メタハラを比較する


3種類のメタハラを、デジカメのホワイトバランスを「太陽光」固定で写してみた。
メタハラで色温度の高いものは420nmや460nmの波長に鋭いピークを作る事になり、演色性は劣る。
発光効率も悪くなるはずだ。
逆に4000K〜7000K程度の色温度で設計すると、余りピークのない太陽光のようなスペクトルに出来る。
しかしこれでは海水水槽用には色温度が低すぎるため、発光スペクトルを調整したり、フィルタリングしたりして各メーカ色々な商品を出している。
例えばサンライトにしても、アクア、プラント、マルチの三種類の球があり、現在私は水草水槽の方でプラントを使用している。
これは緑のスペクトルが多いため、水草はかなりキレイに見える。
水草水槽にはこれとアクアの2灯なのだが、アクアは適度に色温度が高いため水草水槽にもマッチするように見えた。
しかし実際には演色性がさほど高くないので、プラントかマルチを使った方が良さそうである。
今回は海水水槽用のメタハラを、デジカメのホワイトバランス固定で撮影してみた。
最初はサンライト70Hアクアである。
管球の発色はブルーっぽいが、水槽内はさほど青っぽくはならない。
設置場所は水槽右側である。
ただし写真は太陽光でホワイトバランスを取っているので(例え蛍光管でも)青っぽく写る。

サンライトH70アクアのカタログデータは17000K,3600lmだ。
デジカメの露出はF2.7で1/30秒のシャッタスピードだった。
なお設置高さは水面上15cmである。
90cm水槽に1台では(距離を離せば配光的には何とかなるが)暗すぎ、水草水槽には2台を使用している。
2台の使用で、32Wの蛍光管5本時より明るい。
ちなみにサンライトH70アクアとプラントの発光色の違いはこんな感じだ。

次にスーパークール115のみ点灯させた。
このランプは演色性が高いのでお気に入りである。
(Ra=85)

スーパークール115は電球自体が6500K程度の色温度なのだが、ダイクロイックミラーによって21000K程度の色温度を確保しているという。
管球自体の発色は白に近い(サンライトの方が遙かに青い)が、照らされた水槽内のものはサンライトより青っぽくクリアーに見える。
この時のデジカメ露出はF2.7で1/60秒のシャッタ速度だった。
スーパークールもブルー系の他に色々な色温度のものが選べる。
配光特性も広角と狭角が選べて選択肢は広い。
この球を使った場合でも90cm水槽なら2台が理想的か。
次にアストロビーム250Wである。

配光の広さは器具の工夫であり、その割に明るいのは250Wだからか。
カタログスペックの4500lmが信じられないほど明るい。
底砂などは眩しいほどだ。
色温度は点灯初期に25000Kだが、10000K以上で安定するというおおざっぱな表示。
デジカメはF2.7でシャッタ速度が1/128まで上がった。
ホワイトバランスを固定して写すとかなり青っぽいが、見た感じは下の写真のようになる。
ブルーライト(蛍光灯)だと、オートホワイトバランスに設定しても青にしか写らないがメタハラの場合は青以外のスペクトルも多く含まれていると見えて下の写真のようになる。

150Wのアストロビームより青さが薄い感じなのだが、それは好ましいと思う。
この写真を見て解るように、配光が広いと言っても水面上15cmに設置すると、横幅90cmを均一に照射することは出来ない。
(メーカ推奨は30cm)もう少し高い位置に器具を取り付ければ十分な照射範囲が得られるが、多少でも水底まで強い光を行き渡らせようと思えば、余り器具の高さを上げたくない。
特にこの水槽は奥行きが45cmと短いので、前後方向の光を無駄にしないためには水面ギリギリに設置したいわけだ。
逆に水面上15cmの位置からでもこれだけの配光角度が得られているのは立派と言える。
配光特性が広角なものは水面から離して設置すると、当たり前だが急激に照度が落ちる。
照度は距離を2倍にすると1/4になる。
そこでアストロビームの左右にスーパークールとサンライトを設置することによって、水槽の端の部分でも十分な光量を確保できるようになるし、演色性も上がる。
私の好みから言えば、中央にアストロビーム、両端にスーパークールと言った組み合わせになるだろう。
緑系や蛍光色サンゴを照らすには(アストロビームでも)青さが足りない感じはするが、これ以上青くするのも行き過ぎのような気がする。
アストロビームとサンライトは器具の斜め下から覗くようにしても、余りまぶしくない。
スーパークールは電球が直接見えてしまうのでかなりまぶしい。
アストロビームは電球の光が直接見えないようにルーバ的ものがあり、サンライトは反射鏡の奥行きが深いためにまぶしくないのだ。
アストロビームのみトランス型安定器であり、これはすごく重い。
他の2機種は半導体インバータなので小型軽量だ。
器具の大きさはスーパークールが最も小さいが、反面安っぽく感じる。
サンライトはアルミダイキャストの製品(専用に型を起こしたのではないと思う)で、小型軽量(700g)である。
アストロビームはこれらと比較すると巨大だ。
重さも3.5Kgあるから設置には注意が必要。
器具温度はスーパークールが最も熱く、これは赤外線をランプ後部に放出する設計だからか。
サンライトとアストロビームの発熱具合は同じようなもの。
アストロビームライトの最大の欠点は、安定器と器具が直結されていることだ。
サンライトも直結なのだが、こちらは安定器(インバータ)が小型なので置き場所に困ることはない。
確かにコネクタをつければコストアップになるのは事実だが、ならばスーパークールのようにインバータ内部を開ければ線が外せるようにしてほしい。
結局これを設置するために線を途中で切って水槽台の天板を通し、床下に置いた(床下にしか置けないような大きさと重さと発熱だ)安定器に再接続したというわけ。
現在の点灯時間設定は以下のようになっている。
スーパークール115 AM6 50点灯 PM5 00消灯 点灯時間10時間10分
アストロビームライト AM7 30点灯 PM5 30消灯 点灯時間10時間30分
サンライトH70アクア AM8 00点灯 PM6 00消灯 点灯時間10時間00分
基本は10時間としているが、無脊椎水槽の場合には12時間程度の点灯時間を設定する人も多い。
なお250W細管は各メーカ共通ソケットなので、コーラルグロゥや10000Kなどに付け替えることは可能だと思う。
(トランス型安定器なので余り毛色の違った球は点灯しないかも)またスーパークールの定電力型インバータは150W管であれば殆ど全ての種類を点灯させることが出来る。
インバータや安定器は個別購入が可能で、電球メーカが取り扱っている。
定価は2〜3万円程度で、実売価格はその6〜7割と言ったところか。
例えばサンライトと殆ど同じ外観のハロゲンライトがホームセンターで\2,480だ。
ソケットの適合性は未確認ながら、型番から行くとたぶん70W/150Wの細管メタハラが取り付けられるはず。
(合わなくてもソケットは単体購入でき70W/150W用の型番はRX-7S、250W/400W用はFC2。
メタハラ専用品も照明機器メーカから発売されているが、同じ格好のくせに1万円ほどする。
詳しくはオーデリックのカタログ参照のこと)バルブ自体は色温度などの仕様にもよるが、4千円〜1万円くらいだろう。
これに8千円くらいの安定器をつなげば2万円以下でメタハラが手に入る計算になる。
スーパークールはバルブ自体に反射鏡を内蔵しているので、器具は更に簡単なもので良い。
口金はE26(普通の電球と同じ)なので、ホームセンターで売っている\980の器具からインテリアライト用の1万円ほどするものまで選び方は自由だ。
スーパークールはバルブ自体が1.5万円程度、トランス型安定器だと150W用で1万円くらいなので、これらを組み合わせれば市販品より1万円ほど安く上がるのはサンライトの場合と同じ。
250W以上になると器具が高価になる。
特に細管を使おうと思うと、防雨型のもので2万円くらいは覚悟しないと。
ちなみにこれら市販器具を組み合わせて、ショップオリジナルとした製品も色々発売されている。
半導体式インバータ等に関してはこちらが参考になるだろう。