リモコンエンジンスタータを科学する


今流行のリモコンエンジンスタータ,その中身は?
純正オプションにも採用されている、リモコンエンジンスタータ。
中身はどうなっているのか?さっそくバラしてみた。
サンプル?!は、二種類。
一般的に入手が容易な製品だ。
最初は、機能の多さからセルスターの「セルスターボ」(なんとイージーな名称!)を購入したのだが、隣の棚に目をやるとサンヨーテクニカの製品を安売りしているではないか!その1.98万円に目がいってしまった。
ちなみに、セルスターの方は3.558万円でした。
しかし機能的には...って訳で両方をGet,軽くなった財布と嵩張る化粧箱を持ち帰ってきたのだ。

早速車に取り付ける..前にやることがあるでしょう!バラシだ。
中身を見ずして製品を使うなんて、本を買って棚に積んでおく様なものだ。
え?いや、ちょっと違うか。
ま、とにかくF&F精神でバラしてみよう。
当然測定もする。
無線性能や変調方式はどうなっているのか??最初に解体されるのは、セルスター製品。
スイッチとか7セグLEDとかが、「早く開けてー」って叫んでいるようだ!
これがセルスターの製品。
リモコンエンジンスタータ+ターボタイマ機能である。
7セグのLED表示器やスイッチも沢山付いていて高級そうなイメージ。
受信機はアンテナ基部に一体化された構造だ。

箱の中にはこんな風に収まっている。
リモコン送信部が真ん中に見える。
大きさは名詞の半分より小さい感じ。
でも、キーホルダー代わりに使うには大きすぎるね。
コイツは、表示部が付いているから、設定の確認や受信状態,エラーなどが分かって便利だ。
取り付け時に配線を間違えても、ある程度はエラー表示で間違い箇所の予想が付く。

送信部と受信部はこんな感じ。
これは、400MHz帯の特定小電力(RCR−STD16)適合品だ。
データシステム等が売っている違法無線局タイプとは違う。
送信出力は1mW、カタログ上の到達可能距離は200〜300mとなっている。
早速フィールドテストに入る。
到達距離だが、見通しで150〜200m程度。
まあ1mWで良く飛んでいると言うべきかなあ..アナログコードレス電話は、ほぼ同じ周波数帯を使用して10mW出力でありながら100mって言われてるからね。
さて内部の回路構成だが、送信部は水晶発振器に直接FM変調をかけている。
変調方式は、乱暴にも直接NRZ変調。
ちょうど、RS232Cのシリアル信号をそのまま電波に乗せた感じと言えばよいだろうか?マーク(1)とスペース(0)で、周波数が変わるわけだ。
この方式、原理は簡単なのだがモデム感度(理論感度)が悪くなる。
これは、到達距離に直接影響するのだ。
その他、無線回路は常識的に組んである。
およその感度は−111dBm程度。
感度の割に到達距離が短いのは変調方式のせいだろう。
このモデル、変調/復調の信号処理等をCPUで行っている。
(μPD75004)CPUでも、MSK復調くらい出来るのになあ..何なら作って上げるよセルスターさん!!そうそう、さすがCPU搭載だけあって車のバッテリ消費をいくらかでも押さえるべく間欠受信もやってる。



変わってこちらはサンヨーテクニカ製。
リモコン送信部はセルスターと大して違わない。
受信部(本体..車両搭載側)は、いたって簡単な作りだ。
モニタ用のLEDが1個付いているだけで、その他の表示なし。
設定は、背面のディップスイッチで行う。
セルスターに比べると、見劣りするのはしょうがないか..安いなりかな?
構成は、リモコン送信機+受信部本体+アンテナだ。
アンテナはマグネット基台付きで、ペタリと貼れる..かあ?金属部分の露出している車なんて、最近有るのかなあ??アンテナコードは長めだから、大抵の車には付けられるだろう。
向きも変わるようになっているから垂直部分でも大丈夫(だと思う)
拡大するとこんな感じ。
これも特定小電力無線局適合品だ。
送信出力は1mWと同じ。
受信感度も−118dBmとほぼ同じ(ちょっとだけ感度がよい)回路的にも似たようなものだが、混信や妨害特性より感度優先設計をしている。
到達距離だが、カタログ上は見通し800m!実測でも300m程とどいた。
これは、モデム性能の差によるところが大きいと思われる。
こちらは、サブキャリア方式のMSK変調だからだ。
サブキャリア方式というのは、一般の有線モデムのそれと同じである。
マーク(1)を1200Hz、スペース(0)を1800Hzに変えてFM変調するのだ。
変復調回路は複雑になるが、理論感度は高い。
このモデル、CPUを使用していない(たぶん)でカスタムゲートで制御しているから、モデム機能もハードウエアで一緒のICに内蔵したのだろう。
セルスターよりは、圧倒的に機能が少ない。
間欠受信もやっていない。


機能一覧表
サンヨーテクニカ セルスター   
送信出力 1mW 1mW
受信感度 −118dBm −110dBm
カタログ到達距離 見通し800m 見通し300m
実測到達距離 約300m 約200m
内部構成 カスタムIC CPU搭載
変調方式 サブキャリアMSK ダイレクトFM
使い勝手 良くない 良い
大きさ やや小型 やや大型
実売価格 19、800円 35、580円


サンヨーテクニカの製品は、発売開始されてからかなりの年月が経っている。
機能的に不満が出るのは仕方ないところ。
メリットは値段と到達距離。
とりあえず使ってみたい向きにはお勧め。
一方のセルスターは、CPU処理で多機能を実現している。
両製品に言えることだが、片方向通信なのでエンジンがかかったか?失敗したか分からない。
せっかく室内からリモコンスタートしても、エンジンがちゃんと始動したか見に行くんじゃナンセンスだモンね。
そのうち、双方向通信のエンジンスタータが出てくることを期待するね。

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