スカイウエイブにHID



HIDテストは今回で何回目になるだろうか。
前回はシグナスでHIDテストを行い、最終的にはプロジェクタヘッドライトユニットを埋め込んだ。
これによって光の広がりは大幅に改善され、かなり走りやすくなった。
上方向への光の漏れもないので対向車や前行車に眩しさを感じさせる事もない。

今回はスカイウエイブ(CJ43A)のHID化を進めてみる。
中古で購入したスカイウエイブには55W/60WのH4ハロゲンバルブが装着されていた。
オリジナルは35Wのものなのだが交換用としては価格が安く入手の容易な55W/60Wのバルブを入れて使う人が多い。
この状態では消費電力が増大するので、アイドリング時にブレーキランプが点灯すると充電が間に合わなくなる。

灯火類はオリジナルであれば、

ヘッドライト 35W×2
テールランプ 5W×1
ポジションランプ 5W×2
ブレーキランプ 21W×2
ウインカ 21W×4
ナンバー灯 5W×1

しかしこの車両はテールランプが改造されているので、以下のようになっている。
ヘッドライト 55W×2
テールランプ 5W×3
ポジションランプ 5W×2
ブレーキランプ 21W×3
ウインカ 21W×4
ナンバー灯 5W×1

ウインカ非点灯時での合計電力はノーマルで132Wとなるが、本車両だと203Wである。
これにウインカが加わると平均消費電力は42W加算される。
他にメータパネルの照明、燃料ポンプやFIシステムなどの消費電力も加わるのでノーマルでも200W程度は消費しているだろう。

オルタネータの最大発電能力は324Wだが、これは最大時でありアイドリング時の発電能力は200W前後と推定する。
するとノーマル状態では赤字にはならないが、ヘッドライトバルブを55W/60Wに変えているとすると2A程度の赤字になってしまう。
これにウインカが加わると赤字幅は更に増える計算だ。

シグナスの場合は渋滞を避けて裏道に入り込む事も容易だが、でっかいスカイウエイブとなると渋滞に巻き込まれる事が多い。
そのときに赤字が続くのはバッテリが心配になる。
そこで消費電力低減策を練る。
ヘッドライトバルブをオリジナルに戻すのは簡単だが能がない。
しかもヘッドライト系の配線が細くて電圧降下が大きく非効率なのだ。
特に55W/60Wバルブを使った時には(大げさに書けば)ぼんやり点灯するくらいの感じになる。

実際、配光こそ2灯なので広がりはあるが光量は低い。
シグナスのライトテスト時にはデジカメがISO400,F2.8で1/3.2秒だったものがスカイウエイブでは1/2秒までシャッタ速度が遅くなる。

【シグナス配光:壁を照らす】


【シグナス配光:ロービーム】


【シグナス配光:ハイビーム】


シグナスはかなり下向きに調整していたので遠くを照らせていない。
現在はプロジェクタタイプに交換しているので以下のようになっている。

【シグナス配光:プロジェクタ】


スカイウエイブは中古車購入時点の光軸のままで、上を向きすぎている。

【スカイウエイブ配光:壁を照らす】


【スカイウエイブ:ロービーム】


【スカイウエイブ:ハイビーム】


HIDは安物中華製を使う。
2灯なので1灯が壊れても即座に走行不能になる訳でもない。
入手したものは公称35Wの極薄と言われているもの。
これは過去にDCタイプの改造を行って原付用にしたものと同じケースなのだが、今回は交流点灯型だ。

DCバラストの電圧比例型光量制御で原付用に改造したのはこちら

中華バラストは効率が悪いので光量の割に消費電力が大きい。
トランスを買えるなどして効率を上げる事も可能なのだが、だったらレイブリック製を買った方が良さそうだ。
今回は高効率化は行わず、単に消費電力を減らす事にした。
ノーマルでは約45Wの消費電力(バルブドライブ電力は約35W)なのだが、これを消費電力35W(バルブドライブ電力約30W)に改造した。
低電力化のもう一つの理由は防ぎきれないグレア対策でもある。
ノーマルのハロゲンバルブよりは明るくなるだろうが、無駄に明るくしすぎない事も必要となる。



改造は抵抗を1本付けるのみである。



この極薄型はトランスが小さいせいか効率が悪い。
トランスもトランジスタも発熱し、トランジスタはケースに対して放熱が出来るような設計にはなっているのだが組み立てがいい加減なので全く役立っていない。
せっかく開けたついでなのでトランスとトランジスタの放熱も出来るように銅板を挟んで高さを調整した。

バルブの方は例によってグレア防止策を講ずる。
シグナスよりも奥行きのあるマルチリフレクタなのだが、何も対策しなければ使えるレベルにはならない。
元々配光が余り良くない事もあり、これで駄目ならハイビームスリットのないレイブリック製を試してみる予定だ。
なおこのH4タイプはスライド+スイング型でハロゲンバルブのフィラメント位置を再現しようとしている。
写真はステンレス板でトップシェードを延長した図である。



取り付けは簡単だ。
スカイウエイブはフロント周りを外すのが面倒だと書かれたページを見かけるが、私はそうは思わない。
プラスチックのクリップの位置さえ把握していればネジの本数も少なく、シグナスより楽かも知れないと思った。
スペースは豊富にあるのでどこにでも付けられる。
バラストは左側に、リレーと遅延回路は右側(バッテリ側)に付けた。

遅延回路はシグナスの時のように凝ったものではない。
シグナス用はインジェクションパルスを見てエンジンスタートを検出した後HIDを点灯させている。
スカイウエイブはスタータスイッチを押すとライトが消える仕組みなので、単純なタイマ回路とした。
それもFET1個の純アナログだ。
キーをONにしてからスタータを回すまでの間にHIDが点灯しなければ良いだけだからだ。



バルブの方もささっと交換する。
中華バルブは取り付けやすく良くできていると思う。
レイブリックなどの大型ソレノイドものとは雲泥の差だ。
もっとも信頼性も雲泥の差だろうけど。



写真は取り付けられている状態とは逆さになっている。
この写真の上の方の中央よりに2個のネジが見えるが、これが光軸の上下調整だ。
このネジはパネルを外さなくてもフロントタイヤの上の隙間から手が届く。

日が暮れたのでテストに出かける。
適当に光軸を調整しておいたので左がちょっと高いのだが、そのまま行った。

【スカイウエイブHID ロービーム】


シャッタ速度はISO400,F2.8,1/5秒となり、シグナスのプロジェクタより明るくなった。
但しプロジェクタより照射範囲は狭い。

【スカイウエイブHID ハイビーム】


これは明るい。
明るいというか照射範囲が広い。

【スカイウエイブHID 壁を照らす】


配光が汚い。
中央部分が特に明るく写っているが実際には余りそう感じない。
グレアと言うより上側がぼんやり明るい感じがする。
少し離れて見てみるとライト全体が明るい感じ、ライト前のアクリルで乱反射しているというかそんな感じだ。
カットラインのほんの少し上が明るいのはハイビーム用スリットから漏れた光がほぼ真正面を照らしているからだ。
これは↓のようにハイビーム用スリットの加工で防げる気がする。



ハイビームの明るさというか光の広がりが十分なのでハイビーム用スロットをいじっても大丈夫だと思う。
但しこれによる改善効果は少なそうだが、しかし改善されないよりは良い。

上の状態は適当に調整したのみで、その後左側の光軸を少し下げたのでカットラインはほぼフラットになった。
配光自体はマルチリフレクタの限界なのかなと思わないでもない。
これ以上を望むならばシグナス同様プロジェクタの埋め込みとなる訳だが、リフレクタが完全な球形を切ったものではないような少しゆがんだ恰好なのでプロジェクタユニットがうまく収まるかどうかは解らない。

左右の広がりに関しては2灯なので、それぞれの方向を調整した方が良いとも思う。
グレア対策と共に今後も実験してみたいが、スカイウエイブは余り乗っていない事もありのんびり行こうと思う。

http://www.fnf.jp/blog/2011/10/fnfblog5308.html