EVのバッテリー事情(5/11)
◆ 少し前まではリチウム系固体電池が究極であると言われていた。2020年にトヨタは固体電池らしきものを搭載したEVを試作し、2020年代の早い時期に全固体電池を搭載したEVを発売するとしたが、今の予定では2027年頃にごく一部車種で使用するとなったのかな。
◆ トヨタは全固体電池によって1,000kmの航続距離が得られると言っているが、バッテリーを沢山積めば1,000kmでも1,500kmでも(現状でも)可能ではある。イーロンマスク氏は航続距離を伸ばすライバル各社を見て、バッテリーを沢山積むのは重さとコストの点で不利だ、300マイル走れれば不便はないと言った。
◆ これにはEV市場の縮小もあって、競争力のある価格で無ければ売れない、サイクル寿命の長い電池でないと売れない、燃えない電池でないと売れないと言われているからだ。そこで注目を集めるのがLFPで、LFPも燃えるのだがNMCのように爆発的燃焼に至りにくい。しかもサイクル寿命が長く、満充電にも強い。デメリットはエネルギ密度が低い事だ。
◆ テスラもLFPを使うようになり、エネルギ密度よりもコスト優先だと言われ始めた。NMC系に比較するとLFPの材料コストは安い。LFPのエネルギ密度で良いのであればNa-ion(SIB)でも良いよねと言う事で、中国ではSIBの研究が盛んになり始めた。
◆ SIBはLFPより更に安価に製造が出来て、最近の研究ではLFP同等の重量エネルギ密度が達成出来たとする。現状でNMCの重量エネルギ密度が200W/kg前後、LFPが160W/kg程度、SIBが160W/kg(実験室レベルで312W/kg)程度となっている。
◆ 中国は資源国ではあるのだが、バッテリー用のリチウムの多くを輸入に頼っている。中国としては希土類などの輸出制限を以て有利な立場にいようとしているが、逆にリチウムの輸入が出来なくなれば大きなダメージを受ける。そこでSIBへのシフトを国家戦略として推進している。既に中華メーカはSIB搭載のEVを実用化していて、BYDもSIB工場を建設する。
◆ 米国ではNatronEnergy社がサイクル寿命5万回を達成したと発表し、2024年には商業生産を開始している。今後は商用電源用の蓄電設備を中心にSIBの利用範囲が拡大すると見られると共に、低価格と長寿命を活かしたEV用としても使われると見られている。
◆ こうなるとNMC系などのLIBがどうなるのかだが、高いエネルギ密度による高価格EV用として使われ続ける可能性はある。全固体電池はそれが市場に出てこない事には何とも言えないが、少なくとも現状ではNMC系LIBの10倍以上の価格だ。この理由として固体電解質の製造が非常に難しい事があり、現段階では量産効果によるコストダウンがどこまで進むかも分かっていない。
◆ トヨタは超高級高価格車のみに全固体電池を使い、それ以外には使わない(使えない)といっている。更にはサイクル寿命をどうやって延ばすかも難しいところであり、小型電池(TDKやマクセルが量産中)とは異なり、大電流充放電を行うEV用には未だ課題がある。
◆ TDKの固体電池は1812サイズでセル電圧が1.5V、容量が100μAhとなっている。容量が80%に減少する充放電サイクルは1000回を達成している。大電流充放電特性は5Cで容量が約半分になるが10C放電も可能だとの事で、容量は約35%に減少する。低温特性は0℃で25℃時の80%以上、-20℃で15%以上の容量になる。
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