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探偵(4)


  • Posted by: F&F
  • 2010年9月11日 20:05

俺は混乱した。
何が起きているというのだ。
俺の知らないところで、俺の周りが勝手に動き始めている。

昨日までは一介のサラリーマンだったのに、ごくごく普通に仕事に追われ、普通に暮らしているつもりだったのに。
それに、5千万円入りの紙袋を用意しておきながら5百万に値切ろうとしたのか、三ノ輪は。

由美子の言う話を今の俺が理解できる範囲で整理してみると、報酬額のいい仕事が舞い込んだがそこには調査員として俺たち小学生時代の同級生の名前が書かれていた。この4人で問題を解決するのがクライアントの望みだという訳だ。
由美子としては高額な報酬だったので俺たちに相談無しに仕事を受けた。
何故俺たちが選ばれたのかは由美子も知らないようだったが、一つ気になったのは佐々木保子のお父さんの勤め先が大手ゼネコンの浦河建設で、俺が先月まで担当していたのがその浦河建設の情報システムだった。
この日後から顔を見せた石川は浦河建設の調査部にいるそうで、このつながりは偶然ではないような気がした。

「さっそくなんだけど一関に行ってくれる?」
一関って岩手の?
「午前2時に一関のインターを降りたところにある駐車場に保子と一緒に行って欲しいの」
俺は余り気が乗らなかったが、ボスの命令だから仕方がない。
保子の分の紙袋も一緒に車に積み込み、首都高に乗ることにした。
ここから東北道の入り口まではさすがにこの時間でも30分はかかる。
すると東北道は3時間30分以内で走りきらなければいけないことになるが、川口インターから一関までは420kmだから何とかなるだろう。
でも飯を食う時間もないな。
給油で止まったときにトイレくらいは行けるだろうが、まったく由美子も人使いが荒いぜ。

   

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