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コスト構造


  • Posted by: F&F
  • 2009年2月 4日 10:46

EMのネットワークを借りるというSBM(公式には発表されていない)の事情を考えてみた。
何故EMは24時間定額が廉価に提供できるのにSBMには出来ないのか。

まず総契約者数の違いがある。
100万契約のEMと2千万加入者を収容するSBMが同一価格で同じようなサービスを提供できるわけはない。
これはau定額の噂の時にも書いたのだが、トラフィックの問題などではなく事業として成り立つか否かの問題だ。
http://www.fnf.jp/blog/2009/01/fnfblog0705.html

SBMは準定額、EMやWILLCOMは完全定額だがこの違いは?
事の始まりはvodafoneのLOVE定額だ。
これは画期的なサービスと言えたのだが新規加入者を呼び込む力は弱く、既存加入者には人気になった。
このLOVE定額のトラフィックのため、一部基地局は設備の増強を強いられたというのだからインパクトは大きい。
それでも新規加入者獲得が出来ればまだしも、そうでなかったところにvodafoneの辛さがあった。

通信事業者はトラフィックに応じて設備増強を行う。
しかし売却を考えていたvodafoneは投資を抑制して決算内容を良く見せる方向の努力を行った。
そしてvodafoneはSBMに高値で売れたのである。

アナリスト達は高価すぎる買収だと言った。
孫さんは自力で事業を展開するより安い買い物だったと何度もくり返したが、それは自力では開業できなかったのだと言っているに過ぎなかった。
インフラと加入者の価値、インフラは年々劣化する。
加入者価値は、各事業者共にこれを向上させるべく努力を行っている。
ところがSBMはこの加入者価値(ARPU)を急降下させてしまった。
当初はARPUの低下を端末販売の儲けで穴埋めると言っていたものの、スーパーボーナス縛りによる端末販売台数の激減は自らの首を絞めることになってしまった。
償却が進んだvodafone設備、価値を減ずることになった加入者、一体現時点でSBMの事業全体の価値はいくらなのだろうか。

加入者価値を下げてまで純増数を確保したかったのには借金の条件もある。
しかし加入者価値を下げることは誰にでも出来るが、これを上昇させることは難しい。
価値の下がってしまった設備と加入者と買収金額を考えてみると、SBMは高コスト体質であると言える。
その為新規投資は圧縮せざるを得ない状況だし、安価なサービスも出来ないばかりか値上げに転じているのが現状だ。

LOVE定額の時既にトラフィック増に苦しむ程度のインフラが、いくら買収後基地局数を増やしたとは言っても厳しいことに代わりはない。
準定額もその為であり、大容量ファイルを嫌がるのも、動画視聴の時間制限と別料金(jigなど)も然りだ。
iPhoneのトラフィックはきついとの発言も聞かれたが、10Mバイト級の動画や音楽ファイルをどんどんダウンロードできるドコモと比較すればたいした事はないはずだと関係者は言う。
この(iPhone)程度で悲鳴を上げているようではダメだと。

PC定額を否定する布石は打ってきた。
すなわち、インターネットマシン構想である。
PCを使うことなくスマートフォンで全てが足りると言ってはみたものの売れなかった。

PC定額にしてもSBMの基地局に現在は殆ど利用されていない5MHz幅の帯域を使う設備を導入し、HSDPAでサービスを開始すればいい話だ。
所がこれが出来ない。
さほど需要があるとは思えないPC定額のために、全国をHSDPA化する金など無いのだ。
しかもvodafone時代の古い設備は総入れ替えでもしない限りHSDPAには対応できない。
では何故PC定額なのかと言えば、企業ユーザ獲得時に必要だからだ。
一般紙の記事でも財務基盤の弱いソフトバンク故の選択ではないかと書かれているとおり、自力で出来ない以上他社のネットワークを借りる以外にはない。
そこでEMに目を付けたのだと思う。

EMやWILLCOMがドコモネットワークを使う例で言えば、これはサービスが立ち上がるまでの言わばつなぎだ。
SBMの場合はHSDPA化の時間は充分にあったもののそれが出来なかったわけで事情が違う。
孫さんもSBMな人も何かと言えば800MHz帯がないからだというのだが、HSDPA化もバンドの有効利用も出来ないSBMに新たなバンドを与えても何も出来ないと思う。
何故ならば既存基地局をHSDPA化したりバンド拡張するよりも余程カネがかかるからだ。
従って1.5GHz帯の割り当てに関しても、本当にここを使うだけのカネがあるのかどうかを見極める必要がある。
SBMはMNOではなくMVNO事業者の方が似合っているのだろう。

極端な話、EMネットワークを音声でも使わせて貰えれば24時間定額通話も可能になる。
ただしEM側のビジネスもあるので余り安価に卸しはしないだろうが。
逆にEMはSBMのインフラを借りる(か、買い取る)手もあるだろう。
千本さんは元々通信屋なので技術がないと自認するSBMに持たせておくよりはうまく活用するはずだ。

   

Comments:1

fSO 2009年2月 4日 18:24

何もかも急いでやり過ぎましたね。(笑)

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