過去の雑記置き場
VC
狭いキャビンと安全性(6/10)
◆ 現行プリウスではフロントガラスの傾斜角を大きく(水平を180度とした場合)とったスタイルとなっている。デザイナの意図は不明だが、こうしたデザインはホンダが軽自動車で行っていた。ボンネットのスラント角度からフロントガラスまでをスムーズにつなげる手法で、車室長を広く(長く)見せることが出来る。
◆ デザイン的に仕方のない車もある。ワンボックスカーではフロントガラスを出来るだけ前方に持っていく必要がある。こうすることでワンボックススタイルが生まれるわけだが、実際にはエンジンがフロントガラス付け根よりも後ろに位置しているので、車室長が取れているわけではない。あくまでも視覚上ワンボックスチックに見えるだけだ。
◆ フロントガラスを前方から立ち上げると、運転席とフロントガラスの位置関係が不自然になる。何しろその中間下にはエンジンがあるのだから。そこでフロントガラスを傾斜させることで、不自然さを取り除くと共に、前方が広いイメージを作り出す。
◆ プリウスはワンボックスではないのだが、フロントガラス先端をタイヤハウス上部あたりにまで前進させることでショートノーズ・ロングデッキ的なスタイルになっている。フロントガラスの傾斜角が大きいので居住性が悪化すると共に、傾斜のきついフロントガラスと乗員頭部のクリアランスが確保できなくなる。
◆ これは衝突時の頭部安全性の問題となるので、トヨタはニーエアバッグを採用した。勿論フロントガラス問題だけが装着の目的ではないかも知れないが、ニーエアバッグによって乗員が(前面衝突時に)前方に動くことを規制し、頭部がフロントガラスに当たるのも防いでいる。
◆ ニーエアバッグの効果は大きく、乗員の移動が規制できるのでステアリングエアバッグとの衝突のインパクトや、シートベルトによる締め付けも軽減が出来る。こうした効果があってか、前面フルラップ衝突時に於ける安全性は前モデルよりも良くなっている。
◆ ニーエアバッグ以外の対策では、クラッシャブルゾーンの拡大が行われている。ボンネット長は前代モデルとさほど変わらないが、衝撃により変形する部分を拡大したことで乗員に与えるインパクトを軽減した。ニーエアバッグとクラッシャブルゾーンの拡大無しには、あのフロントガラス傾斜角が実現できなかった、かも知れない。
◆ 米国ではシートベルトを使用していない状態での衝突試験が行われる。この場合はシートベルトによる体移動の規制が出来ないので、乗員は前上方向に大きく移動する。こうなるとフロントガラスとの衝突は避けにくい。フロントガラス上部にもエアバッグを付ければ安全性は高まるが、果たしてトヨタはどうするのだろうか。
◆ 米国でも現行プリウスは売られているが、日本仕様の大径ホイールは人気薄だとか。ベーシックモデルは195/60R17のタイヤが装着されている。大柄な米国人には乗れない(ヘッドクリアランスが窮屈)と言われるのだがシートの位置設定などは日本仕様と同じなのだろうか。プリウスはトヨタの奇抜なデザインの車的印象だそうで、ベーシックなカムリ人気に及ばないらしい。
リニアな制御の難しさ(6/9)
◆ 現行型ジムニーのトラクション制御、ブレーキLSDに関しては以前に書いた事がある。初期モデルではブレーキのON/OFF制御のような感じで、スリップしている車輪を完全に止めてしまっていた。現状モデルの動作を見ると初期型よりもスムーズな感じがするので、制御が変更された可能性もある。
◆ ただスリップ検出から制御開始までのタイムラグは長めで、状況によってはteeter-totter(交番動作)になってしまう。1輪がスリップするとその車輪を止めようと制御がかかり、そのタイヤが止まると他のタイヤがスリップし始める。これが順次起きるので駆動力が得られない。
◆ 競技場に行く人にとってみればメカニカルLSDこそ全てみたいな、さらにはロック率だとかレスポンスも気にするような使い方だろうから、所詮電気仕掛けだよねと冷ややかな目で見ていたりして。
◆ 現行ジムニーではDBW(電子制御スロットル)が採用されたが、タイムラグ問題が指摘されている。アクセルペダルの踏み込み量に対するスロットルバルブの動作に遅延が起きるために、不自然な感じがするというわけだ。普通に走っている分には余り感じないのかも知れないが、これも競技場などでの走行時には気になるというレポートもある。
◆ DBWのレスポンスはSL600の頃は余り良くなかった。当時は高トルクのステッピングモータがなく、スロットルバルブの開閉はDCモータが使われていた。スロットルバルブ開度が一定状態でも常にDCモータがドライブされていて、その音が結構大きかった。スロットルバルブ開度を一定にするためには、DCモータに交流を流す的な感じでその位置を保持していた。
◆ こうした色々な部分の制御遅れが積み重なり、制御が暴れてしまうような状況になる。ESCばかりではなくABSでも同様で、ペダルへのキックバックを感じて分かるようにリニアな制御ではない。最近BENZがリニアに近い制御をやり始めたが、そもそもタイヤをロックさせてみないとロック状態が分からないのだから、どうしても断続的な制御になる。
◆ しかし路面とタイヤの動摩擦係数の予測制御の精度が上がれば、制動距離を余り犠牲にせずにリニア制御が出来ると思う。ESCにしてもBENZは以前から自然な制御になるような設計ポリシーで、メータクラスタのインジケータを見ていないとESCの制御が入ったのかどうかが分からない位だった。
◆ 今でこそどの車でもESCの介入は自然に行われ、それはDBWやブレーキ制御の速度が上がったこともある。各輪の速度やGセンサ、ステアリング舵角などから目標エンジン出力やブレーキ油圧を計算するわけで、CPUの演算量も多くなる。CPUの演算速度やメモリ搭載量の増大が、自然な制御をもたらした訳だ。
◆ 自動運転に比較すればABS制御なんて楽なものだと言われるかも知れないが、ブレーキの場合は油圧制御が絡むので機械部分のレスポンス予測が難しいかも。
◆ R230のSLはSBC(ブレーキバイワイヤ)だったのだが、ペダルタッチはごく自然だった。なので、あの当時でもそこそこの制御は出来ていたことになる。一方でTHSのブレーキ制御が(以前よりずっと良くなったとは言え)洗練度に欠けるのは何故だろうか。回生ブレーキとメカニカルブレーキの連係動作は、それだけ難しいのかな。
ミニ雑感(6/8)
◆ 早いものでミニに乗り始めてから1年以上が経過した。普通に24ヶ月点検を行い、ユーザ車検を受けた。整備箇所は色々あるが、どれも作業的には簡単なものばかりだった。ロアアームは部品代が5万円位と高かったのだが、両側を交換したからそんなものか。
◆ 音を我慢すればそのまま乗っていられたと思うし、気温が上がってきたら自然に直ったかも。修理するにしても音の出た左側だけにすればパーツ代は節約できたのだが、OEMメーカの強化品にしたので両側交換となった。作業的には特に難しいところはなかったし、ネジの固着もなかった。
◆ ジムニーはオドメータが21万kmを刻むまで乗ったわけだが、20万kmを超えたのだから凄い。購入時点で14万kmだったので私が走った距離はたいしたことはないが、それでも20万kmを超えるなんて二度と拝めないかも知れない。
◆ 海外では移動距離が長いので20万kmや30万kmは珍しくないのだろうが、軽自動車で20万km以上走れるのだから立派だ。前オーナのオイル管理が悪かったからオイル下がりが起きたのか?オイル下がりが起きたからエンジン内部が汚れたのかは分からないが、いわゆるオイル焼けやスラッジはあった。
◆ ただヘドロのようなスラッジの蓄積はなかったので、定期的なオイル交換でそれらは多少溶けたのかな。これもオイル下がりに関係するのだろうが、ピストンリング溝の汚れとバルブのカーボン噛み込みは多かった。多少すり合わせをしただけでそのまま組んだので、密着性は悪かったかも。
◆ ミニはオイルにじみを発見したので、そのうち直そうと思う。直すと言うほど大げさな作業ではないのだけど。ジムニーはオイルクーラの所からオイルが漏れていたのだが、ここが極めて外しにくい場所なのだ。エンジンマウントを外せば作業がしやすいが、エンジンマウントは簡単には外せない。で、結局そのままになってしまっていた。漏れと言ってもしずくが垂れるほどではなかったので、勿論オイル量が減ることもなかった。
◆ 円安や物価高もあって価格が上がっているのはオイルなどだ。価格が上がっていると言うよりも日本経済の停滞の方が問題なのだろう。国際価格の変動幅は小さくても、給与水準が30年も変わらない日本にとっては高価なものになる。
◆ 国産車のパーツ価格の問題、特に古い車の部品価格の値上がりは激しい。ジムニーにしても結構部品価格が上がっていた。国内専用車の場合はOEMパーツが少ないので、そうしても純正部品に頼ることになる。ジムニーのABSセンサは中華のシエラ用を使うことでコストを節約できたが、そうでないと結構高額だし古いモデルだと入手自体が難しい。またジムニー用と言うだけで中古パーツが高かった。
◆ ミニ関係もパーツは値上がりしていると思うのだが、OEM品もあるし更に安価な社外品もある。簡単に交換できる場所なら社外品でも良いのだが、交換が面倒なところはOEMメーカ品か純正品の方が安心できる。ただ品物によっては国内でOEM品が買いにくいことがあって、海外からの送料を考えると純正品と変わらぬ価格になる。
熱い方が良いのか?(6/7)
◆ 欧州車は一般的に水温を高めで使う。冷却水系の圧力を上げて高温まで沸騰しないようになっている。国産車では90kPa前後が標準なので約120℃で沸騰する。欧州車の場合は150kPa前後で使われるので、沸騰温度は130℃弱になる。
◆ 国産車の場合は開放形(リザーバタンクが大気圧)で使われ、欧州車の場合は密閉系で使われるという、構成の違いもある。レース用のエンジンでは更に高い圧力で使う場合があり、短時間で局部的な温度上昇があった場合でも気泡が発生しないようにと言う事らしい。
◆ 冷却水温を上げるとエンジンの温度が上がり、熱効率が少しだけ上がる。ただし温度が上がるので異常燃焼(ノッキング)が起きやすくなってしまう。ジムニーは水温度下げることで過給時のノッキングを抑え、レギュラーガソリンの使用を可能にした。
◆ 水温を上げるとエンジンの熱はどこに行くのか?最も変化があるのが排気温度だそうだ。冷却水温を高めていくと排気温度が上昇する。これはターボ車の場合は熱エネルギの回収という事で都合が良い反面、高すぎる排気温度はターボチャージャのタービンの熱負荷を増やしてしまう。BMWの一部車種はターボチャージャ一体型のアルミ製エキゾーストマニホールドが使われていて、エキゾーストマニホールド内に冷却水を流している。
◆ 究極的な高温エンジンとしては、その昔研究されていたセラミックエンジンがある。1980年代には試作エンジンが作られ、日本ではいすゞが熱心だった。時代の時々で言われる夢のエンジンみたいな呼ばれ方をしたわけだが、今考えれば高温中で燃焼させてNoxはどうするのかとか、オイルはどうするのかなど疑問もある。
◆ 当時のセラミックディーゼルエンジンでも排気温度の高さは厄介だったようで、ターボチャージャのタービン出口でさえも温度が高く、2段ターボ式にして排気エネルギを回収する試みもあった。更にそのターボチャージャのタービンもセラミックにすれば溶けないんじゃないの?と言うことで、どんどんセラミックになっていく。
◆ 結局の所冷却不要のエンジンが出来たところで冷却損失は減らない(排気熱として逃げていく)訳で、だったら空冷エンジンでも同じなんじゃないのとか、金をかける割にメリットが少ないと言われ始めた。一時期には大学教授が指揮を執ってKASTでも研究されたりもしたのだが、研究が進むにつれて高温であるが故のデメリットが見えてくる。
◆ 当たり前ではあるが吸入空気も瞬時に熱せられてしまい、体積が増えるので充填効率が悪化する。吸気温度を下げようとしたところでエンジン自体が熱いのでどうしようもない。こうしてセラミックエンジンの開発は下火となり、その存在すらも忘れられていく。
◆ ただし研究によって得られたデータは、その後のエンジン開発やエンジン用の部品の開発にも活かされたと言われる。セラミックタービンを使ったターボチャージャはフェアレディZのVG30やRB系のエンジンに使われた。タービンホイールの質量をインコネルなどの材料の2/3まで軽減することが出来、慣性質量の大幅な軽減が可能になったと日産は言っている。セラミック系ターボチャージャ搭載車の累計生産台数は100万台を超えたそうだ。
モジュラーエンジン・共通シャーシ(6/6)
◆ 日本ではモジュラエンジンは余り聞かないが、BENZもBMWもモジュラエンジンを使っている。例えばスープラに搭載される6気筒ターボの3リッターエンジンだが、これを4気筒にしたものが2リッター版のB48型であり、3気筒にしたものがB38型になる。
◆ 気筒数や細部は少し違うのだが、基本的な構成は似ている。気筒数の異なるエンジンを共通化するのでバランスシャフトは2箇所にあったかな。クランクシャフトからバランスシャフト(必要のないエンジンではアイドラ)を駆動し、そこからカムシャフトを駆動する。
◆ オイルポンプはエンジンフロント部のオイルパンの中にあって、これもチェーンで駆動されている。エンジンの排気量によってオイルポンプ性能を変える必要があるので、ブロック一体型ではなく別部品として存在している。
◆ 爆発間隔や気筒数が異なるのでクランクシャフトは各エンジン別になるが、BENZのエンジンではV型8気筒エンジンとV型6気筒エンジンが共通のものがあり、V型6気筒は90度バンク角で不等間隔爆発(オフセットクランクを採用していない)だったはずだ。
◆ 爆発間隔とかバンク角はバランスシャフトでどうにでもなるというのは言いすぎかも知れないが、設計技術というかシミュレーション技術によって設計自由度は高まったと言える。
◆ トヨタは共通プラットホーム開発に熱心だ。エンジンに関しては共通化はしないのだが、シャーシの基本設計は共通化する。共通だからと言って同じという事ではないのは、モジュラエンジンと同様だ。共通シャーシというかプラットホームは設計に時間がかかるが、トヨタのような多くの車種を作るメーカにとっては共通化によるコストダウンが大きい。
◆ 以前にも書いたがトヨタ版とレクサス版でトレッドやホイールベースを違える手法に、ホイールのオフセットを変えるとかキャスター角を変えるという小技を使う。ホイールベースもトレッド幅の数字も同じでは、レクサスブランド版を買った人の満足感が下がってしまうと言うわけだ。
◆ ホイールベースやトレッドを変えると様々なジオメトリが変わるが、ジオメトリの変化に対してブロードな特性のサスペンションを設計し、それを支えるシャーシを設計しておく事で自由度が高くなる。
◆ ボディのたわみをサスペンションとして使うとか、サスペンションアームをトーションバーとして使うとか、こうしたところも高度な設計やシミュレーションがなければ実現できないし、その設計コストがペイできる台数を売るメーカでなければ意味がない。
◆ さらには衝突安全性だとか製造コストも加味するわけだから、素人考え的にはエンジンのモジュラ化よりも相当難しいのではないかと思う。昔の車は共通部品を使って安く仕上げるみたいな感じだったが、今の設計だと共通部品を使うと性能を向上させられる、みたいな感じがする。
◆ EVになると動力源のモータはエンジンよりも設計自由度も搭載自由度も大きくなる訳だし、シャーシにしてもICEのような複雑な制約は考えなくても良くなる。こうなると共通化のメリットが出やすくなるだろうし、共通EVシャーシに違ったボディを乗せる、ホイールベースもトレッドも自在に変更できるという10年くらい前の?EV共通シャーシ構想が現実的になるのかも。
バナナのCMで有名(6/5)
◆ 凍ったバナナで釘が打てるとのCMで一躍有名になったのがモービル1である。CMの配信が開始されたのが1977年だそうなので、48年も前の事になる。CMに使われたモービル1は5W-30で、当時のスタンダードとしては20W-40位だったのではないだろうか。
◆ CMで比較に使われた"普通の高級オイル"は10W-40なので、そもそもベースの粘度が違うじゃないかとなる。で、CMの方も早々に撮り直しを行い、粘度表示を消してしまった。もしかしたら自動車業界では粘度のインチキが話題になったのかも知れないが、世間はバナナの方が記憶に残っていたのかも。
◆ 化学合成オイルの歴史は古く、主に航空機エンジン用として開発された。ただモービル1はいわゆるPAOベースのグループIVではなく鉱物油を分離・分解した後に再合成したグループIIIではないかと思われる。ただ歴史的にはPAOベースのグループIVの方が先に開発され、その性能に近いものをローコストで合成するという事でグループIIIの研究が進んだ。
◆ 結局石油ベースだったら鉱物油じゃないか論があって、何を以て合成油とするのか裁判にもなった。カストロールはハイドロクラッキング(水素を用いて鉱物油を分離分解する手法)を用いて製造したグループIIIのオイルを合成油と謳った。一方でモービルはグループIVやグループVを合成油と呼ぶと主張した。この争いに対して裁判所は、カストロールの主張を認めた。これによりモービルもグループIIIのオイルを合成油と呼ぶようになったという、何の主張だったのかよく分からない事態が起きる事になる。
◆ この事態によって部分合成だとか半合成、全合成やブレンド合成、100%化学合成などの表記が氾濫し、更に分かりづらくなったのだった。まあどちらでも良いと言うか、鉱物油でも合成油でも性能が高ければそれで良いという事にもなる。SDSを見るとグループIIIは鉱物油扱いなので、このあたりを調べてみるのが早いのかも知れない。
◆ マイナス40℃のCMに登場したモービル1なのだが、粘度からすると化学合成油ではないのかなと思う。合成油裁判が1980年頃だそうなので、裁判の過程からすればモービルはグループIVかVを合成油と呼んでいたと思う。当時としては合成に時間もかかった高価なオイルだったのかも知れないが、フラグシップとして作ってみましたみたいな感じかな。
◆ 当時の標準的粘度のオイルと比較すると、かなりサラサラだったと思う。今でこそ5W-30は驚くべきものではないが、常温に於ける粘度の違いにもインパクトがあったのではないだろうか。モービルにしてもそうだが、石油会社のオイルは多くの自動車メーカの認証を取っている。自動車メーカの純正オイルは、これらオイルメーカのOEM品になる。
◆ オイルはレシピさえあればどこが作っても同じものが出来上がるので、元売り系かどうかは余り関係ないとも言える。ただ一般的には元売り系のオイルは様々な性能が上手くバランスしていると言われ、尖った性能こそないが悪い部分もないと言う事になる。
◆ オイルの価格は日本とか以外でずいぶん違っていて、それは関税の関係だ。レシピを元に日本国内で製造しているオイルは比較的安価だが、オイルとして輸入すると高くなる。成分の違いなどもあって日本仕様のものと本国仕様のものとでは特性が異なっている場合がある。メーカによっては高温多湿の日本に合わせて吸湿性を調整している、などとアナウンスしている。
中国籍ドライバーによる逆走死亡事故(6/4)
◆ 一方通行の狭い道路を125km/hで逆走し、直交する道路を直進している車両にぶつかった。中国人ドライバーや同乗者は軽傷だったが、何の罪もない日本人は死亡した。
◆ 前方からの衝突よりも側面からの衝突の方が弱いかと疑問を感じた方もいるだろう。トヨタの共通プラットホームはボディ中央部分の強度が弱い(下げてある?)事で、側面衝突ではボディが前後に分かれてしまう場合がある。しかしこの衝突事故の被害車両はトヨタ製ではない。
◆ 日本車の多くは側面衝突に対して十分な安全性を担保していない。これは側面からの重大な衝突事故が少ないからだと言われている。海外では側面衝突時の乗員の動きや、助手席にも人が乗っていた場合の人間同士の接触インパクトに対しても安全基準が設けられている場合がある。
◆ 例えば国内では衝突試験で十分な成績のプリウスも、側面衝突基準のテストに於いては低評価になってしまう。国内でテストされない項に関しては十分な検討がなされていないからだ。一部国産車の輸出車両では側面衝突安全性試験を行っているモデルもあるそうだ。
◆ 側面衝突に対して海外の車両はどうなっているかというと、ドアやシートに取り付けられたエアバッグで衝撃を軽減する。乗員同士の接触軽減のため、シートエアバッグ(センターエアバッグが効果を発揮する。
◆ 側面衝突(ポール衝突)に関してはカーテンエアバッグの装着があるのだが、カーテンエアバッグの有効範囲が余り広くない事で、運転姿勢や乗員の座高によっては効果を発揮しないと言われる。
◆ ホンダはシートサイドにエアバッグを付けたし、トヨタは2007年にカーテンエアバッグとサイドエアバッグの採用を発表した。ただし標準装備ではなくオプションのようで、ガリバーの記事によれば「(略)こうしたサイドエアバッグやカーテンエアバッグは、それほど高価な安全装備ではない。トヨタ アクアでは、43,200円で装着できる。」とある。
◆ 安全性試験時にはフルオプション車両で挑み、販売車両はオプション設定をするというのは昔のABS装着みたいなものだ。トヨタは安全はカネにならないと言っているわけで、JNCAP試験車両と自分の乗っている車が同一かどうか、調べてみる必要がある。
◆ 燃費に関しても燃費スペシャルモデル(軽量モデル)のデータがカタログを飾るが、実際に販売される主力モデルの燃費はこれとは異なる場合がある。燃費テスト時の等価慣性質量値を1ランク下げれば、数字を大きくする事が出来るからだ。
◆ 安全性に関しては試験が全てではなく、なので欧州や北欧メーカは独自に事故解析を行って安全な車を作ろうとしている。日本の場合は試験項目で優秀な成績が取れるように設計する。なので試験項目以外のテストをされると成績ががた落ちになる。入学試験用に過去問題を暗記するようなものだ。
◆ そんな日本車振り落としのため、とは言えないが、年々試験項目が増えている。そうなれば必然的に日本の自動車メーカも新試験項目に対応するので、安全性能は高まっていく事になる。ただし日本ではその試験項目は除外されていたりするので、国内販売車には安全装備が装着されない。
ザ・ビートル(6/3)
◆ 最近余り見かけないなと思ったら、ザ・ビートルは生産終了となってずいぶん時が経つんだ。最終モデルが2019年で、販売終了が2020年となっている。エンジンは1.2リッターのターボ付き105馬力版から、2リッターのターボ付きの211馬力版まであった。
◆ 現在でも勿論中古車が入手できるが、新車時以上にまで価格の上がっているものもある。一方で1.2リッターモデルなどはそこそこお買い得な価格に落ち着いている。
◆ 販売期間が短かった為もあるが、総販売台数が5万台前後らしいので球数が多いとまでは言えないようだ。スタイルに憧れて買ってみたけれど、ファミリーカーにはなりきれないねと言う事で手放した人が多いとか。逆にビートルだから乗る、みたいな人はコアなファンになるらしい。
◆ スタイリング的に4名乗車は厳しいというか、後席のヘッドクリアランスは不足気味である。家族揃って長距離ドライブに相応しい車ではなく、2名でちょっと旅行に行ってみるくらいの使い方が良いのかも。最近の日本車の傾向として何でもかんでも積み込める車こそ最良だみたいな、3人家族だけどやっぱり7人乗りだよね、シートが多い方が偉いし、という感じの人が多いから、そうした考えの人には合わないことになる。
◆ 最近流行の大径タイヤだが、ビートルにそれを付ければごく自然な感じがするのが面白い。タイヤサイズは215/55R17から、ホイール径が最大だと235/40R19までが選べる。235/45R18あたりが標準的だろうか。
◆ オプションかモデルによってか分からないが、電子制御LSDが装備されていたりダッシュボード中央には油温計やブーストメータが並んでいたりして、愛嬌ある外観とは裏腹な動力性能を持ち合わせているのかも知れない。1.2t位の車重で200馬力を超えるエンジンなのだから、2リッター版は速いだろう。105馬力の1.2リッター版も、過給域に入ればトルクがぐっと出てくるので余り不満はないかも。
◆ VWのDCTであるDSGの信頼性に不安を持っている方も多いと思う。世界で主流になりながらも日本では今ひとつのDCT、逆に世界では殆ど使われていないのに日本では主流のCVTなど、道路事情やコストを鑑みると日本独自のシステムが必要という事か。
◆ 渋滞や定速走行の多い日本の道路ではトルクコンバータ式のCVTが向いている。と言うよりもトルクコンバータによる動力伝達が渋滞時に安定した動作をすると言った方が良いだろうか。DCTの場合はいわゆる半クラッチを使うことになるので、渋滞路は苦手だ。特に乾式クラッチを使うタイプは摩擦熱を逃がしにくく、ホンダ車の問題同様のことが起きやすい。VWは7速版が乾式で6速のものが湿式クラッチだったかな。
◆ 海外でDCTが多いのは高速高負荷運転時の安定性が高いからだ。CVTの場合は連続高負荷運転では摩擦熱が発生するとか、ベルトの寿命が短くなるなどしてしまう。ベルトを押さえるための油圧も高くする必要があり、その油圧発生に要するパワーも馬鹿に出来ない。
◆ そんな事もあり連続高速運転で十分な耐久性のあるDCTと、低速低負荷ノロノロ運転に強いトルコン型ステップATやCVTと、道路事情に合わせたトランスミッションが使われていると言えば良いだろうか。
犯罪の多い県・少ない県(6/2)
◆ 毎年統計が出るが、犯罪発生率が日本一高いのが大阪府で、犯罪発生率は0.71%となる。犯罪の絶対数が最も多いのは東京都になるが、総人口が多いので犯罪発生率は0.54%と大阪府よりかなり低い。
◆ 犯罪が少ないのは秋田県や岩手県で、いずれも犯罪発生率が0.21%だ。犯罪発生数が最も少ないのは島根県となっている。クルド問題に揺れる埼玉県は0.55%であり、大阪府、兵庫県に続き全国で3番目に犯罪発生率の高い県なった。その後東京都、千葉県と続き北関東では茨城県の犯罪発生率が高い。
◆ 犯罪発生率が高いから住みにくいかといっても、県内でもばらつきがあるだろうから一概にどうのとは言いにくい。ただクルド人問題は埼玉県各地に分散して増えているようなので、治安の悪化が連鎖的に起こる可能性がある。
◆ ゴミ捨て問題同様で治安の保たれているところは治安が悪くなりにくい。ゴミの不法投棄があればそこに更にゴミを捨てていく業者が現れるようなもので、治安の良い場所では犯罪者が目立ってしまう。
◆ 日本では余り起きなかった強盗傷害事件も起きるし、不景気が長引いているからなのか、凶悪犯罪が普通に行われるような国になりつつあるような気さえする。在宅のマンションに、宅配便業者を装って押し入って金品を奪うなど日本型の犯罪とは思えないような乱暴さだ。
◆ イギリス時代の香港の一部集合住宅は、玄関ドアが強固に出来ていた。玄関ドアを破って侵入してくる輩がいるからと言う事で、容易には破壊が出来ないように作られていた。こうした住居に比較すれば日本の住宅など簡単に押し入ることが出来る。
◆ いわゆる空き巣は発覚を恐れるが、侵入強盗は防犯カメラなどがある事を前提で侵入してくる。住民が逆らえば暴行が加えられるわけで、下手をすれば殺されてしまう。ドアを開けなくても窓から入ってくるかも知れないし、ベランダから入ってくるかも知れない。雨戸があったとしても、多くの家では雨戸は閉めないんじゃないのかなぁ。
◆ 空き巣を防ぐにはセンサーライトや防犯カメラ、音の出る砂利などが良いと言われた。しかし押し入ってくる強盗は、そんなものは関係なく入ってくる。下見の段階でカメラやセンサーライトの存在が分かっていて、それを承知の上で押し入ってくる。
◆ 単独で押し入ってきた相手なら倒すことが出来る可能性もあるが、副数人で来られたら勝ち目がない。日本の場合は武器の所持も禁止されている。家の中で使えそうな武器と言えば消化器くらいだろうか。それでも15秒くらいしか噴射できないので、反撃される可能性も大きい。
◆ 110番通報したって警官が来ることまでに殺されてしまうかも知れないし、バットやゴルフクラブを振り回したって余り防御にはならなそうだ。まあそうしたことを考えると犯罪発生率の低い場所に住むのは大切だと思う。
◆ 悪徳リフォーム屋だとか屋根の修理詐欺のニュースもあるが、防犯カメラ映像を見せても警察は中々動いてくれないそうだ。事件が起きれば対処はしてくれるが、事件を防ぐことはあまりしてくれない。自動車泥棒なども、それで人的被害が出れば捜査もしてくれるだろうが、車が盗まれましただけでは積極的には動かない。
値上げ相次ぐゴミ袋(6/1)
◆ ゴミ収集が有料化されている実態では、有料のゴミ袋を買ってゴミを出さなければならない。そのゴミ袋の価格が各地で値上げされている。自治体では原材料費の高騰だと言っているのだが、値上げ幅が大きすぎると議論になる。茨城県潮来市は、これまで値上げしてこなかった分をまとめて取る的な事を言い、一気に3倍(資源ゴミ用のみ)の価格にした。
◆ 北海道の北見市でも値上げが行われるようで、値上げ率は1.5倍だ。財政難もあってゴミ袋1枚の価格は135円なのだとか。ゴミ収集が有料化されているという事は、お金を払えば(有料ゴミ袋を買えば)市区町村をまたいでゴミ捨てが可能なのではないかという人もいる。隣の市で捨てればゴミ袋代が安いという事だ。
◆ 自治体に言わせればゴミ処理費用緒全てをゴミ袋代でまかなっているのではないと言いそうだが、現実問題として越境ゴミ捨ては増えそうだ。以前にも書いたようにゴミ処理は住民税でまかなわれるべきものであって、そこに更に税金を取るというのは納得出来ない面もある。
◆ 伊豆市でもゴミ袋は有料で、家族の多い家庭などでは負担も大きいと思う。コンポストを買うと補助金が出るなどはあるのだが、イニシャルコストがかかる。で、ゴミを燃やす人が増えるのだが、ゴミ焼きが元で火災が起きるとして市ではゴミは燃やすなと言っている。
◆ ゴミを勝手に燃やされたのではゴミ袋の売り上げが減ってしまう、ゴミ袋収入は市の予算を支える大切なものだと言っているかも。伊豆市のゴミ袋は70リットルのものが1枚50円である。伊豆市の年間のゴミの量は1万トン程度、ゴミの比重は分からないのだがウチは生ゴミは少ないので70リットルの袋で3kg位だろうか。
◆ 人口3万人の伊豆市で年間ゴミ袋代収入が2億円弱、年間予算の1%程度となる。なお廃棄物処理組合の年間予算が約5億円なので、2億円のゴミ袋収入の割合は大きい。ゴミ袋代を2.5倍に値上げするとゴミ処理費用がゴミ袋代でまかなえる可能性が出てくる。市としては使える予算が増えるわけだから、ゴミ袋代は値上げしたくなるだろう。
◆ お隣の伊豆の国市は伊豆市の1/3くらいのゴミ袋代になっている。なので伊豆の国市にゴミを出しに行けばゴミ袋代がかなり節約できる。ここから伊豆の国市に行くのはちょっと時間がかかるが、市境に住んでいる人だったら伊豆の国市にゴミを捨てたくなるかも。ただしプラスチックゴミは伊豆市は無料だが、伊豆の国市は専用の袋を買う必要がある。
◆ 自治体によって異なるのはゴミ袋代の他にも国民健康保険税だとか水道料金がある。水道料金も各地で値上げが相次いでいる訳で、こうしたコストの差を長い目で見れば結構な違いになってくる。そうした違いが住みやすさだとか物価にもなってくる訳だし、伊豆市も然りなのだが人口減に苦しむ自治体は住みやすい町を目指してほしいものだ。
◆ そうは言っても伊豆市の人口はたった3万人である。高齢化と人口の減少は続くわけだから、やがては財政破綻になるのではないだろうか。伊豆半島はそれでも観光収入があるから良いが、そうでないエリアの衰退は早まっていく。観光資源があると勝手に金が入ってくると言ったらアレだが、観光客の落とすカネは馬鹿に出来ない。
◆ だから熱海は観光に力を入れ、廃墟ホテルだらけだった所が復活の兆しを見せている。ただ伊豆半島の中で熱海の成功は特別であって、伊東は未だに古びた昭和の面影のままだ。
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