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トランシーブトランシーバー


  • Posted by: F&F
  • 2019年1月17日 13:07

昨日のTR-2300の続きのような話である。
HF帯のトランシーバではVFOは1つで、送信周波数と受信周波数は基本的に同一だ。

VFOとはフリーランニングの可変周波数発振器であり、安定度などを考慮すると数MHz(5MHzとか8MHz)と低い周波数が使われた。
周波数の可変範囲も数百kHzと狭かったが、HF帯のバンド幅(ローバンド)をカバーするには十分だった。
VFOの周波数を送受信周波数に変換するためにミキサが使われたが、HF帯のいくつものバンドに対応するためにこれは致し方ない。

VHF帯のトランシーバは構成が異なった。
TR-1000は受信のみVFOの連続可変が可能だったが送信は水晶振動子による固定周波数だった。
FDAM3は送信周波数と受信周波数の2つのダイヤルがあった。
送受別々の周波数を使うことも勿論可能だが、大抵は送受同一周波数で交信するので送受信周波数を合わせる手間が必要だった。

TR-1100は極めて乱暴な方法で1ダイヤル方式とした。
受信用のVFOの周波数可変バリコンと送信用VFOのそれをメカニカル的につなげてしまったのだ。
と言ったって周波数の異なるVFOなのだから、いくら上手く作ったとしても2つのVFOの周波数が同じように動くわけではない。
そこでトリオはキャリブレートという仕組みを導入した。
自分の送信波を自分で受信して周波数を合わせようというものだ。
単に周波数可変のつまみが1つになっただけで、手間的には2ダイヤル式と余り変わらなかった。

固定用トランシーバのIC501などは1VFO方式があったが、ハンディトランシーバではコストなどの関係でミキシング方式を使いにくかったのだろう。

そこに松下電器が参入した。
RJX-601は本当の1VFO方式を実現した。
VFOの周波数は30MHz帯で、これに送信時は21MHzのIFを加えて50MHz帯にした。
受信時は1st IFが21MHz帯になる。
RJX-601は価格が安かったこともあって大ヒット商品となった。
私もこのRJX-601を入手し、早速改造に取りかかったのだ。
改造は送信部の21MHzの発振器を9MHzのSSBゼネレータ+12MHzの発振器に置き換えるものだ。
(この話は以前にも書いている)
ただし9MHzのクリスタルフィルタが当時中学生だった私の小遣いでは買えなかったので、SSBではなくDSB送信機になった。

変調にはTVのクロマ信号か何かのICを使ったが、これが24Vを要求したのでDC-DCコンバータを作った。
DC-DCコンバータはトランスレスというか負荷をコイルにしたプッシュプル構成で、単純に入力の2倍の電圧が得られるものだった。
記憶に定かではないのだがPAのリニアリティを稼ぐためにファイナルにも24Vを加えたかも知れない。
このDC-DCの発信周波数のノイズが変調されてスプリアスがまき散らされたなんて事もあった。

VFOの安定度的に長時間の運用は難しかったのと、受信IFフィルタがAM用だったので選択度にも難はあったがAM/FM/SSB(DSB)トランシーバになったのである。
これがRPX-601(コールサインをもじって)だったのだ。

1VFOの完全トランシーブトランシーバー(と呼ばれていた)がスタンダードとなり、その後TRIOはTR-1200を発売することになる。

   

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