熱帯魚を飼う


家の近所にディスカウントショップが新たに出来た。そこには熱帯魚や水槽を売っているコーナがあり

色とりどりの魚を販売している。以前からチビ(5歳)が魚やカメに興味を示していたのだが、少なく

とも自分で餌を与えられるくらいの年齢になるまでは、と思って買い与えていなかった。

ある日ディスカウントショップに行くと、水槽セットが\12,800で売られている。曲面ガラスを使った、

公称40cmの、いわゆるインテリア水槽と呼ばれる種類のものである。これに上部濾過層や蛍光灯、

ヒータなどがセットされているのだ。買い足すものとしては水槽の下に敷く砂利、そして水槽の中で飼

うものだけだ。早速これを購入し、同店でグッピーと人工着色のグラスフィッシュを買う。

水槽セットには塩素除去剤なども含まれていたが、魚の餌は自分で買わなければいけない。

普通の平面ガラスの水槽セットなら6千円くらいからある。水槽単品でも4千円位する(注:安売り店

では60cm水槽なら千円台からある)のに、オートヒータや濾過層を付けて何でこの値段になるのか不思

議だ。

家に帰って水草や砂利を洗い、濾過層をセットして準備を整える。新しく仕立てた水槽には丈夫な魚を

入れて濾過バクテリアが育って水質が安定するまで待つのだそうだが、グッピーは丈夫らしいのでパイ

ロットフィッシュの役割を担って貰うことにした。

この時点で私はまだ生物濾過の重要さに気が付いていなかったのである..


濾過性能が、まだうまく行っていないため水はさほど透明ではない。しかしグッピーは餌もよく食べる

し元気に泳いでいる。作りたての水槽でも大丈夫かな、などと安心していたらカラーラージグラスが一

匹死んでしまった。コイツは買ってきた時から元気がなかったのだが、環境変化についていけなかった

ようだ。

そして水槽をよく見ると、グッピーの稚魚が泳いでいる。どうやら飼ってきたグッピーが妊娠していた

らしい。最初に発見したときには4〜5匹いたのだが、成魚に食べられたり濾過層に吸い込まれたりし

てしまった。いや、最初は網に入れて分離しておいたのだが、その後自然に任せるべく水槽に戻した。


魚死亡事故はその後も発生し、どうやらディスカウントショップで買ってきた魚は余り元気ではない様

子なのだ。もちろん水質が安定していないこともあるのだが、弱った魚は容易に濾過層の吸水口に吸い

寄せられてしまう。これの対策のために、濾過層の吸水口にスポンジフィルタを付けてみた。

2週間ほどして今度はペットショップで魚を買ってきた。グッピーを10匹と小型のネオンテトラが3

0匹,そして水槽の掃除やさんのコリドラスだ。

この魚たちは元気が良く、グッピーは水槽の上の方を,ネオンテトラは中間を,コリドラスは底の方で

暮らしている。水草も仕入れてきて、低光量で丈夫な種類をいくつか入れてみた。


3週間目,水槽をみるとまたまた魚が死んでいる。ディスカウントショップで買ってきたグッピーだ。

他の魚たちは相変わらず元気がいい。水草も新しい葉が出てきていて、ある程度安定した水質が保たれ

ているようにも感じられる。

ここで気になり始めたのは蛍光灯の照度が不足しているのではないかと言うこと。魚を飼うには十分で

も、水草を育てるには明るい環境が必要なのだ。

蛍光灯を買い足すには上部濾過層が邪魔になる。セットものの水槽を買うとグレードアップ時に無駄が

出るのだ。

そこで目を付けたのは再びセット水槽。60cmの水槽セットは件のディスカウントショップで\22,000だ。

濾過層は外部式が付属している。う〜ん,バラで買うよりはお得かな?とも思ったが、他のディスカウ

ントショップにも足を運んでみた。そこでは上部濾過層のセットながら、曲面ガラスを使った水槽が\

8,800ではないか。ペットショップで買う水槽単体値段が\8,000位なので、800円でヒータと上部濾過層

(これは使わない予定)と照明が付いて来るというわけだ。

蛍光灯は20Wのものが2本のタイプ。これに40cm水槽用(8Wx2本)を追加してしまおうというわけだ。

40cm用は横幅が狭いため、濾過装置への給排水パイプのスペースも確保できてなかなか良い。

早速これを購入,1号水槽から3週間目にして2つ目の水槽に手を出してしまった。水槽の下に敷く砂

利は黒いものを使用している。黒くて粒が細かいのでキレイに見えるが、洗っても洗っても汚れが取れ

にくい(細かい砂が混じっている)ので手間はかかる。それに値段も高い。

砂利はペットショップで購入した。魚や水草の種類によってpH要求値が異なり、これに合わせて砂利を

購入しなければいけない(らしい)からだ。ここは価格より技術を買うというわけ。

同じく外部濾過層もペットショップで購入。これもピンキリなので、一体何がいいのか良くわからない。

外部濾過層は高価なものだが、ここだけはフンパツして信頼性と操作性(掃除のしやすさ)で選んだ。

水草用炭酸ガス注入セットは、CPU冷却用?炭酸ガスボンベからレギュレータを通して使用することに

する。電磁弁も持っているので、タイマで自動管理がいいだろう。

買ってきて早速セットする。水を入れたばかりなのでガラス面には気泡が付いている。

写真右隅が炭酸ガスを水中に溶かすための器具。

早く魚を入れたいところだが、水質が安定するまでしばらく待つことにしよう。


機材について

1.水槽

  水槽は大きいほど水質が安定しやすい。水質が変化するにも時定数が長いというわけだ。

  極端な話、無限に近い大きさを持つ水槽(川や海)なら、メンテナンス無しで魚が飼える。

  しかし安定な水槽では面白くないというマニアもいる。高々20cm程の横幅のインテリア水槽で水質

  に気を使いながら魚を育てるのが面白いという。

  置き場所を取らず手軽と言う点で45cm級から、一般的な60cmあたりがお勧めだろう。

2.濾過装置

  有限のサイズの水槽の中で魚を飼っていれば必ず水は汚れる。それを濾過するための装置は必需品

  だ。濾過はフィルタによる物理濾過と好気性バクテリアによる生物濾過が行われる。安価で濾過性

  能の高いのは底砂をフィルタとして使うタイプだ。砂の中に水が流れるので水槽飼育にもいいらし

  い。欠点は掃除が面倒なこと。たったそれだけだが、これは大きな欠点である。

  最近よく見かけるのは上部式の濾過装置だ。水槽の上や横に設置するので濾材の交換などが楽だ。

  欠点は音が大きめなのと、水(や炭酸ガス)の蒸発が多いこと。

  上部濾過式でも水中モータを使ったタイプや、モータシャフトを水中のベーンに伸ばしているもの

  など様々。

  エアリフト式のスポンジフィルタを使った水槽内に設置するフィルタもある。構造が単純で安価な

  事から、セカンド濾過装置として利用している人も多いらしい。濾材はスポンジのみだが、意外に

  濾過能力は高い。ただしスポンジのメンテナンスはこまめに必要だし、スポンジを水槽外に引き上

  げるときにゴミが落ちる。

  実はこのスポンジフィルタ,上部濾過装置に稚魚が吸い込まれないように使っていたのだ。

  外部濾過装置は水槽外部に濾過専用の箱を置き、その中に濾材を入れて濾過を行う。最近の流行で

  もあり色々な製品が選択できる。メリットは掃除が楽なことと共に、濾材を沢山(多種)入れられ

  るので濾過能力が高い。完全密閉なので蒸発や炭酸ガスが逃げることも少なく音も静かだ。

  欠点は価格が高いことだろうか?

  40cm水槽でスポンジフィルタ付き上部濾過装置を使っていて、これに外部濾過装置を付ける実験を

  してみた。水中の細かなゴミなどがサッと吸い込まれ、見て分かるくらい水がキレイになった。

  外部式は水槽の中に給排水パイプのみを設置すればいいのでスッキリして見栄えがいい。大型水槽

  ならともかく、60cm級だと水槽内フィルタは邪魔である。ほとんど無音で運転できるのも外部式の

  メリットだ。

3.照明

  魚専用であればさほど気にすることはないが、水草を育てるとなると光量は重要だ。上部濾過装置

  を使っていると、水槽上面に照明を設置する面積が限られる。発光波長の違う2種類の蛍光灯が使

  えるタイプがいいだろう。なお、補助的に使う目的として水中蛍光灯みたいなものもある。

  蛍光管にもPG-2,PG-3,PG-5など色々ある。照明一つで水槽が全く違った雰囲気を醸し出すので、用

  途に応じて専門家の意見を聞いて買えば失敗はないと思う。

4.ヒータ

  温度コントローラ+ヒータの他に、固定温度の一体式ヒータもある。安いセットものの水槽の場合

  には、固定温度タイプの物が付属している場合が多い。通常ならこれで問題はないが、魚の健康状

  態などによっては温度を変えたい場合もある。固定温度型ヒータが余ったら、これも水槽に入れて

  おこう。万一どちらかのヒータが壊れても魚を死に至らしめずに済む。

  (温度は上げる方向にシフトさせたいときが多い。固定温度型の25℃か26℃以下に調整したくなっ

  たら固定温度型ヒータのコンセントを引っこ抜けばいい)

5.底砂

  「焼き物」から普通の砂利、珊瑚のかけらなど色々な種類がある。珊瑚系は白色でキレイだが、淡

  水魚には向かない。物の本によると黒っぽい方が魚が落ち着けるらしい。私は黒い砂を使っている

  が、砂が柔らかいために粉が出てそれが水を濁らせる。もちろん、一度セットしてしまえば大丈夫

  なのだが、水草を植え替えるなどで砂を引っかき回すとヤバい。細かな砂の粒が舞い上がって、水

  草などの葉の上に付いてしまう。

  天然の砂利は硬くて良いのだが、焼き物系や黒系は(粉が出るという点で)ちょっと面倒かも知れ

  ない。とにかく洗うのが大変なのだ。

6.炭酸ガス関係

  魚用炭酸ガスボンベは非常に割高だ。手に握れるくらいの大きさ(数十グラム〜)で2千円もする。

  これは工業用ガス屋さんで買うに限る。小型ボンベの場合は10Kgで5千円、大型ボンベでは4

  0Kgで5千円なのだから。

  従って1ヶ月くらいで水槽に飽きてしまう予定のない方は、こちらに問い合わせてみては如何だろ

  う?水槽用の圧縮炭酸ガス(気体)の1/100位のランニングコストが実現できるのだ。

  また水槽用液化炭酸ガスボンベ(100グラム程度の内容量)でも2千円以上するから、これに比

  較してもお得である。なおレギュレータなどが必要なのは水槽用液化炭酸ガスボンベを使用する場

  合と同一だ。レギュレータに関しても見栄えを気にしなければ工業用の方が使いやすいし安価だ。

  電磁バルブ(CKD扱い)やワンタッチコネクタも同様なので、大型ホームセンターなどをのぞい

  てみることをお勧めしたい。

  水中に炭酸ガスを溶かす器具も色々な種類がある。私が買ってきたものは、逆止弁の動きが渋くあ

  る程度圧力を上げないとガスが出ない。ガスが出始めてから流量を調整しなければいけないので、

  ちょっと面倒だ。高価なガラス製など、炭酸ガスの泡の動きを見ていて楽しくなるような物もある

  から、これは予算次第と言うところ。そもそも水槽とは見て楽しむ物だから、私のように機能重視

  で行くよりデザイン重視の方が良いと思う。

7.石とか流木とか

  石や流木を配すると見た目が美しい。石に関してはそれが溶け出すことによるpH値の変化もあるの

  で注意したい。流木は「あく抜き」が必要なので、あらかじめあく抜きされた物を買ってくるか、

  自分で拾ってきた物の場合はあく抜きを怠ってはいけない。