C180ステーションワゴンに乗る(3)


C180に乗り始めて10ヶ月が経とうとしている。
この間大きなトラブルはないというか、いや、そう言っても気にする人にとっては気になるようなトラブルがあった。
これはヤナセ側から様子伺いと共に改善整備の連絡が来たものだが、それはアイドリング時に回転数が上下する(ハンチング)事への対策である。
この現象が顕著になったのは5月頃からだろうか。
おそらくは外気温と関係があると思うのだが、ドライブレンジに入れたまま停車しているとアイドル回転数が500回転〜800回転あたりを言ったり来たりして、それに伴うトルク変動と振動が感じられるようになった。
これが私の所有する車両固有のものではない事はヤナセの連絡で明確になったわけだが、ヤナセではECUファームの書き換えで対策を行ったようだ。
現象からするとプラグがかぶったような感じで、そう言われてみれば微速域でアクセルをチョンと踏んですぐに放すとギクシャクする動きが見られたっけ。
燃料がちょっと多めに出て、それが燃え切れずに(或いは壁面流で)不安定になるかのごとく。
ファーム書き換えから戻ってきたC180はそれまでに比較すればハンチングはずいぶん減ったが、完全に直ったわけではない。
これはこれで不快ではあるのだが、再度整備に入れるほどでも無いかなと思って放置してある。
今月中か来月にはA整備(無料)に入れる予定なので点検はして貰おう。


夏の暑い中、某テストコースで最高速テストを行った。
アクセルが床をぶち抜くほどに踏みつけ、徐々に上がっていく速度計がどこで止まるのだろうかと思いながらメータをにらむ。
しかし速度上昇の遅い事と言ったら、居眠り運転でもしそうなくらいである。
やっとメータが200Km/hを超えた辺りでも、ハンドリングにも何も別段緊張した所はなく、それでもノロノロと上昇していくタコメータと速度計の針をゆっくり眺められるという感じ。
この車は210Km/hでリミッタがかかるのかな、それともそこまで速度は出ないかな、そんな事を思いながらアクセルを踏んでいると、テストコースコンディションがに変わってしまった。
仕方なくスロットルから足を放し、そのままクールダウンもかねてしばらく走行した。
おそらく冬場であればもう少しパワーが出たとは思うのだが、気温30℃を軽く超えるような環境ではインタークーラも冷え冷えというわけには行かなかったに違いない。
このテスト時には高速道路も走ったのだが、一般道とテストと高速道路を走った燃費の平均は13Km/l程だった。
クーラが必要なく、そして余り寒くない程度の気温であればもう少し燃費は伸びるのかも知れない。


燃費と言えば、やはり加減速が多い使用だと燃費は伸び悩む。
渋滞を避ける為に裏道を通り、一時停止や信号などに引っかかりながら走るよりも、ゆっくりした加減速で流れる渋滞道路の方が燃費は良い。
自宅と職場の間の距離は8Km程度であり、普段は30分ほどの道程となる。
この時の燃費が7〜9Km/lと言った所。
所が希に尋常ならぬ渋滞の時があり、たった8Kmの距離を走るのに2時間近くを要する事もある。
このときはサスガに燃費計が5Km/l台を示していたっけ。
SLだったら2Km/l台に入っていたのではないだろうか。
何しろ平均速度4Km/hちょっとである。
速めに歩いたのと同じ程度、自転車だったら車より余程早く帰宅出来たに違いない。


跳ね石による傷は少々、これはまあ仕方ないかな。
高速を走るから。
仕方ないでは済ませたくないのは後部ドアのエクボである。
おそらくはスーパかどこかの駐車場で、ワンボックス車か小型トラックのドアを当てられたのだと思う。
後部ドアにコイツが付いていると言う事は、C180とは逆向きに車を止めて、運転席側のドアで攻撃されたに違いない。
そう言えばA160もエクボを作られていたっけ。
駐車場によっては背の高い車の入れない(それでも1.8m制限程度)所もあるので、そう言った場所では乗用車が沢山並んでいる所に止めるようにはしている。
乗用車だったらドア下部のエッジ当たるという事はないし、例え当てられたとしてもエクボが出来る可能性は低い。
ワンボックスの場合は(たぶん)隣に車がいるかどうか(車高が違うから)余り意識しないのではないかな。
特にスーパなどの狭い駐車場だと、何も考えずにドアをボカッと開けて攻撃してくるのではないだろうか。
困ったものではあるが、仕方ない事でもある。


C180に装備されていないもので、あったらいいなと思うものを2つ。
一つはシートヒータである。
極寒地にお住まいの方は別として、関東あたりの冬場に長々とアイドリングを続けたりするのはガソリンの無駄であるばかりか近所へ騒音をまき散らす以外の何者でもない。
幸いにして自宅近くではそう言ったアイドリングをする家はない(唯一爆音を発する単車が迷惑なのだが、最近は余り乗っていないようなので)が、貸し駐車場ではディーゼルワンボックスがガラガラと毎朝のように騒音をまき散らしていた。
とは言っても、真冬の朝に車に乗り込めば誰だって寒い。
かといってヒータが効き出すまでには数分を要する。
そこにシートヒータがあれば寒さはずいぶんと和らぐのである。
もう一つは雨滴検出型のワイパーだ。
これは赤外線雨量計の簡易版みたいなヤツがインナーミラーの上辺りに付いていて、雨滴を検出するとワイパーを作動させるというもの。
間欠ワイパーの間欠タイミングを変える程度ではなく、停止から連続動作まで変化するその機構はなかなか良くできている。
例えば大雨が降っている時にトンネルに入ったとすると、フロントガラス(正確にはセンサ付近)に雨滴が付かない限りワイパーは停止状態になっている。
そしてトンネルを出て雨が当たればワイパーは全開で動作するというわけだ。


メールなどで問い合わせを頂く中で多いのが、国産車とBENZではどちらが良いでしょうかという質問だ。
これは漠然としすぎていていささか答えにくい。
400万円のクラウンと400万円のC180のどちらが良いかと言われても、車体寸法も違えば運動性能も違うわけだ。
同じように、270万円のエスティマと270万円のA160を比べられても答えを出すのは難しい。
割安感と言う事では国産車に分があるから、より大きな車体でよりデラックスな装備が欲しければ国産車を選んだ方が良い。
では同じ価格レンジでBENZなり他のドイツ車なりを選ぶ理由はどこにあるのだろうか。
私はステアリング、サスペンション、ブレーキの違いを上げたい。
これは乗ってみればすぐに分かる事で、国産車の曖昧なステアリングフィールはどうしても私は好きになれないし、人に言えないような速度からのブレーキングで簡単にフェードしてしまうトヨタ車のブレーキは私にとっては危険な存在だからだ。
だったら国産車を買ってきて足回りやブレーキパッドを交換したら良いではないかという方もおられるだろうが、これはそう言ったチューニングを経験した事のない方の言い分だと思う。
どこかを突出させればどこかのバランスが失われるチューニングの世界と、トータルバランスを考えながら設計されたメーカ製自動車の違いは大きい。
足回りを換えると言ったってバネとダンパーが精々で、ジオメトリまで変えられる訳ではない(簡単には変えられない)し、サスペンション取り付け部の剛性などだって簡単に上げる事は出来ないのだから。


だからと言って国産車に良い所はないではないかと言う結論にはならない。
安楽、そう、全ての面で国産車は安楽なのである。
グニュグニュのステアリングフィールにしても、少々手が動いた位では進路が変わらない安楽さ。
路面状況を伝えない、4つのタイヤがバラバラに向きを変えながら動くようなサスペンションだってハーシュネス吸収の点のみから見たら良いのかも知れない。
どんなタイヤを履かせても操縦性に大きな変化のないジオメトリは、タイヤやホイール選択の幅が広がるし、少々縁石にヒットしてアライメントが狂った所で、何事もなかったように走ってくれる。
これを普通だと考えるならば、BENZは少なからず神経質と評されるかも知れない。
(私はそうは思わないが)従って今まで国産車を乗り継いできて、何ら不満がないのであれば国産車が良いと思うし、走安性などを求めてみたいのであればガイシャに手を出すのも悪くはないと思うのである。


故障と整備に関する費用的な面は国産車もBEN
もたいして変わらないと思う。
例えばブレーキパッドやオイルフィルタ、ワイパーブレードなどの消耗品価格は似たり寄ったりで、場合によってはBENZのパーツの方が安い事もある。
ただし例えばブレーキパッドなどは国産車よりも寿命が短いので、普通の走り方であっても4万キロ前後で寿命を迎えるだろう。
(激しく走れば2万キロ程度で寿命になる。
)更に国産車では滅多に交換などしないディスクロータも8万キロ(ブレーキパッド交換2回目でディスクも交換)程度の寿命だと思った方が良い。
これがフェードしにくいブレーキの代償である。
オイルなどは何でも受け付けるし、最近は最初のオイル交換指示が出るまでに1.5万キロも走れてしまうが、交換容量自体は国産車よりも多い。
この辺りは設計平均走行速度の違いと言っていいだろう。
ガイシャのパーツで高価なのは、非消耗部品である。
滅多に壊れない所が壊れると多額の出費を強いられる。
例えばECUなど、国産車なら20万円でおつりが来るだろうが、ガイシャとなるとその2倍ほどの請求が来るかも知れない。
これは中古車を選ぶ際に問題になる事だと思うのだが、今まで乗ってきた経験からすると5年10万キロ以内の普通に使われた車であれば大整備は必要ないと思う。
滅多に壊れはしないが、エンジンやミッションを交換するとなると100万円を超える出費が必要なので、中古車を選ぶ際には十分な検討が必要である。
どの年式或いはどのモデルにトラブルが多いかは専門誌に譲るが、一時期コストダウンに走った時のモデル以外ならおおむね安心。
10万キロ走行程度では軋み音などの低級雑音とは無縁でいられるはず。
以前に乗っていたソアラが数万キロも乗るとあちこちから音が出ていたのとは対照的だ。
ただし、世界一静かに回るとも言われるトヨタのV8はBENZのV12よりもなるほど静かであるし、これはV6にしても直4にしても似たような傾向がある。
もちろん音質云々と言い始めれば好みの問題もあるのでキリがないのだが。