C180ステーションワゴンに乗る


A-160に変わってC180が納車された。

VitaからA160に乗り換えた時は乗りやすいと感じたものだが、そこからC180となると更に乗りやすいというのが第一印象である。
1800cc+空冷インタークーラ付きスーパーチャージャで143馬力は決して余裕があるとも思えない訳だが、それでもA160の102馬力の出力よりはずいぶん大きい。
最大トルクにしても、A160の150N・mに対してC180は220N・
である。
ちなみに乾燥重量はA160の1120Kgに対してC180は1520Kgとなっている。
縦置き4気筒は振動もよく押さえられていて、横置きFFのA160 に見られたブルブルという、アイドル時のステアリングに伝わる振動は気にならない程度に押さえられている。

回転を上げてもバランスシャフトのおかげか、音も振動もよく押さえられていると言えるだろう。
SLの8気筒や、旧SL(R129)の12気筒には比べるべくもないが、同じ4気筒という事で考えればA160のエンジンよりは数段上と言って良い。
もっともシングルカムのA160のエンジンより数段の大きいのも事実なのだが。
エンジントルク云々を別にしても、運転席の高いA160と乗用車スタイルのC180では後者の方がずっと運転が楽である。
全長がA160より1mも長くなった為もあり、ピッチングなどもそれなりに減少して乗り心地も宜しい。
SLはC180よりホイールベースが短い訳だが、両車を比較すると乗り心地には雲泥の差があるのも事実だ。
ABC(セミアクティブサス)によって常にフラットな姿勢を保とうとするSLの制御がいかに素晴らしいものであるかが、C180 と比較してみるとよく分かる。
荒れた首都高速の路面に於いても、SLは常にフラットな姿勢を保とうと努力していて、コンベンショナルなサスペンションのC180がどう頑張ってもこれには追いつけない。
コーナリングでのロールも、SLが殆どゼロに制御されているのに対して、Cはごく普通にロールする。
コーナリング中に路面が荒れていたとしても、SLはその影響を最小限に押さえてくれるが、Cはキチンと路面の状況どおりに姿勢変化を起こす。
サスの堅さ自体はAもCもSLも大きな違いはないと思うが、ハーシュネスの吸収という点でAは明らかに劣っている。
Aのサスにはしなやかさが足りないような気がする。
Cは柔らかい足ではないが、微振動はそこそこチェックされていると言っていい。
室内は静か(SLは排気音が多少耳に触る感じがするので、逆にCは静かだと思ったりする)で、まさに乗用車然としている。
エンジン出力にはまあ満足である。
SL買い換えの時にはパワーが足りなくてダルな感じがしたが、それはSLに動力性能を求めていたからだ。
Cに私はそれを求めていない。
実用車として必要充分な出力があれば、それ以上は望まないからだ。
と言ってもC180よりC240の方が乗りやすい事には違いがなく、金とパワーはいくらあっても邪魔にはならないという見本だ。
燃費はAより悪い。
100Km/h〜120Km/hでおとなしく走っている時の燃費は、SLでも10Km/lは超える。
Cは12Km/l〜13Km/lという所だから、排気量や車重の違いを考えるとSLがむしろ頑張っているなとさえ思える。
違いが現れるのはアイドル燃費である。
都内の渋滞路、平均速度が15Km/h程度となるとSLは5Km/l台に簡単に落ち込んでしまうが、Cは8Km/l程度を維持出来ている。
横浜−東京間の首都高速と混んだ一般路を2時間程度かけて約80Kmを走った時の燃費が、SLは6Km/l台でCは11Km/lとなった。
厳密に同じ条件で走った訳ではないが、この程度の差が出る事は事実である。
装備関係はシリーズ中でもっともプアなC180なのだが、
160に比較すれば充分贅沢だと思う。
運転席/助手席独立温度制御のオートエアコンや、メータパネル内の表示機能などなどは他のモデルとほぼ同じ。
C180Limitedは本革/合皮コンビシートだが、これの質感もなかなか良い感じだ。
ポジション調整はシートの前後移動が手動で、シートバック角度や高さ調整が電動になっている。
SLはシート全体の前後調整もシートバック角度も座面前後も、ヘッドレストの高さも全てが電動でポジションメモリも付いているが、パーソナルユースなら手動調整でも何ら問題は感じない。
シート座面の前後長も不足はなく、ただ一つ贅沢を言わせて頂ければシートヒータが欲しかったなと言う位だ。
革シートは冬冷たいのだ。
リモートドアロック、ベンツは通常はエア式のアクチュエータを使用していたため、ロック/アンロックとも殆ど無音でこれが行えた。
だたCは国産車と同じように電気モータでのドライブになった様子で、これも国産車と同じようにカシャッという軽い音が響く。
おそらくモータ式の方がコストが安いのだろうが、実際の作動音も安っぽい。
ナビはオプション設定されているが、あえてこれを選ぶ理由はない。
車外品の方が余程安くて高性能だからである。

425万円の車両価格をどう見るかはその人によって異なるだろう。
国産車でこれだけの価格を許容するならば、相当デラックスな車両が手に入るはずだ。
逆に425万円という価格を基準に考えるならば、私が必要にして充分だと思っている装備も、或いは不足に感じる人が居るのかも知れない。
この辺りは車のどの部分にどんな性能を求めるかによって全く意見が異なる部分ではなかろうか。
私的にはスタイリングを考えればEクラスワゴンの方がずっと洗練されていると思う。
ただし実用車としてみた場合に、4.8m超えの全長はいかにも長すぎる。
荷室は狭いがA160の全長3.6mだって、決して不便な寸法ではないと思っている私なのだから。


購入条件は悪いものではなかったと思う。
Limitedと言う事で値引き額は少ないが、その分オプションが付いていると思えば良いか。
暗さで定評のある(?)ベンツのヘッドライトだが、C180 とC200にはキセノンライトが付かない。
(物理的には付くがエラーが出る)Limitedはこのキセノンライトが付いてくるとか、ホイール(ノーマルは何と鉄!である)が16インチアルミになる(C200は15インチアルミ)など、通常では付かないオプションで購買意欲を誘おうとする、いかにも日本人の好きそうな仕様なのだ。
他にもクライメートコントロールや革シートなども付いて15万円アップだからお得感は大きい。
C200の方は値引き額が大きいので、購入価格としてはC180 Limitedとさほど変わらなくなる。
意外だったのはA160の下取り価格が良かった点だ。
来年が車検なので購入から4年半以上を経過している割には、現在の新車価格(途中で何度か価格改正されている)の半額で売れるとは想像していなかった。
ディーラ氏によると、この価格帯の車両は動きが早いために在庫リスクが少なく高取り出来るのだという。
200万円超のN産車を買った知人が最初の車検前に他車に乗り換えようと売却価格を探ったら30万円にしかならなかったと言うのとは大違いだ。
実用車という意味ではリセールバリューの大きさもポイントになり、それはAクラスがCクラスに勝り、Cクラスが
クラスに勝るという順である。
例えばSクラスの購買層を考えると、何も中古を買わずに新車で良いではないかという理論になるから、新車価格と中古車価格が余程開いていないと売れない。
Aクラスなどの場合だと、実用車なのだから多少でも価格の安い中古で良いではないかと考える人が多いのだろう。