PWMモータコントローラ


USから輸入したモータを定格で回したいために、115V/60Hzを何とか作れないか悪あがきした。
最初はこれを改造して60Hzを作ったが、以下の理由でうまく行かない。
1.矩形波出力では波高値を上げないとモータが起動してくれない。

2.起動に必要な波高値は60Hz時に170V程であり、通常時の過電流が心配。

3.周波数を可変したいのだが、波高値170Vのままで50Hzまで下げると過電流が流れる。
そこでPWMによる疑似正弦波出力のモータコントローラを入手した。
しかし一般的に単相モータはスピードコントロールが出来ないものなので、モータコントローラは三相モータ用であり出力電圧も200Vだ。
ただし専用のモータコントローラであるだけに色々な機能が装備されていて、工夫すれば100Vの単相モータを回すことが出来る。

これは東芝製だが、日立でも同じものがあったかな?OEMで沢山出回っているようである。

機能は充実していて、外部制御やPCとの接続も可能だ。
下は取り説の[START]ボタンを押してからの加速と、[STOP]ボタンを押してからの減速時間の設定説明である。

モータコントローラの制御はV/f一定なので、周波数を下げると比例的(或いは二次曲線的)に電圧も下がってくる。

V/f Maxはプログラマブルなので、例えばこの周波数(基底周波数)を120Hzに設定すると60H
動作時には100Vまで電圧が下がってくれると言うわけだ。
出力は3相なので、任意の2相だけ使えば良い。

ただしドライバの2回路だけに電流が流れるのでモータコントローラが少し可哀想だ。
それとピーク電圧は常に200Vなのでモータの耐圧も心配である。
PWM制御で平均電圧は下がっても、ピーク電圧は一定なのだ。
もちろん内部の倍電圧整流回路を改造すれば100V迄は出力できるが、これでは定格電圧の115
に達しない。
そこで出力側にトランスを入れることにする。
トランスはスコット結線で3相−>単相×2に変換する。
動作させたいモータは全く同じものが2個なので、これで丁度良い。
コントローラはモニタ表示も色々あり、周波数は当たり前として電圧や電流から累積稼働時間まで表示してくれる。
アラームも電圧や負荷異常、モータストール警報など色々だ。
現在はスコットトランス未入手のため、100V 100Vのアイソレートトランスの2つの巻き線を直列接続してオートトランスとし、ここに200Vを単相(3相の中の2相分を使用)で加えて120
タップから出力を得るという変則的使用法になっている。
なおトランスを付けるとPWMのクロックである12KHzのビート音がトランスから出る..トランスはPWM波を入れても良いように設計できるらしいのだが、その辺りは良くわからない。
しかし矩形波をトランスに通した時にはトランスが触れないくらい発熱したのだが、このモータコントローラの出力にトランスを接続しても発熱はほとんど無いのだ。
これがオートトランス結線による為なのか波形の影響なのかは解らない。
ちなみに出力周波数は0.5Hz〜320Hzまで可変出来るが、パネルからの操作範囲は45Hz〜65Hzで固定しておいた。
このモータコントローラでも「簡易型」と呼ばれる部類らしく、高機能型って奴はもっと色々な設定が出来るのだろう。
欠点はPWMノイズがAC100V側にリークするらしく、水槽用ヒータコントローラの一つが不安定になり、ORP(酸化還元電位)測定器がおかしな値を示した。
これはラインフィルタでも入れないとダメだな。