iCOM IC-T8を試す


アマチュア無線局の再免許申請用にiCOMのIC-T8(以下T8)を購入した。
これは50MHz/144MHz/430MHzの3バンドハンディーで、電源電圧13.8V時には5Wの送信出力が得られるものだ。
改造すればワイドバンドレシーバにもなるらしく、改造してみようかと思ったらすでに改造済みだった。
まずは送信出力から測ってみよう。


アンテナコネクタにアッテネータを接続し、そこにパワーメータのセンサを取り付ける。
まずは内蔵電池でのパワーを測定した。


1.6Wちょっと出ている。
これは周波数帯によらずほぼ一定だ。
電圧を13.8Vに上げると..

5Wを超える。
これも各バンドほぼ同じ程度のパワーだった。
次に高調波スプリアスを測定した。
まずは50MHzバンドだ。
電源電圧は13.8Vとした。


高調はスプリアスは-40dBm以上出ている。
次に144MHzバンドで同様の測定を行った。


2倍高調波が見える。
最後に430MHz帯で同様に観測した。


これも2倍高調波が出ている。
なお、3倍以上の高調波は(8GHzまで観測したが)スペアナのこのレンジでは観測できなかった。
なお2倍と思われる高調波レベルは-24dBmと高い。
次にスペクトル純度を観測してみることにする。
アマチュア用のFM送信部なので期待はしていないが、まずは50MHz。


こんなモンだろう。
ディジタル送信機には使えない感じ。
次に144MHz帯

似たり寄ったりである。
最後に430MHz帯

これも余り変わらない。
送信系最後はアンテナ特性である。
余り長くないアンテナで3バンド共振を実現しているのだろうか。


意外に共振点が多い。
50MHz/110MHz(Air BAND)/380MHz(コードレス)/430MNHz/850MHz(自動車電話)に共振点がある。
一応反射特性も取ったが、ワイドレンジのまま取ったので参考程度に。


次に受信部を測定した。
FMラジオバンドでは自動的にワイドFMに、エアバンドではAMに受信部が切り替わる。
周波数 SINAD12dB感度
52MHz -5dBμ
86MHz 16dBμ(ワイドFM)
114MHz 0dBμ(AM)
200MHz 26dBμ
300MHz 8dBμ
350MHz -5dBμ
380MHz -5dBμ
400MHz -1dBμ
435MHz -9dBμ
450MHz -5dBμ
500MHz 4dBμ
530MHz 15dBμ
〜599 MHz迄は受信できない
600MHz 33dBμ
650MHz 15dBμ
700MHz 0dBμ
750MHz 0dBμ
800MHz -2dBμ
850MHz 3dBμ
900MHz 4dBμ
950MHz 7dBμ
999MHz 14dBμ
受信機として感度があると考えられるのは0dBμ以下だろう。
アマチュアバンド以外ではアナログコードレスの380MHz帯で感度が良いことが分かる。
2信号特性などは測っていないが、広帯域受信機だからこの特性がよいとは思えない。
ワイドFM検波回路やAM検波回路(たぶんIFのICに機能があるのだろうが..)まで付けているのだから、アマチュア用トランシーバと言えどもワイドバンド受信機機能が必須と言うことか。