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検出できない理由


  • Posted by: F&F
  • 2009年4月14日 11:10

携帯電話基地局のケーブル切断事件で、何故それが検出できないのかという話が書かれている。
http://www.phs-mobile.com/?p=519

報道写真を見ると切断されたケーブルは基地局設備とアンテナ間のものらしい。
同軸ケーブルやアンテナ直下に付けられた機器への電源ケーブルなどが被害にあったと思われる。
これらのケーブル切断は自動検出できないのだろうか。

まず基地局における監視システムとして、基地局の持っている通信路を使ったものの他に一般電話回線にモデムを接続した経路があるのが普通だ。
これは基地局用通信路自体にエラーが発生した場合に通知手段が無くなってしまうのを防ぐためである。
当然これにはコストがかかるので事業者としては余計な回線は引きたくないとは思う。
電話回線に接続された機器は基地局装置とは独立した(バックアップ)電源に接続され、別の機器で異常通知するなど基地局設備がどう壊れてもそれに付き合わなくて済むようになっている。

次にケーブル切断が検出できるか否かだが、少なくとも送信側は容易に検出が可能だ。
PAの出力のVSWRを監視していればケーブルやアンテナの以上は即座に分かる。
受信系はちょっと面倒で、統計的に何らかの信号が受信できているか否かを判断するタイプが多い。
例えば平日の○時にはだいたい時間あたり100前後の呼接続が行われるのが普通なのに、今日は全く接続が起きていない等々。
LNAがアンテナ直下に付いているような場合はノイズレベルで判定が出来る場合もあり、これはリアルタイムで異常が分かる。

通信回線を利用して異常を知らせる仕組みは意外に細かなところまで通知が出来るが、電話回線を使う方は(おおざっぱに言うと)故障した機器が分かる程度だ。
したがってもし電話回線を通した通知で異常通報が行われたとすると「PA異常」程度でしかないと思う。
一方で通信回線を使った通報だとPAの出力や消費電流やBSWRなど一式が伝送される。

SBMでこれらが通知されなかったのは、おそらくはコストの問題で異常通報を省略していたからではないだろうか。
切断されたのがアンテナケーブル主体だとすると通信回線を使った異常通知は出来るはずなのだが、山の中の基地局でもないので定期巡回時にチェックすればいいかな程度の考えだったのかも知れない。
もし切断されたのが通信ケーブルであれば通信異常は一発で分かるはずなので、即座にメンテ要員が駆けつけるはずだ。

以前にblogにau基地局工事中の写真を載せたが、マンション屋上局でも光ケーブルは二重化されていた。
電柱からマンションへの引き込み線は2本とも同じ場所(ただし別の配管内)を通っていたが、電柱から先は別経路になっているのだろう。
SBM基地局も経路は二重化されているようだが、その2本が同じ場所を通っているためにケーブルが物理的に切断されるような事態になると2本ともダメになってしまう。
これは新潟の地しんの時に露呈した。
また通常はスター配線(のほうな)にするのだが、SBMの場合はコスト削減のためにデイジーチェーン的な配線をしていたために被害が拡大した。

実はこうした細かな部分の設計で信頼性が大きく変わり、コストが少し節約できる。
そのコストにしても日本全国3万以上ある基地局なのだから合計すればかなりの額になる。
ドコモやauとSBMではエリアも通信速度も信頼性も違うが料金はさほど違わない。
そう考えるとSBMは意外に割高なのではないかと思ったりする。

   

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