アンテナ分配機を測る


カーラジオのアンテナをTVやFM-VICS受信機に分配するとき、市販のアンプ付き分配機を使用する場合が多い。
これは1つのアンテナ入力と2つの出力を持っているわけだが、多出力化を行うためにこんなものも自作したことがある。
今回は車のアンテナをチューナとFM-VICS受信機の2つに分配するのが目的なので市販のものを使用することにした。

これは家にあったもので、何かを買ったときについて来たのだろう。
この手のアンプはゲインが高ければよいと言うものではない。
弱い電波を増幅するにしても、アンプ自信は必ずノイズを発生する。
それにアンテナに電波が入ってこないのに、イタズラにゲインを上げても良いことは全くない。
従ってゲインは数dBもあれば十分なはずで、これ以上ゲインがあれば強電界時にFMラジオのフロントエンドが歪んでしまうだけだ。
特に奇数次混変調歪みは厄介である。
分配機に求められる性能は適度なゲインとローノイズだ。
飽和レベルはさほど必要ではない。
アンプのダイナミックレンジがいくら広くても、FMチューナの方が先に歪んでしまうだろうから。
で、さっそくNF(アンプの発生するノイズの量)とゲインを測定してみた。

まずは周波数を85MHzとして測定する。

ゲインは6.31dBでNFが1.48dBと立派な性能である。
これもデバイス性能が上がったからだ。
(NFはデバイス性能が支配的である)特にNF=1.48dBはこの周波数帯における空間雑音より十分低い値であり、FMチューナのNFよりも当然低い。
次に周波数を100MHzにしてみた。

NFは2.71dBに悪化し、ゲインは19.23dBに増えている。
おそらくFM放送バンドのエッジに当たる部分で特性が不安定な場所なのだろう。
自動車用TVにも使用できる分配機は、内部のフィルタによって帯域分割しながらUHF帯までの特性を保証しているが、これはFM専用だから文句を言う筋合いではない。
が、100MHzと言えばTVのローバンドが近い。
ローバンドのTV放送局近くでは混変調を起こすかも知れない。