ドコモのホームUを使う


ドコモのホームUは無線LANを使って携帯電話のパケット通信を行うものである。
古くはN902iL、そして一般向けに販売された初の無線LAN対応機であるN906iL、そしてN-06Aがこれに対応している。
ホームUはフレッツなどマルチセッション回線を使用してmopera.netに接続し、パケットをそこに直接流すと共に050番号のIP電話も使えるようになる。
なお無線LAN圏内に携帯電話がない場合に050番号にダイアルすると圏外アナウンスが流れる。
こうしたIP電話の都合や通信品質確保のためにmopera.neに接続させるのだと思うが、auやSBMはインターネット上にゲートウエイを置くスタイルを採っている。
設定は自動設定ツールも用意されているが、コイツは勝手に設定をいじくり回してくれるので好ましくない。
設定すべき所はmopera.netへのppp接続のみなので特に難しいことはない。
端末側の設定は自動で行わせ、無線LAN系の部分だけを手で書き換えるのが楽で良いと思う。


当初私はRT200NE(NTTからの借用品)を使って設定を行った。
(これが推奨環境)自宅サーバ環境であるためNATタイマを最短の30秒に設定していたのだが、これだとホームUが度々切断してしまう。
サポートに聞いてみると「デフォルト設定でお使い下さい」だそうで、デフォルトって何秒だったっけ、みたいな。
デフォルトは何秒なのかドコモでは教えてくれなかったので、これは調べて300秒にセットし直した。
なぜ300秒でなければならないのか?調べて分かったことは、60秒ごとにN-06AからNATタイマを保持するためのパケットがmopera.net宛に飛び、それでNATタイマを維持しているのだった。
こうすることでスタティックなルートやUPnPを使わずに外からN-06Aに電話をかける事やメールをプッシュすることが出来るわけだ。
しかし次に又トラブルが起きた。
NATタイマが保持されなくなることがあるのだ。
通常は60秒ごとにパケットが飛んでNATタイマを保持しているのだが、それが飛ばなくなる。
というか正確にはESP over UDPではなくESPパケットがそのまま飛んでいる?みたいな感じ。
なのでNATタイマは保持されずにタイムアウトして経路を失い通信が成立しなくなる。
すると再度接続手順からリトライが始まって経路が出来るが、ESP over UDPが成立しないとNATタイマはタイムアウトしてまた不通になる。
ここでルータをヤマハのRTX1100に変え、パケット量を見てみることにする。
接続手順的には、まずN-06AからDNS(53番)を引きにアクセスが開始され、その後500番と4500番ポートがオープンされる。
500番ポートは通信終了後NATタイマのタイムアップで経路が消失し、後は(IPSec)ESP over UDPで通信系をが保持されながらセキュア経路が維持される仕組みだ。


これはパケット量をMRTGで見たものだ。
通常は平均24bps(60秒に1度パケットが飛び、30分に一度もう少し大きなパケットが飛ぶ)程度であるのに対し、赤丸で囲った所では切断と再接続をくり返しているのでパケット量が増えている。
また切断時にはパケットが流れなくなるのでグラフの下端が下がっているのが分かるだろう。
これを解決するための最も有効な手段はN-06Aの電源を一旦切って入れ直すことだ。
すると正常に復帰するのがこのグラフを見ても解る。
この件をホームUのサポートに聞いてみたが、無線LANの混信や設定不良や回線不良ではないかという。
私はそんなことはないと思うのだが、そうでないことを証明しなければ話は進まないので、知人宅にホームU環境を作らせて貰うことにした。
そこで同様に接続を試みると、同じようにNATタイマのタイムアウトが発生する。
回線こそBフレッツで同様だが、ルータも無線LANのAPもウチとは違う機器でもだ。


こうした実験結果をサポートに話すも問題は解決しない。
というか解決しようとしていない。
例によって例のごとく「そのような事象は報告されていません」をくり返すのみである。
(通常の151のサポートよりは余程話は通じるが)そこで、では私がこうしてこの事象を報告しているのだから、次に問い合わせたときには「そのような事象は報告されていません」とは言われないですよね?と聞くと違うという。
サポートは常に「そのような事象は報告されていません」と言うのだそうで、その理由は「ここでお客様の事例を話すことは出来ない」からだそうだ。
だったら永久に「そのような事象は報告されていません」になるではないかと正せば「ドコモ側が判断した場合はその限りではない」そうだ。
全く役人だ。
何かを言えば「そのような事例はない」と却下され、自分たちのやりたいことは「それは決まったことだから」と押し通す。
私が思うに、この現象はドコモ側も把握していて隠しているのではないのか。
そうでなければ端末不良だから修理に出せとか、良品に交換するからドコモショップに持ってこいと言うはずだ。
で、先手を打ってドコモショップにこの問題を持ち込んでみた。
ドコモショップはホームUサポートとゴニョゴニョやっていたがどうも歯切れが悪い。
交換でもなく修理でもなく、実にゴニョゴニョなのである。
結局後日連絡しますと逃げられてしまったが、その後日に関しても「サポートに問い合わせましたがお客様と同様な事象は報告されていないと言うことです」だと。


ここまでして実験をし、データを取り(パケットキャプチャもした)問い合わせているのに、何故問題を解決しようとしないのだろうか。

この夏モデルはiモードブラウザ問題(サイト側にセキュリティホールがある)で発売中止になり、その後1ヶ月を目処に仕様改善をすると言ったものの約2ヶ月経った現在も放置されている。
仕様を満足しない製品なのだから返品に応じても良いくらいではないのか。
しかも途中のアップデートではフルブラウザまでいじくったようで、それまで見ることが出来ていたYoutubeも見られなくなった。
ソフトウエアアップデートは仕様を改善しているのか改悪しているのか分からない。
これに関してもサポートでは「Youtube側の仕様変更と、ドコモのソフトウエアアップデートが同日に起こっただけ」だという。
ではアップデート前のN-06Aで試してみていただけませんかと聞くと「全てアップデートしてしまったので分からない」と逃げる。
※本件ホームU関連外なので後日雑記に書く予定

ここまでで分かったこと。
※不定期に通信が成立しない状態に陥る。
※通信しようとするとタイムアウトする。
※IP電話にかけてみると圏外アナウンスが流れる。
※やがて自動でリトライされて通信が成立するが、NATタイマのタイム アウトで不通になる。
※N-06Aの電源を入れ直せば多くの確率で回復する。
※上記症状は全く別の環境でも発生する。
2010年6月1日にソフトウエアアップデートが開始された。
改善点は
T9で英語入力を行うと表示までに時間がかかる場合がある。
特定のホームアンテナを利用してホームU接続を行うと、パケット通信が切断される場合がある。
地図アプリを終了し待受画面に戻ってもGPS動作中のアイコンが点滅し、消えない場合がある。
ちなみに私はこの時点で既にN-06Aを使っておらず、しかもホームU契約もしていないので追試は出来ない。