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次世代を急ぐわけ


  • Posted by: F&F
  • 2009年2月19日 11:05

下の記事でもLTEスタートに関しての話を書いているが、何故LTEを急ぐのだろうか。
W-CDMAネットワークで良いではないかと思う人も多いことだろう。

通信速度が云々と言ったって携帯電話端末の処理能力からすればそんな高速通信がすぐに活かせるとも思えない。
だったら2010年スタートでなくても良いのではないのか。

一つの理由として、新方式が立ち上がるまでには多くの時間を要することがある。
2010年に開始したと言っても、その時点で全国カバーできるとは思えないしデバイスセットの価格や消費電力などがベストになるとも考えられない。
しかし商用サービスを開始しなければそれらの技術が立ち上がることはなく、卵とニワトリではないがやらなければ生まれない的な事情は確かにある。

もうひとつは世界的に言われている周波数の有効利用だ。
マイクロセル化や空間多重などによる効率的な周波数の利用が世界的に求められている。
有限な周波数を無駄に使ってはならないと、特に周波数オークションが行われる各国ではバンド幅に値段が付いているのだから非効率な使い方は許されない。

CDMA特許問題もこの方式が嫌気される理由だ。
確かに移動体通信用として熟成がみられるCDMA方式ではあるのだが、クアルコム特許などに縛られているのを各事業者もメーカも嫌がっている。
またセル内サービス状況によってさまざまなパラメタが変動してしまうのも公衆サービスとしては使いにくい。
OFDMAに関しては雑記の方にでも詳しく書くが、結局の所FDMAの親戚でありFDMAはPDCなどの狭帯域通信が使っていた基本である。
広帯域コード拡散の次にFDMAが来るのは何ともおもしろい話ではあるが、ADSLも地デジもWiMAXもXGPもOFDMなのだ。
OFDMはFFTやIFFTを高速で行う必要があり、これが実現できたのは高速ロジックデバイスのおかげと言っていい。

移動体通信事業者は次々に新技術を導入しながら成長を続けてきた。
9.6kbpsのPDC時代にPHSが64kbpsで接続できるようになり、それはかなり素敵な事だと思われた。
何しろISDN接続と同じ伝送速度が移動体通信で得られるのだから。
当時は64kbpsもあれば大抵の事は足りた。

それからしばらく時が経ち、cdmaOneで64kbpsになりFOMAで384kbpsになり、cdma2000が2.4Mbps、HSDPAが3.6Mbps〜と年々通信速度は上がっていく。
そしてそれに伴いリッチコンテンツが氾濫するようになる。
PDC時代に10Mバイトのデータをダウンロードするなんて考えられない事だったし、テキストベースのちょっとしたメールでさえダウンロードするのに時間がかかった。
それが今では10Mバイトのデータは20秒ちょっとでダウンロードできる。
しかもそのデータでも動画となると3分くらい。
高音質着うたフルでも10Mバイトでは足りないかなという感じだ。

音楽プレーヤとしての用途などを考え、普通の圧縮音質の音楽を手に入れようと思うと50Mバイトくらいはささっとダウンロードできた方が良いと思う。
そしてそれにPVが付いていれば容量は5倍くらいには膨れあがる。

通信の高速化はCPU(PC)の高速化とアプリケーションの複雑化が追いかけっこしている状況に似ている。
高速化されればそれに応じたサービスが現れ、それらサービスの快適性を増すために更なる高速化が模索される。

しかし全ての事業者が高速通信を行うことはないかなとも思う。
電話とテキストメールのみ使えればいいと言う、ツーカー的なサービスがあっても良いはずだ。
良いはずなのだが日本では流行らない。
実際に自分が使うか否かではなく、そのサービスがあるか無いかが重要なセールスポイントだからだ。
TV電話がない頃のauは、TV電話でドコモに負けてしまうと嘆いていた。
TV電話なんて滅多に使わない機能なのに。

   

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