海水水槽：鉄は何故錆びる？海水中ではもっと錆びる

揚水ポンプは何故錆びるのか。
それは未処理の鉄だからである。

元々鉄は鉄鉱石という安定な物質である。
ここから酸素を取り去り、つまり還元工程によって金属の鉄が出来る。
ようするに鉄そのものは不安定な物質であり、酸素と結合して酸化鉄になろうとする。

空気中の酸素との結合はそう早くは進まない。
しかし水分があれば、水中の酸素と鉄は素早く結びついて酸化鉄になる。
では塩水の場合はどうか。
塩水の中にも酸素はあるので淡水同様に錆は進行する。
塩水の中の塩化物イオンが酸素を鉄に渡す役割をするとか、海水中の様々な物質が直接鉄と結合するなどもある。

塩水での鉄の酸化速度は、その濃度が3%付近で最大となる。
これは海水の濃度に近い。
塩分濃度がこれより大きくなると、塩水中の溶存酸素量が減少する。
塩分濃度がこれより少なくなると、導電率が減少する。

海水から引き上げた後にも錆が進むのは、塩分が空気中の水分を引き寄せるからでもある。
また酸化鉄(Fe(OH)2の溶解度は高く沈殿しにくいが、更にこれが酸化されたFeO2Hは不溶性で沈殿する。
この沈殿物が酸素を鉄に供給するために、FeO2Hとしての錆が存在する限り空気を遮断しても錆は進行する。
水和酸化物は三つの多形を持つそうだ。
α-FeOOH、β-FeOOH、γ-FeOOHで、大気中の錆でβ−FeOOHは存在しないそうだが、塩分環境下では存在する。
錆の進行した鉄板にさび止め塗装を行っても、やがて塗装をめくれ上がらせるように錆が進行するのはこのためだ。