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窓ガラスにフィルムを貼って断熱出来るのか?


  • Posted by: F&F
  • 2019年12月 2日 12:10

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水槽の記事のコメントで、断熱フィルムによる効果の動画を紹介頂いた。
断熱フィルムと窓ガラスの間に空気層を設ける事で断熱効果を上げようというもの。

断熱フィルムは長波長吸収特性のあるプラスチックフィルムで、赤外線を吸収する。
もう少し気の利いたものになると金属粉などが含有された赤外線反射フィルムがあるが、透明度が多少落ちるのと価格が高い。
実験している動画はこちらだ。

そこで早速実験してみた。
と言っても同じようにフィルムを貼ったわけではない。
そもそも薄いフィルム一枚で、簡単に計測出来るような効果が出るとは思っていない。
実験は窓ガラスに段ボールを貼ってスペーサーにし、その上に荷造り用の透明テープを貼っただけである。
写真で分かると思うが段ボールは上下にだけしか貼っていないので、閉空間を作ったわけではない。

何も貼られていないガラスに温度計を向けると20.9℃を示した。
一方で荷造りテープを貼った方は22.1℃になった。
この時の室温は約20℃、外気温度は13℃だった。

理由は簡単である。
ガラスの外面は外気に接しているので温度が下がる。
荷造りテープはガラス面に接触していないので屋外からの赤外線で加熱される。

夜間はどうだろうか。
ガラス面の温度は、低い外気温のために冷やされる。
プラスチックフィルムの熱伝導率はガラスの1/4程度と低いのだが、厚みがガラスの1/100以下なので絶対的熱伝導量としてはガラスより多くなる。
ただし空気層があるので、そこで断熱が行われる。
空気の熱伝導度はガラスの約1/5だ。
この場合でもペアガラスサッシのように数mmのガラスで作るなら効果は期待出来るが、薄いフイルムでの効果は少ない。
またガラス面からサッシのフレームまでの厚みでないと窓が開け閉め出来なくなるので、空気層は2mm程度しか取れない。
少ない空気層による熱伝導に加えてガラス面の放射による熱伝導が加わる。
通常のペアガラスサッシでは空気層を10mm以上取る。

でも効果はゼロではない。
エアキャップや段ボールを窓ガラスに貼って断熱出来るのと同じだが、エアキャップよりは効果は低いだろう。
理由は空気層が薄い事と内部対流が起きやすいからである。
一番の問題はガラスの掃除が出来なくなる事だ。
クリアなガラスは気持ちが良いものだが、掃除をしてもやがて汚れてしまう。
室内の埃などが付着するからで、目に見える結露がなかったとしてもガラス面では相対湿度の高い層が形成されるからだ。

空気層は人間の体の周りにも出来る。
扇風機で涼しく感じるのは汗の蒸発熱によるものも大きいが、その温かい空気層を吹き飛ばすことによる効果もある。

ガラスつながりでもう一つ。
台風など飛翔物からガラスを守るためにテーピングを行う事がある。
これはガラスの飛散防止の効果はあるが強度は逆に下がる。
テープを貼る事によって応力の集中が起きるので、絶対強度が下がってしまう。
もし貼るのであれば弾力性のあるフィルムか、ガラス全面に均一に貼るべきだ。



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