底砂を考える&肥料も


水草水槽であれ水草が植えていない水槽であれ底砂は有用だ。
底砂には濾過バクテリアが繁殖し、場合によっては濾過装置に匹敵するほどの浄化能力を持つことすらある。
水草水槽では水草を植えるために砂は必要で、近年ではソイルタイプと呼ばれる土壌をベースとしたものも良く使われている。
底砂に求められるものはその方向性によって異なるが、一つは川砂利に代表されるような水質を変化させないものである。
もう一つは急激なpH変化や水質変化を緩和させる緩衝作用を持ったハイテク系?底砂だ。
川砂利などを使った場合で底砂内の流水性を良くして水草を植えると、極端に言えば水耕栽培と変わらなくなる。
水槽内の水が底砂内部に循環していると考えれば、底砂は根を保持する事と光を遮断する作用のみになる。
しかし実際には底砂内部には(底面濾過などを使用しない限り)「よどみ」が生じて、水槽内部の水質とは違った水で満たされているはずだ。
そこには水槽水に含まれる以外のバクテリアが生息し、養分を水草の根に吸収されやすい形に分解したり、その他様々な作用を及ぼしている。
しかし底砂内部の水が全く循環しない状態になると、好気性バクテリアが繁殖できなくなって底砂内部で水が腐る(ドブ臭くなる)場合がある。
この対策として底面吹き上げやラインヒータなどが使用される。
ラインヒータは底砂底部に設置し、数パーセントのデューティーサイクルで通電する。
これによって底砂が暖められ、温度差による循環で底砂に通水性を与えるものだ。
これも元々通水性の良い底砂には不要ではないかと思う。
いわゆるソイル系の底砂(底土)を使用したような場合は砂の密度が高いために通水性が阻害され、この対策として用いられるのではないかというのが私の考え方だ。
では何故通水性の悪い(時間と共に粒状が細かくなって)悪くなるソイルを使用するのか? これは通水性云々よりメリットがあるからに他ならない。
元々水草は粒状の細かな砂(土)の上に生えている場合が多く、根張りに関しても養分吸収に関しても、そして土壌そのもののチューニングに関してもソイル系は他の底砂と一線を画するものであるといえる。
しかし通水性の問題、耐久性(使用時間によって粒が崩れてしまう)の問題や、水質調整機能の問題も(うまく使えば問題にはならない)ある。
これらを緩和するための措置がラインヒータではないのだろうか?ソイル系を使用することによって難しいとされていた水草を育てられるようになり、水草の生長が阻害されないために藻類の発生も抑制できる。
ただしうまく使った場合である。
ハイテク底床には寿命がある。
長く使うと粒状が崩れるのはもちろん、pHコントロールや硬度を低下させる作用が失われてしまう。
効果は使用状態にもよるが数ヶ月から1年くらいで消えてしまうようだ。
その代わり難しいとされるトニナsp.なども育てることが出来る。
ネイチャーアクアリウムに代表される観賞用作品としての水槽なら、製作過程を経て完成に至るまでが勝負であり、完成後までソイルのハイテク効果が続かなくても良いのかも知れない。
しかし長期に渡って水槽を維持していくためにはこれでは不便である。
従って水質に変化を与えない底砂を使用し、水質調整はピートやイオン交換などによって行った方が良いと思う。
もしアクアソイルの水質改善効果だけが欲しいなら、交換用の水をアクアソイルを入れたバケツに汲み置きして使えばいい話である。
川砂利や焼結素材を使用した場合は、水質に影響を与える要素は少ない。
従ってソイル系のような難しさ(正しく使うための知識)も無い。
反面で水草の生長はソイル系に及ばない場合が多いし、水質変化に対する緩衝作用も硬度を低下させる作用もない。
特に難しいとされる水草は弱酸性と低硬度の水を好む。
このため硬度低下用のイオン交換樹脂やピートなどを使用する必要に迫られる場合があるし、一般的な川砂より粒状の細かな砂を選択する必要があるかも知れない。
私は60cm水槽で焼結素材の黒い砂を使用している。
これは比重が重い上に細かな粒が混じっているので、使っているうちに底砂が締まってくる。
これによって水草の根張りが阻害されるような気がするが、実際にはそうでもないようだ。
と言うのも90cm水槽ではセラミック素材の多孔質で比重の極めて軽い砂を使ったのだが、水草の生長に関して両者で著しい差が見られないからだ。
底床肥料を使うことによって、グロッソスティグマもコブラグラスの成長も阻害されない。
ちなみにpH=7,KH=4,GH=5が水槽水のデータである。
セラミック素材の砂は比重が軽く粒状が一定なので通水性は良好だ。
多孔質であるために根張りやバクテリアのコロニーとしても機能も高いだろう。
欠点は見栄えが悪い(粒状が一定なので自然感がない)事と、通水性に関係するのかも知れないが水草の生長が良くなるまでの期間が黒砂に比較して長くかかった感じがするのだ。
この事から、底砂の通水性は過度にあってはいけないのではないかと感じた。
黒砂の方は締まっているとは言っても(水草植え替えの時にかき回してみたが)底砂内部で水が腐っている様子はなかった。
もちろん汚れは溜まっているが、これはどんな砂でも同じだろう。
セラミック砂の方は良好な通水性があるのだが、良すぎる通水性は「水耕栽培」となってしまうような気がする。
この為あえてラインヒータは設置しなかった。
ラインヒータは底砂の厚みがある場合をのぞくと、水草の根が絡まって植え替えの時にヒータごと抜けてきてしまう場合がある。
この点ではADAの金属板などは良いのかも知れない。
底砂中にはバクテリアが繁殖しなければならず、このバクテリアが根に養分を吸収しやすい形で供給する。
水草は根からも若干の酸素放出を行い、これによってバクテリアは活動を持続すると言われる。
酸素が少なければ底砂内部が嫌気性となって水が腐るかも知れない。
通水性が良すぎればバクテリアの繁殖がうまく行かずに水耕栽培になってしまう。
底砂を選ぶポイントとしてまとめてみると、1.水草育成を第一として考え、頻繁なレイアウト変更を行わない場合 2.水草も植えるが水質変化を好まない場合 次に底床中に肥料が必要かという話である。
有茎類やグロッソスティグマ、パールグラスなどは底床中からの養分吸収が多い。
しかし底砂肥料をセットしても、底砂中のバクテリア活動が弱ければ根には効率的に吸収されない。
底床肥料で比較的効果が現れるのが早いのはテトラのイニシャルスティックだろうか?ただし底床が安定してから使うべきである。
効果が早い分、使用方法を間違うとコケの発生などにもつながりかねない。
イニシャルスティックは溶けるのが早いので、底砂の奥の方に手早く埋め込む必要がある。
スティックの長さもバラバラなので若干使いにくいのが難点だ。
即効性はないが底床内に長く留まっているのはジャレコのフロラスティックだ。
底床セット時に60cm水槽で30gほど入れるのが標準使用量だが、私の場合にはセット時に入れるのではなく必要な場所に後から差し込んでいる。
ADAのアイアンボトムも遅効性だ。
フロラスティックより固い感じで、鉄分主体とのこと。
フロラスティックもアイアンボトムもコケの発生にはつながらないと思う。
つまりは窒素/リンが含まれていないと言うことだろうか?底床肥料は液体肥料に比較すると(イニシャルスティックにしても)コケの発生は多くはない。
液体肥料は添加しすぎれば翌日には緑のコケが発生する。
私は「ハイポネックス開花用」を60cm水槽で1〜2ccを換水前2日くらいに入れることがある。
例えコケが発生しても換水時期が近いから安心というわけだ。
ADAのStep1/2/3に代表される微量元素主体の液肥だが、これも入れすぎれば(と言うか、規定量を入れれば)コケは発生する。
なお緑のコケが発生しない状況下においても(これが原因とはハッキリ断言できないが)黒髭藻が発生した。
この時にはADAのStep2のみを規定量の1/2を毎日添加していた。
その後実験を重ねてみたが、微量元素主体と言われるStep2でも毎日添加すると黒髭藻が発生する。
微量元素が沢山添加されて多量元素になったか(笑)その後はStep2を換水2日前くらいに1cc(規定量は20リットルの水に1ccなので、60c
水槽なら3cc)位添加するときもある。
全ては水草の状態を見ながら行った方が良い。
水草が調子を崩してからでは遅いが、その寸前を察知して少量の液肥添加を行うのがコツのようだ。
なお底床が出来上がっていない、水槽セットから1ヶ月程度は肥料系を添加するのはやめた方が良い。
網袋に入った直径数ミリの球形の肥料がある。
これを水槽に沈めておくことによって徐々に溶けだして肥料となるものだが、水草の調子のいいときにこれを入れると目に見えて効果がある。
水草の生長は良くなり葉の色もシッカリしてくるのだが、サスガにこれだけ効果があると藻の発生を促すのではないかという恐怖心から3日ほどで取り出してしまった。
(藻は発生しなかった)液肥の使い方は液肥を添加し始めて数ヶ月する頃には身に付くだろう。
それまでは過添加で藻を発生させたりする事も当然起こると思う。
藻が発生したら直ちに水交換を行うことだ。
1/2程度の水交換を何日か続ければ肥料分は水槽外に排出されて被害は収まるだろう。
VC