Webカメラ(2)


Webカメラの設置に当たってはこちらを参考にされたいが、屋外用ハウジングにカメラ(HCM180)を収めるにあたっていくつか気になる事象がある。
その一つは同ページでも書いているとおり、主にズームのテレ側で顕著になるボケだ。
【ハウジング無し】

【ハウジング付き】

この画像は最テレ側で写した画像(VGA解像度)の一部を切り取ったものだが、この通りかなりボケてしまう。
これは決してフォーカスがずれているのではなく、ハウジングの光学的歪みによるものだ。
もう一つはホワイトバランスの崩れである。
ハウジングはスモークのポリカーボネート製なのだが、これを通してカメラを稼働させているとホワイトバランスが徐々に狂ってくる。
しかもそれは夜間、白熱電球で照らされた所を撮っていると顕著なようだ。
【リセット直後】

【一晩放置後】

明らかに青っぽくなってしまっている。
一旦こういう風になると、日中でも色合いは戻ることなくどんどん青くなっていく。
おそらくポリカーボネート製カバーの通過(波長)特性によるものだと思うのだが、では何故日中にはホワイトバランスがシフトしないのだろうか。
最初はカメラの故障ではないかと思ったのだが、松下に問い合わせてみると『このような事例は報告されていますが、カメラの仕様でございます』だそうだ。
確かに松下が推奨しない方法で設置している訳だから文句を言う筋合いではない。
もしかしたら透明なカバーに変えれば良くなるのかも知れない。
ただし、こうなっては見にくくて仕方ないのでセッティングによってこれを回避する事にする。
カメラのホワイトバランスは「自動」の他に、白熱電球や蛍光灯用がプリセットされていて、その中には「屋外」用途がある。
色温度は6000Kで固定だそうなのだが、日中これに切り替えてみると明らかに赤っぽくなってしまう。
太陽光の当たった場所の色温度は5,200K程度と言われているからだろうか。
だからといって曇り空の日(7,000K程度と言われている)でもちょっと色がおかしいのだが。
もちろんそれ以外の、白熱電球や蛍光灯モードにすると、当たり前だが色はメチャクチャになる。
そこでリセット直後にAWB(自動ホワイトバランス)モードにして、その状態を「ホールド」するモードに切り替える。
これで少なくとも日中にだけはホワイトバランスが合う。
カメラの向きやズーム位置などはプリセット出来るのだが、同時にホワイトバランスの設定値もメモリ出来るので、この「ホールド」状態のままプリセットしてしまえば使いやすい。
「ホールド」モードにすると、その時のホワイトバランスを記憶する訳なので、曇り空の日にこの操作を行えば曇り空用でプリセットされ、夜間に行えば夜間用にプリセットされる。
なおプリセットされたホワイトバランスがどんなモードなのか、例えば「自動」なのか「ホールド」なのかは分からないようだ。
これは今後のファームバージョンアップに期待するしかないのだが、是非スモークのハウジング使用時にも正しいホワイトバランスが得られるように(或いはマニュアルで補正値が入力出来るように)して頂けたらと思う。
そして、ホワイトバランスを「ホールド」モードで使用していれば、当然ながらホワイトバランスは固定されている訳なのだが、他のプリセット位置に「自動」ホワイトバランスを設定しておいたとしても、夕方や夜間に「ホールド」モードに設定されたプリセット位置にしておけば、自動モードでのホワイトバランスは狂わない。
つまり、自動モードで夜間撮影を行うからドリフトする訳で、夜間や夕方は「ホールド」もーどにしておけば「自動」モードでのホワイトバランスの狂いは回避出来る事も分かった。
屋外ハウジングに入れた時の温度に関してだが、外気温度プラス5〜6℃といった所だ。
カメラの動作温度範囲は0℃〜40℃なので、真夏の暑い日には最高使用温度を超えてしまう。


上の写真の温度計は、黒いものがハウジング内部の温度で、下の温湿度計が家の外壁付近の温度を示している。
ハウジング内にはファンを取り付ける場所が2箇所確保されているのだが、防水構造のため外気を直接導入する事は出来ない。
いや、出来ない訳ではなくハウジングを壁などに取り付けるアーム部は中空構造なのだが、そこから外気を導入しようとしても、こんどは排出口がない。
もっとも外気交換を積極的に行おうとすると、埃の侵入などの問題も出てくるのだろうが。
ハウジング内温度上昇はカメラ本体の発熱によるものが大きい。
裸で使用していてもベース部はそこそこ温まる訳で、それが密閉されたハウジングに入っているとなれば温度上昇しない訳がない。
クーリングファンによってカメラに風を当てれば、部分的な高温は避けられるとは思う。
いずれにしても、ハウジングに直射日光が当たるような場所への設置は推奨出来ない。
今年の夏は東京の気温が40℃近くまで上がった訳で、こうなるとファンを付けようが何をしようがカメラ雰囲気温度は40℃を突破するだろう。
残るはアクティブな冷却方法となり、ペルチェを使用すれば冬場は加温にも使用出来る。
実際にこれを行おうとすれば、ハウジングを加工してペルチェでも付けるとか、そのペルチェの排熱用放熱器が必要だとか、かなり大がかりな作業が必要になってしまう。
おそらく広温度範囲で使用出来る製品もあると思うので、屋外設置と言う事であれば他の機種を選んだ方が良いのかも知れない。
ただ使用温度範囲がカタログ上に掲載されている機種は少ないようなのだが…ちなみに松下やSONYの屋外設置を意識したモデルは(-10℃)0℃〜50℃が使用温度範囲になっている。
現実問題としてハウジング内部温度を下げる事は難しいと思う。
ただしハウジング内部温度を均一化する事は出来る。
現状ハウジングで、外気温度が30℃程度の時にハウジング上部(カメラのベース部近く)では36℃程度の温度になっているのだが、ハウジングの下の方は31℃〜32℃と低い。
そこでファンによって強制対流を起こさせれば、ハウジング内の温度が均一化して最高温度が下がるはずだ。
また多少はハウジングとの熱交換が盛んになるかも知れない。
(或いは部分的高温があった方が、その部分とハウジングの温度差が大きいために熱交換が多く行われるかも知れないのだが。
)ハウジングにはファンの取り付け場所が2つ付いているのだが、とりあえずそのうちの一カ所にCP
クーラ用のファンを付けてみた。
これが大きさ的にもピッタリだし、DC12V動作なのでカメラのI/O端子からそのまま電源が取れる。
このOUT端子は現在使用していないので、そこにFA
を付けておけばリモートでON-OFFが可能である。
ファンをONにして数時間後に温度計測を行ってみると、外気温とハウジング上部の温度差は2〜3℃であった。
ファンがない場合に比較して3℃程低下している。


当然ながらハウジング下部の温度は上昇していると思うのだが、これは計測していない。
ファンは吸い込み、つまりカメラ側のスペースから空気を吸い込んで2重構造のハウジングのスキマに流す方向で取り付けた。
カメラに直接風を当てた方がよりよく冷えるかとも思った(カメラのベース部温度は常温下でも40℃近いと思われる)のだが、多少なりとも(ファンは)埃を吹き付けるだろうから吸い出し方向とした。
吸い出された空気は2重構造のハウジングのスキマを通って、もう一つのファンの取り付け口やハウジング上部から戻ってくる事になる。


HCM180はさすがに高価格な事だけあって、ブラウザから操作した時の反応速度もそこそこである。
これがBL-C10となると、例えば画面左側の操作パネルの絵を表示するのももっさりという感じ。
もちろん動画表示そのものには何ら問題はないのだが、メニュー操作や記録された画像の読み出しなどではタイムラグを感じる。
これはCPUパワーそのものの差と言えるだろう。
小型モデル同士を比較した場合でも、BL-C10はやはり反応が遅めである。
KX品番のものはそこそこ軽快だが、BL-C10より感度が悪い(暗い所が写らない)と価格が高いのがネックだろうか。
明るい所での画質はKX-でもBL-C10でもさほど変わらないと思う。
これらに比較するとHCM180の画質はずば抜けている。
テレ側ではコントラストの低下が見られるものの、ワイド側はシャープな像が得られる。