vaio-TのCF化
vaio-Tを購入したのは2004年秋頃だっただろうか。
トラブルは皆無というわけではなく、HDD故障やファンが駄目になるなどを経験してきた。
いずれも保証期間内ならば問題はないのだが、保証期間外となると何でもかんでも修理と言えば最低2万円だとのお答えがかえってくる。
結局ファン故障はキーボードを外してファンをむき出しにし、そこにCRC5-56を吹きかけるという事で回復させた。
しばらくはこれで調子よく使っていたのだが、突然ReadErrorを表示して固まってしまった。
HDD不良である。
さてどうしよう。
お金をかけてまで直すべきかどうかと悩んだ。
というのも、1.8インチHDDでしかもIDEインタフェースのものは市場にあまりなく、あってもやたら高額だったりする。
しかも純正の東芝製はアクセスの遅さでは定評がある。
かといってSSD化にしてもIDEインタフェースはもはや少数派だ。
だったらと言うわけでCF化を考えてみる事にする。
CFインタフェースはIDEみたいなもので、試しにPCMCIAインタフェースにCFを突っ込んでみるとストレージデバイスとしてWindowsは認識する。
ならばと言う事でインストールしてみると、インストールは出来るが起動は出来なかった。
そこでIDE⇔CFのアダプタを買ってくる事にする。
まずはケースを開ける。
裏のネジを外してF4とF12キーあたりをこじるように手前に押すとめくれるようにキーボードが外れる。
後ろ側がネジで固定されていて手前側は挟まっているだけなので簡単に外れる。
キーボードが外れたら、その下の板を固定している2本のネジを外すとこれが外れる。
そしてこのように↓なる。
1.8インチHDDはこんな感じでフレキシブルケーブルで取り付けられている。
1.8インチHDDへのケーブルは40Pだが、HDD自体のコネクタは50ピンだ。
外す時に観察すると解るが、コネクタの向かって左側の40ピン部分だけを使っている感じになっている。
CFをIDEに変換する基板は各種あり、基板単体のものだと数百円で購入出来る。
というのもCD自体がIDEモードを持っているからで、基板にはアクティブな部品は一切付いていない。
まさに変換基板そのものなのだ。
ただしこの40ピンだけを使っているという特殊?なコネクタ接続法故に差し間違いが無いようにしたい。
私はその点と、固定方法を考えて1.8インチHDDと寸法が互換になるケースを購入した。
基板単体の場合は周囲を絶縁して固定するなど、狭い場所に突っ込むのに面倒な事があるかなと思った次第だ。
写真左が東芝製のHDDで右はCF⇔IDEアダプタにCFカードを入れたところ。
これは蓋を開けてあるが、閉めるとHDD互換の厚みになる。
拡大するとこうなっている。
左上に見えるスイッチはマスターとスレーブの切り替えだ。
パッケージはこんな感じ。
Amazonで2千円弱だった。
こうして組み込んだのが↓である。
固定金具もノーマルのものがそのまま使えるので固定にも問題はない。
右奥が若干浮いているが、これはキーボードと共締めなので組み立て完了時には正しく固定される。
購入したリカバリDVD(購入版は2層に焼いてあるので1枚だけ)で作業を開始する。
Windowsのインストールは難なく終了したが、アプリケーションリカバリの遅い事と言ったらシビレる。
CFの書き込みが遅いからなのか、完了するまでに約3時間を要した。
Windowsのインストールがささっと進んだのに比較すると相当に遅い。
SONYはゴテゴテと色々なものを突っ込んでくれるわけで、しかしそれを拒否しようとすると「動作が不安定になっても知らないよ」と言われる。
というか、SONYのアプリを突っ込むと動作が不安定になるんですけど。
それに、これらのアップデートも行わなければいけないのかと思うと気が重い。
アップデートもそうなのだが、何をやるにも遅い。
Windowsの起動画面まではかなりの速度で行くのに、その後が遅い。
そこでCFのアクセス速度を測ってみた。
http://www.fnf.jp/blog/2010/04/fnfblog3114.html
ランダムWriteが9kバイト/秒しか出ていないのだから遅くて当然か。
WindowsのレジストリいじりでHDD用のライトキャッシュを100MB取ってみたがそう大きく変化はしなかった。
さてCFを買い換えようか、このまま使おうか、それとも…
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CF化以外でも、現時点では旧製品のわずかな在庫を使ってSSD化する道がある。
価格は32GB品で2〜3万円、ただし本物?のSSDなのでアクセス速度は保証されている。
もう一つは東芝タイプIDE⇔ZIFコネクタ変換基板を使ってZIFのSSDを付ける手だが、スペース的に相当難しいと思う。
同じような事はIDE⇔SATA変換基板を使う手もある。
SATAのSSDならば32GB品が1万円前後で購入出来る(2010年4月現在)が、こちらもvaioに綺麗に内蔵しようとするとスペース的に無理がある。
HDDのスペースに入る(入らないほど大きなものも少なくない)IDE⇔STAT変換基板を購入し、SATAをvaioケース外に引っ張り出して接続すれば一応はくっつけられる。
CF化の方はバンク式(インタリーブアクセス)を使えば速度は稼げる。
600倍速などと言われるものがそれだが、当然価格は高くなる。
CF化した状態でCrystalDiskMarkにかけると、
Read
42.99
Write
16.94
RandomRead
11.09
RandomWrite
0.009
だった。
そこでFlashFire(旧FlashPoint)を乗せてみると、
Read
27.77
Write
20.06
RandomRead
6.573
RandomWrite
2.183
と、立派な値を示すようになった。
しかしこれ、キャッシュのような仕組みでしかないのでいつでもどこでも速くなりっぱなしと言うことはない。
中身はよく分からないのだが、CFなどが苦手とする小容量サイズのデータをキャッシュしておいたまとめて書き出すとか、そんな風だとか。
似たようなものにEWFがあるが、こちらはCFに書き出さずにメモリ内に蓄えておくものなので動作的には少し違うし、常にメモリ相手なので爆速になる。
FlashFireは導入も簡単というか、インストールすればそれで完了となる。
その割に効果は絶大で、特にこの激しく遅いCF化に対してはウルトラ有効なのだ。
勿論前述のように全てのシーンでその効力が発揮されるわけではないのだが、例えばIEの起動などはFlashFire非インストール時には数十秒を要したものが一瞬で立ち上がるようになる。
これはアプリ起動時に行われる書き込み動作で引っかかっていたものがなくなるからだ。
Windows自体の起動もものすごく速くなる。
読み込み速度は元々速いので、これは逆にFlashFireのオーバヘッドによって多少速度がスポイルされるものの書き込みキャッシュの威力は絶大だ。
さて、このFlashPointのパラメタを変更出来るソフトが作られている。
http://giragira.way-nifty.com/blog/2009/05/post-4644.html
設定は各環境にもよるだろうし、マイコンピュータのプロパティ、パフォーマンスの所(ディスクキャッシュにより多くのリソースを割り当てる)や、HKEY_LOCAL_MACHINE→SYSTEM→CurrentControlSet→Control→Session
Manager→Memory Management→IoPageLockLimitの値(キャッシュサイズ、私の場合は10000000(10MB)に設定した)、搭載メモリ総量によっても最適値は異なってくると思う。
FlashPointのパラメタではBufferSizeとClusterSizeが効くと思う。
CF化にあたってCFの書き込みが遅いことは理解していた。
しかし書き込み速度がWindowsの動作にこれほどまでにインパクトがあるとは想像していなかった。
確かにレジストリなどは頻繁にアクセスされるのだが、と言ったってデータ量などを考えると大きな影響はないのかなと。
しかし実際には書き込み速度が以下に重要なのかを思い知らされることになる。
そしてこの、ランダム書き込み速度が9kBしか出ないCFは使い物にならないのではないかとさえ思った。
Windowsの起動に3分以上も要するのは、Vistaじゃないんだからという感じである。
そこにFlashFireを導入すると、起動時間は一気に15秒まで短くなった。
なおHDDからの起動では50秒弱を要していた。