A-160に乗る(納車〜Vitaとの比較偏)



A-160が納車された。
注文から約2週間だから早い方だと思う。
Vitaと並べてみるとだいぶ大きく感じる。
全長は10cm短いが、全幅と高さがあるので見た目が大きい。
乗った感じはVitaより重厚感があると言うところか。
ノイズ系は格段に小さく、試乗車よりもサスペンションがマイルドな印象を受ける。
ヤナセの話だとタイヤ以外に違いはないと言うことだが、にわかに信じがたい。
マイルドと言っても国産車のような柔らかさはない。
Vitaよりも固いと思うが、ハーシュネスの吸収がうまく行っているので不快感はない。
ハンドリングもシャープなところはないが、ちょっと飛ばしても面白いかな,と言う程度のシッカリ感がある。
サスペンションが固いと評している自動車雑誌が多いが、たぶんこれは「国産車と比較して」の話だろう。
ベンツやBMWやVitaと比較すれば固すぎる感じは全くしない。
ギャップ乗り越え時の振動も、1.5回くらいで吸収できる。
国産のこのクラスのようにフワフワと揺り返しが続く性格のものではない。
ホイールベースが短いからピッチングは起きるが、車高から想像するより姿勢変化が少なく快適である。
日産のワンボックスが、一度揺れはじめると何度も何度も揺り返して振動が収まらないのとは対照的だ。
価格のかなり違うVitaと比較するのは可哀想だが、サス/ブレーキ/エンジン共にA160の方が一枚上手という感じ。
ATのシフトショックはVitaよりは少ないが、最近の国産小型車よりは大きい。
当然の事ながら1−>2のシフトでショックを感じる訳だが、どうやらショック軽減プログラムが動作しているらしい。
コイツの気に入るようなアクセルワークを心がければ、シフトショックは皆無になる。
しかし反対にコイツに気に入られないと不自然な動作に見回れる。
なお2−>3以降のシフトアップは通常走行では殆どショックを感じない。
シフトダウンの方もショックは軽微だが、これもアクセルワーク次第と言うところである。
100Km/h走行時のエンジン回転数は2500前後であり、トップギアだと追い越しに必要なトルクは得られない。
ここからアクセルを踏み込むと2段ほどシフトダウンして加速体勢に移れる。
もちろん1600ccのフツーのエンジンなので加速は知れているけどね。
シフトショックは大きいが小細工無しのVitaと、ショック軽減動作に荒いところが見えるA160 、この点では国産車優位と言うところだろうか?なおA160には停止中にブレーキペダル踏力を上げると、トランスミッションがニュートラルになる仕掛けがある。
これによって横置きFF特有の振動はかなり軽減される。
ニュートラルとドライブレンジ間を移動するときのショックは十分押さえられているから、この機構による不自然感は余り無い。
なお坂道ではニュートラルには戻らないようだ。
おそらくESP用のGセンサを利用して制御しているのだろう。
SLもVitaも左ハンドルだったので右ハンドルのA160には違和感はあるが、車高と車幅がVitaより大きいので特に左側の車両感覚が掴みにくい。
なおウインカーレバーは「左」である。
国際基準通りと言えばそれまでだが、日本車の場合は伝統的に「右」だから、国産車からの乗り換えでは違和感があるだろう。
ただしステアリングコラムにレバーは一本なので、間違ってワイパーを動かすと言うことはない。
ミラーは曲率半径の異なる複合曲面で出来ているのだが、これが意外に使いづらい。
車幅の問題もあろうが、もう少しミラーのサイズ自体を大きくした方が良いのではないだろうか?Vitaもミラーが見にくかったので、この点では似たり寄ったりだ。
内装は安っぽい。
プラスチックの使い方はトヨタを見習うべきである。

この点に関してはVitaと同程度と言っていいだろう。
装備面でも特徴的なところはないが、これもメルセデス伝統?のライト光軸調整が付いているとか、まあそんな程度だ。
確かにVitaに比較すれば色々な装備があり、全窓パワーウインドゥやリモコンドアロック(例によって無理矢理ドアをこじ開けた場合には、セルは回るがエンジンがかからない仕組み)はこのクラスの国産車なら常識だろうが、Vitaとは値段が違うのだから装備が色々付いていて当然である。
ちなみにパワーウインドゥスイッチはVitaの方が使いやすい。
A160は(慣れればいいのだろうが)ブラインドタッチで捜すのが難しいし、運転中には見にくい位置(シフトレバーの後ろ)にある。
内装もVitaよりちょっと手が掛かっているかな,と言う程度だ。
この点でも国産車に勝る部分はない。
ただし固めのシートはそこそこの出来だと思う。
見た目ではホールドの良さそうな国産車のシートに負けるが、シートのシートとしての性能は国産の比ではないと思う。
この点ではVitaも良くできているが、そのVitaよりA160のシートの方が固い感じがする。
ま、大柄な私としてはVitaより寸法的余裕度の大きいA160のシートの方がマッチしている。
このシート,固くて厚みがあると表現したらいいだろうか。
物理的厚みはともかくとして、ケツを支える厚みに余裕がある感じなのだ。
シートはハイト調整が可能である。
なお、運転席シートを除いて取り外しが可能だがパワーシートではない。
ラゲッジスペースはVitaより広い。
その代わり後席レッグスペースはVitaより狭い。
Vitaの前後席間隔はなかなか広く取ってあり、後席に乗った人に苦痛を与えることが少ない。
これもあって後席の開放感は断然Vitaの方が上である。
A160は若干アナグラ的感じもする。
これは後方視界にも当てはまり、Vitaに比較するとリアウインドゥ面積の小さなA160は死角が多い。
アナグラ感はリアピラーの太さの影響が大きく、ルーフとそれを支えるピラーの強度を上げて事故時の車室空間を確保するには仕方ないことなのか?同様にAピラーも極太だ。
SLのAピラーも太くて邪魔(オープン時に転倒すると、Aピラーとロールバーで車重を支えるため)だが、A160はSL以上って感じだ。
SLより前方にあるので余計に邪魔になる。

メータパネルは殺風景である。
左から回転計、速度計、燃料系の順で、速度計中央が液晶パネルだ。
針は下にもぐっていて見えない。
電源を入れれば上昇してくる。
通常走行時にタコメータが3000回転以上に上がることは余り無い。
Vitaも低速トルクの豊富なエンジンだが、やはり排気量の差は圧倒的である。

意外にコンパクトなシングルカムエンジン。
VitaのDOHCよりかなり小さい。
非常に縦長のレイアウトで、エンジンの重心はフロントサスペンションの支点あたりだろうか?エンジンがコンパクトなのでエンジンルームには前後方向に余裕が見られる。
Vitaのエンジンより車室内へのノイズ混入は少ない。
しかし振動は車両全体に伝わっている。
ブレーキはフロントがベンチレーテッドディスクでリアがドラムだ。
フロントのブレーキディスクが立派なのに驚く。

この辺りはトヨタにも見習って欲しいものだ。
キャリパーが鉄なのかアルミなのかは確認していない。
(SLはアルミの4ポット)ヘッドライトが暗い。
これはメルセデスの伝統だな。
(笑)この点では明らかにVitaに劣る。
いや、Vitaのヘッドライトは他と比較しても良くできている方だと思う。