ソニーW-900の使い勝手


ソニーの新型(現時点,98年1月現在)を取り付けた。
未だ取り付けてからの時間も短いが、そのインプレッションをお届けしよう。
その1:VICSビーコンの反応時間
従来のNVX-S1だと、ビーコン下を通過してから「ピッ」と鳴くまでが数十秒,その情報が地図上に反映されるのに更に数十秒を要した。
これだとビーコン下を通過してから回避ルートを選択する前に渋滞に突入してしまうこともある。
ビーコンが多く設置されている場所なら良いのだが、数Km毎に設置されている一般国道等だとビーコンの設置されている次の交差点で渋滞を迂回したいような場合もある。
これがNXV-S1だとビーコン設置点通過から渋滞情報が地図上で見られるまでに1分以上を要するから使いものにならない。
今回新たに取り付けたW-900だが、ビーコン下を通過するとすぐに「ピッ」と鳴る。
そして、渋滞情報が地図上に反映されるまでの時間は10秒前後,ビーコンの送ってくる情報量によってもこの時間は変化すると思われるが、一応使える範囲ではないかと思う。
その2:ルート検索時間
三菱製カーナビのうたい文句は「東京−大阪間ルート計算時間9.9秒」だ。
ちなみにNVX-S1だと呆れるほど時間がかかり、挙げ句の果てには距離が遠すぎてルート検索が出来ない等と言われたこともあった。
W-900は横浜−大阪(駅)間で最速10秒ほど,最速とは高速道路を使ったルートを計算させた場合だ。
一般道を使うルートを探させると、検索時間は45秒に延びる。
まあ経路が多くなれば検索に時間がかかるのも仕方ないことだろう。
その3:リルート時間
ナビの検索したルートに反する行動をとった場合、ナビは実際に走行している地点から目的地点までのルートを再計算する。
これに要する時間も距離に比例することは言うまでもないが、通常の数十Kmのルートで有れば数秒以下で新しいルートを検索してくれる。
徹底的にナビの言うことを聞かずに走行しても、分岐点を通過する度に新しいルートが表示されて、イライラ感は皆無だ。
ただし、車が通れないような道であろうが地図上に道がある以上そこをルーティングするから注意が必要。
なお旧NVX-S1の場合は細い道はルートしなかった。
その4:ディスク読み込み時間
スクロール自体は速いのだが、地図データがキャッシュになくなるとCD-ROMを読みに行く。
地図のデータ構造がどうなっているのか分からないが、CDドライブの音を聞いているとシークしているようである。
どこかにインデックスが書いてあって、そこを読んだ後で地図データを読むような雰囲気。
従って、これには時間がかかる。
ちなみにDVD-ROMを使用した松下製も触ってみたが、これもまた読み込みには時間を要していた。
その5:機能面について
情報源がCD-ROMであり、DVD-ROMのような容量はない。
従って電話番号検索など出来るのだが、いわゆる電話帳にはならない。
松下ナビでは電話番号から会社名(個人名は不可)や住所を表示する機能があるが、W-900ではそれが出来ない。
測位精度に関しては、カロッツェリアの評価が高い。
W-900は実際の位置より数十m遅れている感がある。
詳細地図や細い道路でもルーとする機能があるから、この位置精度は重要である。
都市部などでは「1本道を間違える」ケースが見られる。
ちなみにGPSの電波のみに頼った場合、余程うまく作ったとしても10mの精度を得るのは大変なことだ。
D-GPSを使用することによって、この誤差を1〜3m程に出来るわけだが受信機雑音やマルチパス,電離層遅延誤差は残ってしまう。
この辺りはハードウエアとファームの出来次第と言うところ。
その6:表示機能について
ディスプレィに関しては、最近流行の横長モニタだ。
横長モニタの場合は上下に解像度が少ないからナビには向かない。
ナビを使っている場合、見たいのは進行方向の状況,すなわち上方向だからだ。
またバードビューにも対応していない。
唯一交差点拡大図のみそれらしい表示にはなるが。

横長モニタは(機種による)TV画面とナビ画面を並べてみられる。
TV画面は横方向に縮小された感じだが、だいたい4:3のTV放送を横に長く映し出すモニタのことを考えれば多少縮んでも慣れればなんて事はない。
むしろ16:9で横に広がった画面の方が違和感が大きい。
どうせ横長にするのなら(たぶん)エプソンのTVのように、4:3の画面2つ分(8:3)の方が実用的な気がする。
W-900の場合は、インフォメーションが画面の上下に付いているというのも少ない解像度を無駄にしている。
(半透明表示なので地図が全く見えなくなるわけではないが)

その7:音声認識について
音声認識に関しては、不特定話者相手であるという事を考えれば全く使えないもの,とも言い切れない。
確かに誤認識は多い,何度も誤認識をされるとイライラしてくる。
誤認識も地名を間違えるくらいなら良いが、地図上にマークを付けるようなコマンドと間違われると、地図上のあちこちにマークが付いてしまう。
これは現時点の技術レベルでは「この程度かな?」の範囲を出ていない。
また、認識させるための語句を覚えておかなければならないと言うのも不便。
語句に関しては厚さ1cmは有ろうかという本(辞書?)が付属してくるが、これを見ながら発音するくらいならリモコン操作の方が早い。
「こんにちは」とか「今何時」は比較的認識率が良好,地名に関しては似たような地名が多いから、発音した地名が一発で出てくるケースは少ない。
県名やJR駅を発音して検索し、そこからは地図上で追うのが正しい使い方かも知れない。