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探偵(5)


  • Posted by: F&F
  • 2010年9月18日 20:02

東北道に入れば車の量も減っては来るが、追い越し車線に出たトラックがたまに道をふさぐ。
この区間トラックは追い越し車線走行禁止になっているのだがお構いなしだ。

そして、例え他の車線が空いていたとしてもトラックは避けてくれないのでこちらが進路を変えながら抜いていくことになる。
佐野藤岡を過ぎれば更に交通量も減り、右側の車線をハイビームで照らしながら走行できる時間が増えてきた。
速度を出せるところでは出来るだけ時間稼ぎをしておかないと後で厳しくなる。
この先仙台手前はコーナも多くなるが、福島までは取り締まりにさえ気を付ければ速度計の針を200のあたりに置くことが出来るし、黒磯近辺は直線も長く、速度計の針は右水平位置より下を指して安定した状態を保てる。
東北道に乗って1時間半を過ぎたあたり、22時半に国見SAに到着、ここで給油と少しの休憩を入れることにする。
予定より多少早く着いたがレストランが開いているはずはなく、立ち食いそばみたいなものを食う。
お嬢様な保子の口には合わないかも知れないが仕方がない。
その中でも一番高い天玉そばにしたらどうだと言ったら、天玉そばと天玉うどんとフランクフルトを買ってきた。
それ全部食うわけ?
「だってさ、夕食くらいご馳走して貰えるかと思ったから何も食べてないのよ。お腹すいたわ」
細い体つきの割に凄い食欲だな、やせの大食いってヤツか。
何か、由美子から指示はあった?
「ええ、メールが来たわ。一関のパーキングに小豆色のエスティマが止まっていて、そのリアシートにアタッシュがあるはずだって。」
アタッシュを取りに行くって事か。
でも何で午前2時なんだろうな。明日の朝だって良さそうなもんじゃないか。

国見を出て少し走った仙台宮城の先の電光掲示板に事故で通行止めとの表示があった。
時間的に余裕はあるとは言っても通行止めは想定外だ。
高速を使えば残り40km程だから15分もかからない距離だが、4号線を行くとなると1時間近くは見なくてはいけない。
通行止めの解除を待つか4号線を走るかだが、泉ICで降りて下道を行くことにした。
4号線は途中バイパスなどもあって走りにくくはないのだが、さすがにトラックなどにブロックされると先に出にくい。
この区間の海岸沿いは何度か通ったことがあるが、4号線は山の中の町を結ぶ形の国道だ。
金成を過ぎればもうすぐ一関、ここから先葉山の中の一本道的雰囲気の景色になるが当然夜間なので景色を楽しめるわけでもない。
一関バイパスを降りたところで右折、もうすぐ一関のICだ。
ICのすぐ脇に駐車場があり、そこに車を止めると保子がドアを開けながら、私が取ってくるわと小走りにエスティマに近づいた。
俺は車の向きを変え、次なる指令は何だろうかとぼんやり考えた。
しかし急に呼び出されてそのまま岩手だもんなぁ、まったく。

   

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