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三田無線研究所


  • Posted by: F&F
  • 2018年11月 4日 13:07

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現在は営業していないが、三田無線研究所という会社があった。
茨木氏が1924年に創業し、2009年に営業を終了した。

茨木氏は1900年生まれ、1994年に亡くなっている。
三田無線研究所はDELICAブランドでグリッドディップメーターなどを作っていた。
グリッドディップメータとは自励発振器で、その共振回路に別の共振回路を近づけて手動で発振周波数を変えていく。
別の共振回路の共振周波数付近にディップメータの発信周波数が来ると、内部の発振回路の電流が減少する(ディップする)事で、別の共振回路の共振周波数を測る仕組みだ。
発振器は3極管で出来ていて、そのグリッド電流を見た事からグリッドディップメータと呼ばれた。

当時は周波数カウンタなど無い時代だったのだから、自励発振器(PLLも当然無い時代だった)とレベル計を使って共振周波数を測る事は出来た。
しかしディップメータを使用すれば、その自励発振器とレベル計を組み合わせた機能が手に入ったわけだ。
共振周波数が簡単に測れるとあって自作のコイルのインダクタンスを測ったり、アンテナ調整などにも用いられた。
ただし安価なものでは無かったのでこれを持っているアマチュア無線家は限られていたとも言える。

DELICAブランドは無線系製品だけではなく点火装置も作っていた。
シンクロスパークの商標のそれは、いわゆるCDIだ。
創業者の茨木氏は点火装置にも興味を持っていたようで、セミトランジスタ点火装置でも特許を取っている。
トランジスタをダイオード接続にしてイグニションコイルとポイント間に入れると、逆起電力をトランジスタが阻止するのでポイントの寿命が延長されるというもの。

CDIはサイリスタをONにしてコンデンサにチャージされたエネルギをイグニションコイルに送り込む際に、DC-DCコンバータが過負荷になる。
DC-DCコンバータの出力をショートする事になるからだ。
F&F式CDIでは発振回路を停止させる事によって過負荷状態を防いだが、シンクロスパークでは直列コイルでこれをカバーしている。
DC-DCコンバータとサイリスタの間にコイルを直列に入れた、その出力をショートする事になるので電力はコイルにチャージされる。
サイリスタがOFFになるとチャージされたエネルギとDC-DCコンバータのエネルギが重畳されてコンデンサを充電するという仕組みだ。

当時はポイント式点火全盛時代であり、ドエル角の制御などもメカニカル式だったのでコイルのインダクタンスもある程度決められたのだろう。

   

Comments:1

Realist Author Profile Page 2018年11月 5日 17:13

DELICAのシンクロスパーク、懐かしいですね。確か昭和40年代の後半か50年代の始め頃、CQ誌の広告に、三菱DELICAの写真を使っていました。
『社用車に(三菱の)DELICAを使っているが、車を買い換えてもシンクロスパークはまだまだ使える』といった内容だったと記憶しています。
コイルやらイグナイタ-を使い回せる、なんとも懐かしい時代でした。

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