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異口同音、難しい


  • Posted by: F&F
  • 2009年7月30日 10:52

MIMO関連開発が盛んである。
WiMAXもXGPもLTEもMIMOに向かおうとしている。

空間多重は周波数利用効率が素直に上がる魔法の技術なのだが、その処理などに関しては難しい面が多々ある。
魔法の技術を本当の魔法のように機能させるためには、アンテナや無線部からロジック部までの性能がモノをいうわけだ。
ドコモは2GHz帯を使ってLTEをはじめるようなのでMIMOの難しさはさほどではないとも思えるが、問題は米国やauが低い周波数を使うこと。
米国では700MHz帯でLTEを開始する事業者があるしauは800MHz帯で、いずれも周波数が低いので複数本のアンテナの相関の問題が出てくる。

MIMOとは複数のアンテナで送信された複数の信号を複数のアンテナで受けて、その混ざったものを取り除いて使う。
ごくごく単純に言えばサラウンドのようなものだろうか。
右のスピーカから出た音は右耳にだけ、左スピーカから出た音は左耳だけに伝わればいいのだが空間ではそうではない。
右のスピーカから出た音が左耳からも聞こえてしまうのでアイソレーションが悪化する。
そこで右耳から出た音が左耳からは聞こえないように、左スピーカから右スピーカの音を打ち消すような信号を出してやればアイソレーションは向上する。
まあほかにも色々、たとえば2chステレオ信号からリアスピーカ信号を生み出すとかあるのだが、これと同じようなことを無線周波数帯でやっていると思えばいい。

ステレオフォニックシステムの場合、そのスピーカの位置は重要だ。
もしも左右のスピーカの位置を同一としたらセパレーションも何もなくなってしまう。
もしも左右のスピーカの位置を無限に離せばアイソレーションは無限になるが、無限にでかい頭を持った人で無いと左右の音が聞けなくなる。

同じようにMIMOもアンテナの距離が重要だ。
アンテナ1が東京にあり、アンテナ2が大阪にあればアイソレーションはバッチリである。
しかし送信アンテナが東京と大阪に離れていても、受信アンテナが1箇所だと分離は出来ない。
受信アンテナも出来るだけ離しておきたいところなのだが、ここで波長が問題になる。
2GHzの波長は15cmなので、37.5mm離せばλ/4になるのだが800MHz帯では波長が37.5cmもあるのでλ/4を確保するのに約9cm離さなければならない。

9cmの距離は普通の携帯電話で取れる最大距離に近い訳で、しかしλ/4で良いのかという議論もある。
アンテナの電気的距離が近いとMIMOの効率が悪化してくる訳で、それは通信速度の低下になるだろう。
ただし実際のフィールドでいったいどのくらい効果があるのかを定量的に測定するのもまた難しい。

アンテナメーカや機器メーカはアイソレーションの取れる、しかもマルチバンドアンテナの開発を推進しているのだが、みなさん「難しい」と繰り返す。

   

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