ゆでたまご


ゆで卵を作る。
ゆで卵を作るのは簡単だが、時に殻をむくのが大変なことがある。
なぜなのか。
あの、殻がちゃっんと剥けずにボロボロになったゆで卵ほどみすぼらしいものはない。
どうして剥けないんだ。

卵の構造はこうだ。
一番外側には、いわゆる殻と言われる堅い物質がある。
その内側に薄〜い膜がある。
さらにその内側に白身と呼ばれるぶにゅっとしたものがあり、そして中心部には黄身だ。

剥けない原因は白身と膜と殻の関係にある。
白身と膜と殻がくっついていると、殻をむくときに膜と白身が分離せずにボロボロになる。
ではなぜ膜と白身と殻はくっつくのか。
その秘密は炭酸ガスだ。

卵の白身には炭酸ガスが含まれている。
といったって炭酸飲料みたいにシュワシュワではないのだが、新鮮な卵には多くの炭酸ガスが溶存している。
茹でようと卵を温めると、温度の上昇に伴って白身の中の炭酸ガスは気化し始める。
白身の中に溶けていられなくなった炭酸ガスは気体化して膜を殻へと押しつける。
その状態で外から温度が加わると、膜と殻が強固にくっついたまま固まってしまう。

ではどうすればいいのか。
そうだ、炭酸ガスを抜こう!
ということで2つのアイディアがある。
一つは新鮮な卵はゆで用途には使わないこと。
これは新鮮な卵ほど多くの炭酸ガスが含まれていて、古くなると自然に抜けてしまうからだ。
ようするに、出来たての炭酸飲料と気の抜けた炭酸飲料の違いみたいなものだ。

もう一つは民間療法的なもので、卵に穴を開けるのだという。
そこから炭酸ガスを逃がすというのだが…
今ひとつ信憑性に乏しい。
というのも、一カ所に穴を開けた程度で有効に炭酸ガスが逃げるのか、だ。
だってその付近の白身や膜が熱で固まったら駄目でしょ。

うーん、よくわからない。
よくわからないなら実験してみようホトトギスだ。

実験内容は、
1.沸騰した湯に卵を入れてみる。
理由は、白身の中の炭酸ガスが溶け出さないうちに膜や白身を固めてしまえないか、だ。

2.卵の気室の方に穴を開けてみる。
これは炭酸ガスを抜くため、ちなみに画鋲で穴を開けても卵は割れないのでご心配なく。

3.よし、じゃあ尖った方にも穴を開けてやる!
穴は多い方がいいのか?


3種類の実験に5コの卵とはこれいかに。
いや、複数個やらないとわかりにくいでしょ。

そして通常に水から茹でる実験も行う。


まずは普通に茹でた卵を剥いてみる。
これは卵の鮮度依存の部分があるのでうまく剥ける場合もあればそうでない場合もある。
ちなみに今回のものは比較的きれいに剥けたが亀裂が入った。


水から茹でると内部圧力の上昇が徐々に起こるのでひびが入りにくい。
一方で沸騰した湯にぶち込むと割れやすい。
で、割れた。


これを剥いてみると、なにやら内部に気泡が原因と思われる欠損もある。


ケータイ内蔵カメラゆえ後ピンで見にくいが、尖った方に穴を開けた卵はそこから白身が出てきて固まっている。
気室の方に穴を開けた卵は、湯に入れるとそこから気泡がボコボコと出てきた。
どうやら尖った方に穴を開ける意味はなさそうだ。


こうして茹でた卵たち。

穴明け+沸騰した湯に卵をつっこむ作戦は一応の効果を示したと言える。

ちなみに、ゆで卵を剥くための様々な裏技は剥きやすい卵を早く剥く効果はあっても剥きにくい卵をきれいに剥くためのものではない場合がほとんどだ。

見本のような失敗例はこちら。

----------------追記--------------
その後何度かゆで卵を作った。
卵のケツに穴も開けて、沸騰した湯にも入れた。
しかし半熟はうまくいかない、剥けないのである。
半熟卵をきれいに剥くためには新鮮な卵を選択しない、これに尽きると思う。
なお、同卵を半熟(今回は6分茹でた)ではなく固ゆで(10分)にした場合はきれいに剥けた。

って事はですよ、この失敗した半熟のゆで卵を再度加熱したら剥けるのではないか?
このボコボコに半分剥けて殻の残ったヤツも再加熱したら剥けはしないか?
ということで、中途半端に剥けたヤツも、殻の付いたままのヤツも、沸騰した湯の入った鍋に入れて10分煮てみる。
その後冷やして剥いてみると!
なんと、剥けるではないか。
薄皮が硬い感じなのだが、そこをプチッとやぶくとするすると剥ける。
薄皮と殻の間が外れるのではなく、薄皮と白身の間がとれるのだ。
これは加熱によって白身と薄皮を強固に結びつけていた何かが壊れると言うことなのだろうか。

ちなみに電子レンジでの加熱はおすすめしない。 加熱したいのは殻表面近くの部分であり、内部ではないからだ。

これにより、まずは半熟卵を作ってみる。
うまく剥ければそれでよし、駄目なら再度ゆでで固ゆで卵に変身させる。
これで無駄を省ける、ってまあ、目的を変更したようなものなのだが、まあいいか

でも悔しいので再度試す。
穴をたくさん開けたら内圧が抜けやすくなって剥けやすくならないのだろうか?
たしかに気室以外のところに穴を開けると白身が出てきてしまうことは実験で解っている。
しかし白身が出てくると言うことは、その白身の分だけ中身が減る=内圧が下がりはしないのか?
ということで、ボコボコ穴を開ける、
と、白身が出てくる

うまく行ったかな?と思って剥いてみたらボコボコ…