エコ・バンドを試す


エコバンドは過去にも試したことがある。
最初はアイドル時の燃料噴射時間測定などを行った。
SEVのテスト時には放射線量の測定も行った。
その後エコシールのテストも行ったが、これは厳密なデータを取れずに終わっている。
今回のエコバンドは上記製品に改良を加えものとの事で、エコバンドとエコシールのセットになっている。
実際に実車でテストする前に、こちらのサイトで行われているようなスタティックなテストを行ってみることにする。
燃焼状態を改善する云々の場合、掃除機には燃焼セクションがないので実験の意味はなくなるが、吸気抵抗低減グッズならばデータに変化が現れても良さそうな気がする。
実験は簡単なもので、掃除機をエンジンに見立てて吸気管すなわち掃除機のホースの抵抗を測定しようというものだ。
測定には空気流量計と圧力計を使用した。
圧力計は掃除機の内圧を、吸気量計は掃除機に吸い込まれる空気の一部(ホースから吸い込まれる空気の絶対値ではなく、空気量計のチューブを掃除機内部に直結したバイパス値)を測ってみようというわけだ。

テープで押さえているのは、これを行わないとエアがリークして指示値がバラつくからである。
この状態で掃除機を稼働させ、10分ほど暖気を行う。
その状態でホースに負荷を与えずに測定値を見ると、
こんな感じだ。
果たしてどの程度の測定分解能があるのか、試しにホースの前に薬の瓶を置いてみた。
吸入音は多少変化があったかな?程度の違いに過ぎない。

それでも指示値は大きく変化し、バイパス空気流入量も圧力も変化した。

従って吸入抵抗が減ってくれれば、流量計の指示値も圧力計の指示値も下がることになる。
では最初にエコバンド類をホースに装着してみよう。
本来はラジエータホースや排気管に巻き付けるべきものも、今回は全部使ってみた。
と言うか、最初は吸気管用だけを付けたのだが効果が見られなかったので全部付けてしまった。

こんな感じで巻き付け、テープで固定した。
掃除機のホースが細いので3回くらい巻ける。

まるで掃除機が怪我をして包帯を巻かれているようだ。
この状態で計器を見てみるが…
全く変化は見られない。
それならばと言うことで、エコバンドに加えてシール型のエコバンドエコシール?も装着してみた。
こちらは蛇腹ホースの方に巻いてみた。

後日実車テストで再使用するので、こちらもテープで固定した。
この状態で計器を眺めてみるが…
どう見ても変わらない。
しかし掃除機ってヤツはうるさいなぁ。
途中で掃除機を止めてしまうと指示値の再現性に影響が出るかも知れないので連続稼働である。
そして最後にエアクリーナボックス内に貼り付けるというエコシールをテストすることにする。
と言っても掃除機にはエアクリーナボックスが付いていないので、段ボールの箱を代用品とした。

全解放では効果も薄かろうと、箱の一部を塞いだがこの状態でも相当な対流が起きてエコシールが掃除機に吸い込まれていく。
なのでエコシールの一部をテープで箱に固定してから一部蓋を閉めた。

そして吸入抵抗測定を行うが…
全く変化無しだった。
掃除機の吸入量とパイプの太さと長さ(抵抗)の割合はエンジンのそれより抵抗が多い方向ではないかと思う。
普通の吸気系で0.07Kg/cm2の圧損は出ないと思うのだけれど。
従って計測条件的にはエンジンより結果が出やすいような気もするのだが、もしかするとグッズ自体が「ん?エンジンに装着されているのではないから効果を発揮するのはやめておこう」なんて意識を持っているのかも(笑)吸気抵抗軽減グッズならこのような簡単なテストで効果は解るわけだ。
しかしそんな実験結果を公表しているグッズメーカのページはない。
と言うことは、やはり効果はないのだろうか。
燃費向上●●%なんて表示は目立つが、燃費なんてものは運転方法でいくらでも変化する。
グッズがあろうが無かろうが、或いはグッズの効果があろうが無かろうが、だ。
それをグッズに結びつけて売るのが霊感商法ならぬグッズ商法だ。
効果が無ければ返品可能としているから罪を問われにくいが、実はこれは立派な犯罪である。
使用者が文句を言おうが言うまいが景品表示法違反には違いない。
現時点ではスタティックテストのみの結果なので、このグッズの有効性は実車テストを終えてから結論を出したいと思う。
グッズメーカの話だと「エンジンブレーキが効きにくくなる」らしい。
吸気管抵抗とエンジンブレーキにどんな相関があるのか解らないが、かのノズ・コレ氏は充分なフィーリング変化を感じ取ったとレポートしている。
エンジンブレーキが効きにくくなって前車に追突しそうになったと言っているが、普通の人ならフットブレーキを使うよな。
ま、氏の場合は日本語が不得手らしく、書いていることの意味が常人には理解しにくいので注意は必要だ。
例えばローリングという言葉、普通はロール(自動車用語として使う場合はコーナリングなどで横方向に車両が傾く様子を言う)を示すのだが、氏に言わせると(本人曰く、本人の言葉で)惰力走行を表すらしい。
同じように「セーリング」(速度を上下させてガクガク運転する様子らしい)とか「遊び」(意味不明)とかも通常の日本語解釈とは異なる意味で使われている。
ま、リンゴを見て「美味しそうなスイカですね」と言っているようなものだ。
この辺りの言葉の不確実性が読者に誤解を与え、グッズ効果と誤解を混同させるというのが氏の狙いなのかも知れない。
その他、オームの法則を自分なりに曲げてしまったり、放射線を反射する材質を見つけちゃったりと、この人本当に大丈夫ですか?みたいな感覚に襲われるので、ノズ・コレ氏のページや書き込みを見るときには覚悟するように(笑)