TAを選ぶ


ISDNで通信を行うためのTA(ターミナルアダプタ)も多くの品種が市場で見かけられ、安いものでは1万円台から、高いものは5万円程まで選べるようになった。
私が最も最初に購入したものはTA−777だが、これは結構ヒドいシロモノだった。
アクセサリ的機能が少ないのはカタログ上で分かっているが、送受話音量の件と言い接続不良(DTE速度を上げて、速いPCだとダメ)といい、とても常用に耐えるものではなかった。


次に購入したのはNECのAtermシリーズ,値段は高いがDSU内蔵で機能も充実,おまけにMP128K接続もできる。
電池が入って停電時でもすぐに切れることはない。
64K接続のみで良ければ、実売価格2万円+でDSUまで内蔵しているモデルもある。
聞くところによると、NECのTAはアナログチャネルの帯域が十分取れていないとかでアナログポートに接続したモデムの速度が十分上がらないとの話も聞く。
実際にやってみると、少なくとも33.6Kでの接続に問題はないようだ。
設定も専用ユーティリティーが付いてくるから、面倒なことはない。
ただしDSU付きモデルに他のTAなどを接続するためには、S/Tモジュールを別途購入する必要がある。
問題は、接続するのにデータが流れない状態に陥るケースがあること。
一度電源を切れば復活するのだが、障害がいつ起こるか分からないと言う不安がつきまとう。
NECに問い合わせても「当方ではそのような障害の報告がありません」との事で、TAに罪はないと言いたげだ。


そこでAlexonと言う余り聞かないメーカのTAを試してみた。
販売店の話だと、大手メーカにOEM供給している会社だから安心ではないかとのこと。
パネルにはLCDが付いていて、接続速度などの情報が表示される。
もちろん機能的には必要十分だが、NECよりは細部で劣るようだ。
S/T端子は標準で付いていて、もちろん電池も入れられる。
アナログポートも大きな問題は無さそうだ。
設定はユーティリティーが付属するものの、それはアナログ端子系の設定のみでディジタル関連項目はターミナルソフトからATコマンドで行う。
説明書も決して分かりやすいと言えないので、初心者には難しいかも知れない。
コイツの問題点は、回線を掴んだままハングアップしてしまうと言うことだ。
つまり、電話が切れなくなるのだ。
こうなるとアナログポートも使えなくなるようだ。
何度かこの様な状況を体験したが、どうやら本体温度が上昇するとこのトラブルが起こる模様。
狭い場所に押し込まなければ安全といえそうではあるが..

最後に購入したのはサン電子のもの。
メーカ的(安いモデムのイメージがあったし、そのモデムはたまにハングアップする)に不安はあったが、実はコイツが最も安定に動作している。
連続使用時にも不具合は起きないし、PIAFS対応と言うことで機能もAlexon並と言ったところ。
パネルのLCDとキーである程度の設定が出来るのも有り難い..が、取り説は分かりにくい。
取り説に書いてある設定範囲を超えても(ATコマンドではERROR表示になるが、実は設定できている)値がセットできるなど、ファームのデキは悪い。
実はどうしても設定したい項目があってWebサイトで問い合わせたのだが、それによるとERROR表示を無視して設定して良いとのお答え。
mailで質問できるのは非常に有り難い。
NECなどは、何のためのホームページか?と言いたくなる感じでmailアドレスすら載っていない。
(当然サポート電話は話中)実売価格もNECのものと変わらないので、新規購入にはお勧めしたい。
当然MP128Kにも対応しているし、ディジタル関連の設定項目も多い。
他のTAがアナログチャネルの三者通話だとか、転送などの機能を売り物にしているのに対してコイツは本来のディジタル通信関係の機能を充実させているという感じだ。
まあ、取り説の範囲外の設定を行わないといけないケースもあるが、その点に関してはファームのバージョンアップに期待することにしよう..

私自身は余り機能を確認していないアナログポートだが、K.Kさんにこの点のレポートを頂いた。
まずサン電子のものだが*内線発信で呼び出し音が出ない(外線発信は問題なし)*せっかくの着信番号表示が数秒で消えてしまう *アナログポート同士の着信転送ができないなど、基本的機能面がプアだとのこと。
「これに対してAlexonのものはアナログポート系の機能が非常に充実している」とされている。
確かに取り説を見ても、その大部分のページがアナログポート関連項目だしATコマンドを使わずとも電話機のダイヤルから機能設定できるなど、詳しく書かれている。
不満点は外観上のデザインのみ(パネルにはLCDとスイッチ1個,電源スイッチも無し)との事だが、これは好みの別れるところだろう。