ポーチドエッグの作り方


今回はハイカラ(死語)な名前のお料理だ。
このPoached eggs,日本名は「落としたまご」と言うらしい。
物の本によると「落としたまごは、そのまま器に入れるかバターを塗ったトーストの上に乗せて供する」とある。
普通の?作り方は、酢と塩を入れて沸騰させた水の中にたまごを入れて作るらしい。
この酢と塩の効用だが、たまごの蛋白質は両性電解質であり各分子が帯電している。
これに食塩のような電解質を加えると、帯電とは反対のイオンを吸着して電気的に中和され中性に近づく。
すなわち、中性のpHでは、たまごアルブミンの負の電荷を食塩のNa+が中和するために凝固しやすくなるわけだ。
また酢を加えることによってpH4.8である等電点に近づき、水に対する溶解度が減少して分子の凝集力が増すために熱凝固しやすくなるわけだ。
難しい理屈はともかくとして、まずは溶液(え?)を作ろう。
塩と酢の分量は、それぞれ水の1%,3%程度がよいとされている...が、まあ適当にやってみよう!

材料はコレ,鍋に入れた水と酢及び塩だ。


まずは水に塩と酢を入れて沸騰させる。
この沸騰した中にたまごを入れたら、誰が考えてもバラバラになるだろう。


そこで、一旦鍋を火から下ろしてゆっくりたまごを入れることにする。


入れた直後はこんな感じだ。
このまま90℃ほどを維持しながら、白身の固まるのを待てば良い(はず)沸騰させると白身がバラバラになってしまう。
しかし物の本によると「白身が黄身を包み込む」と言う一文がある。
この写真を見て分かるとおり、白身は黄身を包んでいない..

そこで、イヤでも黄身の周りに白身が来るようにこんな器を用意した。
器の直径は、たまごがやっと入る程度だ。
この中に水/酢/塩を入れた溶液を入れ、電子レンジで加熱する。
この器を火にかける訳にいかないからね。


たまごを入れてから加熱してはいけない。
白身が半熟で、黄身が固まっているのが温泉たまご
ポーチドエッグってヤツは、黄身が半熟で白身が固まっている物らしい..ちなみに、たまごというのは黄身の方が凝固温度が低い。
黄身は65℃辺りで固まりはじめるが、白身の方は80℃近くまで温度が上がらないと固まらない。
普通の半熟ゆで卵が出来る理屈は、殻の外側から加熱するために黄身まで温度が伝わらないウチに白身温度が上がって固まるからだ。
電子レンジでの加熱だと、白身も黄身も(ほぼ)均一に温度が上がるので、凝固温度の低い黄身が先に固まるという仕掛け。
ちなみにホンモノの温泉たまごは、白身が凝固しない程度の70℃程の湯の中に長時間たまごを漬けて製造されている。


たまごを入れた直後はこんな感じだ。
このまま温度を維持したいところだが..電子レンジに入れるわけにもいかないので、容器ごと鍋に入れて加熱してみた。


左側が鍋で作った方の(自称)ポーチドエッグ,左側が湯飲みで作った方だ。
白身は半熟より少し固まっている程度の固さ,黄身の方は生よりは固まっている感じだ。
どうも固まり方がよろしくない感じがする。
この状態のまま電子レンジで15秒ほど加熱すると、かなりマトモ?にはなるのだが..そこで、ナベ方式?で加熱時間を長くしてみることにした。


ナベに入れるときも、ナベを傾けることによって白身の拡散を防いでみた。
これはたまごを入れた直後の模様。


弱火で熱し続けると、なるほど黄身を囲むように白身が固まっている。
後はお好み次第の固さまで茹でれば良いと言うことか?

そして完成したのがこれ。
白身は完全に固まっている。
黄身はいわゆる半熟って感じだ。
しかし、どうやらコレでは固まりすぎの様だが..
VC