サバンナRX-3に乗る

私が最初に買った車が、このRX-3だ。
昭和51年車と言えば、排ガス規制で牙を抜かれた狼達が多い中ロータリーエンジンはサーマルリアクタによってそこそこのパワーを維持していた。
現在の車に比較すると、なりは小さく軽く125馬力の出力と16.5kgmのトルクは十分なものであった。

度重なる改良で燃費向上が宣伝文句になっていたが、通勤で5km/l程度だから貧乏人にとっては維持するのが大変だった。
ガス欠で立ち往生したことも有れば、交番で500円借りて給油したこともあったっけ。

それでも、乗り換えるまでの1年半で約8万Kmも走っちまった!当時の東名高速は現在の状況から想像できないくらいに空いていた。
それこそ暇さえあればどこかに出かける、行きたい場所に行くのではなく走るためにどこかに行くみたいな感じだった。

当然経費節約(?)のためには、毛布持参で行く。
車中泊である。
冬場はさすがに毛布だけでは暖が取れないから、電気毛布の世話になるのだ。
電気は車のバッテリにインバータを付けて100Vを取り出す。
バッテリ上がりに備えて、予備のバッテリも積んでいく。

1990年代後半のようにRVブームならば私の車歴も変わっていたかも知れないが、少なくともその当時、若者である私が商用バンに乗る気にはなれなかったのだ。

東名を西へ向かって京都の手前(だったかな?)、長い下り坂にさしかかるとそれまで180km/hあたりで震えていたスピードメータの針が、盤面を使いきるまでに跳ね上がる。
旅行も好きだったが、スピードもまた..すきなのである。


昭和52年車、コスモ2000を買う
サバンナの燃費の悪さにあきれた(え、ゆっくり走れば良いって?)私は、コンベンショナルな4気筒2000ccのコスモに乗り換えた。
当時話題になった車である。
2000ccを選んだもう一つの理由は値段。
ロータリ搭載車より安かったのだ。
乗り換えての第一印象は..うるせ−クルマ!ロータリー慣れていた私にとって、4気筒エンジンの発するノイズは耐え難いものがあった。
それに加えてパワーのないこと。
アクセルを、床がブチ抜ける程踏み込んで150km/hしか出ないのだ!私は考えた。
触媒が悪いに違いない

そこで、高速道路のパーキングで作業開始!触媒を外してしまったのだ。
排気管は、床下でオープン状態だからボーボーとやかましかったが、取りあえず最高速テスト開始!結果は..うるさいだけでパワーアップへの貢献度ゼロ。
スピードメータの針は、そこにストッパでも有るかのごとく150を指して止まった。

燃費は?パワーがない割に燃料だけは食ってくれる。
町中走行で7km/lって所か。


昭和54年車、再びロータリに

ダルなエンジンにあきれた私は、13Bロータリ搭載のコスモに買い換えた。
これは快適!このコスモには、トルクグライドと称する流体繋手(トルクコンバータみたいなもの)が付いていて、シフトチェンジやラフなクラッチ操作をカバーしてくれた。
3速に入れたまま停止しても、エンジンは500回転くらいでヒクヒク言いながらアイドリングを続けてくれる。
そこからアクセルを踏み込めば、4気筒プロパンタクシー並の加速で発進できるのだ。
そうそう、この当時のATは非常にダルなモノだったので、私はずうっとマニュアルシフト車に乗っていた。
マニュアルでも通勤燃費は5km/l前後だから、ATだと...??


昭和56年車、12Aコスモに乗る

エンジンは、それまでの13Bが廃止され12A一本になった。
さすがに12Aでは、コスモの動力源としては非力だ。
燃費改善が叫ばれる中、マツダは12Aへの一本化を行ったのだ。
モデルチェンジ前と比較すると、近代的にはなったがオモチャチックでもあった。
この当時、ディジタルメータやら凝ったオーディオが流行った年でマツダも例に漏れず「最小のコスト」で雰囲気作りをしたものだから安っぽさだけが前面に押し出されちまった。


昭和56年、ロータリターボ登場

12Aのコスモは、そのパワーのなさ故半年間で買い換えられる羽目になった。
世の中のターボブームの中、ロータリーにもターボが付いた。
コイツはなかなかパワーがあった。
13Bに匹敵する。
でも、オートドライブはひどかった。
オートドライブで走行中、長い上り坂にさしかかる。
当然車速は低下するから、オートドライブのアクチュエータはアクセルワイアを引っ張ってスロットルを開ける。
所が、ターボ化で圧縮率が下がり低速トルクの貧弱な12Aはスロットルを開けようとも加速しない。

オートドライブは、これでもか!って程スロットルを開ける。
負荷の高まったエンジンは、ターボチャージャに十分な排気ガスを供給し、一 気にターボゾーンへ突入!!当然、のけぞるほどの加速を見せてオートドライブの設定速度をはるかにオーバする。
オートドライブは、「いけねっ」とスロットルを戻すからこのハンチングを繰り返すわけである。
こんな危険なクルマ、金を取って売ってたんだよ。


昭和58年、フェアレディZに

Zのフルチェンジの発表展示会を見に行って、契約してきちまった。
V6,3000cc当時、国産車にV6搭載乗用車なんて無かったから、魅力的に感じた。
ロータリに比べると6気筒と言えどもうるさく感じたし低速トルクの無さにもまいった。
後に、低速トルクとアイドリング安定対策のために作用角の小さなカムシャフトが対策部品としてディーラに出回ったくらいである。

さすがに3000ccプラスターボの威力は絶大で、軽いブーストアップによる最高速は220km/hに達した。
でも、足はひどかった。
フツーの速度で曲がっても、簡単にテールを振り出す。
当時の日産車は作りも悪かったしね。


昭和60年、ソアラに乗る


ふと立ち寄った、ディーラにソアラが置いてあった。
豪華だった。
その日は丁度私の誕生日だった。
記念に契約しちまった。

はじめてATに乗るわけだが、特に不満はなかったしラクチンだった。
エレクトリカル装備は、これでもかっ..って程付いていたが実用性は??だった。
リミッター外して、燃料増量装置を作って、最高速は250km/hを超えた 。
200km/hを過ぎると、ステアリングから手応えが消える。
明らかにフロントがリフトしているのだ。

私はいわゆるドレスアップパーツの類がキライだから、スポイラー何ぞはディーラオプションでも付けない。
もちろん、マフラーも交換しない。
速い車に、少々音のデカイマフラーなら格好も付くが250km/hしか出ないクルマには不要だ..と、思う。

内装は一見豪華だが、そこはトヨタ品質である。
本革を謳うシートは固くなり、同じくステアリングはこすれてはげてくる。
本来皮革は丈夫で長持ちの筈なのに、トヨタ的には皮革であると謳う事が大切で性能は二の次だった。

昭和62年、再びソアラ
マイナーチェンジして、カタログパワーが上がった。
エンジンヘッドも変わったようだ。
買い換えてみたけど、メーカが大騒ぎするほど変わってはいなかった。
ま、最高速は5km/h程のびたけどね。

このクルマで、飛ばしていると燃費は2km/l程度になってしまう。
東京から岩手迄行くのに、途中2回は給油しないといけないのだ。
通勤燃費は4km/l前後か。
ただ、一度だけ岩手から高速を使わずに横浜まで帰ってきたときが有るのだが 、その時は10km/lを超えた。
飛ばしちゃいけないんだよ。

ボディは弱く剛性感は皆無だった。
ストラットタワーバーで締め上げればストラットタワーにクラックが入り、スタビライザを強化すると取りつけ部が変形した。

1990年、メルセデス500SLを買う

国産車は2〜3年も乗るとあちこちガタが来る。
ショックは2万キロも走ればスカスカになるし、ボディーはギコギコ言って剛性低下が甚だしい。
そこで、初の外車に挑戦した。
丁度17年ぶりにモデルチェンジしたSLは、バブル絶頂期とあって入手難だ 。
ヤナセに聞いたら「5年お待ち下さい」と丁寧に言われた。

でも乗りたかったから、並行モノを選んだ。
US仕様だ。
(しょうがない..)

当時私は安アパートに住んでいた。
安アパートにSLだから、近所は奇異な目で私を見る。
でも、気にしなかった。
SLでコンビニにも行ったし、ラーメン屋にも行った。
ホテルの駐車場が一杯でも、玄関前に止めさせてくれた。

5000ccもある割には燃費はフツーだった。
通勤で5km/l前後、ソアラ同様高速道路を飛ばして走っても6km/l以下には落ちなかったし、120km/h以下を守れば10km/l走った。

このクルマはトラクションコントロールが付いていなかったから、急発進は禁物。
派手なスキール音とタイヤスモークが下品の極致だ。
そうそう、最高速は..250km/hでリミッタに当たってお・し・ま・い。


1993年、再び500SL
3年たった。
また買い換えた。
エンジンマネジメントが変わった。
90年モデルはKEジェトロだったが、フルエレクトリカル制御のLHジェトロになった。
低速トルクは増えたが、4000回転を過ぎてからのググッと来るトルク感は無くなった。

トラクションコントロールが付いて、下品なスキール音は無くなった。
無神経にアクセルを踏んづけても、機械が自動制御してくれる。
コーナリングでパワーを掛けすぎても、内輪側にブレーキがかかるからトラクションは稼げる。

ちょっと危険なのは、高速コーナだ。
170km/hあたりで、パワーを掛けながら曲がるときオーバステア傾向が頭角を現す。
へたすりゃ死んじゃうね。

このエンジンマネジメントは出来が悪くて、機嫌を損ねると空燃比が濃い側に行ってしまう。
アイドリングは正常にしているのだが、そこからチョンと踏み込むとボボッとせき込む。
たぶん、「バグ」だね。
こんな症状に、対症療法ながらCDIが効果覿面だった..話は別のページにしよう。


1996年、そしてSL600

93年当時、本当は600SLが欲しかったのだが出たばかりでトラブルが多いとのこと。
3年後、ようやく安定してきたのとエンジンマネジメントがボッシュ製になったことで、購入に踏み切った。
(それでも、90年に買った500SLより全然安い)

ミッションは5速AT+ロックアップの、なんか国産車みたいになった。
色々凝った制御をしている。
エンジンブレーキをかけている状態で、スピードが上昇傾向にあるとシフトダウンしてくれる。
シフトショックも皆無といえる。
だけど、これまでのメカニカル制御に比べるとシフトレスポンスは非常に悪い 。
いわゆる国産ATそのものだ。
メカニカルATは、シフト操作したとたんアクションが起きるのに。

インパネは、他のメルセデスと変わらない。

シフトレバー周辺のスイッチはパワーウインドやシートヒータ、屋根開閉用のハイドロシステムのスイッチ、ミラーコントロールだ。
キャビンが小さいせいで、エアコンに不満は少ない。
ただ、外気導入時に外気がフィルタを通過してくるのだがこのフィルタが、半年くらいで真っ黒に汚れてしまう。
ディーゼルスモークが主たる犯人だと思うのだが、このフィルタがなければディーゼルスモークは全て肺の中にはいるのかと思うと恐ろしい気がする。

V12のインマニ付近。
もっと短く太くすればピークパワーは上がるのだろう。
低速トルクは十分すぎるから、もう少し高回転向きなら気持ちよいと思う。
スロットルは、いわゆる「スロットルバイワイヤ」。
アクセルペダルはボリュームを動かすにすぎない。
その情報を元に、ステッピングモータ的アクチュエータで2個のスロットルバルブを駆動する。
エンジンマネジメントは及びスロットルは、左右バンクで独立している。

バッテリは、トランクルームにある。
前後方向には殆ど余裕がないくらいギッシリ詰め込まれている。
エキマニは3気筒ずつ触媒まで行き、そこで6気筒分一緒になってメインマフラへ導かれる。
つまり、触媒までは3気筒分×4本,触媒から先は6気筒分×2本,である。



1996年、Vita GLE
主に妻が乗っているVITAがこれ。

国産車で言うと、マーチくらいのサイズか?1400ccで97馬力のツインカムエンジンが乗っている。
低速トルクは十分以上。
高回転域はちょっとノイジーだが仕方ないか。
ステアリングはパワーアシストされているが、国産車のように軽くはない。
路面状況も伝えるセッティングはパワーアシストを意識させない。
もっとも妻に言わせると「もっと軽い方が良い」らしいのだが。
サスセッティングは固めだが、ハーシュネス吸収はそこそこ。
いわゆるドイツの小型車そのものだ。

内装はこんな感じ。
ナビは、私が以前使っていた「おさがり」だ。
いわゆるフルオートエアコンは付いていない。
ダイアル式の温度調整つまみ(エアミックス方式)と4段階のブロアスピードだ。
パワーウインドゥも前2ドア分だけ。
ミラーコントロールもマニュアルだ。
ヨーロッパ低価格車の割り切った思想が伺える。
その代わり、ABSや助手席も含むエアバッグは標準装備。
安全性に関しては同クラスの国産小型車を凌いでいる。
CDも付いていないから、これも「おさがり」のチェンジャを取り付けた。
純正ラジオを外すのには少々苦労したが、四隅についている「穴」に3mm程度の棒を差し込んでロックを緩め、手前に引っぱり出せば外れる。
トランスミッションはマルチモードの4速。
1→2の変速ショックは多少大きめ。
また、横置きFFレイアウトの為かアイドリング振動も大きい。
燃費はさほど良くない。
市街地のみで10km/l程度だ。
高速でもさほど向上しないのは、小排気量車の定めか。
こんなチビでも、最高速はレシプロ2000ccコスモを大きく凌ぐのだから素晴らしい。
(コスモが鈍過ぎたってのが本当か)装備品の豪華さより、パッシブ/アクティブセーフティを求める向きには150万円台の価格も納得できるのではないだろうか?



1999年、A160(W168)
VitaからA160に乗り換えた。
小型で全長が短く取り回しがよいこと、後席スペースがある程度確保されているクルマという事でこれを選んだ。
Vitaに比較すればトルク感もあったが絶対的なパワーはやはり小さい。
ただし燃費はとても良く、通常使用時で10Km/lを割ることはほとんど無かったと思う。
最大の欠点はタワーパーキングには入れないこと。
都市部に於ける駐車事情の深刻化によりC180に乗り換えることにしたが、もしも全高があと少し低かったら、未だに乗り続けていたかも知れない。


2002年、SL500(R230)
私にしてはめずらしく6年間も乗り続けたSL600と決別し、R230に乗り換えた。

SL600には不満もなかったが、モデルチェンジしたSLにも乗りたかったのだ。
SL500に乗ってまず気になったのはパワーのないこと。
SL600が394馬力(だったかな?)に対し、SL500は306馬力しかないのだ。
SL500(R129)からSL600に乗り換えたときにはさほどパワー感を感じなかったが、そこからR230に乗り換えるとなんとパワーのないこと。
確かに燃費は良いんだけど…早くこのパワーに慣れないとSL55AMG(476馬力)がほしくなるに違いない。




2003年、C180(W203)
Aクラスに変わってC180ワゴンに乗る。
1800cc+スーパチャージャなのでA160に比べれば充分すぎるほどのトルクがある。
といっても1800ccに過ぎないので決して速い車ではなく、交通の流れに乗っていける程度の普通の乗用車だ。

燃費は悪くはなく、街中で8Km/lを割ることは少なく高速で15Km/l程度は走る。
A160同様4気筒エンジンだが、縦置きのFRなので振動も抑えられている。
エンジンは同じながらセッティング(過給圧等)の違いによりC180,C200,C220があるが、C180が一番ローパワー&静かであり、C200だと排気音などがそれっぽくなってくる。
普段の足としての乗用車として見た場合、C180で充分ではないかと思う。

2006年、CLS350(W219)
Eクラスのシャーシに少し大きめのボディーを纏わせた、メルセデス曰く4ドアクーペとのこと。

インパネ周りはEクラスそのものだが後席シートは2人用なので定員は4人になる。
V6 DOHCの3.5リッターエンジンは乗用車として使う分には過不足無く、確かにパワーはないが乗用車だからと諦められる範囲か。
燃費は都市部の街中で7Km/l前後、高速で12Km/l程度である。
車室内は静かで、まるでトヨタ車のようだ。


2017年、ジムニー(JB23W)

2017年の7月に横浜から伊豆に引っ越した。
伊豆と言えば温暖なイメージだが標高の高いところでは雪が降る。
この地でも雪が降るとあって、車の冬対策は必要だよと言われていた。
当初はCLSにスタッドレスを履かせようかと思ったのだが、4WDでないと無理と言われたこともありジムニーの中古を買った。
14年落ち、14.5万キロ走行で20万円ちょっとだった。
しばらくCLSと2台体制だったが、車検を取ろうと出向いた伊東のヤナセの対応が非常に悪かった事もありCLSは手放した。
4輪リジッドのサスは乗り心地も接地性も最悪、燃費はクーラーを使う夏で7〜8km/l、冬場で遠出をしてやっと10km/lを超える。
そんな車ではあるが、雪が降っても、倒木があっても、ジムニーなら大丈夫だろうと思わせるものがあった。

年間1万km以上を乗り、コンクリートブロックを運んだり、セメントや砂利を運んだり、下田の海から天然海水を運んだり、焼津の海洋深層水を運んだりと日々役に立ってくれたジムニーは、安くてボロい車なのにタフで頑張り屋だったのである。
だからこそ乗り換えずに21.3万kmをオドメータが刻むまで乗った。
ジムニーはジムニーであり、他の車では代用が利かない。
乗り換えを考えるようになったのは、山道でのパワー不足だ。
箱根は直線が長いから未だ良いが、天城はきつい。
2速全開でも中々制限速度まで上がらず、後続車が溜まってしまう。


2024年、ミニ(XS15)

ジムニーの車検を取るつもりで整備などの準備はしていたが、急遽ミニに乗り換えることにした。
固めのサスとクイックなステアリング、ゴーカートフィーリングもモデルごとに拡大するサイズと車重には負け気味だが、それでも中々面白い。
燃費はこのあたり(あまり信号はなく50km/h〜60km/hで走れる)で14km/l前後と、ジムニーの2倍近く走る。