iPhone4s(27)

ジョブズは夢を追っていた。
それは遙か未来を見つめたのではなく、もしかしたら子供の頃に見た夢を具現化していたのかも知れない。

以前に本田宗一郎に通ずる部分があると書いたが、目的と手段が逆転するような場面になったとしても目的を達成したいと強く思っていたはずだ。
Apple製品の魅力とはそんな夢の部分ではなかったのだろうか。

クック氏は生産工学を学んでいる。
在庫を減らし生産性を上げコストダウンを目指す。
クック氏の夢は、夢の詰まった製品を世に出す事ではなく、数字一つ間違うことなく合理的に品物が作られ続ける事だ。

iPhone4sの、その生産性の悪さと引き替えにデザインや強度などの目標を達成した。
iPhone5sはiPhone4sよりもずっと生産性を高め、軽くした。
iPhone4sの次のiPhoneをジョブズは予感したはずだが、iPhone6にその魂が潜んでいるかどうかは分からない。

iPhone6がクックiPhoneとなるならば、それはコストをさらに追求し、売り方をさらに追求し、在庫コントロールをさらに追求する製品になるはずだ。
徹底したコストダウンと生産の合理化は日本製品に通じる所がある。
売れる商品が合理的に生産されるとメーカは大きな利益を得る事が出来る。
日本式の量産方式は売れる事が前提だ。
iPhone5sはそこそこ売れたがiPhone5cの在庫は積み上がった。
在庫が大嫌いなクック氏は今何を思っているのだろう。

ではジョブズ氏はどうだったのか。
もちろん沢山売れてくれなければ困ると思ったのだろうが、自分の思いを詰め込んだ製品は(少しくらい高額でも)売れると信じていたはずだ。
もちろんその考えが失敗に終わった事もある。

沢山売れる事を前提にした製品作りと、より良い製品は売れるはずだと信じて作る製品には自ずと差が生まれる。