車高を変える


以前乗っていたソアラも、現在のSLも車高調整が可能である。
ソアラはエアサスと呼ばれる、金属バネの代わりにエアスプリングを使ったもの。
SLは金属バネ併用型の油圧シリンダと窒素球を使ったタイプだ。
エアバネはプログレッシブレートが実現できるのは良いが、エアシリンダの容積に限界があるためにバネレート変化が大きく出やすい傾向がある。
また車高調整によるバネ常数変化もかなり大きい。
窒素球タイプでもバネ常数は変化するが、金属バネ併用なのでソアラのエアサスほど激しい変化はない。
ソアラの車高を変えるには、車高センサの信号を誤魔化せばいい。
車高センサは4ビットのディジタルコード(グレーコードのような感じ)で出てくる。
センサはフロントに2個とリアが1個,それらをダイナミックにスキャンしながら時分割で読んでいる。
コードがBCDやバイナリではないので、演算器によるデータ加工は難しい。
そこでROMを使ってコード変換を行った。
回路は簡単である。
センサからの入力4ビットをROMのアドレスに入れ、対応する番地に対応する値を書いておく。
出力はデータ端子になる。
このアドレス対データの組み合わせを何種類も作っておいて、どのテーブルを選ぶかをディジスイッチで選択すればディジタル車高調整器の出来上がりである。
SLの方はアナログ出力センサだ。
ボリュームじゃあ耐久性に難があるだろうな、と思ったので内部を見てみた。

中央のロータは磁石である。
これが車高に応じて回転するようになっている。
両側にはホール素子が付いていて、それとアンプが厚膜構造で実装されている。
ケースは金属でコネクタ部には貫通コンデンサが使用されるなど、ノイズ対策は万全に見える。
出力は二系統になっているので、コントローラ側の回路は差動で受けているのだろう。
これなら磁石の磁力変化や配線抵抗も無視できるし、コモンモードノイズにも強くなる。
センサはフロント/リアに各1個なので、車高調整回路を2つ作ればフロントとリアを別々に調整出来ることになる。
回路的にはオペアンプの加算機で良いだろう。
なお室内からの車高調整を諦める場合には車高センサのロッドの長さを変えれば簡単に車高調整が出来る。