消費電流を測る


自動車用電装品の取扱説明書に「バッテリ上がりの恐れがありますので、エンジン停止中には使用しないで下さい」などと記載されている。
一体車の電装品はどの程度の電流を消費しているのか?そして、アイドリング回転数の時にもバッテリな十分チャージされるのか?今回はSLとVitaで測定してみた。
SLのバッテリはトランクルームにある。
バッテリは高温を嫌うので、欧州車はエンジンルームにおく場合でも遮熱板などを設置する場合が多い。
国産車に比較するとバッテリは大切に扱われているわけだ(バッテリの品質が低いのかも知れない)
ACC
約7A ラジオと後付カーナビのみ電源が入る
ON 約20A エンジンを掛けていない状態,ワーニングランプ は全て点灯する。
ACC+スモール 約11A ACC
ONに加えてスモール点灯
セルモータ 約280A バッテリの電圧降下を含めても約3KWの消費電力
チャージ(MAX) 約120A セルを回してバッテリ電圧が低下した直後にエンジ ンを掛けての充電電流,アイドル回転数は約500回転
チャージ(通常) 約10A バッテリが充電完了に近づいた時に、全ての電装品 とヘッドライトなどを点灯しても10Aは充電電流が流れる。
アイドル回転数は約500回転。
SLのバッテリの公称容量は100Ahだ。
アクセサリ(ACC)オンで7Aの消費電流だから、10時間くらいは大丈夫なはず。
ただし、それだけ消費した後でセルが回るかは保証の限りではないが..ON位置だと20Aもの電流が流れる。
ACCより13Aも多いわけだが、エンジンコントローラを初めとして各種エレクトリカル制御機器は結構電気を食うと言うことだ。
なお、エンジンがかかっていないので点火系統には通電されていないはずだ。

測定は、バッテリ端子の所にクランプテスタを挟んだ。


次にVitaも測定してみた。
ACC
約3.5A ラジオと後付カーナビのみ電源が入る
ON 約18A エンジンを掛けていない状態,ワーニングランプ は全て点灯する。
ACC+スモール 約6.5A ACC
スモール点灯
セルモータ 約105A 1KW程度の消費電力だ。
チャージ 約6A 全ての電装品をONにしても、約6Aの充電が行 われる
Vitaのバッテリ公称容量は55Ah,同クラスの国産車に比較すると随分容量が大きい。
搭載位置はエンジンルームと車室の中間位置だ。

バッテリは比較的高価な部品だから、この品質を落とすか容量を小さくすることはコストダウンに効き目がある。
(軽量化にも)これを切実に感じた?のはソアラに乗っていた頃,保証期間が切れる1年を過ぎて突然バッテリが死んだ..何という品質管理の巧妙さ!ただしこの件ではクレームが多発した為ディーラレベルで無償交換に応じたケースが多かったらしい。


通常Vitaクラス(国産車だとマーチとかスターレット)だと、28Ah〜32Ah程度の容量の物を使用すると思う。
バッテリは低温になるほど実質容量が低下するから、寒冷地向けでは(別料金で)大型バッテリを搭載するケースもある。
バッテリは公称容量に対して過大な放電電流を流すと傷みやすい(セルモータ使用時など)従って、公称容量の大きな物ほど長持ちするとも考えられる。
SLのバッテリに「ピーク放電電流値」が書いてあったが、これは450Aとなっていた。
セルモータの消費電流が約300Aだから、この規格値を下回っているわけである。
この様なピーク放電能力を考慮して大容量バッテリを搭載しているのか?国産バッテリは公称容量に対してピーク放電容量が大きいのか?国産車と欧州車であまりに違うバッテリ容量..ナゾは深まるのであった。