縁工具が必要になる。自動車の構造上安易に短絡することはないとは思うが、全く知識なしに高圧の加わっている箇所のボルトを緩めるなどしたら危ない。12Vのバッテリーでもスパナが溶ける位の電流が流れるが、EVではそれ以上のパワーがある。何しろ数百kWのモータを駆動する電流を流すことが出来るのだから。
◆ 整備で高電圧部分に触るとすると、バッテリーの交換だとかバッテリーとインバータの配線だろうか。インバータとモータの間は電源を切っておけば通電はされない。通電しながらのテストだと高電圧を測る可能性もあるが、専用のプローブみたいなものを使うのかな。強電屋さんからすればEVの電圧なんてたいしたことないとなるが、触れば死ぬ電圧である事に間違いはない。
◆ バッテリーとインバータの間以外の駆動系だとかサスペンションなどはICEと違いはないし、トランスミッションが省略されている車が多いので、部品点数としては少なくなる。だから日本の自動車メーカが作れば、信頼性の高いEVが出来るはずだ。新興自動車メーカ製は色々と壊れる部品が多いが、それはEVだからという事ではなく足回りなど普通の所が壊れている。
◆ EVはバッテリーの寿命が有限で、それが長期使用のネックにもなっている。そこで実質容量の低下したLi-ionバッテリーに、Li-ionを注入して容量を回復させる手法が研究されている。鉛バッテリーに蒸留水を補充するように、リチウムナフタレニド溶液と高誘電率溶媒を補充する(Direct CapacityRegeneration for Spent Li-ion Batteries)。
◆ 今すぐ実用化できる技術ではないが、リサイクルが難しいと言われるLi-ionバッテリーを継続的に使い続ける道が開けるかも知れない。元々は電極材料の劣化による容量の低下が支配的だとみられていたそうだが、研究の結果リチウムイオンの減少が容量低下を招いていることが分かったそうだ。リチウムイオンの補充にはCF3SO2Li(トリフルオロメチルスルフィナートリチウム)が有効だそうで、Liイオン放出後は酸化硫黄と炭化フッ素として外部に(ガスとして)放出されるそうだ。
中古部品の使い方(8/2)
◆ 特に古い車の部品価格が上がっていることもあり、中古部品の活用が多くなっているのだそうだ。整備工場側からすれば修理費用が抑えられることで客には喜んで貰えるわけだし、価格の点で中古部品に利用にも理解が得られやすいとか。
◆ 信頼性とか耐久性を言い始めたら新品部品となるのだが、中古部品でも5年位は大丈夫でしょうとなれば客としても値段の安さには抗えないみたいな。車を長く使う人が増えたことによって10年/10万kmごとに交換しましょう的なパーツの需要が高まる訳だが、こうした部品は(いわゆる消耗パーツではないので)そこそこ値段が高い。
◆ 車検に通るか通らないかという点でみると、足回りのブッシュ類の亀裂やひび割れがある。ボールジョイントのブーツは価格が安いので交換を躊躇うようなものではないが、ロアアームのブッシュの亀裂や裂けは少しお金がかかる。
◆ ブッシュが交換可能なものもあるが、アセンブリでしか部品の出ないものもある。ロアアームを純正新品で買うと、軽自動車用で2〜3万円(両側)、普通車で4万円〜8万円位になる。社外品だとこの半額位で買えるものがあるが、車種によっては純正しかない場合がある。
◆ 中古部品は流通量によって価格は様々だが、おおむね1/10の価格だそうだ。例えば10万km走行してブッシュがガタガタになった軽自動車に、6万kmの車から外しましたと表示されているロアアームを付ける、みたいな感じだ。新品のような耐久性は期待できないとしても、とりあえず車検は通せるし何年かはそのまま使えるでしょうと。
◆ 中古部品が豊富にある車は良いが、年式によっては中古部品の価格も高騰している。こうなると社外品のチューニングパーツの方が安い場合がある。チューニングパーツはいわゆる鬼キャン用のロアアームなどで、構造変更を行うと車検は通るのだそうだ。鬼キャン用と言っても調整式になっていて、普通のキャンバー角にも出来るものが多い。
◆ ミニはロアアームを交換したが、見た目ではゴムブッシュが傷んでいる風ではなかった。交換しなくても固定ネジを緩めてブッシュを少し回した状態で締め直せば音が消えるみたいな記事もあった。交換したのはMEYLE(OMEメーカ)の強化品と称されるアルミ製のものだ。価格的には純正品と同じ位だったかな。いわゆる社外品だと純正品の1/4位の価格のものもある。
◆ ゴムものは劣化するのでいつかは交換時期が来る。ゴムの劣化は湿気にも影響されるみたいな記事があって、駐車スペースの水はけで劣化度合いが変わるという。ブッシュ類だけではなくタイヤの劣化やひび割れにも差が生じるというのだが、それがどの程度の違いなのかは分からない。一般的にゴム類は(ウレタン系など以外なら)水には強そうなのだが、それでも影響はあるのだろうか。
◆ 農道や林道などで使う軽トラックは、水分と衝撃(デコボコ道なので)でアームやボディに亀裂が入ることがある。これも車検に通らなくなってしまうので、溶接で直したりするそうだ。錆びてボロボロになった部分は直しにくそうだが、金属疲労で亀裂が入ったところは溶接で直せる。これもアームを新品にするより安いからと言う事なのと、新品にしても又同じ場所に亀裂が入るので、板を当てて溶接をした方が強度が上がるのだそうだ。
低粘度オイル対応で部品が変わる?(8/1)
◆ 損失低減で低粘度オイルが使われているのだが、車によってはモデルの途中から低粘度オイル対応になるものがある。今までは5W-30が指定だったのに、そこに0W-20が加わるみたいな感じで。従来の車両でも低粘度オイルが使えることが検証された面もあるとは思うが、部品単体で見ると変更されたものもある。
◆ スズキだったかな、ピストンのオイル穴などが変更されているようだ。部品番号は同一でサフィックスが違うのだと思う(部品番号も同じ説もある)が、オイル穴の個数や場所が変わっている。この変更が低粘度オイル対応なのか?単なる改善なのかはメーカに聞かない限りは分からないが、時期的に低粘度オイル対応ではないかという話なのだ。
◆ 従来型車でも低粘度オイルは使えるけれど、部品レベルで最適化しようという事かも知れない。ピストンの変更はオイル上がり対策の感じもする。元々低張力ピストンリングなので、ジャバジャバオイルを供給しない方が良いと言う判断なのか。
◆ 粘度の低いオイルは油膜が薄いからといって、供給量を増やしても改善にはならないのかも。むしろオイル上がりの原因になったりスラッジが増えたりするのかな。細かな点の変更ではあるが、そうした部分も見直して性能と信頼性を上げていくわけだ。
◆ 低粘度オイルを前提とした設計の場合は各部をそれ用に作れば良いが、モデルの途中で変えるのは色々と面倒だろうな、検証なども含めて。勿論低粘度オイルを使用禁止にすれば良いのだが、量販店などでは今や低粘度オイルじゃなきゃダメ位の勢いなので、このオイルの方が燃費が良くなりますと言われればそれを買ってしまう人もいる。
◆ 油膜の保持の面だけを考えれば固いオイルの方が良いわけだが、燃費は悪くなる。0W-20でも柔らかいなと思ったものだが、今や0W-16や0W-8なのだからすごい。その低粘度オイルの量もオイルポンプが吸えるかどうかギリギリ位が燃費が良いと言われるのは、吸い上げ量が安定しない(油圧が下がり気味になる)事で抵抗が減少する。エンジンにとっては良くないことだが、燃費は良くなる。
◆ オイルポンプの抵抗を減らすにはオイルフィルタの抵抗も重要なので、トヨタ純正オイルフィルタはメッシュの細かさよりも流路抵抗を重視して設計されている。定期的なオイル交換がなされていれば、オイルフィルタで濾過すべきゴミは少ないと判断したのか。もっと抵抗を減らしたいのなら(社外品の)金属メッシュのフィルタがある。濾過能力は更に下がるが抵抗は少ない。
◆ 金属メッシュフィルタは洗浄して再使用が出来るが、洗浄が面倒というか手間になる。カートリッジフィルタは新しいものに交換すればそれで作業が終了だが、再使用の場合はパーツクリーナなどで汚れを落とさなければならない。湿式のエアクリーナと乾式のカートリッジ式エアクリーナの違いみたいなものだ。
◆ 濾過能力を重視したいならボッシュ製がある。国産各車種向けが発売されていると思うので、それに変えれば濾過能力は上がる。ただし抵抗が増えるので、1%とか2%のレベルではあるが燃費が悪化するかも知れない。抵抗と濾過能力を両立させるには濾紙面積を増やす以外にはなく。コストが上がるし、サイズが大きくなってしまう。
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