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どの位必要?


  • Posted by: F&F
  • 2009年2月 3日 11:00

移動体通信各社はエリア整備に力を入れている。
全国サービスに一体どの位の局数の基地局が必要なのか?それで許容できる加入者数はどの位?と質問を頂いた。

これは一概には言えないのだが、例えば加入者が100人しかいなかったとしても全国をサービスエリア化するには相応の基地局が必要になる。
FOMAがつながらない、圏外が多いと言われたのはエリア整備が進まなかったのが最大の原因だ。
ここ1〜2年でかなり使えるようにはなったが、それでも圏外はある。
例えば2年前のFOMA基地局数は4万局程度であり不満も多かった。
このことから考えると、全国をそこそこサービスするためには4万程度の基地局は必要なのではないかと思う。

現在のFOMA基地局数は7万を超えているわけだが、では最低限必要と仮定した4万との差はどこに行くのか。
これは都市部などでのマイクロセル化などと共にルーラルエリアの不感帯対策等々に使われるものだと思う。

全国をエリア化するにはまんべんなく基地局を配置する必要があるが、その中でも人口密集地域にはより多くの基地局を設置してトラフィックの分散を行う必要がある。
人口密度が日本全国一定ならば基地局密度も一定で良いのだがそうではない。
ドコモがPHSの跡地などを使いBフレッツを足回りにした張り出し局を増設しているのはトラフィックを分散させるために他ならない。

ドコモの基地局は世田谷区内に約220局があり、SBMは約130局だ。
世田谷区の人口は83万人、ドコモのシェアが50%とすれば40万人以上がこの基地局を使う計算だ。
SBMのシェアは2割に届かないので15万人程度だろうか。
じゃあSBMの方が基地局あたりの収容者数が少ないからパフォーマンスが出るではないかと単純に考えるのは誤りだ。

※SBM基地局とドコモ基地局はセクタ数なども違うがここでは無視する。
※利用周波数帯幅も違うが面倒なのでこれも無視する。

CDMA方式の基本は可能な限り小さな電力で通信するところにある。
CDMA方式はコード多重なのでコード干渉が起きないところまでは加入者を詰め込むことが出来る。
逆に言うとコード干渉は雑音となってセル半径を小さくしてしまうと言うことだ。

A基地局に100人が接続しているとする。
この中の10人が隣接したB基地局に接続し直すと、A基地局の90人はより小さな電力で通信が出来るようになる。
するとB基地局も干渉電力が小さくなるのでパワーを下げることが出来る。
A局に隣接するB局や、B局に隣接するC局もD局も同様だ。

結果としてS/N(RSCP)値が確保できるのでエラーの少ない通信が可能になると言うわけだ。
これがマイクロセル化の効果であり、B基地局を増やすことによってA基地局の収容者数が減る以上にメリットがある。
逆に中継局やホームアンテナでセル半径を広げると、これと全く反対のことが起きる。
SBMが早くからフェムトセルだフェムトセルだと叫ぶのは、多少なりとも公衆基地局の負荷を軽くしたいからに他ならない。
手っ取り早く圏外解消をと中継局やホームアンテナを設置しまくったが、これによるデメリットは計り知れないものがある。

旧セルラーグループの運用部長がCDMAは生き物だと言っていたことがある。
セル内の加入者数などに応じて適宜設定を変更しなければ快適な通信は維持できないと。
従ってエリアシミュレーションは出来たとしても実際の通信状況などがそれに合致するとは限らない。
この辺りがエリア設計の難しさ、運用の難しさになる。
単純に基地局あたりの許容加入者数が語れないのはこういった特性があるからで、それを活かすのは技術もそうだが運用ノウハウによるところが大きいと思う。

   

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