VICSユニットの中身


まず最初にVICSの伝送方式を理解しておこう。
まず広域情報、これはFMラジオ周波数に乗せて送られてくる。
ただし広域情報だからラジオの交通情報に毛が生えた程度の密度でしかない。
もっとローカルで密度の高い情報は一般幹線道路に設置された赤外線ビーコンと、主要高速道路に設置された電波ビーコンで供給される。
赤外線ビーコンに関しては双方向通信であり、ビーコン設置点を通過するとビーコンユニットは勝手にセンター側と「おはなし」する。
(上り64Kbps/下り1.024Mbps)電波ビーコンの周波数は約2.5GHz,電送レート64KbpsのGMSK変調波だ。
話はそれるが、GMSKについてちょっと説明しておこう。
GMSKとはディジタル信号(NRZ)を直接周波数変調(FM)したものと考えて良い。
ただし、不要なスペクトラムの拡散を防ぐためにガウシャンフィルタが挿入されている。
(たぶんα0.3〜0.5程度だろう)これによってQPSKなみの帯域幅でのデータ伝送が可能になる。
ご存じ欧州標準ディジタル携帯電話のGSMも変調方式はGMSKだ。
(一部K察も)GMSKはFM変調(の、仲間)だから、非線形増幅器を使用できて電源利用効率が高い。
位相にもさほど敏感ではないので、受信機設計も(QPSKに比較すると)簡単だ。
もちろん、GMSKならではの問題もある。
伝送データレートの1/1000程度の周波数まで通過させなくてはいけないのだ。
64Kbpsの伝送を行おうとすれば、無線機の低域特性は数十Hzまで保証することが(エラーレートの観点から見て)必要だ。
通常の無線送信機は、VCO+PLLによって目的周波数を作り出している。
FM変調はそのVCOに対して行うわけだが、低域周波数に対してはPLLのループフィルタの通過帯域内に入ってしまいPLLが変調を妨害する。
そこで、基準発信器のTCXOにも変調をかけるような手間が必要だ。
(違う方式もある)受信機にしても数十Hzまで保証するとなると、復調器以降をDCに近い形で結合しなくてはならないが、相手がFM復調器だから送受信周波数のズレが直接出力電圧となって現れてしまう。
これをキャンセルするためのバイアス回路も必要だ。
(通常はモデムに入っている)

さて問題のビーコンユニットだが、本体とアンテナ?の2ユニットで構成されている。
本体側はたいした部品は入っていない。
これで5万円以上の定価が付くのだから割高感はある。
開発費の消却と需要によっては、2万円程度まで下がると見ているのだが..
左側に見える金属製の箱が無線ユニットだ。
ナビ本体と違って2.5GHzのRF信号は、直接ここに入力されるようだ(ナビは、アンテナ内部にダウンコンバータが入っている)これも周波数ドリフトを嫌うGMSKだからなのか?ロジック部はマイコン(たぶん)とモデム(たぶん)だけで、簡単な作りだ。
このユニットは単独では動作せず、FMユニットが無いとナビとの接続は出来ない。

こちらがアンテナ部。
向かって左側から、F型のような無線用アンテナ/赤外線受光部/赤外線LEDと並んでいる。
この大きさならスロッテッドアレイやダイポールアレイでアンテナゲインを稼げそうな気がするが、板金製F型アンテナ+LNAで構成されている。
中央部の赤外線受光部も、受光部面積は大きいがレンズなどは一切無い。
右端の赤外線発光LEDは、モジュール構造でLEDチップが12個実装されている。
こちらは何故かレンズ付きだ。
この赤外線LEDは、LEDの数からしても相当電力を消費すると考えられる。
これらのインタフェースは1本の同軸ケーブル(1.5C−2Vか?)だけだ。
この直流抵抗の多い同軸で電流供給するためか、基板の裏側には大きなケミコンが見える。
無線標識と赤外線受信/赤外線送信は、同時に行われることがないから意外に簡単なのかも知れない。
しかし、このアンテナ部のデザインセンスには呆れてしまう。
いくらソニー(あの、ヘッドホン型PHSを作った)でも、もう少し何とかならなかったものか?だいたいデカい。
横幅は13cm近くあり、奥行きは5cmだ。
そう言えば、ソニーの第一世代ナビのアンテナも巨大だった。
さてFMユニットだが、中身はこちらも大したことはない。

上部シールドケースに入っているのが、FMラジオの部分だ。
IFアンプまで二重化されたダイバシティになっている。
安物のTVチューナが、帰線期間を利用したアンテナダイバシティであるのに対して、FM放送はアンテナ切り替え時間が確保できないから仕方ないのかな?このユニットで、VICSのFMデータ受信とFM文字放送が受信できる。
そのおかげで大枚?はたいて1年前に購入したFM文字放送受信ユニットが不要になった。
(ただし、両方接続しておくことによってVICSと文字放送のデータが常に受信されており、VICSから文字放送に切り替えた場合の表示が早いと言うメリットがあるようだ)

これがFM文字放送受信ユニットだ。
沖電気製のモデムと日立のH8(CPU)が見える。
取り付け場所は悩んだ末、トランクではなく助手席足下に決定した。
ここにFM文字放送受信ユニットが取り付けられていたわけだが、その為ナビバス(SONY独自のシリアルインタフェース)が来ていたからトランクと車室内の配線引き回しは不要だ。
ユニットの数が増えたが、二階建てにして何とか納めてしまった。
このFM文字放送受信ユニットとVICS受信ユニットの違いといえば、電源引き回しか?FM文字放送受信ユニットはナビバスから電源を貰っている。
それに対して、VICSのFMユニットは常時電源を必要とするのだ。


配線も完了してビーコン受信アンテナ部の取り付けにかかる。
取り説によるとダッシュボード中央と書いてあるが、この不格好なアンテナ部を目立つところに取り付けるほどのセンスは持ち合わせていない。
結局助手席側のフロントガラスが少々カーブしている部分に取り付けた。
車道上のビーコンは車線のほぼ中央に取り付けられているから、本当はフロントガラスの中央付近が良いのだとは思う。
なお、取り付け後のインプレッションはこちらをごらん頂きたい。